からだの中での不飽和脂肪酸の酸化

脂肪酸の自動酸化や過酸化のことを知ると、不飽和脂肪酸もとり過ぎはきっとよくないだろうなと思うようになりました。よほど変わった仕組みでもなければ、空気中で起こることは体の中でも起こるからです。

今は、たいていの人がリノール酸をとり過ぎている状態ですから、α-リノレン酸をとってバランスを取らなければならないです。

油の正しい選び方・摂り方―最新 油脂と健康の科学を読むと、α-リノレン酸は、体内では活性酸素を抑えると書かれていました。この記事では、その話をご紹介しましょう。

酸化されやすいα-リノレン酸

空気中での脂肪酸の過酸化反応は、炭素の二重結合の数に比例します。特に、二重結合にはさまれた水素は、とても反応しやすい性質があります。

空気中では、飽和脂肪酸、オレイン酸(二重結合数:1)、リノール酸(二重結合数:2)、α-リノレン酸(二重結合数:3)の順に過酸化脂質をつくりやすく、さらに、魚油の成分であるEPA(二重結合数:5)やDHA(二重結合数:6)は二重結合が多いですから、もっと過酸化脂質をつくりやすいのです。

α-リノレン酸は体内では活性酸素を抑える

不飽和脂肪酸は、体内では、過酸化を抑える方向に働くそうです。

反応性に富むフリーラジカルが脂肪酸を攻撃して脂肪酸ラジカルができても、ビタミンEがそれを安定化します。この時、ビタミンEは酸化されますが、酸化されたビタミンEはビタミンCにより活性型にもどります。そして、酸化されたビタミンCは、エネルギーを使って活性型に戻ります。

α-リポ酸グルタチオンとよばれる物質も、フリーラジカルの消去に協力しています。

体内で、このような抗酸化ビタミンの働きが十分であれば、過酸化を受けやすいα-リノレン酸、EPA、DHAなどはむしろ、フリーラジカルを効率よく引き寄せて、他に悪影響を与える前に消去するように働くというのがこの本の著者である奥山治美先生のお考えです。

老化を学習能で測定する

奥山治美先生のグループは、老化のフリーラジカル説を実験で覆しました。

老化のフリーラジカル説というのは、体内にフリーラジカルがたくさんできると細胞を傷害し、それが蓄積して老化が進むという説のことです。

これは、過去、ラットに不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸を餌にして与え、寿命と迷路試験による学習能力の差に関して測定していたのです。この時は、寿命には大きな差がなかったものの、不飽和脂肪酸の二重結合が多いほど迷路試験の間違いが多かったのです。

この結果、不飽和脂肪酸の多い油脂を長期間とると、体内に過酸化脂質がたまり、これが分解してフリーラジカルを増やし、老化が促進されるといわれるようになりました。

しかし、この時の迷路はかなり単純なものだったようです。

奥山治美先生は、ラットに明度識別型学習能試験を使いました。

これは、迷路とはちがって、明るいときにレバーを押すと餌が出る。暗いときにレバーを押しても餌が出ないという条件をつけて、レバーを押す回数を測定する方法です。

単純にレバーを押せば餌が出るという条件に比べて、明るいときにレバーを押せば餌が出るというのは、「明るい」、「レバーを押す」と条件が重なり複雑になります。もし、明るいときに同じ回数だけレバーを押していたラットがいても、暗いときにレバーを押した回数を比較すれば、学習の度合いがわかります。もちろん、学習すれば、暗いときに無駄にレバーを押さなくなります。

実験は、老齢ラットと若齢ラットについて行われました。与えたのはえごま油と紅花油です。紅花油はリノール酸が70%を占める油です。えごま油は50%をα-リノレン酸が占め、それ以外の、飽和脂肪酸、オレイン酸の成分比はほぼ同じです。

結果は、老齢ラットはえごま油を与えていた方が、明るい時に餌をもらえると学習できたそうです。1ヶ月後再度同じ試験を行って記憶力を調べてみると、やはりえごま油を与えていた方が記憶力が高かったそうです。

若齢ラットでは、魚油でも学習能と記憶力を高く保つことが分かりました。

実験の論文は脳を襲う油脂(あぶら)-基礎研究からでも読むことができます。

これで、少なくともオメガ3のα-リノレン酸と魚油については、「過酸化脂質がたまり、これが分解してフリーラジカルを増やし、老化が促進される」ということは当てはまらない(?)のかもしれません。

もう少し深く知りたい

油の正しい選び方・摂り方によれば、体内では酸素濃度が大気中より1/10以下と低く、抗酸化ビタミンの存在下で、脂肪酸過酸化の連鎖反応が進まないようになっていると書かれていました。

1気圧は760mmHgというのは何となく覚えていました。大気中酸素は約20%あるので、大気の酸素分圧は、150mmHgくらいかなと思ったら、詳しい説明がありました。

空気中のO2分圧は160mmHg 、気管内で150mmHg、肺胞ガスで102mmHg 、動脈血で100mmHg 、混合静脈血で40mmHgである。これは血管での話です。(出典)さらに、細胞内では23mmHgという話も。(出典

確かに、体内では、酸素はあまり存在しないようです。

しかし、リノール酸とヒドロキシノネナールとアルツハイマーで書いたように、リノール酸は過酸化が問題になっています。体内では酸素があまりないから過酸化の連鎖反応はあまり進まない・・・というわけではないように思います。

リノール酸の過酸化はよくないが、α-リノレン酸の過酸化物もよくないのか、それともα-リノレン酸の過酸化物は害がないから気にしなくてよいのか?

もう少し深く知りたいです。

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