オメガ3がたっぷりの魚油が気になる

最近、EPAやDHAのサプリメントのCMをよく見ます。体の中でEPAやDHAになるのはオメガ3といわれる脂肪酸のαリノレン酸で、それがたくさん入っているえごま油や亜麻仁油がテレビ番組のおかげで一時全く入手できなくなっていました。大手通販モールでは1本800円程度の油にプレミアムがついて一時4000円とか5000円で売られていましたが、私はこういう商売は嫌いです。

最近は落ち着いてきて通常価格に戻って来ました。

DHAは、母乳に含まれていて赤ちゃんの脳の発達には欠かせないといわれています。そのため粉ミルクに添加されています。

1日30gの魚摂取で、40代の男性の心臓血管病死亡率が半分以下になったことから、デンマーク政府は、各種の魚種を1日30g(EPA、DHAで350mg)以上を摂ることを勧告しています。

ところで、EPAやDHAの宝庫といえば青魚です。昔はイワシといったらとても安くて、魚屋さんに行くと一盛り100円で買えました。10匹くらいで100円ですよ。私が学生の頃は、肉よりイワシの方がはるかに安く、納豆とイワシは貧乏学生にとって貴重なタンパク源でした。ところが今はイワシが獲れなくなり、サンマも獲れなくなり、みんな値段が上がりました。マグロは本当に高くなって10年ぐらい前の2倍以上になりました。

日本の漁獲高は、1985年に1200万トンでピークを迎え、そこから減少し、2013年には470万トン程度に落ちています。(資料:GLOBAL NOTE 出典:FAO

とはいうものの、日本は魚をたくさん食べる国ですから、魚油もたくさん生産されているのではないか。魚はとても腐りやすいですから魚油も取り扱いがむずかしい気がしますが、魚油はどのように生産され流通しているのでしょう。少し調べてみました。

ところで、スーパーの棚で魚油なんて見たことがありません。魚油って果たして売っているものなのかとネットで調べてみましたが、出てくるのはカプセルに入ったサプリメントばかりです。液体で売っているものは発見できませんでした。

魚油は、飼料に使われる魚粉生産の副産物です。だいたいの目安は、1トンのカタクチイワシから210キロの魚粉と30キロの魚油が得られます。DHAとEPAについては、魚油中に7.5キロ、魚粉中に3.5キロが残ります。30キロの魚油のうち、40%がDHAとEPAとはすごいですね。

リノール酸やα-リノレン酸は炭素の二重結合が2つあるので多価不飽和脂肪酸と呼ばれましたが、DHAやEPAは二重結合の数がもっと多く、高度不飽和脂肪酸と呼ばれます。

魚粉は、昔は肥料に使われましたが、現在日本では、主に養鶏、養豚に使われます。その他魚の養殖には生魚や魚粉魚油を原料とした飼料が使われています。魚粉を養鶏や養豚に使うと、脂肪酸は体の中に入るとまた脂肪として蓄えられますから、肉の脂肪の性質をコントロールできます。つまり、肉に含まれている脂肪の脂肪酸のうち、不飽和脂肪酸の割合を増やすことができます。

少し前の記録ですが2010年の国内魚油消費については、食用加工油脂向け8,000トン、飼料向け約5万トン、燃料向け約1万5,000トンと推定されていました。合計73000トンの内、10%程度しか食用に使われないというのは加工がむずかしいのか品質保持がむずかしいのかもしれませんね。(出典

では、魚油はどのように搾油されるのでしょう。魚油は、魚体の水洗、加熱による魚油の融出、圧搾によるフィッシュミールと液体成分の分離の工程で行われます。

得られた魚油は精製されます。精製されないと魚くさくて仕方がないのでしょう。精製されても魚油の脂肪酸には二重結合が多いですから、とても酸化されやすく、すぐに不快臭、着色が見られます。そのため、大部分の二重結合に水素を添加して、硬化油として使用されます。これは水素添加される意味がよくわかりますね。

硬化油の融点を35℃程度にすると、安定性は他の植物硬化油と同程度になります。水素添加によって、脂肪酸の内、一価の不飽和脂肪酸が70%程度になり、2価以上の不飽和脂肪酸が2~3%まで減少、その他は飽和脂肪酸になります。DHAの融点は-44℃、EPAの融点は-54℃ですから、水素添加するとほとんど存在しないようなものです。

魚油の硬化油は、口溶けがよい特徴を持ち、業務用のマーガリン、ショートニングの原料として主に使われます。しかし、魚油の硬化油の欠点は、必然的にトランス脂肪酸ができてしまうことで、できた一価の不飽和脂肪酸の内、1/3程度はトランス脂肪酸になるそうです。また、酸化を受けた場合に、魚臭のようなにおいが出やすいこともあげられます。

調べてみると、魚油はやはり取り扱いが大変だからお店ではサプリメントくらいしか売られていないのですね。そして、魚は新鮮なものを生(刺身)で食べるのが一番いいのだろうなと思いました。ずっと魚が安全に食べられるような国であってほしいなと思いました。

参考文献:食用油脂―その利用と油脂食品(藤田 哲著 幸書房 2011)

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