オリーブオイルはいつからどんな用途に使われていたか

何年か前に買って来て「積ん読」になっていたスパイス、爆薬、医薬品 – 世界史を変えた17の化学物質という本があります。中にオレイン酸についての章があり、思わずじっくりと読みました。もちろん、オリーブオイルの話です。

油の本を読みながら記事を書いてきて思いますが、長く使われてきたものは安全だと思います。

オリーブオイルやごま油は一体いつから使われてきたのでしょう?もし、長い長い歴史で体によくないことが分かれば使われなくなります。ごま油は、脂肪酸組成でリノール酸が多く、今は分が悪いですが、オレイン酸が主成分のオリーブオイルは体に悪いはずがありません。もちろん、製造工程で問題がある場合は別です。

この記事では、オリーブオイルの歴史と昔の使われ方について書きます。

オリーブはいつから栽培されたのか

オリーブが最初に栽培されたのは、地中海東部周辺の地域と考えられています。現在の国でいえばトルコ、ギリシャ、シリア、イラン、イラクなど。オリーブは、少なくとも5000年、おそらくは7000年もの間、栽培されてきたといわれています。

このあたりは、はっきりしないようですが、歴史が古いことは間違いありません。

オリーブの栽培は地中海東部沿岸からやがてパレスチナ、そしてエジプトに広がりました。専門家によれば、栽培はクレタ島から始まったという話です。

ここではオイルの製造業が栄え、紀元前2000年にはギリシャ、北アフリカ、小アジアに輸出していました。ギリシャ人たちが、各地に入植し始めると、彼らはオリーブをイタリア、フランス、スペイン、チュニジアにもたらしました。そしてローマ帝国の拡大により、オリーブの栽培も地中海世界全体に広がりました。この地域では数世紀にわたり、オリーブオイルが最も重要な貿易品であった。

オリーブオイルの使われ方

オリーブオイルは、ランプを灯す燃料として使われました。油の用途は、どこでもまず明かりです。

その他化粧品として、ギリシャやローマの人々は、風呂から出るとオリーブオイルを皮膚に塗っていました。

また、運動選手もオリーブオイルを使いました。彼らは筋肉の柔軟性を保つために、オリーブオイルを擦り込んでマッサージすることが必要だと考えました。

レスリングの選手は、お互い相手の体をつかめるようにオイルを塗った上に砂や土をつけていたそうです。そして競技の後には、痛みをとって傷を癒やすために入浴してオリーブオイルをたっぷり体に塗り、マッサージするのが習慣になっていました。

女性は肌を若く見せるために、また、髪に輝きを与えるためにオリーブオイルを使いました。

医薬品としても

また、オリーブオイルは健康を保つための医薬品としても使われていました。薬草の香り成分は、オイルに溶けることが多いです。このため、月桂樹、胡麻、薔薇、ウイキョウ(フェンネル)、ハッカ、ビャクシン、サルビアなどの葉や花は、オリーブオイルに漬け込んで使われました。

ギリシャの医師たちは、オリーブオイルやこうしたエキスを吐き気、下痢、潰瘍、不眠症など、さまざまな病気に処方しました。

エジプト初期の医学文書によると、オリーブオイルについての言及は、内服外用とも膨大な数に上る。オリーブの葉っぱも使われました。マラリアの熱を下げ、苦痛を癒やしたそうです。オリーブの葉っぱにはサリチル酸を含むことが知られています。サリチル酸は、アスピリンをつくる時に原料になった物質です。

オリーブオイルから石鹸を作るまで

石鹸は、ずいぶん歴史が古いのですね。私は化学という学問が世の中に登場してから発明されたのかと思っていました。石鹸は油とアルカリを反応(けん化)させて作ります。油(脂肪)は肉など食べ物から、アルカリは木の灰から得られます。

多くの文明で石鹸が作られたことを示す記録があるようです。

例えば、バビロニア時代の発掘現場で約5000年前の粘土の円筒が見つかり、ある種の石鹸とそのつくりかたが書かれたものが入っていました。紀元前1500年までさかのぼるエジプトでの記録には、脂肪と木の灰から石鹸が作られると書かれており、何世紀にもわたり、織物や染色の職人が石鹸を使っていたこともが示唆されているそうです。古代のフランスにいたガリア人は、ヤギの脂肪と苛性カリ(KOH)から石鹸を作っていたことが知られているそうです。ケルト人もまた石鹸の製法を発見し、風呂や衣服を洗うのに使ったとされています。

ローマ時代からすでに石鹸は作られていましたが、その用途は衣服の洗濯でした。ほとんどのローマ人は、古代ギリシャ人と同様、体を洗うときはオリーブオイルと砂を混ぜたもので全身をこすっていました。

石鹸の製造には、多くの場合、動物の脂を使っていたようです。きっとにおいがあるでしょうし、オリーブオイルで体をこすっていたローマ人が、動物の脂で体を洗うとは思えないですね。

しかし、ローマ時代も後年になると、浴場で石鹸が使われるようになりました。この時の石鹸がオリーブオイルを原料にしたものかどうかは書かれていなかったので分かりませんが、上記の理由で、石鹸が使われるようになったとしたら、原料はオリーブオイルかもしれません。

ローマの衰退とともに西ヨーロッパにおける石鹸の使用も製造もなくなったそうです。

8世紀に入ると、スペインとフランスで石鹸製造が復活しました。原料はオリーブオイルでした。非常に高品質で不純物もなかったものだったそうです。カスティーリャ石鹸と呼ばれ、ヨーロッパ各地に輸出され、13世紀までにスペインとフランス南部は、ぜいたくな石鹸をつくることで有名になりました。

一方、北部ヨーロッパの石鹸は、動物や魚油が原料で、品質はよくなく、主に織物を洗うのに使われていました。

ヨーロッパでは、入浴の習慣がローマ帝国の衰亡と同時に衰退してしまいました。公衆浴場は中世の終わり頃までありましたが、14世紀にペストが流行すると、公衆浴場は閉鎖されるようになりました。16世紀までには入浴は危険で邪悪なものだと見なされるようになりました。ペストが関係しているんでしょうね。

入浴が1年に1回というのが普通だったようですが、これはクサイでしょうね。香水をつかっていても。日本人のわれわれには考えられないです。

しかし、この時代も石鹸の需要はあり、顔や手は石鹸で洗い、金持ちは衣服やシーツを洗わせていたのだそうです。

料理に使う以外のオリーブオイルの使い方は、用途がたくさんあり、なかなか贅沢品だったのですね。

最後にこの本について

私は油の話を調べて書くために、化学の本を読むようになりました。

訳者あとがきで、小林力さんはこのように書かれていました。

本書の対象読者
1.化学を学び損ねた人(本日が再スタートのチャンスです)
2.化学が嫌いだった人(分かれば好きになるものです)
3.知識を増やしたいビジネスマン(すぐには役立たない知識にこそ価値がある)
4.国立大学を目指す受験生(一冊で世界史と化学の二科目はお得です)
5.大学に入ってこれから化学を学ぶ人(スタートダッシュが大事です)
6.化学を専門にするが人文科学も好きな人(私でした)
7.授業用に雑学ネタが欲しい化学科の教授(ネットで簡単に深く掘れます)
8.偶然これを手に取ったあなた(家に帰って構造式を実際に書いてみましょう)

構造式も出て来ますが、オレイン酸以外の章もとても面白いです。自分もあてはまると思った方、寝る前の落ち着いた時間に少しずつ読むと楽しめると思います。

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