脂肪が好きなのは本能なのだろうか?

私は、肉でも魚でも少しコッテリした方が好きです。トンカツを食べるならヒレよりロースカツを今でも食べます。脂身がついていた方がおいしい。魚も脂が乗った方がおいしいですね。

考えてみると、野菜サラダにはドレッシングもしくはマヨネーズをかけて、おいしく食べています。もし、塩だけ、醤油だけしかかかっていなかったら、生野菜をたくさん食べることはできないと思います。

焼肉をたくさん食べるのは男性ですから、男が脂肪好きなのかと思いますが、女性も同じです。

それは、お菓子でも同じことだからです。砂糖だけでできた和風のお菓子よりもドーナツやケーキのように、砂糖と脂肪が混ざっているコッテリした味の方がはるかに美味しく満足感を得られます。

油を飲む人はいませんが、なぜ脂肪が入ったものを食べるとおいしく感じるのでしょうか?この記事では、それを調べてみます。

脂肪は脳に効く?

休日前の夜に念入りにネット検索していたら、ヒトはなぜ甘いものや脂肪分に富む食物を好むのかという論文を発見しました。

どうも、オピオイドペプチドというのが関係しているようです。

ウイキペディアの説明ではまったく分かりませんでしたが、痛みと鎮痛の基礎知識 – Pain Relief ー内因性オピオイドペプチドを読むと、何となくわかりました。

まず、オピエートというのがあり、これは、モルヒネ、アヘンアルカロイドのこと。次に、オピオイドというのは、オピエート類縁物質。モルヒネとかアヘンに近い物質のこと。 内因性オピオイドペプチドは、生体内で産生されるオピエート類縁物質で、鎮痛作用のほか、快感をもたらす脳内麻薬のことでした。

ストレスとオピオイドペプチドとの関係はかなりはっきりしているようです。

例えば、ヒトを25分間トレッドミルの上を走らせることで、血漿中のオピオイドペプチドの一種であるβ-エンドルフィンの値が大きく上昇して四倍以上にまでなることが報告されている。 長距離ランナーはこの作用によりランナーズハイと言われる一種の快感を覚えているらしい。

1980年代の後半だったか、脳がちょっとしたブームになり、よくランナーズハイの話は聞きました。β-エンドルフィンという名前もその頃知りました。さらに、こんな些細なことも関係しているとか。

我々が味のなくなったガムをいつまでも噛み続 けているとい う現象の裏には、同様なオピオイドを介するメカニズムが存在するのではないか

これは覚えがあります。仕事で原稿を書かなければならない時、よくガムを噛んでいました。明らかにガムを噛んでいた方がよく書けるのです。噛んでいることに意味があるように思っていました。

どうやら脂肪は、脳内麻薬の授受の仕組みに関係しているらしいのです。

ストレスがかかると過食する

ラットと女性で過食とβエンドルフィンの関係が調べられましたが、双方とも肥満している方が血中のβ-エンドルフィンの量が多く、マウスでは、過食がオピオイド拮抗剤のナロキソンによって抑えられる ことが分かりました。

つまり、β-エンドルフィンが多いと、過食してしまう可能性があるのです。

さらに、ラットに継続的に尻尾をはさむ軽いストレスを与えると、摂食量が異常に充進し、体重の増加分も尻尾をはさまない群に比べ3倍強もありました。さらに、尻尾をはさまれたラットは、より口に合うおいしい食物をとる傾向がありました。

ラットは与え続 けられたストレスを解消するために、より口当たりのよいものをたくさん食べようとすると考えられます。これは人間の行動と一緒です。

このようなストレスによって誘発される過食は、オピオイド拮抗剤ナロキソンによって抑制されました。つまり、ストレスがかかることによって、β-エンドルフィンの濃度が高くなりますが、その作用を消すナロキソンが入ってくると、過食しなくなるのです。

仕事がひどく忙しくなると、食べたり飲んだり、ストレス太りする人はとても多いです。みんなβ-エンドルフィンに支配されているのでしょうか?

高砂糖・高脂肪の食物の摂取量は脳内麻薬に影響される

甘いものと脂肪分に富んだ食物への嗜好にオピオイドペプチドが深く関わっていることが、ヒトを対象とした実験で確かめられました。

対象は、正常な食欲を示す適正体重の女性、異常に充進した食欲の女性らを被験者として、①低砂糖・低脂肪、②低砂糖・高脂肪、③高砂糖・低脂肪、④高砂糖・高脂肪という4つのカテゴ リーの食物群を自由に摂取させました。

その際に、オピオイド拮抗剤を静脈投与することによって、どのカテゴリーの食物の摂取量を減らすことができるのかも確かめられました。

その結果、④高砂糖・高脂肪が明らかに落ち、次いで、③高砂糖・低脂肪が落ちました。特に、異常に充進した食欲の女性らのグループで、④高砂糖・高脂肪の摂取量が顕著に落ちました。逆に、オピオイド拮抗剤投与によって①低砂糖・低脂肪で炭水化物(デ ンプン)が多いものの摂取が増えました。

同じグループには、官能検査も行われていました。「甘さ」や「脂っぼさ」に対する感受性には、ナロキソンを投与しても全く変化は認められなかったそうです。味覚が変わるわけではないのです。

この実験で、ヒトは甘くて脂肪分に富んだ食物をとると、満足感や喜びといった感情をオピオイド作用を仲介させて感じるらしいことがわかりました。オピオイ ドをブロックすると、そのような満足感がもはや得られなくなくなるので、高砂糖・高脂肪の食べものへの嗜好が低下するのです。

甘い糖分や脂肪自体もオピオイド様の作用がある

ラッ トにショ糖(砂糖)やコーン油をなめさせた時、ストレスに対してどの程度抵抗性を示すのか実験が行われました。

最初の実験は、ラット1匹を仲間から切り離し、心細さのために発する鳴き声の回数を超音波ディテクターで測定するという方法で行われました。

次の実験は、ラットの足を熱い板の上に乗せ、何秒間足をあげずに我慢できるか測定するという方法で行われました。

ショ糖をなめさせて行った実験では、ショ糖をなめたラットの方が明らかに隔離後の鳴き声の回数が少なかったのです。すなわち、ラットはショ糖をなめることによって、隔離からくる精神的なストレスに抵抗できることがわかりました。

ショ糖をなめさせたラットは熱ストレスに対してもコントロール群に比べ抵抗性を示し、肉体的なストレスに対してもショ糖はオピオイド様効果を持つことが示されました。

コーン油についても同様な実験が行われました。 コーン油をなめさせられた群は、その直後に足を熱い板の上に置いている時間がそうでない群よりもかなり伸びていました。

まとめ

行われてきた実験を読んでいくと、ストレスがかかると血中のオピオイド(脳内麻薬)の量が増え、それが過食や高砂糖・高脂肪食を食べることに満足感を覚えるようになる。

そして、砂糖や脂肪にもストレスに耐えられる脳内麻薬に似た働きもあります。

日本人は肉を食べて米を食べなくなったで昔に比べて脂肪の摂取量が3倍になっている話を書きました。食生活の変化は、現代のストレス時代を象徴しているのかもしれませんね。

砂糖や脂肪をとるのは、味覚を楽しむためかと思っていましたが、ひょっとしてオピオイド(脳内麻薬)の命令でストレスに対応するために食べているのかもしれません。

脂肪が好きなのは、本能ではなく、脳の命令ですね。

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