EPA・DHA、α-リノレン酸は優先的にエネルギーに変わる

時々、オメガ3の油をとっているとダイエットに役に立つという記事を見かけることがあります。いつも書いていますが、油はとてもカロリーが高く、1gで9kcalもあります。ダイエットのために油をとるという考え方は少々問題があると思います。

しかし、そのような記事の根拠?になっているらしい話を詳しく調べていくと、興味深い話が出て来ました。今回は油の正しい選び方・摂り方を読みました。

また、リノール酸には分が悪い話なのですが、糖尿病が関係してくる話です。それをこの記事では書きましょう。

オメガ3の脂肪酸は固まらない

炭素の二重結合が多く、融点の低い脂肪酸であるEPAやDHAを多く含む魚油は、人の体温では液体です。魚は冷たい海の中に棲んでいます。もし魚の油が水温が低くなって固まってしまったらえらいことです。魚は生きていけません。

しかし、魚油は人の細胞内では、細胞滴を囲むリン脂質の膜を溶かしてしまうそうです。細胞膜はリン脂質といってリン酸と2本の脂肪酸からできています。液体の魚油は、リン脂質の脂肪酸を溶かしてしまうのですね。

脂肪は、本来、エネルギーを貯蔵する役割があるのですが、魚油は貯蔵する脂肪としては適していないようです。また、多量のえごま油もα-リノレン酸が50%以上占めていますから、同じく融点が低いので貯蔵に適してはいないのです。

では、これらオメガ3の脂肪酸はすぐに体の燃料として使われるのかというと、そうでもないのです。

EPAやDHAはペルオキシソームでβ酸化

EPAやDHAは、細胞内小器官であるミトコンドリアでβ酸化を受けにくい性質があります。そのため魚油が多量に体内に入ると、一時的に心臓などに蓄積します。

β酸化はミトコンドリア内で脂肪酸を炭素2個ずつ切って次々とアセチルCoAにする過程です。アセチルCoAはミトコンドリアのもっと内部で行われるTCA回路に入り、エネルギーであるATPをつくるために使われます。

このあたりのことは、脂肪もブドウ糖も燃やすときは途中から同じ物質になるで書きました。

EPAやDHAがだぶついていると、やがてペルオキシソームという細胞小器官が増えて、ミトコンドリアの代わりにペルオキシソーム内でEPAやDHAがβ酸化され、短くなった炭素鎖がミトコンドリア内で燃料となります。

ペルオキソームについては、立教大、細胞小器官「ペルオキシソーム」の分裂に必須な装置の単離に成功というニュース記事にペルオキソームの役割と細胞の内部の図がでていました。そちらを見ていただいたらよく分かると思います。ちなみにペルオキシソームでは酒も酸化するそうです。

α-リノレン酸も、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)、オメガ6のリノール酸より優先的にエネルギーとして使われ、貯蔵されにくい脂肪酸です。α-リノレン酸は、ミトコンドリアとペルオキソームの両方でβ酸化されます。

オメガ3の脂肪酸は燃えやすい。食用油として使うならオメガ3の脂肪酸が豊富な油を使えば、燃えやすいから貯蔵されにくく、太りにくいということはいえそうです。しかし、油は油ですから、料理に使う油と置き換えないと余分なカロリーをとることになり、太る原因になります。

リノール酸は燃えにくい

一方、オメガ6の脂肪酸であるリノール酸は、ペルオキソームを増殖させる能力がほとんどありません。そのためエネルギーとして利用されにくいのです。これは、飽和脂肪酸も同じです。つまり、貯蔵されやすいということになります。

高度不飽和脂肪酸は糖が脂肪になるのをじゃまする

そして、ここからがポイントなのですが、リノール酸も含めた高度不飽和脂肪酸は、過剰エネルギーからの飽和脂肪酸の合成を抑えてしまいます。

高度不飽和脂肪酸は、炭素の二重結合が2個以上あるものです。

例えば、糖分を取り過ぎると脂肪に変わるのはご存知だと思います。血糖値が上がると、インスリンが分泌されます。インスリンは血糖値を下げるホルモンと理解していますが、その意味は、余分なブドウ糖を脂肪に変えて、脂肪細胞に送り込むので血糖値が下がるということなのです。

しかし、リノール酸も含めた高度不飽和脂肪酸は、この働きをじゃまして、自分が優先的に脂肪になるようにします。そのため、インスリンが分泌されても血糖値が下がらなくなります。つまり、インスリンが効かなくなる。インスリン抵抗性が上がってしまうのです。

しかし、オメガ3の脂肪酸は、長期的に蓄積せずに燃料となりますから、その状態は解消されます。ところが、リノール酸は、インスリンが分泌されても、自分が脂肪として貯蔵されることを優先するので、血糖値が下がりません。すると、インスリンが効かないので、もっとインスリンが分泌されるようになります・・・。

これは糖尿病の原因になりますね。

こってりした料理を食べて、お酒をたくさん飲むと、今まで書いてきたことがからだの中で起きているのかなと思います。私など毎月のように身に覚えがあります。

このブログを始めてから、糖代謝と油の代謝は別のルートだと思ってきたのですが、アセチルCoAになるまでに拮抗しているところがあるとは、ちょっとした発見でした。

からだの仕組みは本当に面白いです。

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