コレステロールを上げる飽和脂肪酸とは

飽和脂肪酸とは、炭素の二重結合を持たない脂肪酸で、直鎖構造であり、融点が高いのが特徴でした。

飽和脂肪酸をたくさんとっていると血中コレステロール濃度を上げることはよく知られています。食事のコレステロールは気にしなくていい?では食品のコレステロールは血中のコレステロール濃度とは関係がないという話を書きましたが、こちらは飽和脂肪酸の話です。コレステロールと脂肪酸は、構造式が全く違います。

飽和脂肪酸中で、ステアリン酸(炭素数18)は、比較的中立であり、ミリスチン酸が最もコレステロール濃度を上昇させます。ステアリン酸はたいていの植物油に入っています。

血中コレステロールを上げる飽和脂肪酸は、ミリスチン酸、パルミチン酸、エライジン酸、ラウリン酸です。

ミリスチン酸

ミリスチン酸は、動物性・植物性脂肪中に広く見られる飽和脂肪酸で、ヤシ油、パーム油に多く含まれています。融点は、54.4℃。分子式は C14H28O2、示性式は CH3(CH2)12COOH と書かれます。

示性式というのは、官能基を外に出して表示します。官能基とは、有機化合物の物質の性質を決める働きをもつ原子または原子団のことです。そうすると、その物質がどんな性質をもっているのか分かりやすくなります。この場合は、カルボキシル基(-COOH)が外に出されています。カルボキシル基は、酸性を示します。

炭素数14の飽和脂肪酸です。

ミリスチン酸はこんな構造式です。

ミリスチン酸

同じくミリスチン酸ですが、カルボキシル基(-COOH)のある左端だけ違いますが、それ以外は炭素Cに水素Hがついた同じ構造なので省略するとこんな風に書きます。私が高校生の頃は、化学Ⅱを選択しなかったこともありますが、見たことがなかったです。しかし、この書き方が一番ポピュラーです。

myristicacid2

ミリスチン酸を、全て省略なしで腕まで表示するとこのように書きます。これが高校生の頃に習った構造式です。しかし、炭素、水素を省略なく書くのは大変ですね。

myristicacid3

パルミチン酸

次にパルミチン酸です。全く同じ構造。違うのは、炭素の数です。分子式 C16H32O2、示性式 CH3(CH2)14COOH 。融点は62.9℃。ミリスチン酸よりも炭素が2個多くなっています。ラード(豚脂)やヘット(牛脂)などに多く含まれます。この脂肪酸は、ステアリン酸と同じように植物油でもたいてい入っている脂肪酸で、特に多いのは、パーム油です。

ここから下は省略した形で構造式を書きます。

palmitic acid3

パルミチン酸については、熊本県畜産協会のサイトにあったコレステロールと脂肪酸の関係によれば、パルミチン酸には、従来言われてきたコレステロールの上昇作用はないと書かれていたので、評価が微妙なのかもしれません。

エライジン酸

次は、エライジン酸。炭素数は18になります。これは二重結合が一つあります。エライジン酸は、水素添加された植物油に現れるトランス脂肪酸です。つまり、αリノレン酸などもっと二重結合がある脂肪酸に水素添加するとできてくるのです。

分子式 C18H34O2、示性式はCH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COOH 。融点は44℃~45℃。

エライジン酸のシス型異性体はオレイン酸です。オレイン酸を水素添加してもエライジン酸にはなりません。オレイン酸は、分子式、示性式ともエライジン酸と変わりません。オレイン酸は、もちろん、オリーブオイルの主成分です。

エライジン酸

ちなみに、シス型(天然型)のオレイン酸はこんな形になります。カルボキシル基(-COOH)の反対側、メチル基(CH3)から数えて9番目に炭素の二重結合があります。これは、オレイン酸もエライジン酸も同じです。しかし、二重結合のところからの曲がり方が違います。

トランス型のエライジン酸は、炭素の二重結合をはさんで、それぞれ反対側に曲がっていますが、シス型のオレイン酸は、同じ方向に曲がっています。そのために形が直線的な形からいびつな形になっています。オレイン酸の融点は16.3℃。形がいびつになると壊れやすく、融点も下がります。そして、オレイン酸は逆にコレステロールを低下させる働きがあるとされています。

オレイン酸

ラウリン酸

最後にラウリン酸。炭素数は12の脂肪酸。分子式はC12H24O2。示性式は CH3(CH2)10COOH。融点は44℃~46℃。ココナッツオイルやヤシ油に含まれる主な酸で、抗菌活性を持つと考えられている。石鹸やシャンプーに多く用いられています。

ラウリン酸

血中コレステロール濃度への影響は、脂肪酸の不飽和脂肪酸(P = Poly un-saturated fatty acid)/飽和脂肪酸(S = Saturated fatty acid)のP/S比の影響が大きい。何となく予想がつくかもしれませんが、P/S比が大きくなる、つまり、飽和脂肪酸よりも不飽和脂肪酸をより多くとっていた方が、血中コレステロール濃度は上がりにくいのです。ただし、リノール酸については注意が必要です。

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