日本人は油の摂取量を増やすと糖尿病になりやすくなるかもしれない

この記事では、現在のような脂肪(油)の摂取量が多い食事をしていると、日本人は、糖尿病になりやすくなるかもしれないということについて書きます。脂肪(油)の代謝とインスリンは関係ないのですが、内臓脂肪がインスリンの効きを悪くするのです。

オリーブ油

欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防を読みました。

この本は、体質をキーワードに、日本人に多い病気を改めて解説しようという本です。

体質って、すごくアバウトなことばで、普段、実に適当に使っています。「アレルギー体質」「お酒の飲めない体質」などなど・・・。何となくわかるけど、正確に説明してくれといわれるとよくわからなくなります。

この本では、体質は、遺伝と環境要因によって決まるものと定義されています。遺伝的なものは変えられないですが、その遺伝的な体質が発現するには、環境要因がON/OFFするスイッチになると考えられています。

第3章の糖尿病では、日本人は脂肪の摂取量を増やすと糖尿病になりやすいということが書かれていました。脂肪は油と同じ意味です。

そもそも糖尿病とは?

糖尿病とはいっても生活習慣病の場合なので、2型糖尿病のことを指しています。

インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込ませる働きをするホルモンです。2型糖尿病はインスリンが出にくくなったり、インスリンがでていても効きが悪くなって細胞に糖がとりこまれず、血糖値が高い状態が続くことをいいます。

インスリンは脂肪の代謝には関係ない

インスリンは、脂肪の代謝(分解)には関係していません。脂肪の代謝については、油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよをお読みください。脂肪はリパーゼで少し分解され、体内に吸収されると、また脂肪に戻ります。

油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよ
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脂肪の摂取量が増えると糖尿病が増える

この本によると、油の摂取量が増えると糖尿病になりやすくなるのは、2つ理由があります。

  1. 東アジア人はインスリンの分泌量が少ない
  2. 日本人は内臓脂肪がつきやすい

日本人はインスリンの分泌量が少ないなんて考えたこともありませんでした。この本のよいところは、参考文献を参照することが簡単にできるように配慮されていることです。

詳しい論文を読む必要があれば、ネット検索で見つからない場合、東京なら国会図書館か都立中央図書館に行くと何とかなるでしょう。

東アジア人はインスリンの分泌量が少ない

こんな風に書かれていました。

日本人を含む東アジア人は、もともとインスリンの分泌量が欧米白人の半分から4分の1しかありません。こんなに少なくても健康でいられるのは、欧米白人とくらべてインスリンがしっかり働くからです。(中略)

日本人はインスリンの分泌が少ないのに、血糖値がきれいに下がるのです。正確に言うと、昔はそうでした。それが日本人のなかでインスリンの効き目が悪くなる人が次第に増え、それにつれて糖尿病の発症率が上がっています。

日本人のインスリンは、どうして効かなくなってきたのでしょうか?

インスリンの分泌量が半分、もしくは4分の1で間に合うとは、体の大きさの違いがあるからでしょうか。昔は効き目がよかったのに、現在は効かなくなってきた理由を聞かれれば、食生活の変化しかありませんね。

理由は、あとに書くことにして、もう一つの特徴、日本人は内臓脂肪がつきやすいことについて説明しましょう。

日本人は内臓脂肪がつきやすい

内臓脂肪は、お腹周りにつく脂肪です。健康診断の時、腹囲85cm以上でメタボといわれます。米国人男性とは腹囲の基準が違うようです。

体格にもよりますが、腹囲85cmは、それほどお腹が出ているように見えません。もちろん、やせて見えないですけれども。

男性の腹囲の基準値は日本と米国でかなり違い、日本の85cmに対して米国は約102cm(40インチ)。

この基準値の意味は、腹囲約102cmの米国人についている内臓脂肪の量と、腹囲85cmの日本人についている内臓脂肪の量が同じだということです。

日本人を含むアジア人の男性は、肥満に見えなくても、こんなにも内臓脂肪がつきやすいのです。

欧米白人は内臓脂肪がつきにくいそうです。

ところが驚いたことに、欧米白人はどんなに肥満しても内臓脂肪があまりつきません。大部分が皮下脂肪です。

この原因は完全には解明されていないものの、脂肪を皮下脂肪としてたくわえることができないと、行き場を失った脂肪が内臓脂肪になると考えられています。

内臓脂肪は、つきやすく落ちやすいといわれます。私も一時肥満したことがありますが、すぐにお腹がでてきて、尻やももにまで脂肪がつくまでしばらく時間がかかりました。

ここまでで、インスリンの分泌量が少ないことと、内臓脂肪がたまりやすいことについて説明しました。このことが、どのように糖尿病の増加につながるのでしょう?

その前に、糖尿病の原因といえば砂糖のとり過ぎがありました。あなたは砂糖をよく使いますか?

砂糖のとり過ぎはない

昔は喫茶店に行くとグラニュー糖を入れた容器が置いてあったり、砂糖のスティックが置いてありましたが、今は砂糖を豪快に入れる人はいないですね。みんな気をつけています。

近年では、砂糖に代わって、ジャガイモやトウモロコシを原料とする異性化糖の使用が増えており、この異性化糖の消費量の多い国は糖尿病の発症率が高いというデータがあります。

しかし、砂糖と異性化糖を合わせた国民1人あたりの年間摂取量で比較しても日本は世界の中で少ないほうです。米国にいたっては日本の2.5倍以上摂取しています。

異性化糖は、主に、より甘さを感じられる果糖のことです。スポーツドリンクにも入っています。果糖は気をつけた方がよいみたいです。

果糖がよくない理由を調べてみたという記事で調べました。果糖は代謝にインスリンが必要でなくブレーキがかからないのです。脂肪やコレステロールに変わりやすいのです。

この記事では、砂糖(ショ糖)を食べるとコレステロールが上がりやすくなること。それは、果糖が原因になっていること。さらに、果糖がからだの中でブドウ糖とは別に代謝されることと、大量の果糖は体に負担になることを調べました。果糖(フルクトース)は、

では、あらためて、日本で糖尿病が増えた原因はなんでしょうか?

内臓脂肪はインスリンの効きを悪くする

脂肪細胞は、脂肪をため込んだ細胞で特別な細胞ではありません。しかし、生理活性物質を分泌することが知られています。その中には、インスリンの効き目を低下させるものがあります。

近年、インスリンの効き目を悪くする物質が突き止められ、なんと、この物質を内臓脂肪が分泌していることがわかりました。その代表が腫瘍壊死因子(TNF-α:Tumor Necrosis Factor-α)で、内臓脂肪が増えるとTNF-αの分泌も増加します。

名前からわかるように、本来はがん細胞を攻撃してくれる頼もしい物質ですが、同時に細胞へのブドウ糖の取り込みをさまたげます。これによりインスリンの効き目が低下してしまうのです。

脂肪細胞が「もうこれ以上脂肪はいらない」といっているのでしょうか。

皮下脂肪からも分泌されますが、内臓脂肪の方が、インスリンの効き目を悪くして血糖値を上げる原因になる物質を多く分泌します。

つまり、こういうことです。

  • 日本人は、内臓脂肪が増えやすい。
  • 内臓脂肪が増えると、脂肪細胞がインスリンの効き目を悪くする生理活性物質を分泌する。
  • 日本人はもともとインスリン分泌量が少ない。
  • インスリンが、より効きにくくなる。

さて、インスリンが効きにくくなるまでの道筋はわかりました。この中で説明されていないのは、なぜ内臓脂肪が増えるのかという理由です。

それはもちろん、現在の食生活にあります。

カロリーは低いが脂肪の割合が高い食事

たまたま、私も日本人は肉を食べて米を食べなくなったという記事で、日本人の食事は1960年代と比較して、炭水化物が減り、脂肪が増えたことを書いていました。

日本人は肉を食べて米を食べなくなった
油のことを調べていると、日本人の食生活の変化について知りたくなってきました。高度成長期に育ってきた私は何となくはわかります。私は50代半ば。...

この本にはこのように書かれています。

答えは、やはり厚生労働省の調査結果からわかります。カロリーの総摂取量に占める脂肪の割合が上がり、炭水化物の割合が下がったのです。

脂肪の摂取比率は、終戦直後の1946年にはわずか7%だったのが、1990年に25%を超えて現在にいたっています。これでも先進国のなかでは非常に低い水準ですが、カロリーの総摂取量が減っても、そこに占める脂肪の摂取比率が上がっているので、脂肪の摂取量は高いままです。

1980年代終わりのバブル経済の頃から、円高になり、輸入食品がとても安くなりました。それで、食生活が変わったような印象があります。肉を食べることが多くなり、油を使う料理が増えました。

それまで、オリーブ油なんて使ったことはありませんでした。その後もしばらく安定した円高だったので、輸入食品はずっと安いままでした。

脂肪はすぐに脂肪に戻る

ブドウ糖はインスリンによって脂肪細胞に脂肪としてたくわえられますが、脂肪はもっとダイレクトです。

炭水化物は優先的に体のエネルギー源として使われます。一方、脂肪は消化酵素リパーゼで、脂肪酸とモノグリセリド(グリセリンに脂肪酸が1本ついたもの)に分解されますが、腸から吸収されると、また脂肪に戻ります。

炭水化物を食べるより、脂肪は体につきやすいのです。もちろん、脂肪も体のエネルギー源になりますが、優先順位としては、炭水化物の方が上です。

すると、脂肪が多くなった現在の食事は、内臓脂肪をためやすい食事ということになります。砂糖をとらないようにしても、ご飯の量を減らしても、脂肪が多い食事は、内臓脂肪をためやすく、糖尿病になりやすい条件をつくっているのかもしれません。

白人と日系人、日本人の糖尿病発症しやすさを比較する

このグラフは、本に出ていた日系米国人、日本人、米国白人の糖尿病発症率のグラフを改めてエクセルでつくったものです。データは1992年のものだそうです。

このグラフを見てどう思われますか?

いうまでもなく日本人と日系人は、日本人と米国白人と比較して、遺伝子が共通しています。グラフから米国白人は糖尿病になりにくく、日本からアメリカに移住した日系人は、糖尿病になりやすいのがわかります。

米国白人と日系人は同じような食事をするでしょう。すると日系人は糖尿病になりやすくなります。日本人は日本に住んでいれば、日本式の食事をしていますから日系人に比べると糖尿病になる人の比率が低くなっています。

内臓脂肪がつきやすい日本人(日系人)が、脂肪の多い食事を続けると、内臓脂肪が蓄積して糖尿病になるリスクが高くなる、一つのわかりやすい説明になると思いました。

まとめ

糖質(炭水化物)をとらない食事は、低糖質ダイエットがブームになったので、すぐにやせ始めることがよく知られています。

しかし、この方法をマイルドにして、総カロリーをかなり減らしても、油(脂肪)を多めに摂って炭水化物も摂る食生活は、日本人の体質にはあまりよくないのかもしれないなと思いました。

今は油に関する話題が多く、ちょっとしたブームですが、くれぐれも油をサプリメントのように思わない方がよいと思います。

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