コレステロールの生合成はアセチルCoAからスタートする

油とコレステロールは脂質ではありますが、別なものだと思っていました。しかし、コレステロールは、アセチルCoAから生合成されるのです。関係がないどころか、関係が大アリです。コレステロールがアセチルCoAからどのような反応をへて合成されるか書いていきます。

アセチルCoAからコレステロールができるということは、ブドウ糖も脂肪酸もコレステロールをつくるための材料になるということです。普通に食事をしていれば、コレステロールが不足するなんてことは考えられないですね。

コレステロールは、アセチルCoAが原料になって生合成されます。

卵

アセチルCoAからメバロン酸まで

アセチルCoA2分子からアセトアセチルCoAができます。

AcetoAcetyl-CoA

2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoA

アセトアセチルCoAにアセチルCoAがもう1分子縮合して3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAができます。

HMG-CoA

アセトアセチルCoAから3-ヒドロキシ-3メチルグルタリル-CoA

3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAからチオエステル基が還元されてメバロン酸となります。

チオエステルとはカルボン酸とチオールが脱水縮合した構造 (R−CO−S−R’) を持つ化合物である。チオエステルの特性基 (R−CO−S−R’) をチオエステル結合と呼ぶ。

チオールは水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物でR−SH(R は有機基)と表されます。

メバロン酸

3-ヒドロキシ-3メチルグルタリル-CoAからメバロン酸

メバロン酸は活性イソプレノイド単位を生成

メバロン酸は、

メバロン酸5-リン酸

メバロン酸からメバロン酸5-リン酸

メバロン酸5-リン酸にもう一つリン酸が結合して、メバロン酸5-ピロリン酸となります。ピロリン酸とは二リン酸のことです。この構造式から、リン酸は、Ⓟで書くことにします。書くためにスペースが必要になるので、省略させてください。

メバロン酸5-ピロリン酸

メバロン酸5-リン酸からメバロン酸5-ピロリン酸

次は、メバロン酸5-ピロリン酸からメバロン酸3-ホスホ-5-ピロリン酸という中間物質を経て、ピロホスホメバロン酸デカルボキシラーゼという酵素でカルボキシル基が外れて、二酸化炭素となり、またリン酸が1個外れます。

そして、イソペンテニルピロリン酸となる反応です。イソペンテニルピロリン酸はIPPともいわれます。

イソペンテニルピロリン酸

メバロン酸5-ピロリン酸からイソペンテニルピロリン酸

イソペンテニルピロリン酸について。iso-(イソ)は直鎖でないことを示すときに用います。構造式を見れば、CH3が横に張り出しています。

ペンテニルは、メタン(C:1)、エタン(C:2)、プロパン(C:3)、ブタン(C:4)、ペンタン(C:5)に由来するものです。

メタン、エタン、プロパン、ブタン・・・など、メタン系炭化水素のことをアルカン(alkane)といいます。そこから水素原子を1個抜いた残りの原子団の総称をアルキル基(alkyl group)といいます。アルキルになると読み方が変わります。

英語の綴りを見ていただければ分かる通り、アン -aneをイル-ylに変えます。また、isopentenylとenがついているのは、二重結合が一つあることを示しています。

つまり、イソペンテニルピロリン酸は、直鎖でない二重結合を1つもつペンタン(を変形したもの)から水素が1個取れたアルキル基がついた二リン酸だという意味です。

イソペンテニルピロリン酸は、活性イソプレノイド単位ともいわれます。

6つのイソプレノイド単位はスクワレンを形成する

この段階は、3分子のイソペンテニルピロリン酸の縮合にかかわり、下図にあるように炭素数15のファネシルピロリン酸がつくられる。

この反応は、イソペンテニルピロリン酸の異性化によって起こる。

異性化とは、ある分子が原子の組成は全くそのままに、原子の配列が変化して別の分子に変換することです。 これらの関連する分子のことは異性体と呼びます。

下図を見ると、イソペンテニルピロリン酸と3,3-ジメチルアリルピロリン酸は二重結合の位置が変わっていますが原子の組成が変わらないことが分かります。

3,3-ジメチルアリルピロリン酸を生じ、これがもう1分子のイソペンテニルピロリン酸と縮合して、炭素数10のゲラニルピロリン酸を生ずる。

さらに、これにもう1分子のイソペンテニルピロリン酸との縮合が起こって、炭素数15のファネシルピロリン酸ができてきます。

ファネシルピロリン酸

イソペンテニルピロリン酸からファネシルピロリン酸

2分子のファネシルピロリン酸がピロリン酸の末端で縮合するが、このときNADPHによる還元を受けてピロリン酸基が外され、その結果、炭素数30のスクワレンができる。PPiとはピロリン酸の記号のことです。

スクワレン

フェネシルピロリン酸からスクワレン

スクワレンはラノステロールへ変換する

スクワレンは、ステロイド核によく似た構造をもっています。スクワレンの下にステロイド核の画を載せます。ステロイド核は、炭素と水素を省略しています。

ステロイド核には、A-D環という閉じた環がありますが、スクワレンも環をつくると、とても似た形になります。スクワレンには、ところどころ二重結合がありますが、コレステロールにはないのが大きな違いです。

スクワレン

スクワレン

ステロイド核には炭素番号がついています。

ステロイド核

ステロイド核

閉環が起こる前に、スクワレンはスクワレンエポキシダーゼによってスクワレン2,3-オキシドに変わります。酸素(O)が1個下の末端から2番目の炭素、3番目の炭素と結合しています。その部分は、赤色の線にしました。

さらに、この後、閉環が起きるときは、炭素番号14(C14)についているメチル基CH3が炭素番号13(C13)へ、また、炭素番号8(C8)についたメチル基CH3は炭素番号14(C14)へ転移されます。

見やすいように赤い破線の矢印をつけておきました。

スクワレン2,3-オキシド

スクワレン2,3-オキシド

酸化スクワレンラノステロールシクラーゼによって、上に書いたように閉環が起きます。また、図中一番下の末端から2番目と3番目についていた酸素(O)は、2番目の炭素から外れ、ヒドロキシ基として3番目の炭素とだけ結合します。

さらに、下から2番目の炭素は、下から数えて7番目の二重結合になっている炭素と結合します。二重結合はなくなります。

炭素番号8(C8)と炭素番号14(C14)が結合するため、炭素番号13(C13)と炭素番号14(C14)の二重結合はなくなります。

また、炭素番号13(C13)は右上の炭素と結合するため、その部分の二重結合もなくなります。

残る二重結合は、炭素番号8(C8)と炭素番号24(C24)の2ヶ所だけになります。

ラノステロール

ラノステロール

ラノステロールはコレステロールへ変換する

次は、ラノステロールが酸素(O2)と反応して、炭素番号14(C14)についていた破線部分のメチル基CH3が外れて、ギ酸(H-COOH)になります。

ラノステロールは、14-デスメチルラノステロールに変化します。

デスメチルとは、desmethylと書き、脱メチル化、脱メチル体という意味です。炭素番号14(C14)についていたメチル基がなくなったラノステロールという意味です。分かりやすい。

14-デスメチルラノステロール

14-デスメチルラノステロール

次に、炭素番号4(C4)についている2つのメチル基CH3が酸化されて二酸化炭素(CO2)となり、取り除かれ、チモステロールとなります。

チモステロール

チモステロール

その次に、チモステロールがイソメラーゼによって△7,24コレスタジエノールになります。

イソメラーゼとは、異性化酵素のことです。上で異性化については書きました。△7,24コレスタジエノールは、チモステロールの炭素番号8(C8)にあった二重結合が、炭素番号7(C7)に移動しただけです。

△7,24コレスタジエノール

△7,24コレスタジエノール

7,24コレスタジエノールは、デスモステロールになります。NADPHと酸素(O2)によってどんな反応が起きるのか分からなかったです。

変化は、炭素番号7(C7)の二重結合が、炭素番号5(C5)の二重結合に移動します。デスモステロールは別名、24-デヒドロコレステロールといいますが、この名称は分かりやすい。

炭素番号24(C24)がデヒドロ(水素をとられた)されたコレステロールです。上で紹介したステロイドには二重結合がありませんでしたが、コレステロールは、炭素番号5(C5)に二重結合があります。

デスモステロール

デスモステロール

そして、最後にコレステロールができます。△24レダクターゼというのは、炭素番号24(C24)を還元する酵素です。水素(H)をもらって二重結合がなくなります。

それで、コレステロールのできあがりです。

コレステロール

コレステロール

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