油の分子式や分子量は求められない

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先日のこと、私が油のことばかり調べているので、友人から、オリーブオイルの分子式って何だっけ?と聞かれました。私ぐらいの年代になると、若い頃に勉強したことは、鮮明に覚えているところと、まったく覚えていないところがあります。

友人は、なかなか勉強ができた人なのですが、このていたらくです。いや、私も改めてこのように調べ続けていなければ同じようなことを考えたと思います。特に、調べ始めた頃、まだ知識があやふやな頃ならきっと同じような疑問をもったのではないかと思います。

この記事では、それを説明しておきましょう。

油は混合物である

油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよでも書きましたが、油は、グリセリンと3本の脂肪酸がエステル結合したものです。

図で説明しましょう。グリセリンと3本の脂肪酸が反応するところです。これは脂肪の一例です。脂肪酸にはいろいろな種類があります。植物油なら植物油に入っている脂肪酸7つの構造式を読んでいただければ、構成する脂肪酸について知っていただけると思います。いろいろな組み合わせがあります。

図中、真ん中に一価不飽和脂肪酸のオレイン酸がありますが、不飽和脂肪酸はグリセリンの2位(真ん中)に結合するのは、決まりみたいです。

パルミチン酸(C16:0)は炭素数16で二重結合数0の飽和脂肪酸です。オレイン酸(C18:1)は炭素数18で二重結合が1個ある不飽和脂肪酸です。ステアリン酸(C18:0)は炭素数18で二重結合数0の飽和脂肪酸です。

図中、赤く囲っている部分、グリセリンの-OHと脂肪酸の-Hが結合して水(H2O)となって外れます。

グリセリンと脂肪酸の反応

グリセリンと脂肪酸の反応

これができた脂肪の図です。

脂肪

脂肪

もし、オリーブオイルが100%この構造式で表すことができる脂肪でできているなら、この構造式がオリーブオイルですといえます。そして、CとHとOの数を数えれば分子式が書け、C=12、H=1、O=16で計算していけば、分子量も求められます。

しかし、それができないのは、オリーブオイルの脂肪は、この組み合わせだけではないからです。

オリーブオイルの脂肪酸組成

オリーブオイルの脂肪酸組成は、下表のようになります。オリーブオイルの油を構成する脂肪酸は、5種類あるということですね。

オリーブオイル100gあたり脂肪酸組成(g)出典
パルミチン酸(C16:0)P 9.8(g)
ステアリン酸(C18:0)S 2.9(g)
オレイン酸(C18:1)O 73(g)
リノール酸(C18:2)L 6.6(g)
α-リノレン酸(C18:3)T 0.6(g)

ここから先は数学の問題です。5種類の脂肪酸を3個並べるのですが、上の図のような組み合わせがあるとします。

1位:パルミチン酸
2位:オレイン酸
3位:ステアリン酸

しかし、これを上下ひっくり返すと。

1位:ステアリン酸
2位:オレイン酸
3位:パルミチン酸

結局同じものになります。すると、5種類の脂肪酸を3個並べる場合、円順列を求めれば並べ方の総数が分かりますね。4×3×2=24(通り)の並べ方が考えられます。

ところが、自然物は実際にはそんなことにならないのです。

オリーブオイルのトリグリセリド組成

油に関する本を読むと、たいてい脂肪酸組成は出ていますが、脂肪の構成まで書いてあることは少ないです。食用油脂―その利用と油脂食品には一例が出ていました。

もう一度、上の表を見てください。パルミチン酸はP、ステアリン酸はS、オレイン酸はO、リノール酸はL、α-リノレン酸はTと頭文字を振ってあります。

LLOは、1位リノール酸、2位リノール酸、3位オレイン酸もしくは、1位オレイン酸、2位リノール酸、3位リノール酸のことです。

オリーブオイルの脂肪酸は5種類あり、そこから3個並べる並べ方は、計算上は24通りありましたが、実際のところ(これも一例ですが)は、表にある通り9種類でした。

オリーブオイルのトリグリセリド組成%
LLO 2.4
TOO,LLP 2.6
LOO 13.3
LOP,PLP 8.0
OOO 39.9
SOO 5.1
SOP 1.0

また、トリグリセリド組成の数字を足しても82.9%にしかなりません。これは、トリグリセリドの他に、グリセリンに脂肪酸が2本ついたジグリセリド、グリセリンに脂肪酸が1本ついたモノグリセリドもあることと、グリセリンと結合しない遊離脂肪酸もあるからです。

このように、オリーブオイルは、いくつもの物質が混合して出来上がっています。そのために、分子式でも、構造式でも書き表すことができず、分子量も計算できません。

まとめ

オリーブオイルに限らず大豆油でもゴマ油でも亜麻仁油でも、油脂は、同じ理由で分子式も構造式も書けません。もちろん、分子量も計算できません。

ただし、油を構成する脂肪酸は分子式も構造式もあります。それぞれの特徴も分かっています。油脂の性質を知るために脂肪酸組成を知るのは、高い比率を占める脂肪酸の特徴が反映されるからです。

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