チョコレートの奇跡を読むと、チョコレートのすごい効果がわかる

高カカオのチョコレートには健康に役立つ驚きの効果がたくさんあります。動脈硬化を予防し、ガンを予防し、ピロリ菌を抑え、花粉症をやわらげ、傷のなおりを早くして、脳に働いて精神を安定させる・・・なんて聞いたら、インチキくさい健康食品みたいですけれども。

チョコレートは虫歯のもと。チョコレートは太る。チョコレートを食べていたら吹き出物が出る。たいていの人はそう思っているでしょう。是非、この本を読んでみてください。

チョコレートの奇跡は実に面白い本だ

ずっと探していたチョコレートの奇跡(中央公論新社 2011)を読みました。

TBSで放映されているマツコの知らない世界2016年1月12日に楠田枝里子さんが出演されチョコレートの魅力を語っていました。

楠田枝里子さんはものごころがついた頃からチョコレートを食べない日がない人生を送られているそうです。

私がチョコレートに興味を持ったのは、楠田枝里子さんの外見の若々しさと、東京理科大理学部卒で、もともと化学を専攻されていた方なので、単純にチョコレートが好きだからという以外に食べ続けている理由があると思ったからです。

きっとチョコレートには何か作用があるのだろうと思いました。

この本は面白いです。チョコレート関係の本を今まで何冊か読んできましたが、一番面白かったです。対談本なのですが、聞き手の楠田枝里子さんが化学の知識がある方なので、短い話でも情報量が豊富です。

是非、読んでみるとよいです。

動脈硬化を予防する

動脈硬化は、いわゆる悪玉コレステロールとよばれる(LDL)が酸化することで起こります。

動脈硬化とは、動脈の血管壁が厚く硬くなって弾力や柔軟性を失った状態です。それだけではなくて、血管の内腔が狭くなり血液の流れも悪くなります。

通常は、貪食細胞と呼ばれるマクロファージが酸化したLDLを異物として食べてくれるのですが、酸化が進みすぎるとマクロファージが対応してくれなくなります。

そのため、LDLを酸化させないようにする必要があります。

カカオにはカカオマス・ポリフェノールが豊富に含まれていて、しかも抗酸化力が非常に強いいのです。

それに血管拡張作用によって血管を広げて血圧を改善する効果がある。こんな効果が期待できるのは、カカオの含有量が70%以上のものに限るそうです。もし、チョコレートを食べて効果を期待するなら1日50gは食べる必要があります。

ココアを飲むなら純ココアにしましょう。小さじ1杯が4gです。

ガンを予防する

カカオマス・ポリフェノールは、抗酸化力が強く、ガン予防に効果があることが知られています。たとえば、こんな実験が行われていました。

皮膚ガンのマウスに、発ガン促進物質とカカオマス・ポリフェノール0mg、5mg、10mgをそれぞれ投与して、腫瘍の大きさや数を測定しました。

するとカカオマス・ポリフェノールを与えない0mgのマウス群の腫瘍発生率は90%だったのに対して、5mg群は53%、10mg群は21%と、著しく減少したんです。

また一匹当たりの腫瘍数も、順に11.6個、3.8個、0.4個と、カカオマス・ポリフェノールが多いほど顕著に低値を示しました。つまり、ガン細胞の増殖を抑えることが判明したわけです。

さらに、カカオマス・ポリフェノールには、このようなガン細胞増殖抑制効果があるだけでなく、腫瘍細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導する抗腫瘍作用があることが分かってきました。

ピロリ菌を抑える

ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんの原因になるといわれています。日本人の50歳以上のおよそ70%がピロリ菌に感染していると考えられています。

一方、チョコレートの消費量が多い国ほど、胃ガンによる死亡者数が少ないことが調べられています。年間に日本人の6倍のチョコレートを消費するスイスの胃ガンによる死亡者数は、日本の1/3。フランスは、日本人の3倍のチョコレートを消費しますが、死亡者数は1/4程度です。

試験管の実験ですが、このような実験が行われました。

試験管の中にピロリ菌と、チョコレートと同じくカカオを原料とするココアを10%濃度にした液体を入れ、ピロリ菌の増殖反応を調べたところ、1000万個あったピロリ菌が、1日でわずか10個以下に減ってしまった。10個以下です。

つまりココアは、ペニシリン同様に、殺菌作用をもつ抗生物質のような働きをしたことになる。これは実に、驚くべき効果でした。

この働きをした一つは、カカオマス・ポリフェノールでした。10%濃度のココアはほとんど日常生活で飲むココアと同じ濃さです。少し濃いめにすると確実です。

そして、もう一つ。カカオに含まれる遊離脂肪酸です。カカオにはカカオバターという油が含まれています。油は、グリセリンと3本の脂肪酸からできていますが、脂肪酸が外れているものもあり、その脂肪酸を遊離脂肪酸といいます。

花粉症を和らげる

アレルギーは過剰な免疫反応が起きている状態です。花粉症の人は、IgE抗体ができます。その抗体にアレルゲンである花粉がくっつくと、鼻水やくしゃみという症状が起きます。

しかし、カカオマス・ポリフェノールは、過剰な免疫反応を抑えます。

まずは血液を採取して、リンパ球を取り出します。これは白血球中にある細胞で、免疫を司るもの。これを試験管に入れ、植物由来の刺激物を与えます。

花粉などのアレルゲンが入ってきたのと同じような状態にするんです。リンパ球はアレルゲンに過剰に反応すると1個が100個、100個が1万個というように次々と増殖し、結果として症状を引き起こします。

そこで、試験管の中にいろいろな濃度のカカオマス・ポリフェノールを加えてみたところ、濃度が高くなるにつれてリンパ球の増殖が抑えられたんです。

さらに免疫反応の症状を抑える働きもあります。

アレルギー炎症のもう一つの主役に、好塩基球という細胞があります。これはアレルギー症状のもとになるヒスタミンという物質を持ち、アレルゲンと結合することで、細胞からヒスタミンが放出され、かゆみ等の症状を惹起します。

しかし、同状況でもカカオマス・ポリフェノールを加えることで、好塩基球からのヒスタミンの放出が抑制されたんです。

もちろん、この効果はずっと続くのではなく、カカオを摂らないともとに戻ってしまうそうです。カカオマス・ポリフェノールの効果は2~3時間程度しかもたないので、継続的に摂取する必要があります。

チョコレートで傷のなおりが早くなる。

以前、ネットで埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センターのサイトからココア研究は発見していて興味深く読んでいました。その話が少し詳しく出ていました。

事故で入院した50代の男性がいました。背骨を外傷し、感染症を併発。痛みと熱で消耗しているので、病院食も喉を通らない状態でした。

緊急の場合に限っては病院の食事でなくてもよいので、食べたいものを聞いたところ、チョコレートが食べたいといったそうです。そしてほかの食事はとらないのに、日に何枚も板チョコを食べていたそうです。

1ヶ月もすると熱が下がり、傷がよくなり始め、チョコレート以外の病院食も食べられるまでに回復しました。

カカオマス・ポリフェノールやミネラル、傷の治療に有効に働く亜鉛が多く含まれていること、ポリフェノールやテオブロミンには血流を促進する作用などが関係していると考えられています。

高度救命救急センターでは、重傷者や感染症の患者さんを中心にチョコレートやココアを使用した治療を実際に導入していて、感染症に強くなる、傷のなおりが早くなるという効果があるようです。

そして、病院らしい発見ですが、もう一つ、便がにおわなくなるという効果も発見されています。

チョコレートは脳に効く

仕事や勉強で頑張る時は、コーヒーを合間に飲みますが、ひょっとしてココアを飲んでいた方がよいのかなという話です。受験勉強や資格試験のために頑張っている人は、ためしてみる価値がありそうです。

ドーパミンの分泌を増やす

ドーパミンは脳を活性化し、記憶・学習する上で重要なホルモンです。

ラットにカカオ豆を与える実験で、大脳皮質や海馬などの部位でドーパミンが増加していることが分かりました。

さらに、「不安」に対してカカオ豆がどのように作用するか実験が行われました。

地上2mほどの高さに十字形の台を用意。この台は、一方が落ちることのないようプラスチックの壁で囲んだスペースで、もう一方は壁のない床だけの構造になっています。

そこにラットを置いて、どのような行動をとるかを観察しました。普段なら落ちる不安と恐怖があるので、壁のないオープンスペースにはあまり行かないのですが、カカオを与えたラットは活動的に歩き回り、オープンスペースでの滞在時間も格段に長くなった。

つまり、高所における不安が軽減されたことを示したんです。ある意味、勇敢になり、逆に言えば無謀になった(笑)。

この実験のあと、ヒトに対しての実験も行われました。

効果を測るために、不安状況や気分状態の主観評価のアンケートと、唾液の成分分析が行われました。

唾液中には、コルチゾールやクロモグラニンAというストレス状態になると増加する成分があり、それが指標にされました。

被験者にはカカオマスを含むブラックチョコレートか、カカオバターだけのホワイトチョコレートを食べさせました。この違いは、カカオマスにはカカオの成分が入り、カカオバターは、そこから精製・分離された脂肪なので、カカオの成分はほとんど入っていません。

それで、単純な計算を15分から30分行うクレペリンテストと、満員電車に乗ってストレスを受ける実験、日本で一番怖いといわれる吊り橋を渡る実験を行ったそうです。

その結果、ホワイトチョコレートでは差が出ませんでしたが、ブラックチョコレートを食べた被験者は、クロモグラニンAがあまり上がらない傾向にありました。しかも、チョコレートの量が多いほど、より高い効果が得られました。

つまり、精神的に安定、もしくは活動的な状態が維持できたのです。

また、日常的にブラックチョコレートやココアに慣れ親しんだ人は、疲れた時、イライラした時にこれらを摂取すると「鎮静・リラックス」効果が得られ、食べ慣れていない人には、「覚醒・興奮」、つまり頭が冴えてシャキッとした状態になることがわかりました。

更年期障害を抑える

健康維持に重要なものの一つにIGF-1(インスリン様成長因子-1)という物質があります。この物質を増やすことができると、更年期障害を抑制することができることが分かってきました。

IGF-1は全身のさまざまな臓器で作られていて、心身の成長促進作用に関わっています。思春期に骨が伸びたり生殖機能が発達するのは、いずれも成長ホルモンの影響ですが、その成長ホルモンの作用を実際に発現させるのが、IGF-1の役割です。

さらに若さと健康維持にも関係があります。

脳に作用すると記憶や学習の中枢である海馬の働きをよくし、認知機能を高め、うつ状態を改善します。

また、血圧を正常にしたり高脂血症を改善したりと、生活習慣病を予防する効果もある。

IGF-1の低下は、いわゆる更年期障害のみならず、老化症状の発現にも密接にかかわってくるんです。

IGF-1を増やすには、チョコレートを食べる、ココアを飲むだけでよいみたいです。

カカオマス・ポリフェノールを1ヶ月間マウスに食べさせると、全身でIGF-1が増えますが、脳だけに着目して変化を見ると、特に海馬でIGF-1が約1.7倍に増えるんです。

そして認知機能が良くなり、うつ症状も改善することが分かりました。

NOTE

チョコレートに興味を持ったのは、たまたま見かけた、埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センターのサイトに、傷のなおりが早くなると書いていた記事からです。

なぜ、そんなことが起きるのだろうととても興味を持ちました。そんなタイミングでマツコの知らない世界に楠田枝里子さんが出演されたのを見たのです。

高カカオのチョコレートを毎日食べると体の調子がよくなるなんて、こんな楽しいことはありません。

チョコレートを食べるか、コーヒーの代わりにピュアココアを飲むようにするか、簡単に毎日できることです。是非、やってみましょう。

ちなみに、高カカオのチョコレートは輸入食料品店でも高いですが、製菓材料を販売しているお店に行って、1キロくらい買うと割安になります。私は合羽橋で一度買ったことがあります。

今なら、アマゾンでも買えると思います。

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