脂肪をため込む脂肪細胞は肥満すると増えるよ

余分なブドウ糖や燃料にならない脂肪は、体の中にたまっていきます。もともと脂肪は、エネルギーを保存するためのものなので、保存されやすい仕組みがあります。

体の中で脂肪をため込む場所は、お腹(わき腹が分かりやすい)、尻、太もも、背中、首・・・でしょうか。顔まで太ると、体重がかなり増えた証拠かもしれませんね。

ところで、脂肪は、脂肪細胞にため込まれます。ブドウ糖はグリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられますが、せいぜい数百グラムです。ところが、脂肪は余分なものはいくらでもためられるといわれています。

どんな仕組みで脂肪をためているのでしょう?

この記事では、脂肪細胞が脂肪をため込む仕組みについて書きます。

脂肪細胞には2種類ある

脂肪細胞には、脂肪をため込む「白色脂肪細胞」と脂肪を燃焼させる「褐色脂肪細胞」の2種類があります。

脂肪細胞の特徴は、脂肪をため込むための脂肪滴があることです。

脂肪細胞

脂肪細胞

白色脂肪細胞

白色脂肪細胞は、余分なカロリーを中性脂肪としてため込みます。中性脂肪は「油」です。貯蔵するのが役割です。

白色脂肪細胞には、大型の脂肪滴が存在し、細胞核や細胞小器官は隅に追いやられ圧迫されています。単胞性脂肪細胞ともいわれます。図を見るとその通りです。

白色脂肪細胞は全身のあらゆるところにあります。とくに下腹部、お尻、太もも、背中、腕の上部、内臓の回りなどに多く存在しています。しばらく不摂生をしていると、ズボンのベルトがきつくなり、昔のズボンが入らなくなるのは、まったくこのとおりです。

皮下脂肪と内臓脂肪

お腹の皮膚のすぐ下にあって、つまむことができるのが皮下脂肪。
一方、お腹の内臓の周囲につくのが内臓脂肪です。

脂肪が増えると肥満といわれますが、肥満にもお腹がふくらんでくる内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)と、お尻や太股に脂肪がついてくる皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)があります。

男性ホルモンは筋肉を増加させるのですが、その熱源となる内臓脂肪も増加させる作用があります。男性は内臓脂肪がつきやすく太っ腹になりやすいのです。

一方、女性ホルモンは内臓脂肪よりも皮下脂肪を増やす傾向があります。同じ体脂肪率ならば、男性のほうが内臓脂肪が多いことになります。

褐色脂肪細胞

褐色脂肪細胞は、中型の脂肪滴が多数存在し、細胞小器官であるミトコンドリアが多く存在しています。代謝型の細胞で、余分な脂肪を熱に変え、放出させる働きがあります。多胞性脂肪細胞とも呼ばれます。

褐色脂肪細胞は、体が冷えたときに体脂肪を燃やして熱を作り出す働きがあり、エネルギー生産が盛んな細胞なのです。そのために燃料として脂肪滴を準備しているのでしょう。

褐色脂肪細胞は首の周り、脇の下、肩甲骨の周り、心臓、腎臓の周りの5カ所で、褐色脂肪細胞は、成長期に入ると少しずつ減り、生まれたばかりの時に約100gあったものが、成人になると40g程度に減ってしまいます。

白色脂肪細胞はふくらむ

余分な脂肪は、白色脂肪細胞にため込まれて脂肪滴がふくらみます。ただ、いくらふくらむとはいっても、限界があります。

杉原甫先生の脂肪細胞の増殖を読ませていただくと、体積は2.2倍まで肥大するのが限界だそうです。

成人普通体重者の脂肪細胞は直径 70~90 µm である.これがわれわれの観察では,どのように肥満が起こっても,約 130 µm(直径で 1.3 倍,体積ではその 3 乗の 2.2 倍)までは肥大するが,それ以上は肥大しない.

一例として、170 cm、64 kg(体格指数=BMI 22)の体重の男性の場合がでていました。体脂肪率を約 20% とすると、脂肪は 12.8 kg になります。この脂肪細胞が全て最大に肥大したとしても、12.8×2.2=28 kg までしか増加できません。

体重は、この 28 kg に非脂肪組織(64 kgの 80% の 51 kg)を加えて 79 kg となります。すなわちこの体重の男性は、79 kg になるまでは栄養の貯蔵のため,脂肪細胞の肥大で対応できます。79 kg は、170 cm のこの男性では BMI 27.3 です。この値は軽度の肥満だそうです。

若い頃170 cm、64 kgだった男性が結婚して79 kgになるのは珍しい話ではありません。64 kgから79 kgに増えるのは感覚的にかなり太った感じですが、まだ軽度の肥満なのですね。

しかし、これ以上太る人ももちろんいます。その場合は、どの脂肪細胞が脂肪を受け入れるのでしょう?

白色脂肪細胞は増える

脂肪細胞が増えるのは、妊娠末期の3カ月(胎児期)・ミルクで育つ乳児期・思春期に集中することが知られています。白色脂肪細胞の数は、20歳前後の成人では約400億個となるといわれています。(出典

この時期に太ってしまった人には、脂肪細胞が増殖した肥満が多いといわれます。

一度増えてしまった脂肪細胞は、減ることがありません。したがってこのタイプの肥満は、脂肪を落とすことがとても難しいそうです。確かに子供の頃に太っていた人はやせにくい印象があります。

しかし、ずっとやせていた人も、結婚するとたいてい太ります。特によくお酒を飲む人は肥満する人が多いです。そして、外国人によくいる軽度の肥満ではすまない、とんでもなく太ってしまった人の白色脂肪細胞は、どうなっているのでしょう?

杉原甫先生の脂肪細胞の増殖によると、脂肪細胞が限界までふくらみ、体積で 2.2 倍を超えるようになると、脂肪細胞がやはり増えるそうです。

肥満者の白色脂肪細胞は、約800億にもなるといわれています。(出典

限界を超えて太ってしまった人は、脂肪細胞の数が増えるので、やせにくく太りやすい適応をしたということになるようです。極端に太らないように油のとりすぎにも注意してください。

スポンサーリンク

フォローする

スポンサーリンク