オリーブ油とえごま油を混ぜると総コレステロールと中性脂肪を下げる効果がありそうだ

オリーブオイルとえごま油を1:1の割合で混ぜて使用すると、えごま油だけよりもオリーブ油を混ぜた油を使った方が、T−ch(総コレステロール)値やTG(中性脂肪)値が低くなる効果が期待できるかもしれないという論文がありました。

えごま油

私の友人にオリーブオイルがとても好きな人がいます。

何でも一度オリーブオイルを自分で絞ったことがあるらしく、それを使ったらからだにとてもよいと実感できる出来事があったようでした。

ビールを飲みながらいろいろ話していたのですが、昔からずっと使われているオリーブオイルは、体にきっとよいのだろうなという分かりやすい結論になりました。

ところで、しそ油とオリーブしそ油摂取が血清脂質・過酸化脂質・凝固線溶系に及ぼす影響を読むと、オリーブオイルとえごま油(しそ油)を混ぜたものが、えごま油よりも効果があるらしいことが分かりました。私が記事を書くときは、しそ油はえごま油としていますので、この記事でもえごま油と書きます。

えごまも含油率が高い

初めに油が搾りやすい作物からとった油は体によいだろうという話を書きましたが、ちなみに、えごまも含油率が高いです。

ただし、主成分となるα-リノレン酸は酸化されやすく、保存性がよくないこと、加熱料理には適さないことが欠点です。

えごま乾燥100gの成分(出典
エネルギー 544kcal
水分 5.6g
たんぱく質 17.7g
脂質 43.4g
炭水化物 29.4g
灰分 3.9g

オリーブしそ(えごま)油を使う

この論文が書かれたのは2000年ですが、このようにえごま油を使う利点が書かれていました。

近年注目されてきたn−3系脂肪酸のα-リノレン酸は冠動脈性心疾患や血栓動脈硬化性疾患の抑制に有効に作用し、発癌の予防、転移の抑制 、血中TGや超低比重リポタンパク(very low density lipoprotein:以下VLDL)の低下、など様々な効果をもつ 。

TGはトリグリセリド、中性脂肪のことです。超低比重リポタンパクについては、コレステロールと脂肪は一緒に運ばれるで説明してあります。

この論文の実験は、体にはよいと分かっているものの、加熱料理に向かないえごま油をもう少し使いやすい油にしようと、酸化安定性のよいオリーブオイルとえごま油を1:1の比率で混ぜたオリーブえごま油をつくり、それを一定期間使った後、血液を調べて、効果があるかどうか確かめようというものでした。

血液成分で調べられたのは、過酸化脂質、T-ch(総コレステロール)、TG(中性脂肪)、フィブリノーゲン、PAI-1(プラスミノーゲン活性化抑制因子)、 t-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)です。フィブリノーゲン以下を調べました。

フィブリノーゲン

フィブリノーゲンは血液に含まれるタンパク質で、血液凝固において中心的な役割を果たす。血液凝固の際は部分加水分解されてフィブリンとなり、網目状の組織を作って破れた血管の蓋の役割をする。(出典

フィブリノーゲンの値が高くなると血栓ができやすくなり、逆に低下すると出血しやすくなります。

PAI-1(プラスミノーゲン活性化抑制因子)

PAI-1(プラスミノーゲン活性化抑制因子)は、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン (生理活性物質) の 1 つで、血液を固まらせる作用があります。肥満時には分泌が増加し、脳血栓や心筋梗塞などのリスクを高めます。(出典

PAI-1の値が高くなると血栓ができやすくなり、またPAI-1の値はTG(中性脂肪)が増加すると一緒に増える傾向があります。

t-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)

t-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)は、血しょう蛋白質の一種プラスミノーゲンを活性化する酵素で、血管内皮細胞などで生産される。アミノ酸 527個から成り、血栓に含まれるフィブリンに吸着する性質を持つため、血栓部位を特異的に溶解する作用を持つ。(出典

t-PAは、血栓阻止に重要な物質です。t-PAとPAI-1の働きは拮抗します。

これらは血液凝固に関係しています。血栓のできやすさ、出血のしやすさを観察するのだと思います。

実験の手順

被験者は女子学生11人でした。

えごま油20gを14日間毎日摂取した後、オリーブえごま油20gを14日間摂取しました。その期間は実験に影響する食品の摂取規制をしました。えごま油は非加熱のみで、オリーブえごま油は加熱・非加熱の制限なし摂取することを条件としました。また、それぞれの油の摂取期間前は、調整期間とし1週間の間隔をあけました。

それぞれの油を摂取前、7日目、14日目に血液を採取しました。

実験結果

過酸化脂質

えごま油摂取では、摂取前と比べ7日目で11.1%増加し、14日目では7日目よりは低下しましたが、摂取前と比べると1.4%増加しました。

オリーブえごま油摂取では、7日目で3.9%増加し、14日目は-4.3%低下しました。

この実験では、えごま油は1週間摂取すると増加傾向を示すことが分かりましたが、えごま油、オリーブえごま油ともに長期間摂取しても過酸化脂質は増加しないことが分かりました。

T−ch(総コレステロール)

えごま油摂取では、摂取前に比べ7日目で-1.1%低下しましたが、14日目では1.6%増加しました。

オリーブしそ油摂取では、7日目で-1.0%、14日目で-1.8%と低下傾向がみられました。よってオリーブえごま油を長期間摂取ることにより、T−chは低下すると考えられました。

TG(中性脂肪)

えごま油摂取では、摂取前に比べ22.1%増加しましたが、14日目には-12.7%低下しました。

オリーブえごま油摂取では7日目で-6.8%、14日目で-8.8%低下しました。よって、えごま油、オリーブえごま油ともに、長期間摂取によりTGを低下させることが考えられました。

フィブリノーゲン

えごま油摂取では、摂取前と比べ7日目で-36.7%に低下し、14日目で-12.2%まで低下しました。えごま油を1週間摂取するとフィブリノーゲンは低下することがわかりました。しかし、14日目では摂取前と比べれば低下していますが、7日目より38.7%増加しており、長期間摂取するとこのまま増加傾向を示すとも考えられました。

オリーブえごま油摂取では7日目で3.4%、14日目で2.1%増加した。7日目と比較し、14日目で-1.2%とやや低下はしましたが、オリーブえごま油摂取では増加傾向を示しました。これをさらに長期間摂取すればフィブリノーゲンは低下傾向を示すことも考えられました。

PAI-1

えごま油摂取では、摂取前と比べ7日目では27.1%、14日目では21.6%増加しました。14日目でも増加傾向を示してはいますが、7日目と比べ-4.4%とやや低下していることから、えごま油は長期間摂取した方がPAI−1を低下させる可能性は考えられます。しかし、今回は増加傾向を示しました。

オリーブえごま油摂取では、7日目で-13.9%低下しましたが、14日目で0.6%増加しました。2週間以上の摂取で増加傾向を示すことが考えられますが、摂取前の値が37ng/ml〜213ng/m1とバラツキが大きく個人差がありました。

t-PA

えごま油摂取では、摂取前と比べ7日目で-16.3%、14日目で-5.7%低下した。14日目では7日目と比べると13.5%増加しているが、えごま油摂取では低下傾向を示しました。

逆にオリーブえごま油摂取では、7日目で4.5%、14日目で9.6%と増加しました。摂取前3.8ng/m1が2週間で4.6ng/mlへ増加したことから、オリーブえごま油摂取により増加傾向を示すことがわかりました。

NOTE

この実験では、えごま油だけよりもオリーブ油を混ぜた油を使った方が、T−ch(総コレステロール)値やTG(中性脂肪)値が低くなる効果が出たことは興味深いです。

また、t-PAについては、オリーブえごま油の方が数値が高くなり、つまり血栓を溶解する効果が期待できることになりました。

いつもこの状態が再現できるのかどうかは分かりませんが、参考になります。

今は、オリーブオイルも、亜麻仁油も、えごま油もちょっとしたブランド品のようなものです。それぞれ決して安くない油ですから、混ぜて使うということはほとんど考えられていないと思います。

しかし、こうやって読ませていただくと、油を混ぜることで、保存性を高めるということ以外にも相乗効果が得られる場合があるかもしれないと思うようになりました。

また、オリーブオイルについて他の記事は、オリーブオイルについて書いた記事のまとめをご参照ください。

その他のオメガ3の効果については、オメガ3の効果についてをお読み下さい。

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