EPAとDHAの摂り過ぎはあるみたいです

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このところずっとオメガ3の脂肪酸について調べています。

オメガ3の脂肪酸にこだわっているのは、自分に関係があるからです。私はずっと視力2.0の人生を送ってきたのですが、老眼が進んで視力がはっきり落ちています。もう一つは、記憶力。人の名前や固有名詞がすぐに覚えられなくなっていて、しかも忘れやすい。「えーと、あれあれ」が多くなっています。

α-リノレン酸とEPAとDHAにとても興味があり、実際にえごま油はテレビの反響で入手不可能になるまで使っていました。今はまだ値段が完全に戻らないのが不満で買っていません。

今日読んでいたn-3系多価不飽和脂肪酸の生理的有効性と栄養学的側面からみた安全性評価では、いくつか興味深い内容がありました。少しご紹介しましょう。

α-リノレン酸からEPAやDHAへの変換率はかなり低い

以前、α-リノレン酸からEPAやDHAへの変換率は10~15%程度だと知りました。(出典

今は多分ほとんどの人がリノール酸をとり過ぎている時代です。

α-リノレン酸がEPAやDHAに変換していく時、リノール酸の影響を受けます。リノール酸は、アラキドン酸を経てドコサペンタエン酸に変換されますが、この間の反応は、同じ酵素を使います。そのため、リノール酸がたくさんあるとα-リノレン酸からEPAやDHAに変換していく反応は進まなくなります。

α-リノレン酸とリノール酸は拮抗します。

このあたりのことは、α-リノレン酸からEPA、DHAに変換する5つの反応は、リノール酸と一緒に進むアラキドン酸はリノール酸をとっていれば不足しないをお読みください。

この論文には、α-リノレン酸からEPAやDHAへの変換率を調べた実験について書かれていました。

実験には、重水素でラベルしたα-リノレン酸が使われました。重水素は、原子核が陽子1つと中性子1つで質量数が2の水素です。通常の水素は、質量数が1です。できたEPAとDHAに入っている重水素を測定すれば、どのくらい変換されたか分かる仕組みです。その結果こんなことがわかりました。

ラベルしたα-リノレン酸を成人男性に投与し、48時間後までに血しょう総脂質のEPAとDHAへどのくらい変換されたかが測定された結果、低リノール酸食(リノール酸15g/日:飽和脂肪食)では、48時間までにEPAへの転換率は6%、DHAへは3.8%、高リノール酸食(リノール酸30g/日:多価不飽和脂肪食)では、それぞれ3~3.6%、1.9~2.3%であり、高リノール酸食をすると40~50%転換率が低下するとされています。

EPAやDHAへの変換率はとても低いです。これなら魚を食べているのが一番よいのかなと思います。ただ、外食したり買って来た食べものから入ってくるリノール酸とバランスを取るために、α-リノレン酸が入ったえごま油や亜麻仁油を使う必要はあるように思います。

EPAとDHAのとりすぎは出血しやすくなる。

1970年に、北極圏に住むイヌイットとデンマーク人について、食事と心筋梗塞の関係を比較した調査が発表されました。もちろん、デンマーク人の方が心筋梗塞の発生率がとても高かったのです。

食事の内容を調べたところ、総カロリーに対する脂質の比率が40%前後でありながら、デンマーク人は牛や豚、イヌイットはアザラシや魚と、食べているものの内容に大きな違いがあることがわかりました。

アザラシや魚に多く含まれるのは、EPAやDHAです。こうして魚の油に血液中の中性脂肪を減らしたり、血栓を予防したりする働きがあることが分かり、それが心筋梗塞の発症を防いでいると考えられるようになりました。

しかし、いいことばかりではありません。この論文には、脳出血が発症しやすくなると書かれていました。

EPA/DHAを日常的に大量に摂取するイヌイットでは脳出血の発症率がたいへん高いことも報告されている。

血液がサラサラになるのはよいのですが、出血しやすく止まりにくくなるのです。さらにこんなことも書かれていました。

グリーンランドのイヌイットでは傷口からの出血時間が長く、鼻、尿路、分娩等でも出血傾向にある。また、脳卒中(脳出血)の発症率も高く、n-3系脂肪酸摂取による血小板凝集低下(血液凝固阻害)との関連が示唆されている。グリーンランドのイヌイットは1日当たりn-3系脂肪酸として5~10g、EPAとDHAの合計としては、4~8g程度摂取しており、この状況は一生続いていると考えられている。おそらくn-3系脂肪酸として7~10g/日程度EPAとDHAとして6~8g/日程度の摂取量で出血時間が長くなるものと思われる。

魚油は腎臓に負担がかかるのかな?

こちらは、EPAとDHAだけというわけでなく、魚油としての話です。メンヘーデンとはニシンのことです。油が多い魚です。コーン油、サフラワー油は、リノール酸が多い油です。牛脂は飽和脂肪酸が多いですね。

ラットでの話なので、直接ヒトに当てはめられるのかどうか分かりませんが、初めて知りました。

雄ラットを9%の魚油(メンヘーデン油)と1%のコーン油で700日間飼育すると魚油の代わりに牛脂を投与した群、全てコーン油を投与した群と比べて腎糸球体硬化症の症状がひどく、また、その症状が早期に出現することが観察された。腎傷害の顕著なラットでは、大動脈心筋組織に石灰化巣が出現するとともに、飼育途中で死亡するラットも多く、寿命の短縮が認められた。同様に21.2%の魚油(メ ンヘーデン油)飼料を雄のラットに6か月間投与すると、対照のサフラワー油群と比べて腎尿細管と腎糸球体の機能が変化した。すなわち、たんぱく質尿症が発症し腎糸球体濾過率が低下する。

EPAとDHAの許容上限摂取量

オメガ3系脂肪酸の食事摂取基準はだいたい男性女性とも目安量は2gくらいです。このぐらいとっていればオメガ3系脂肪酸の欠乏症である皮膚炎は起こりません。最低、このぐらいとっていればよいですよという量でした。

では、EPAとDHAの許容上限摂取量はどのくらいなのでしょうか。

魚をたべるとどのくらいDHAとEPAがとれるかなで魚に含まれているEPAとDHAの量を表にしておきました。ちなみに、毎日マグロの刺身を食べられる幸せな方もいらっしゃると思いますが、100g食べるとだいたい3gくらいのEPAとDHAをとることができます。

個人的には、飽きるまで毎日刺身を食べてみたいような気がします。

安全性に考慮するとこのように書かれていました。

ヒトでの過酸化脂質生成による傷害の可能性の検討からは長鎖n-3系脂肪酸として5.5~10.6gEPAとDHAとしては4.6~8.8gイヌイットの食事からはn-3系脂肪酸として7g程度EPAとDHAとしては6g程度が許容上限摂取量となる。また動物を用いた許容上限摂取量の検討からはEPAとDHAとして4.5gヒ トにおけるn-3系脂肪酸長期摂取による安全性試験の結果からは長鎖n-3系脂肪酸として4gEPAとDHAとしては3.4gとなる。血小板凝集低下と出血時間の延長に関する介入試験の結果からはn-3系脂肪酸として6.5g未満EPAとDHAとして6g未満程度であれば特に問題とはならないようである。インスリン非依存性の2型糖尿病患者での検討ではn-3系脂肪酸として2.5g程度が上限として適切と考えられるができる限り魚介類そのものでの摂取を薦めたい。以上の結果から健常人では1日当たり長鎖n-3系脂肪酸の総摂取量としては5g程度EPAとDHAとしては4g程度までなら安全性上特に問題はないと思われる。

ちなみに、アラキドン酸とEPAは拮抗するエイコサノイドの材料として使われますが、EPAはDHAからも作られます。もちろん、アラキドン酸は同じオメガ6の脂肪酸、炭素数22のドコサペンタエン酸からも作られます。

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