ココアの効果と分離されるココアバターから脂肪の価値について考えてみた

この記事では、ココアの効果(効能?)と、ココアがつくられる工程を調べて、ココアと、そこから分離される脂肪について考えてみたいと思います。

ココアが好きな人は多いですね。ココアはカカオ豆が原料です。チョコレートも同じです。

カカオから油脂を減らしたものがココア。カカオの油脂がココアバター。カカオの油脂を減らさず、もしくは、増やした食品がチョコレートです。

ココアは飲み物としては脂肪が多いです。そのためか「冬に飲むもの」というイメージがありました。そして、脂肪が多いなら太るからやめておこうと、ほとんど飲むことはありませんでした。

ところが、2、3年前に、テレビで歯医者さんが歯周病対策にはココアを飲むとよいとすすめていたので、それから私も飲むようになりました。

ココアのことを少し調べると、昔々は、脂肪分が多い、固形とも液体ともいえないペースト状のチョコレートを飲んで(食べて?)いるだけだったそうです。その後、かの有名なヴァン・ホーテンが、カカオから油脂を分離し粉末化する方法を開発し、ココアと名付けて売り出したのが、バンホーテンココアと飲み物としてのココアの始まりでした。

これは、カカオから分離された脂肪、ココアバターの画像です。私がいつもスパイスを買いに行くアメ横のインド食材のお店、大津屋さんがアマゾンで売っていました。白っぽい色をしています。

ココアバター

驚きのココアの効果

ココアは冬の飲み物ぐらいにしか思っていなかったのですが、ココアはとても体によい飲み物だったんですね。

歯周病菌を減らして傷の治りを早める

私は歯周病菌を減らすというのが一番びっくりしました。中年以降、歯が弱くなってくるのは仕方がないのですが、これはありがたい話です。2、3年前に歯科医がココアをすすめている番組を見たことがあります。ココアを寝る前に1杯飲むといいなんて、私が子供の頃だったら信じられない話でした。

歯周病菌には、ジンジバリス菌がよく知られていますが、そのほかにフゾバクテリウム菌、インターメディア菌があります。

普段飲む濃度に近い3%のココアをこれらの菌に添加すると、ジンジバリス菌では培養1時間後、 フゾバクテリウム菌では培養3時間後生菌数は検出限界以下になり、インターメディア菌でも、ジンジバリス菌、フゾバクテリウム菌ほどではありませんが、効果が見られました。また、このことに関連して、口臭が減るという効果もあります。日本のメーカーでは、ココアといえば森永ですが、森永のサイトに詳しい説明がありました。(出典

さらに、調べていくと傷の治りが早くなるという効果があるようです。加えて、便秘が改善され便臭が少なくなるという効果もあるようです。(出典

この効能をもたらしてくれるのが、どうやらココアポリフェノール。ポリフェノールは特定の物質名ではありません。ポリフェノールは、ポリ(たくさんの)フェノールという総称です。

ココアポリフェノール

調べてみると、ココアポリフェノールは、主に、エピカテキン、カテキンとプロシアニジン(エピカテキンやカテキンがいくつか結合した化合物)から構成されています。カテキン、エピカテキンは、緑茶に入っている成分です。

プロシアニジンは、カテキンがいくつか結合した構造をもち、抗酸化作用が強いポリフェノールです。

プロアントシアニジン(OPC)は、ピクノジェノール、フラバンジェノールなどとよばれているものと同じものです。何年前だったか、これが入ったお茶のCMをよくやっていましたね。プロアントシアニジンが入っているもので一番有名なのは、赤ワインです。もちろん緑茶にも入っています。

ココアは、これらポリフェノールの含有量がとても多いようです。(出典

ココアのカフェイン

純ココア100gには、カフェイン0.2g、タンニン4.1gが含まれています。一方、インスタントコーヒー100gには、カフェイン4.0g、タンニン12gが含まれています。タンニンは苦みの成分です。(日本食品標準成分表2010より)

ココアの入れ方をバンホーテンのサイトで見ると、1杯、純ココア4gを使っていましたので、カフェインは10mg程度はあると考えればよいと思います。コーヒーならその20倍ですから、ココアは、飲み過ぎなければカフェインのことは気にしなくてもよいと思います。カフェインに敏感な人でなければ、歯や歯茎、そして口の中のために、寝る前に1杯飲んでも大丈夫でしょう。

ココアの製造

ココアの製造について説明します。

1.カカオ豆を発酵・焙煎させたものから種皮と胚芽を取り除いてすり潰し、カカオマスを作ります。
焙煎するのは香りや風味をつけるためです。

2.次にカカオマスから搾油します。
カカオマス中では約55%脂肪があります。搾油した脂肪は、ココアバターと呼ばれます。

3.残りはココアケーキと呼ばれ、これを粉砕したものがココアパウダーと呼ばれ、ココアになります。
ココアに残る脂肪は、バンホーテンピュアココアの缶を見ると、脂肪分22%~24%と書かれていました。カカオマスに入っている脂肪から半分は搾油して抜いてしまうのですね。

チョコレートは、できたカカオマスにココアバター、砂糖、ミルクなどを混合して作ります。さらに脂肪を足すということです。

ココアバター

ココアバターは、カカオ豆から得られる脂肪です。ココアバターには、優れたフレーバーと、他の油脂にはない特徴があります。

チョコレートを思い出して下さい。チョコレートは、室温以下では固くなっています。しかし、口の中に入れると急速に融けていきます。これがチョコレートを口に含んだときの魅力ですが、この性質は、ココアバターによるものです。融点は、32℃から35℃ですから、体温より少し低いくらいです。

また、ココアバターは、酸化に対してきわめて安定で、長期保存されるものに向いています。未脱臭のままだと、ポリフェノールを含み2-5年の常温固体保存が可能です。これはすごい特徴ですね。

ココアバターは、トリグリセリド(中性脂肪)98%、遊離脂肪酸1%、モノ・ジグリセリド0.5%その他によって構成されています。トリグリセリドなど油の構造については、油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよをご参照下さい。

ココアバターのトリグリセリドには、オレイン酸がグリセリンの真ん中の腕である2位に、パルチミン酸とステアリン酸が1、3位に結合し、この対称形構造が、75%以上含まれるのが特徴です。パルチミン酸とステアリン酸は飽和脂肪酸です。この構造のために、ある温度になると急激に融ける性質を示します。

ココアバターは、菓子(特にチョコレート)、薬品、軟膏、石けん、化粧品の原料として利用されています。なにか料理に使われていないのかなと思って検索してみましたが、クックパッドでもお菓子に使われている例が多く、料理に使った例は発見できませんでした。

まとめ

ココアを製造するために、カカオマスから搾油してココアバターを抜くのは、油脂が多すぎてお湯に溶けないからです。つまり、ココアにはココアバターがじゃまだということですね。

ココアバターには、カカオ豆から出た、色や香り、そしてココアポリフェノールなどカカオ豆らしい成分が含まれていると思います。

ココアバターをチョコレートに加える場合は、同類ですからそのまま使えるのかもしれません。

しかし、その他の原料にする場合は、酸化しにくい安定性、色、においをとるために精製される必要があると思います。精製するというのは、化学式で表される純粋な脂肪に近づけることです。脂肪の性質は、脂肪酸が決めますから、それは残ります。

しかし、精製されたココアバターは、上で書いたような体によい成分を抜かれたものです。少しは残っているかもしれませんが、本来、精製という工程は、余分なものを抜く工程です。

そう考えると、エキストラバージンオイルがあるオリーブオイルや、一番搾りがあるごま油、なたね油と、それ以外の溶媒を使って抽出して精製した油は別なものだと考えた方がよいかもしれません。

たとえば、大豆油や米油などもともとの油の含有量が少ないものは、溶媒を使って抽出、精製されます。そのような油でも、「○○の油はこんな成分が入っているから健康によい」なんて記事を見ます。しかし、よく考えてみると、それは倒錯した考えなのかもしれません。

きっと、○○そのもの自体には「こんな成分」がもっとたくさん存在するのです。何で、精製してわざわざ成分を抜いた後の油に含まれる成分を話題にするのか。

今は情報過多時代で、ちょっとしたことでも大げさに語られるのですが、当たり前に考えることが必要だと思います。

油をどんな目的で使うのか。肉を焼く時にこがさないために使うのか、天ぷらやコロッケやとんかつを揚げるために使うのか、野菜の炒め物に使うのか、サラダにかけるドレッシングに使うのかによって油を変えた方がよいと思いました。

ちなみに、私は、この記事を書いて純ココアの大きな缶を買ってきました。純ココアは酸化されにくいことがわかったので、たくさん入ったものを割安に買ってきて、長く飲みたいと思います。

最近のおすすめは、富澤商店の純ココア500gです。富澤商店は、伊勢丹や東急、西武など百貨店に出店していて、デパートに行くと買えます。私は渋谷東急の下で買っています。1100円くらいです。ネットで買うと送料がかかる場合が多いので、ご注意ください。お店なら確かめて買えます。

参考文献:食用油脂―その利用と油脂食品(藤田 哲著 幸書房 2011)

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