油を抽出する溶媒ヘキサンについて

ヘキサン (hexane) は有機溶媒の一種で、直鎖状アルカンといいます。アルカンというのは、鎖式飽和炭化水素のことで、読んで字のごとく、直線的に並んだ炭素の腕のすべてに水素が結合しているものです。メタン、エタン、プロパン、ブタンなど、燃料ガスとして馴染みがありますね。ブタンは、登山用の燃料としてガスボンベによく使われています。

メタン(炭素1個)、エタン(炭素2個)、プロパン(炭素3個)、ブタン(炭素4個)、ペンタン(炭素5個)、ヘキサン(炭素6個)という構成で、それぞれの炭素同士に二重結合しているものはなく、下図の通り、構造は実に簡単です。

文章で「鎖式飽和炭化水素」なんて書いたものを読むより、構造式を見た方が分かりやすいですね。

alkane

ヘキサンの構造式は簡略化されたものだと下図のようになります。炭素と水素だけで構成されていますから、何の記号も出て来ません。これだとわかりにくいので、久しぶりに炭素と水素を全部書いた構造式を上に載せました。

Hexane

ヘキサンは常温では無色透明で、灯油の様な臭いがする液体。融点は、-95℃です。常温では液体です。沸点は69℃です。この沸点は重要なので、太字にしておきました。

溶媒とは、他の物質を溶かす物質のことをいいます。たとえば油性ペンキは水に溶けないですがシンナーには溶けますね。そのシンナー(薄め液)が溶媒です。溶けるもの、この場合油性ペンキは溶質といいます。

溶媒と溶質は大別すると「極性(親水性)」と「無極性(疎水性)」とに区分することができるそうです。極性といわれると化学の知識がない私は困ってしまいますが、親水性、疎水性といってもらうとわかります。水に溶けるかどうかということです。

塩は水に溶けますが(親水性)、油は水に溶けません。(疎水性)

極性溶媒は極性物質との組み合わせが良く、無極性溶媒は無極性物質との組み合わせがよいとされ、これは「似たものに溶ける」といわれる性質だそうです。このあたりは深く追求する必要がないので、そういうものだと思っておきましょう。油は水に溶けないというのが象徴的なことです。

ヘキサンはガソリンに多く含まれていて、ベンジンの主成分です。毒性もあります。

そのヘキサンは油脂抽出に使われます。 大豆の脱脂加工にも用いられ、大豆油はヘキサンを溶剤として油脂を抽出したものです。大豆は油脂含量が少なく、20%程度しかありません。そのため、ただ圧搾しただけではうまく油を得られないのです。また、なたねトウモロコシなど油脂含量が多い原料の場合も、圧搾して油脂をしぼったあとの搾りかす(油粕)からさらに油脂を抽出するために使われます。

油はヘキサンに溶けます。ヘキサンと油の混合物を加熱すると、ヘキサンの沸点は69℃ですから蒸発してしまいます。一方、油の沸点は、油が単一の物質ではなく、グリセリンについた脂肪酸によって性質が変わります。しかし、単純に考えて、天ぷらを揚げるときには油は180℃くらいが適温などといわれていますから、そのぐらいまで熱しても大丈夫です。

実際、大豆の脂肪酸の半分を占める不飽和脂肪酸のリノール酸の沸点は229℃。飽和脂肪酸のパルチミン酸の沸点は、351℃。同じく飽和脂肪酸のステアリン酸の沸点は380℃です。

油とヘキサンの混合物がどのくらいまで加熱されているのかは分かりませんが、溶媒のヘキサンが完全に蒸発するだけの温度と時間と行程の繰り返しをかけるのは間違いありません。

この記事を読んで、ヘキサンなんて嫌だなあと思う人がいらっしゃるでしょう。しかし、理科の先生や化学を学んでいる人はほとんど気にしないのではないかと思います。ヘキサンは、圧搾して油脂をしぼったあとの搾りかす(油粕)からさらに油脂を抽出するために広く使われています。

何が正解なのか私は正直なところ分からないのですが、もし、それが嫌だったら、価格の高い植物油かバターやラードなど動物性の脂を使うしか方法はないと思います。

きっと、このヘキサンを溶媒とする油の抽出方法は、植物油の価格を下げるためには強力な方法だと思います。

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