404 NOT FOUND | 油について知るためのブログ https://aburano-hanashi.kuni-naka.com オメガ3の脂肪酸やその効果を中心に脂肪酸の種類や性質を知り、どんな油がからだによいのか健康と油の関係を知るためのブログです。 Fri, 09 Oct 2020 02:04:29 +0000 ja hourly 1 脂肪をエネルギーにする https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7476 Fri, 09 Oct 2020 02:04:29 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7476 脂肪をエネルギーにすることについていくつか記事を書いています。それぞれの記事について簡単に説明します。

脂肪はエネルギーになるために脂肪酸がβ酸化されアセチルCoAまで分解される

脂肪をエネルギーにするには、まず脂肪を分解し、グリセロール(グリセリン)と脂肪酸にします。さらに脂肪酸を炭素数2のアセチルCoAにする必要があります。

脂肪はエネルギーになるために脂肪酸がβ酸化されアセチルCoAまで分解される
脂肪が体の中でエネルギーとなるためには、脂肪から脂肪酸が切り離され、さらに分解されてアセチルCoAになる必要があります。 アセチルCoAをつくる行程は、脂肪酸からアシルCoAに変わった後、アシルCoAのβ位に二重結合ができ、二重結合に水が...

アセチルCoAとは酢酸のことか

アセチルCoAの構造式を初めて見た時、複雑な形で「こりゃダメだ」と思ったのですが、よくよく説明を読んでいくと、酢酸を補酵素Aが運搬しているのです。アセチルCoAの本質は運ばれている酢酸です。

アセチルCoAとは酢酸のことか
この記事では、アセチルCoAは、酢酸を補酵素Aが運搬していく形であり、アセチルCoAの本質は、酢酸であることについて書きます。私と同じように化学を勉強して来なかった人の中には、アセチルCoAの意味が分からない人がいるのではないかと思って記事...

TCA回路-脂肪を燃やす

アセチルCoAはミトコンドリアのTCA回路に入ります。TCA回路では、アセチルCoAの2個の炭素は、CO2になり排出されます。その間に、補酵素NAD+がNADH+H+になり、FADがFADH2になりそれぞれ水素と電子を受け取ります。また、GDPがGTPになります。これらは次の工程で、ATPをつくるために使われます。

TCA回路-脂肪を燃やす
脂肪酸はβ酸化を受けて、炭素数2のアセチルCoAになりTCA回路に入ります。TCA回路で行われる反応では、ATPはつくられません。補酵素NAD+がNADH+H+になり、FADがFADH2になりそれぞれ水素を受け取ります。また、GDPがGTP...

脂肪からATPをつくる-電子伝達系

電子伝達系では、NADH+H+とFADH2が持つ電子を酸素に渡して水ができます。その間、15~16個のプロトンH+がミトコンドリアマトリックスから外膜と内膜の間、膜間腔に移動させられ、マトリックスと膜間腔の間にプロトンH+の濃度差ができます。それを解消するためにATP合成酵素を通り抜け、その時にATPができます。

脂肪からATPをつくる-電子伝達系
電子伝達系では、ミトコンドリアのTCA回路からできた物質(3NADH + 3H+ + FADH2)から電子を取り出し、プロトン(H+)の濃度差をつくって、その濃度差をもとにATP合成酵素が働き、ATPがつくられます。1個のアセチルCoAから...

脳でエネルギーとして使われるケトン体について調べてみた

低糖質食を続けたり絶食するとケトン体が脳のエネルギーになると知られています。どのように使われるか調べてみたら、ケトン体がそのまま使われるのではなく、アセチルCoAに戻されて使われます。

脳でエネルギーとして使われるケトン体について調べてみた
ケトンは化学的に特定な構造をもつ物質の総称ですが、ケトン体は、アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)、アセトンのことを指し、肝臓でアセチルCoAからつくられます。絶食している時など、ブドウ糖が著しく少ない状態でつくられます。 ...

脂肪を食べるのは他の生き物が貯蔵していたエネルギーを横取りすること?

ところで、脂肪はエネルギー源として実にすぐれているものですが、食べ物として脂肪を食べることは、ほかの生き物のエネルギー源を横取りすることなのかもしれませんね。

脂肪を食べるのは他の生き物が貯蔵していたエネルギーを横取りすること?
太るのは簡単ですが、やせるのは結構大変です。また、脂肪は消化されると、脂肪酸を1本つけたグリセリン、モノグリセリドと2本の脂肪酸に分解されますが、体内ですぐにまたもとの脂肪に戻ります。そして、脂肪はカロリーが一番多く、エネルギー源としては最...
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糖質制限と油について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7457 Thu, 17 Sep 2020 07:28:16 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7457 糖質制限しているなら、油をエネルギーとするから摂りすぎを気にしなくてもよいという方もいらっしゃいますが、糖質制限すると動脈硬化が進むという話を読んで、立ち止まってしまいました。

ドーナツ

もし、このまとめ記事を開いていただいたなら、是非、下にリンクを貼ってある「糖質制限すると動脈硬化が進む?」を読んでみて下さい。

最初は、極端な食事法だと思われていた糖質制限食が、マイルドになり、ゆるやかな糖質制限食(ロカボ)となり、糖尿病の方ばかりでなく高齢者にすすめられる食事になるのかなと思っていたのです。

ところが、油を余分に摂ると、油の種類は一切関係なく、血管にたまるプラークの原因になるというのです。ちょうどよいバランスを取るところがあるのではないかと思っているのですが、今のところ、新しい記事が見つかっていません。

油は太るのか太らないのか?

炭水化物をなるべく摂らず血糖値を上げないようにすると脂肪をたくさんとっても太りにくいらしい・・・。時々気になっていた話が、「適正な糖質摂取についての考察」という論文を読んで、調べてみたい話に変わりました。

油は太るのか太らないのか?
炭水化物をなるべく摂らず血糖値を上げないようにすると脂肪をたくさんとっても太りにくいらしい・・・。時々気になっていた話が、「適正な糖質摂取についての考察」という論文を読んで調べてみたい話に変わりました。 あらためて油は太るのか? 最近、...

脂肪を摂ると中性脂肪を下げてHDLを下げない、らしい

低脂肪食は中性脂肪(トリグリセリド TG)を増加させ、善玉コレステロールといわれるHDLを減少させますが、中等脂肪食はTGを減少させ、HDLを減少させない。つまり、脂肪はある程度以上摂る必要があるみたいです。

もう少しいうと、カロリーを上げないようにごはんだけを食べると一番中性脂肪を上げるのです。

脂肪を摂ると中性脂肪を下げてHDLを下げない、らしい
低脂肪食は中性脂肪(トリグリセリド TG)を増加させ、善玉コレステロールといわれるHDLを減少させますが、中等脂肪食はTGを減少させ、HDLを減少させない。つまり、脂肪はある程度以上摂る必要があるみたいです。 この記事は、少し前に書い...

糖質に加えて脂肪を食べた方が 血糖値が上がりにくいのはなぜ?

糖質ばかりの白米だけを食べるより、たんぱく質や脂質があるおかずを一緒に食べると、腸の特定細胞からGIPとGLP-1というホルモンが分泌され、インスリン分泌を促します。そのおかげで血糖値が上がりにくくなります。特にGIPは脂質の影響を大きく受けます。

糖質に加えて脂肪を食べた方が 血糖値が上がりにくいのはなぜ?
糖質ばかりの白米だけを食べるより、たんぱく質や脂質があるおかずを一緒に食べると、腸の特定細胞からGIPとGLP-1というホルモンが分泌され、インスリン分泌を促します。そのおかげで血糖値が上がりにくくなります。特にGIPは脂質の影響を大きく受...

糖質制限していると脂肪を食べても太りにくいのはなぜか?

糖質制限している時、脂肪を食べても太りにくいのは、インスリンの働きが弱いからです。インスリンは、食べた脂肪が貯蔵されるように、また、からだに貯蔵されていた脂肪が分解されないようにする働きがあります。その影響が抑えられると、脂肪はエネルギーとして燃焼されます。

糖質制限していると脂肪を食べても太りにくいのはなぜか?
糖質制限している時、脂肪を食べても太りにくいのは、インスリンの働きが弱いからです。インスリンは、食べた脂肪が貯蔵されるように、また、からだに貯蔵されていた脂肪が分解されないようにする働きがあります。その影響が抑えられると、脂肪はエネルギーと...

「長友佑都のファットアダプト食事法」を読んだ

長友選手は、山田悟先生の「ロカボ」ベースのファットアダプト食事法をして、筋肉の質が変わり、故障が減る。病気から早期復帰できる。精神的に落ち着ける。肌の状態が良くなる。ダイエット効果がある。危険な酸化ストレスが避けられる効果を感じています。

「長友佑都のファットアダプト食事法」を読んだ
長友選手は、山田悟先生の「ロカボ」ベースのファットアダプト食事法をして、筋肉の質が変わり、故障が減る。病気から早期復帰できる。精神的に落ち着ける。肌の状態が良くなる。ダイエット効果がある。危険な酸化ストレスが避けられる効果を感じています。 ...

糖質制限すると動脈硬化が進む?

ゆるい糖質制限はこれからの標準になるのではないか?と考えていたら、真島康雄先生が、糖質制限をすると動脈硬化が進むと書かれていました。糖質制限すると油や油で調理したものを余分に摂りますが、食べた油はカイロミクロンが80%程度、組織、心臓、筋肉に運びます。食べた油が多ければカイロミクロンも増え、それが、プラークのもとになります。しかし、ちょうどよいところがあるのではないかと思うのです。

糖質制限すると動脈硬化が進む?
ゆるい糖質制限はこれからの標準になるのではないか?と考えていたら、真島康雄先生が、糖質制限をすると動脈硬化が進むと書かれていました。糖質制限すると油や油で調理したものを余分に摂りますが、食べた油はカイロミクロンが80%程度、組織、心臓、筋肉...
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油と調理について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7448 Thu, 17 Sep 2020 04:52:15 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7448 油を使って調理すると、油の酸化が気になるものですが、調理中、油を酸化させない方法についていくつか記事を書きました。

肉野菜炒め

揚げ物をするときはコーン油6ごま油4にすると油が酸化しにくい

ごま油で揚げ物をすると、ごま油も揚げたものも酸化しにくいのですが、ごま油だけよりも強い組み合わせがありました。

コーン油だけで揚げ物をすると、その後日ごとに油は酸化していきますが、コーン油6:ごま油4に配合した油で揚げ物をすると、ごま油だけよりも酸化に強くなります。しかし、コーン油9:ごま油1の配合にすると、コーン油だけより酸化されやすい油になってしまいます。

揚げ物をするときはコーン油6ごま油4にすると油が酸化しにくい
コーン油だけで揚げ物をすると、その後日ごとに油は酸化していきますが、コーン油6:ごま油4に配合した油で揚げ物をすると、ごま油だけよりも酸化に強くなります。しかし、コーン油9:ごま油1の配合にすると、コーン油だけより酸化されやすい油になってし...

油を使った加熱料理には酸化防止にショウガを入れよう

油を使って炒めたり長時間煮ると油は酸化していきます。しかし、ショウガを一緒に炒めたり、炒めてから煮ると酸化が抑えられます。調合サラダ油、サフラワー油(紅花油)、ゴマ油、オリーブ油を使う場合、それぞれ酸化が抑えられましたが、ゴマ油は、もともと抗酸化力が強いことに加え、ショウガと一緒にすることで、さらに力が強くなることがわかりました。

油を使った加熱料理には酸化防止にショウガを入れよう
油を使って炒めたり長時間煮ると油は酸化していきます。しかし、ショウガを一緒に炒めたり、炒めてから煮ると酸化が抑えられます。調合サラダ油、サフラワー油(紅花油)、ゴマ油、オリーブ油を使う場合、それぞれ酸化が抑えられましたが、ゴマ油は、もともと...

カレーに使われている油にも注意してみよう

ある日買って来たカレールーの箱をひっくり返すと、原材料名に食用油脂(パーム油、なたね油)と書かれていました。食品メーカーは安くて酸化しにくい油を使っているのです。もし、嫌だなと思ったら自分でスパイスカレーをつくればよいのです。

カレーに使われている油にも注意してみよう
ある日買って来たカレールーの箱をひっくり返すと、原材料名に食用油脂(パーム油、なたね油)と書かれていました。食品メーカーは安くて酸化しにくい油を使っているのです。もし、嫌だなと思ったら自分でスパイスカレーをつくればよいのです。 カレー...

スパイスは油の酸化を抑える

ラードは、ローズマリー、セージ、サボリ、ジンジャー、ナツメグ、タイム、クローブ、メース、オレガノによって酸化が抑えられることがわかりました。てんぷら油(大豆油となたね油の混合油)は、ローズマリーとセージだけが酸化に対して効果がありました。

スパイスは油の酸化を抑える
ラードは、ローズマリー、セージ、サボリ、ジンジャー、ナツメグ、タイム、クローブ、メース、オレガノによって酸化が抑えられることがわかりました。てんぷら油(大豆油となたね油の混合油)は、ローズマリーとセージだけが酸化に対して効果がありました。 ...

ゴマサラダ油で野菜炒めをするとビタミンCが減るらしい

野菜炒めは、意外にもビタミンCをそれほど破壊しません。しかし、ゴマサラダ油を使うと、他の油に比べて少し多くビタミンCを破壊します。とはいうものの、野菜をゆでることに比べれば些細な違いです。

ゴマサラダ油で野菜炒めをするとビタミンCが減るらしい
野菜炒めは、意外にもビタミンCをそれほど破壊しません。しかし、ゴマサラダ油を使うと、他の油に比べて少し多くビタミンCを破壊します。とはいうものの、野菜をゆでることに比べれば些細な違いです。 野菜炒めを食べなくなった 以前はよく食べたのに...
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油の加工について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7426 Thu, 17 Sep 2020 00:39:38 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7426 植物油は、使いやすく保存性がよくなるように精製され、また、水素添加されて性質を変えられます。オリーブ油のように搾ったままの油が一番よいのだと何となく思いますが、加工技術の中身や歴史を知ると、人が考えて工夫してきたことは、なかなか面白いなと思います。

マーガリン

ショートニングの歴史から大豆油への水素添加の意味を知る

ショートニングは、主に植物油を原料とした、常温でクリーム状の、食用油脂です。1911年からラードの代用品として発売されました。最初は綿実油に水素添加されたものでしたが、1950年代以降は大量生産されるようになった大豆油に水素添加されたものになりました。スナック食品の加工用油脂として、安価で酸化されにくい特徴のため大量消費されるようになりました。

ショートニングの歴史から大豆油への水素添加の意味を知る
ショートニングは、主に植物油を原料とした、常温でクリーム状の、食用油脂です。1911年からラードの代用品として発売されました。最初は綿実油に水素添加されたものでしたが、1950年代以降は大量生産されるようになった大豆油に水素添加されたものに...

マーガリンっていつからあるか調べてみたら150年くらい前からあった

マーガリンは、1869年にフランスで発明されました。初めは動物脂肪を使っていましたが、1910年頃からは不飽和脂肪酸に水素添加する技術が使われるようになりました。ずいぶん古くからあるのです。

マーガリンっていつからあるか調べてみたら150年くらい前からあった
マーガリンは、1869年にフランスで発明されました。初めは動物脂肪を使っていましたが、1910年頃からは不飽和脂肪酸に水素添加する技術が使われるようになりました。 マーガリンっていつからあるのだろう? 最近、食べてはいけない食品のベ...

トランス脂肪酸とはどのようなものか?

トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸に水素添加するとできて来ます。マーガリンは、冷蔵庫から出してもバターのようにカチカチになっていないことと、常温で置いていても溶けてしまわないことが求められるのでほどほどの割合になるようリノール酸に水素添加されます。その時にトランス脂肪酸ができます。トランス脂肪酸を一番含むのは、ショートニングでした。ショートニングを使ったサクサク感のあるお菓子にはトランス脂肪酸が意外と多いです。

トランス脂肪酸とはどのようなものか?
トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸に水素添加するとできて来ます。マーガリンは、冷蔵庫から出してもバターのようにカチカチになっていないことと、常温で置いていても溶けてしまわないことが求められるのでほどほどの割合になるようリノール酸に水素添加されます...

サラダ油ってなんだろう

サラダ油は、1924(大正13)年から販売されている油です。最初は大豆油を精製したものでしたが、現在は、大豆油となたね油の精製油を混合したものです。サラダ油は、生野菜にかけてもクセがないようにつくられました。ハイカラな油だったのです。

サラダ油ってなんだろう
サラダ油は、1924(大正13)年から販売されている油です。最初は大豆油を精製したものでしたが、現在は、大豆油となたね油の精製油を混合したものです。サラダ油は、生野菜にかけてもクセがないようにつくられました。ハイカラな油だったのです。 ...

なぜ含油率が低い大豆から油を搾るのか

大豆は含油率が20%程度しかありませんが、油糧種子としては生産量が世界一の作物です。搾りにくさは溶剤抽出によって克服されました。油を搾った後の大豆粕は、昔は肥料、今は栄養豊富な飼料になります。大豆は1900年頃から満洲で大量栽培され、中国南部、日本、ヨーロッパやアメリカに輸出されました。歴史を知るととても面白いです。

なぜ含油率が低い大豆から油を搾るのか
大豆は含油率が20%程度しかありませんが、油糧種子としては生産量が世界一の作物です。搾りにくさは溶剤抽出によって克服されました。油を搾った後の大豆粕は、昔は肥料、今は栄養豊富な飼料になります。大豆は1900年頃から満洲で大量栽培され、中国南...

ヨウ素価とは何か

ヨウ素価は、油の品質管理のために使われます。炭素の二重結合にヨウ素が結合するので、不飽和脂肪酸をもつ油が酸化が進んでいないか知ることができます。対象となる油100グラムと反応するヨウ素のグラム数で表します。

ヨウ素価とは何か
ヨウ素価は、油の品質管理のために使われます。炭素の二重結合にヨウ素が結合するので、不飽和脂肪酸をもつ油が酸化が進んでいないか知ることができます。対象となる油100グラムと反応するヨウ素のグラム数で表します。 サラダ油ってなんだろう?で...

けん化価とは何か

けん化価は、1gの油をけん化するのに必要な水酸化カリウムのmg数のことです。求められた数字から、油の平均分子量を知ることができます。JAS規格では、植物油それぞれのけん化価の範囲が指定されています。その範囲から外れると、混ざりものがあるとわかります。

けん化価とは何か
けん化価は、1gの油をけん化するのに必要な水酸化カリウムのmg数のことです。求められた数字から、油の平均分子量を知ることができます。JAS規格では、植物油それぞれのけん化価の範囲が指定されています。その範囲から外れると、混ざりものがあるとわ...

油の融点を変えるエステル交換

エステル交換は、油脂を構成する3本の脂肪酸を入れかえて油の性質を変える技術です。具体的には、融点が変わります。脂肪酸を入れかえる原理は意外と簡単で、触媒の存在下で温度を上げると、脂肪酸がランダムに変わります。また、温度を低くしてエステル交換すると、飽和脂肪酸ばかりでできた油脂と不飽和脂肪酸ばかりの油脂を増やすことができます。これはマーガリン製造に役立ちます。

油の融点を変えるエステル交換
エステル交換は、油脂を構成する3本の脂肪酸を入れかえて油の性質を変える技術です。具体的には、融点が変わります。脂肪酸を入れかえる原理は意外と簡単で、触媒の存在下で温度を上げると、脂肪酸がランダムに変わります。 また、温度を低くしてエステル...

油を抽出する溶媒ヘキサンについて

大豆油などを抽出するときに使われる溶剤ヘキサンについて、構造や性質について説明し、実際に油を抽出するときの手順と、その後毒性をもつヘキサンをどのように取り除くかを調べました。

油を抽出する溶媒ヘキサンについて
この記事では、大豆油などを抽出するときに使われる溶剤ヘキサンについて、構造や性質について説明し、実際に油を抽出するときの手順と、その後毒性をもつヘキサンをどのように取り除くかを調べて書きました。 ヘキサンはメタンやプロパン、ブタンの仲間...

官能基とにおい

ガソリンとかベンジンのにおいがするn-ヘキサンの一番端にある水素が、ヒドロキシ基(OH)になると、芝を刈ったばかりのにおいになり、一番端の炭素がアルデヒドになると、大豆の青臭いにおいになり、カルボキシ基になると汗臭いにおいになります。しかし、汗臭いにおいに、エチルアルコールが結合すると日本酒の吟醸香になります。

官能基とにおい
ガソリンとかベンジンのにおいがするn-ヘキサンの一番端にある水素が、ヒドロキシ基(OH)になると、芝を刈ったばかりのにおいになり、一番端の炭素がアルデヒドになると、大豆の青臭いにおいになり、カルボキシ基になると汗臭いにおいになります。しかし...

油を精製するとき脱酸の工程では石けんを作る

油の精製と聞くだけでイメージが悪い(?)時代、「脱酸」の行程は、石けんをつくると聞くと、さらにイメージが悪くなりますか?でも、詳しく知っていくと、面白くて品質向上に役に立つことが分かります。

油を精製するとき脱酸の工程では石けんを作る
油の精製と聞くだけでイメージが悪い(?)時代、「脱酸」の行程は、石けんをつくると聞くと、さらにイメージが悪くなりますか?でも、詳しく知っていくと、面白くて品質向上に役に立つことが分かります。 油を精製する工程では、脱酸という工程があり...

油の精製とは魔法なのだろうか?

油は、圧力をかけてしぼる圧搾、溶媒ヘキサンに溶かして抽出することによって得られ、これを原油といいます。原油には、ガム質・遊離脂肪酸・色素・有臭物質・微細なきょう雑物などの不純物が含まれています。油の精製とはこれらを除去することをいいます。精製するとどんなメリットがあるでしょう。しぼったままの油に比べて品質が一定のものになります。また脱酸されると酸化されにくくなり保存性がよくなります。

油の精製とは魔法なのだろうか?
食品の精製というとあまりよいイメージがありません。砂糖の精製、塩の精製、小麦粉の精製などなど・・・。しかし、そもそも精製とはどんなことを行うのでしょう? 品質管理、特に保存性をよくする目的があるように思います。 精製とは純度を上げるこ...
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コレステロールについて知っておきたいこと https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7404 Wed, 16 Sep 2020 07:13:40 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7404 コレステロールは脂肪ではありませんが、脂質です。細胞膜でリン脂質を支える役割をしています。肉にはそれほど含まれていません。卵黄に一番多いです。食べ物のコレステロールはそのまま体の中に入ってきます。

水に溶けないので、リポタンパク質にくるまれて脂肪と一緒に血液中を流れます。コレステロールは動脈硬化の原因になるといわれていますが、酸化されたものがよくないようです。食事をコントロールしてよく運動し、体重をしっかり落とすとコレステロール値は下がります。

卵

脂肪とコレステロールの違いについて

コレステロールは脂質の一つですが、脂肪(油)ではありません。

コレステロールの構造式を初めて見た時は、嫌な気分になりました。文系の私にとって、こんな環構造(しかも4つもある!)が出てくると「理解できない」という気分になるのです。

コレステロール

それまで、油について書いていたので、脂肪(油)の構造は、グリセロール(グリセリン)に脂肪酸が3本付いたものだと知っていました。それとは構造が全く違う。

脂肪はからだが使うエネルギーをためておくのが一番の役割です。それに対してコレステロールは、細胞膜、胆汁酸、ステロイドホルモンの材料になります。

脂肪とコレステロールの違いについて
脂肪とコレステロールは、似たようなものだろうと思っていましたが、構造式を見るとまったく違うものだと分かります。脂肪はからだが使うエネルギーをためておくのが一番の役割です。それに対してコレステロールは、細胞膜、胆汁酸、ステロイドホルモンの材料になります。

細胞膜の単位はリン脂質だけど、コレステロールはその隣に存在する

普段、コレステロールの数値は低ければよいと思われていて、嫌われ者なのですが、コレステロールは細胞膜にあります。

細胞膜はリン脂質によってできているのですが、コレステロールは、流動性の高いリン脂質の間に入って、バラバラにならないように支える役割を果たしています。

コレステロールは細胞膜に存在するのですから、「どこにでもある」ことになります。

細胞膜の単位はリン脂質だけど、コレステロールはその隣に存在する
コレステロールのことを調べていたら、ヒトのような真核細胞生物では、細胞膜にリン脂質と並んでコレステロールが存在していることが分かりました。 普段、コレステロールは嫌われ者ですが、とても大切なものだと分かります。 細胞膜を構成するリン脂...

コレステロールの多い食品

コレステロールはどんな食べ物に多いのだろう?まず、思い浮かべるのは、「肉」「脂身」です。肉は水分の他、タンパク質と、脂質が大部分で炭水化物はほとんどありません。

しかし、肉にコレステロールはどのくらい含まれているのかというと、100gあたり、数十~300mg程度しかありません。案外少ないのです。

では、どのようなものに多いか?

卵黄にコレステロールがダントツに多く、魚でも卵全般に多く含まれています。

コレステロールの多い食品
コレステロールは肉に多いと思いましたが、鶏ブタ牛とも確かに内臓には多いものの、筋肉にはそれほど多くありません。卵黄にはコレステロールがダントツに多く、魚でも卵全般に多く含まれています。 コレステロールはどんな食品に多いのか。焼肉を食べ...

コレステロールの生合成はアセチルCoAからスタートする

アセチルCoAからコレステロールが合成される過程を詳しく説明します。アセチルCoAからつくられるということは、糖にも脂肪にも関係があり、普通に食事をしていれば、コレステロールが不足することなどあり得ません。

炭素数5のイソプレノイド単位が6個つながった炭素数30のスクアレンが閉環しながら炭素数27のコレステロールになります。順番がわかるとプラモデルみたいで面白いなと思います。

コレステロールの生合成はアセチルCoAからスタートする
アセチルCoAからコレステロールが合成される過程を詳しく説明します。アセチルCoAからつくられるということは、糖にも脂肪にも関係があり、普通に食事をしていれば、コレステロールが不足することなどあり得ません。 炭素数5のイソプレノイド単位が...

食事のコレステロールは気にしなくていい?

食べもののコレステロールは気にしなくてよいといわれるようになりましたが、私は身近な同僚が毎日牛丼を食べ続けて総コレステロールに「H」マークがついたので、とり過ぎないようにしようと思っています。

食事のコレステロールは気にしなくていい?
食べもののコレステロールは気にしなくてよいといわれるようになりましたが、私は身近な同僚が毎日牛丼を食べ続けて総コレステロールに「H」マークがついたので、とり過ぎないようにしようと思っています。 コレステロールの目標量を撤廃 コレステロー...

「コレステロールは高い方が心臓病、脳卒中、がんになりにくい」を読んだ

肉と魚をしっかり食べる。「摂取コレステロール量を制限する必要はない」ので、卵は1日3個ぐらいまでなら食べてもだいじょうぶ。「摂取コレステロール量を制限する必要はない」ので、肉の摂取を控える必要はない、という内容の本を読みました。

「コレステロールは高い方が心臓病、脳卒中、がんになりにくい」を読んだ
肉と魚をしっかり食べる。「摂取コレステロール量を制限する必要はない」ので、卵は1日3個ぐらいまでなら食べてもだいじょうぶ。「摂取コレステロール量を制限する必要はない」ので、肉の摂取を控える必要はない、という内容の本を読みました。 コレ...

コレステロールは胆汁酸(塩)として排出されるがほとんど回収される

肝臓でつくられたコレステロールは胆汁酸となり、胆のうから放出され、糞便と混ざりますが、そのうち98~99%は回腸で回収されて肝臓に戻ります。そして、1%程度は大便から体外に出ていきます。このようにコレステロールは大切に回収され体から出ていかない仕組みができています。

コレステロールは胆汁酸(塩)として排出されるがほとんど回収される
肝臓でつくられたコレステロールは胆汁酸となり、胆のうから放出され、糞便と混ざりますが、そのうち98~99%は回腸で回収されて肝臓に戻ります。そして、1%程度は大便から体外に出ていきます。このようにコレステロールは大切に回収され体から出ていか...

食べ物の酸化コレステロール

酸化コレステロールは、卵の加工製品や、フレンチフライドポテト、マヨネーズ、ビスケットなどに比較的多く含まれていて、動脈硬化などの原因になり、リノール酸がアラキドン酸に変化する反応を促進するので、プロスタグランジンなどエイコサノイドがつくられ炎症の原因になるかもしれない。

食べ物の酸化コレステロール
酸化コレステロールは、卵の加工製品や、フレンチフライドポテト、マヨネーズ、ビスケットなどに比較的多く含まれていて、動脈硬化などの原因になり、リノール酸がアラキドン酸に変化する反応を促進するので、プロスタグランジンなどエイコサノイドがつくられ...

コレステロールを下げるには不飽和脂肪酸の油を使い大豆を食べること

総コレステロールを下げるには、調理に使う油を、不飽和脂肪酸の油に替えること。そして大豆を食べるようにすることが手っ取り早くできる方法です。コーヒーを飲み過ぎるとコレステロールを上げる原因になるそうです。

コレステロールを下げるには不飽和脂肪酸の油を使い大豆を食べること
総コレステロールを下げるには、調理に使う油を、不飽和脂肪酸の油に替えること。そして大豆を食べるようにすることが手っ取り早くできる方法です。コーヒーを飲み過ぎるとコレステロールを上げる原因になるそうです。

コレステロールは分解されるとアセチルCoAになる

動脈硬化で血管にたまったコレステロールはそのままなんだろうか?動脈硬化は加齢に関係があり、解消されないといわれます。しかし、炭素数27のコレステロールは分解されると、もともとコレステロールの材料だった炭素数2のアセチルCoAになることがわかりました。

コレステロールは分解されるとアセチルCoAになる
動脈硬化で血管にたまったコレステロールはそのままなんだろうか?動脈硬化は加齢に関係があり、解消されないといわれます。しかし、炭素数27のコレステロールは分解されると、もともとコレステロールの材料だった炭素数2のアセチルCoAになることがわか...

運動して魚を食べてコレステロールを下げる方法

コレステロールを下げるには、食事を見直し運動をすることです。きっちり体重を落とせるとLDLが下がりHDLが上がるようです。特にEPAを多く含む青魚をよく食べるようにすると、効果的です。

運動して魚を食べてコレステロールを下げる方法
コレステロールを下げるには、食事を見直し運動をすることです。きっちり体重を落とせるとLDLが下がりHDLが上がるようです。特にEPAを多く含む青魚をよく食べるようにすると、効果的です。 基本は食事を見直し運動する 総コレステロールを下げ...

コレステロールからビタミンDができる

日に当たらないと「くる病」になる話はビタミンDが不足するためです。ビタミンDは皮膚にあるコレステロールに紫外線が当たりできます。「皮膚にコレステロールがある?」と思ってしまう方のために書きました。脂質のコレステロールから変化したビタミンD3は、水に溶けにくく油に溶けやすい脂溶性のビタミンです。

コレステロールからビタミンDができる
日に当たらないと「くる病」になる話はビタミンDが不足するためです。ビタミンDは皮膚にあるコレステロールに紫外線が当たりできます。「皮膚にコレステロールがある?」と思ってしまう方のために書きました。脂質のコレステロールから変化したビタミンD3...

飽和脂肪酸がコレステロールを上げるのはなぜ?

飽和脂肪酸のうち、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸にコレステロール値を上げる作用があり、特にラウリン酸とミリスチン酸はそれが大きいです。原因は、肝臓でのLDL受容体活性が抑制されるから。ステアリン酸は速やかにオレイン酸に転換されるので影響はほとんどないそうです。

飽和脂肪酸がコレステロールを上げるのはなぜ?
飽和脂肪酸のうち、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸にコレステロール値を上げる作用があり、特にラウリン酸とミリスチン酸はそれが大きいです。原因は、肝臓でのLDL受容体活性が抑制されるから。ステアリン酸は速やかにオレイン酸に転換されるので影響はほとんどないそうです。

NOTE

油のことを調べ始めると、同じ脂質であるコレステロールが気になるようになりました。何しろコレステロールは健康の大敵として有名です。しかし、漠然と肉や脂身に入っているんだろう程度のことしか知りませんでした。

構造式を見ると、環が4個もあり、脂肪(油)ではないことはよくわかりましたが、一体どこにあるのだろうと思っていたら、細胞膜のリン脂質の間に入っていることがわかりました。

そして、アセチルCoAから作られることがわかり、たとえ食べ物から摂らなくても不足することはないだろうと思いました。

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アラキドン酸について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7343 Thu, 10 Sep 2020 00:23:55 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7343 アラキドン酸と、炭素数20のアラキドン酸からつくられるエイコサノイド、特にプロスタグランジンについての記事について簡単にです。

生卵

アラキドン酸が多く含まれる食品を調べた

アラキドン酸は炎症の原因になるエイコサノイドの材料だといわれます。日本人はオメガ6脂肪酸のほとんどをリノール酸で摂っています。アラキドン酸が多く含まれる食品を順番に並べてみましたが、オメガ3の脂肪酸と比較するとそれほど多いという感じではないです。

アラキドン酸が多く含まれる食品を調べた
アラキドン酸は炎症の原因になるエイコサノイドの材料だといわれます。日本人はオメガ6脂肪酸のほとんどをリノール酸で摂っています。アラキドン酸が多く含まれる食品を順番に並べてみましたが、オメガ3の脂肪酸と比較するとそれほど多いという感じではないです。

リノール酸はアラキドン酸に変換される

リノール酸がアラキドン酸に変換され、さらにドコサペンタエン酸に変換されるまでを順番に説明します。エイコサノイドは炭素数20の脂肪酸からつくられます。炭素数20のアラキドン酸からは炎症を亢進させるエイコサノイドがつくられます。

リノール酸はアラキドン酸に変換される
リノール酸がアラキドン酸に変換され、さらにドコサペンタエン酸に変換されるまでを順番に説明します。エイコサノイドは炭素数20の脂肪酸からつくられます。炭素数20のアラキドン酸からは炎症を亢進させるエイコサノイドがつくられます。これが、リノール...

プロスタグランジンE2が問題だ

リノール酸を摂りすぎるとよくないといわれる理由は、変換されたアラキドン酸が炎症やアレルギー反応をひどくするプロスタグランジンの材料になるからだといわれます。そのプラスタグランジンは、プロスタグランジンE2(PGE2)が主役のようです。

プロスタグランジンE2が問題だ
リノール酸を摂りすぎるとよくないといわれる理由は、変換されたアラキドン酸が炎症やアレルギー反応をひどくするプロスタグランジンの材料になるからだといわれます。そのプラスタグランジンは、プロスタグランジンE2(PGE2)が主役のようです。 ...

プロスタグランジンE2とE3、E1の違いを構造式から調べた

炎症を促進するというアラキドン酸からできるPGE2。反対に抑制するというEPAからできるPGE3とジホモ-γ-リノレン酸からできるPGE1。どんな違いがあるのか調べてみると、炭素の二重結合の数が違うだけで同じ構造でした。

プロスタグランジンE2とE3、E1の違いを構造式から調べた
炎症を促進するというアラキドン酸からできるPGE2。反対に抑制するというEPAからできるPGE3とジホモ-γ-リノレン酸からできるPGE1。どんな違いがあるのか調べてみると、炭素の二重結合の数が違うだけで同じ構造でした。 また、プロスタグ...

プロスタグランジンE2が炎症を促進する仕組みとそれを抑制する仕組み

プロスタグランジンE2(PGE2)は、ヒスタミンを放出するマスト細胞のEP3受容体を介して炎症を促進する作用があります。しかし、EPAからできるいくつかの種類のプロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)が存在すると、プロスタグランジンE2を作るアラキドン酸が細胞膜を構成するリン脂質から遊離されにくくなります。

プロスタグランジンE2が炎症を促進する仕組みとそれを抑制する仕組み
プロスタグランジンE2(PGE2)は、ヒスタミンを放出するマスト細胞のEP3受容体を介して炎症を促進する作用があります。しかし、EPAからできるいくつかの種類のプロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)が存在すると、プロスタグランジ...

プロスタグランジンが発見される歴史で疑問に思った2つのこと

精液から発見されたプロスタグランジンは、その後、リン脂質のアラキドン酸を追いかけて発見されていきましたが、なぜアラキドン酸だったのでしょう?また、なぜアスピリンがプロスタグランジン生合成を阻害するというアイディアを持ったのでしょう?

プロスタグランジンが発見される歴史で疑問に思った2つのこと
プロスタグランジンは、細胞膜のリン脂質にあるアラキドン酸、γ-リノレン酸とEPAから作られます。もともと精液から発見され、その後、脂肪酸が材料になることが分かりました。また、アスピリンが効くのは、プロスタグランジンを作らせないからだと発見されました。

アラキドン酸から炎症に関係があるエイコサノイドができる

アラキドン酸は、プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)になるほか、ロイコトリエン(LT)とリポキシン(LX)という生理活性物質になります。まとめてエイコサノイドと呼ばれます。これらの反応は、小さな滝が連続するcascade(カスケード)にたとえられ、アラキドン酸カスケードと呼ばれます。

アラキドン酸から炎症に関係があるエイコサノイドができる
アラキドン酸は、プロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)になるほか、ロイコトリエン(LT)とリポキシン(LX)という生理活性物質になります。まとめてエイコサノイドと呼ばれます。これらの反応は、小さな滝が連続するcascade(カス...

PGD2は炎症を抑制する

PGD2はアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)によって作られるプロスタグランジンの1つですが、炎症を亢進するのではなく抑制するものです。癌にも炎症にもアレルギー反応にも関係しています。

PGD2は炎症を抑制する
PGD2はアラキドン酸からシクロオキシゲナーゼ(COX)によって作られるプロスタグランジンの1つですが、炎症を亢進するのではなく抑制するものです。癌にも炎症にもアレルギー反応にも関係しています。 新しい炎症抑制機構の発見とそれを応用し...

アラキドン酸、プロスタグランジン以外のオメガ6についての記事は、オメガ6について知っておきたいことをご参照ください。

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リノール酸について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7318 Wed, 09 Sep 2020 03:59:32 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7318 リノール酸について書いた記事は、リノール酸からもリノレン酸ができる。リノール酸が必須脂肪酸になった歴史。オメガ6リノール酸が多い油と食品ランキング。リノール酸とオレイン酸を比べてみる。リノール酸の問題は1970年代にはわかっていたんだね。脂肪のとりすぎとガン。リノール酸とヒドロキシノネナールとアルツハイマー。リノール酸の酸化とノネナールができるまで。加齢臭の原因といわれる2-ノネナールはビールにもできる。リノール酸の酸化。リノール酸が問題だと書く前に書いておきたいこと、です。

サラダオイル

リノール酸からもリノレン酸ができる

オメガ3のα-リノレン酸はよく知られていますが、オメガ6にγ-リノレン酸があります。なぜ同じリノレン酸という名称を使うのかなと思って調べると、リノレン酸はリノール酸のできそこない(?)のように「不規則な派生物」だと思われて命名されたようです。

同じ炭素数18の脂肪酸で、二重結合が3個あります。もちろん、その位置は違います。

リノール酸からもリノレン酸ができる
オメガ3のα-リノレン酸はよく知られていますが、オメガ6にγ-リノレン酸があります。 なぜ同じリノレン酸という名称を使うのかなと思って調べると、リノレン酸はリノール酸のできそこない(?)のように「不規則な派生物」だと思われて命名されたよう...

リノール酸が必須脂肪酸になった歴史

ジョージ・バーは、リノール酸を必須脂肪酸と特定し、「必須脂肪酸」というフレーズを作り出しました。この当時、脂肪は単なるカロリー源でしかないと思われていたのです。しかし、完全に脂肪を抜くと、ラットは鱗屑の皮膚炎を発症しそのまま続けると体重が減少し死んでしまいます。各種ビタミンを与えても欠乏症はよくならなかったのですが、わずか数滴のラードを与えると治ってしまいました。1930年頃の話です。

リノール酸が必須脂肪酸になった歴史
ジョージ・バーは、リノール酸を必須脂肪酸と特定し、「必須脂肪酸」というフレーズを作り出しました。この当時、脂肪は単なるカロリー源でしかないと思われていたのです。しかし、完全に脂肪を抜くと、ラットは鱗屑の皮膚炎を発症しそのまま続けると体重が減...

オメガ6リノール酸が多い油と食品ランキング

リノール酸が多い油は、サフラワー油/ハイリノール、ぶどう油(グレープシードオイル)、ひまわり油/ハイリノール、綿実油、とうもろこし油、大豆油・・・となります。大豆油でリノール酸がちょうど100gあたり50gくらいです。

食品の中でリノール酸が多いのは、ラー油、くるみ/いり、けし/乾、まつ/いり、ブラジルナッツ/フライ・味付、まつ/生・・・です。まつ/生(松の実、なま)で100gあたり29gです。詳しくは記事を読んで下さい。

オメガ6リノール酸が多い油と食品ランキング
この記事では、食用油に含まれているリノール酸と一般の食品に含まれているリノール酸の量を書き出し、表にして比較してみます。 油に興味を持って調べ始めたのが2013年の12月でしたが、その頃に比べてリノール酸のとり過ぎによる害が当たり前にいわ...

リノール酸とオレイン酸を比べてみる

リノール酸とオレイン酸を比べてみました。いま、リノール酸は評判が悪くて、オレイン酸が豊富に入っているオリーブ油を使う人が多いです。炭素数18で、構造に大した違いはないのです。二重結合の数が一つ多いのがリノール酸です。

リノール酸とオレイン酸を比べてみる
リノール酸とオレイン酸を比べてみました。いま、リノール酸は評判が悪くて、オレイン酸が豊富に入っているオリーブ油を使う人が多いです。炭素数18で、構造に大した違いはないのです。二重結合の数が一つ多いのがリノール酸です。 リノール酸とオレイ...

リノール酸の問題は1970年代にはわかっていたんだね

1973年には、アメリカ人のリノール酸の摂り過ぎが問題になっていました。リノール酸を加工する時に、2つある炭素の二重結合がトランス型になると、ネズミが成長できなくなったのです。また、天然型のリノール酸でも摂りすぎは過酸化脂質になりやすいため、病気の原因になりました。抗酸化作用のあるビタミンEとのバランスが考えられていました。

リノール酸の問題は1970年代にはわかっていたんだね
1973年には、アメリカ人のリノール酸の摂り過ぎが問題になっていました。リノール酸を加工する時に、2つある炭素の二重結合がトランス型になると、ネズミが成長できなくなったのです。また、天然型のリノール酸でも摂りすぎは過酸化脂質になりやすいため...

脂肪のとりすぎとガン

脂肪をとり過ぎると、ガンにかかりやすくなり、脂肪酸の中ではリノール酸に発ガン、増殖、転移を促進する働きがあるそうです。はっきり書かれていて驚きました。リノール酸を多く含む植物油(コーン油、ヒマワリ油など)は飽和脂肪酸を多く含むココナツ油などと比べ、実験動物において乳癌や大腸癌の発癌を促進することは、乳癌ではすでに 1971年に、また大腸癌では 1976 年に判明していた、と書かれていました。

脂肪のとりすぎとガン
脂肪をとり過ぎると、ガンにかかりやすくなり、脂肪酸の中ではリノール酸に発ガン、増殖、転移を促進する働きがあるそうです。はっきり書かれていて驚きました。 油をとり過ぎるとガンになるという話、何となく聞いたことがあるような気がしますが、都...

リノール酸とヒドロキシノネナールとアルツハイマー

リノール酸が酸化して4-ヒドロキシノネナールになると、Hsp70.1(ヒートショックプロテイン)を傷つけ、神経伝達物質を高速で流すワックスの働きをするタウ蛋白をリサイクル工場であるリソソームに運べなくなります。劣化したタウ蛋白がたまると、カルパインというタンパク分解酵素が活性化し、Hsp70.1が切られ、リソソームの膜が破れてカテプシンが放出され神経細胞が死んでしまいます。

リノール酸とヒドロキシノネナールとアルツハイマー
リノール酸が酸化して4-ヒドロキシノネナールになると、Hsp70.1(ヒートショックプロテイン)を傷つけ、神経伝達物質を高速で流すワックスの働きをするタウ蛋白をリサイクル工場であるリソソームに運べなくなります。劣化したタウ蛋白がたまると、カ...

リノール酸の酸化とノネナールができるまで

リノール酸を酸化させると、理論上、7種類のアルデヒドができることが考えられます。その中に、3-ノネナールが入っています。ところが、実際に実験すると、2-ノネナールが主要産物の一つになっています。ノネナールはリノール酸からいくつかできるアルデヒドの一つなのですが、どうやら、つくられやすいようです。

リノール酸の酸化とノネナールができるまで
リノール酸を酸化させると、理論上、7種類のアルデヒドができることが考えられます。その中に、3-ノネナールが入っています。ところが、実際に実験すると、2-ノネナールが主要産物の一つになっています。ノネナールはリノール酸からいくつかできるアルデ...

加齢臭の原因といわれる2-ノネナールはビールにもできる

ビールから加齢臭の原因物質、2-ノネナールができると聞くと、ちょっと驚きます。しかし、リノール酸が過酸化して2-ノネナールができるのは、おかしなことではありません。しかし、ヒトもそうなのかなと思ったら、ヒトの2-ノネナールの元は、ω(オメガ)-7のパルミトレイン酸やバクセン酸でした。

加齢臭の原因といわれる2-ノネナールはビールにもできる
ビールから加齢臭の原因物質、2-ノネナールができると聞くと、ちょっと驚きます。しかし、リノール酸が過酸化して2-ノネナールができるのは、おかしなことではありません。しかし、ヒトもそうなのかなと思ったら、ヒトの2-ノネナールの元は、ω(オメガ...

リノール酸の酸化

リノール酸の酸化は、二重結合の間にはさまれたメチレン基から水素が引き抜かれ、反応が始まり、二重結合した炭素の隣の炭素にヒドロペルオキシド基(OOH)が結合します。

さらに、ヒドロペルオキシド基(OOH)が結合した部分から分解し、炭素数の小さいアルデヒドや短鎖脂肪酸などいろいろな物質に変化します。

リノール酸の酸化
リノール酸の酸化は、二重結合の間にはさまれたメチレン基から水素が引き抜かれ、反応が始まり、二重結合した炭素の隣の炭素にヒドロペルオキシド基(OOH)が結合します。 さらに、ヒドロペルオキシド基(OOH)が結合した部分から分解し、炭素数の小...

リノール酸が問題だと書く前に書いておきたいこと

リノール酸は昔は健康に役立つものでしたが、摂りすぎで今は悪者になっています。その原因は、大豆を始めトウモロコシなど穀物が家畜の餌として大量生産されるようになり、副産物の油が安価に入手できるようになったことではないかと思います。

日本人にとって大豆は大切なタンパク源の一つです。大豆が悪いわけではありません。油を使い過ぎるのが悪いと思います。

リノール酸が問題だと書く前に書いておきたいこと
リノール酸は昔は健康に役立つものでしたが、摂りすぎで今は悪者になっています。その原因は、大豆を始めトウモロコシなど穀物が家畜の餌として大量生産されるようになり、副産物の油が安価に入手できるようになったことではないかと思います。 日本人にと...

リノール酸以外の、オメガ6脂肪酸については、オメガ6について知っておきたいことをお読み下さい。

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油について最初に知っておきたいこと https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7303 Tue, 08 Sep 2020 23:48:43 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7303 油について最初に知っておきたいことについて3つ記事を書きました。「油」「脂」は字は違いますが同じ「脂肪」のことを表しています。その脂肪、つまり油は化学的にどんな構造をしているのか。そして、油はカロリーが高いものだと知られていますが、油の種類によってカロリーに違いがあるのかどうか。

油

「油」と「脂」字は違うが同じ脂肪のこと

油も脂も脂肪のことを指しています。「あぶら」は油と書くのが普通ですが、脂と書く場合もあります。

そして、よく使うことば、「脂肪」。

何となくお腹にたまった脂肪をすぐに思い出すので、固まった脂なのかなと思いますが、違いはわかりますか?

油と脂と脂肪ってどうちがうか分かりますか?にまとめて書いておきました。実は同じもの。

油と脂と脂肪ってどうちがうか分かりますか?
油は常温で液体で、由来が基本的に植物です。一方、脂は由来が動物です。しかし、まとめれば「油脂」と表すことができ、化学で使うなら脂肪ということばを使います。脂肪の構造は化学では決まっています。

油とはどんなものなのだろう?

油にはいろいろな種類があります。常温で液体のもの固体のもの。色や香りの違いもあります。見た目がかなり違う、油を3つ用意しました。

ごま油 ココナッツオイル オリーブオイル
ゴマ油 ココナッツオイル オリーブオイル

ごま油とオリーブオイルは常温で液体ですが、ココナッツオイルは固まっています。色もにおいも味も全然違います。しかし、食品分析表を見ると、それぞれ100%脂肪です。

常温で液体・固体の違いがある。油って一体、どんな物質なのでしょう?油の構造を知ろうで詳しく説明しました。

油の構造を知ろう
油は脂肪と同じものです。油には基本的な構造があります。グリセリンと3本の脂肪酸がエステル結合したものです。脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、炭素の長さで性質も違います。油の性質は、結合する脂肪酸によって決まります。

油の構造は、グリセリン(グリセロール)に3本の脂肪酸が結合したものです。形が決まっているので、油の一般的な構造式は書けるのですが、結合する脂肪酸に種類があり、その組み合わせが何通りもあるため、油の構造式は決められません。同じように、いわゆる化学式である分子式も、分子量も書けなくて計算できません。

油の分子式や分子量は求められないに書きました。

油の分子式や分子量は求められない
油はグリセリンに3本の脂肪酸がエステル結合したものですが、脂肪酸が何種類もあるため、いろいろな脂肪の混合物となり、油の化学式や分子式、分子量は求められません。

油のカロリーについて

油はカロリーが高いのは常識です。しかし、たとえば、ごま油、ココナッツオイル、オリーブオイルなど油の種類によってカロリーは変わるのだろうか?知りたいところです。

油はカロリーが高いが油の種類で違いがある?他の食品ともカロリーを比較してみたに詳しく書きました。

油はカロリーが高いが油の種類で違いがある?他の食品ともカロリーを比較してみた
食用油はサラダ油でもごま油でも種類に関係なく1gあたり9kcalあります。お酒の4倍以上、砂糖の2倍以上のカロリーです。ガソリンや灯油と比較すると、ガソリンや灯油の方が2割くらいカロリーが高いですが、それでも、食用油のカロリーは高いです。 ...

カロリーについての余談

ところで、油はカロリーが高いのはわかりきったことですが、カロリーが低い野菜など、どのようにカロリーを測定しているのだろうと思いました。

食品のカロリーってどうやって測定するのでしょう?に書きました。

食品のカロリーってどうやって測定するのでしょう?
油は火をつければよく燃え、カロリーが高いことが分かりますが、油と違ってカロリーがあまりないもの、例えば野菜などについてどのようにカロリーを測定しているのでしょう。密閉した容器に高圧酸素を入れ、発火させて周囲の水の温度をどのくらい上昇させたの...

さらに、油もアルコールも炭水化物も、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)で構成されていて、燃やせば、単純に二酸化炭素(CO2)と水(H2O)ができます。

しかし、燃える時にできるカロリーの差はどうしてできるのか。とても不思議に思いました。

炭素と水素の数が多いと燃焼熱は大きくなり酸素が入っていると燃焼熱が下がるという記事に詳しく書きました。

炭素と水素の数が多いと燃焼熱は大きくなり酸素が入っていると燃焼熱が下がる
有機物を燃焼させるとき、同じ炭素数なら酸素の数が少ないほど燃焼熱は大きくなり、また、炭素数が増えると燃焼熱は大きくなります。 メタンとメタノールはどっちが熱量が高いのか? 以前、油はカロリーが高いがどのくらい高いのか比較してみたという記...
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オメガ3の効果について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7285 Tue, 08 Sep 2020 07:31:25 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7285 オメガ3の効果について以下の記事を書きました。オメガ3はうつに効果がある。魚を食べていると生活習慣病が予防できる。オリーブ油とえごま油を混ぜると総コレステロールと中性脂肪を下げる効果がありそうだ。EPA・DHA、α-リノレン酸は優先的にエネルギーに変わる。脂肪を燃焼させるならオメガ3をとってオメガ6を制限して運動すること。えごま油と魚油を比べると魚油の方が太りにくい。魚油は体重・体脂肪を増加させない。DHAの効果について。EPAの効果について。

まぐろ

オメガ3脂肪酸の効果についての書いた記事を簡単にご紹介します。

オメガ3の脂肪酸はうつに効果がある?

オメガ3の脂肪酸が「うつ」に効果があるという話、にわかに信じがたいので調べました。やはり、魚をよく食べる日本人では、抑うつ状態とオメガ3摂取には関連が認められないそうです。そうだろうなと思いました。

女性に効果があるが男性には関係がないこと。EPAの摂取量は1g/日が効果的など特徴がいくつかありました。

オメガ3の脂肪酸はうつに効果がある?
魚油には抑うつ気分やうつ病を防ぐ働きがあると考えられていますが、男性には効果的ではないようです。また、うつの人にEPAを投与する場合、1日1グラムが適量で、多いと効果がでないことが書かれていました。 油について本をいろいろ読むようにな...

魚を食べていると生活習慣病が予防できる

文部科学省科学研究費を使った大規模コホート研究を読みました。大人数を対象に、治療を行わず、アンケートによって摂取量を調べてグループ分けして比較しています。冠動脈疾患や脳卒中、糖尿病、乳がん・大腸がん・肝臓がんにかかるリスクを減少させるとありました。

昔から肉を食べるなら魚を食えといわれてましたが、それを裏付けるような話です。

魚を食べていると生活習慣病が予防できる
EPAとDHAはオメガ3の脂肪酸です。EPAにはいわゆる血液サラサラ効果があり、抗凝固薬、血小板凝集抑制薬として使われています。冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、いくつかのがんに効果があります。魚に豊富に含まれています。それぞれ含有量を調べました。

オリーブ油とえごま油を混ぜると総コレステロールと中性脂肪を下げる効果がありそうだ

面白いなと思ったのは、オリーブオイルとえごま油を1:1で混ぜると、総コレステロール値やTG(中性脂肪)値が低くなる効果が期待できるという話でした。やってみますか?

オリーブ油とえごま油を混ぜると総コレステロールと中性脂肪を下げる効果がありそうだ
オリーブオイルとえごま油を1:1の割合で混ぜて使用すると、えごま油だけよりもオリーブ油を混ぜた油を使った方が、T−ch(総コレステロール)値やTG(中性脂肪)値が低くなる効果が期待できるかもしれないという論文がありました。

EPA・DHA、α-リノレン酸は優先的にエネルギーに変わる

オメガ3の脂肪酸は優先的にエネルギーになります。

脂肪酸は、β酸化されて燃料になりますが、EPAやDHAはミトコンドリアでβ酸化を受けにくいのです。しかし、細胞内小器官であるペルオキシソームが増えて、この中でβ酸化されます。また、α-リノレン酸は、ミトコンドリアとペルオキシソームでβ酸化されます。

EPA・DHA、α-リノレン酸は優先的にエネルギーに変わる
時々、オメガ3の油をとっているとダイエットに役に立つという記事を見かけることがあります。いつも書いていますが、油はとてもカロリーが高く、1gで9kcalもあります。ダイエットのために油をとるという考え方は少々問題があると思います。 し...

脂肪を燃焼させるならオメガ3をとってオメガ6を制限して運動すること

体重とオメガ3の関係は、α-リノレン酸を含んだ植物油には特に期待できないようですが、魚油には、はっきり太りにくい効果が期待できるようです。「太らない」のではなく「太りにくい」なので、お間違いなく。

脂肪を燃焼させるならオメガ3をとってオメガ6を制限して運動すること
毎日オメガ3の油を飲んでいるとダイエットできるなんて都合のよいことはありませんが、オメガ3の脂肪酸は燃えやすいらしいです。以前、EPA・DHA、α-リノレン酸は優先的にエネルギーに変わるという記事を書きました。 しかし、実際のところはどう...

えごま油と魚油を比べると魚油の方が太りにくい

えごま油と魚油は同じオメガ3の油です。魚油は体重・体脂肪を増やしにくい性質があります。ラットに摂取させ肝臓にたまる脂肪滴を調べる実験で、魚油は脂肪滴の数が少なく大きさも小さい、脂肪をためにくく体重が増えにくい特徴がありました。一方、えごま油では、分解されやすい小さい脂肪滴がたくさんできる特徴があったものの、体重が増えにくいとはいえない結果になりました。

えごま油と魚油を比べると魚油の方が太りにくい
えごま油と魚油は同じオメガ3の油です。魚油には体重・体脂肪を増やしにくい性質があります。4種類のタイプの油を使った実験飼料をラットに摂取させ肝臓にたまる脂肪滴を調べる実験で、魚油は脂肪滴の数が少なく大きさも小さい、脂肪をためにくく体重が増え...

魚油は体重・体脂肪を増加させない

魚油は、脂肪細胞から分泌され体脂肪を減らす働きをもつレプチンの働きを阻害せず、また、脂肪を分解し脂肪酸をアセチルCoAにする細胞小器官ペルオキシソームを増やす、PPARαを肝臓で活性化することで、体重・体脂肪を増加させないことがわかりました。

魚油は体重・体脂肪を増加させない
魚油は、脂肪細胞から分泌され体脂肪を減らす働きをもつレプチンの働きを阻害せず、また、脂肪を分解し脂肪酸をアセチルCoAにする細胞小器官ペルオキシソームを増やす、PPARαを肝臓で活性化することで、体重・体脂肪を増加させないことがわかりました...

DHAの効果について

DHAは、テレビCMだと記憶に関係があるように宣伝されていますが、乳児期の脳の発達からアルツハイマー型認知症の原因物質の蓄積を抑制することまで、すべての年代に役に立つようです。オメガ3が必須脂肪酸だとわかったのは、DHAがきっかけだったのです。

DHAの効果について
DHAは、乳児期の脳の発達のために必要です。また、アトピー性皮膚炎にも効果がありました。さらに生活習慣病に対してDHAはEPAと同等の効果があり、脂質異常症(高脂血症)と閉塞性動脈硬化症に効果があります。アルツハイマー型認知症の原因物質の蓄...

EPAの効果について

EPAのはっきりした効果は「血液サラサラ」です。グリーンランドのイヌイットの血液検査からわかりました。それまでアラキドン酸によって調べられた反応経路をEPAがたどると、血小板凝集を促進させるものがつくられず、さらに、血小板凝集を強力に抑制させるものがつくられることがわかったからです。

EPAの効果について
EPAに特有の血液サラサラ効果は、グリーンランドのイヌイットの血液検査からわかりました。それまでアラキドン酸によって調べられた反応経路をEPAがたどると、血小板凝集を促進させるものがつくられず、さらに、血小板凝集を強力に抑制させるものがつく...

オメガ3全般について知るには、オメガ3について知っておきたいことをまずお読み下さい。

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オメガ3の酸化について https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/7271 Tue, 08 Sep 2020 00:40:19 +0000 https://aburano-hanashi.kuni-naka.com/?p=7271 オメガ3の油と酸化の記事一覧です。これから読んでいただく記事の内容を簡単に説明します。亜麻仁油の酸化を抑える保存方法、アマニ油マヨネーズからマヨネーズの酸化防止対策を知ること、オメガ3の油の加熱についてビタミンEとビタミンCを添加してあるものは加熱調理に耐えられること。揚げ物をしていると「油酔い」する原因は、α-リノレン酸からできたアクロレイン。オメガ3の脂肪酸が先に酸化されることで細胞自体を守る話。そして、ちょっと変わっていますが、森や山の中に行った時に感じる青葉のにおいは、α-リノレン酸が酸化したアルデヒドのにおいです。

マヨネーズ

亜麻仁油の酸化を抑える保存方法

えごま油や亜麻仁油は酸化されやすい油です。私も冷蔵庫の中で放置してしまい「魚くさく」してしまったことがあります。保存性をよくするには、ごま油を10%ほど足すとよいそうです。くせのない太白ごま油を足せば風味に影響はないと思います。

亜麻仁油の酸化を抑える保存方法
亜麻仁油の保存性を高めるには、まず、冷蔵庫で保存することです。さらに、少しごま油を足すのが効果的なようです。重量比10%足すとよいようです。焙煎ごま油の方が抗酸化力は強いですが、くせのない太白ごま油を足せば風味に影響はないと思います。 ...

アマニ油マヨネーズからマヨネーズの酸化防止対策を知る

また、オメガ3の油が人気で、亜麻仁油マヨネーズも発売されました。なかなかおいしかったです。しかし、亜麻仁油は酸化されやすいのに、マヨネーズのような加工品にして持つのかなと思いました。

調べてみると、昔からあるマヨネーズ自体がとても酸化されやすい性質を持っていて、製造メーカーは何十年も保存性を上げる技術を磨いてきたことがわかりました。日本の食品メーカーの持っている技術はなかなかのものなのです。是非読んでみて下さい。

アマニ油マヨネーズからマヨネーズの酸化防止対策を知る
アマニ油マヨネーズがどのように酸化されないような工夫がされているのかと思って調べてみると、もともとマヨネーズ自体、卵黄が含む鉄によって、油がとても酸化されやすい性質があることがわかりました。そのため、できるだけ酸素を入れず、また原材料からも...

オメガ3の油の加熱について

オメガ3の油は酸化しやすいので加熱調理には使えないといわれています。しかし、インカインチオイルやカメリナオイルはビタミンEやポリフェノールの含有量が多く、熱に強いといわれています。えごま油や亜麻仁油でも、ビタミンEとビタミンCを添加してあるものは、加熱調理に耐えられることがわかりました。もちろん、天ぷらに使う人はいないと思いますが。

オメガ3の油の加熱について
加熱料理に強いといわれるインカインチオイルとカメリナオイルはビタミンEとポリフェノールのおかげで酸化しにくくなっています。 そして、市販されている亜麻仁油とえごま油には保存性を上げるため、ビタミンEとビタミンCが添加されているものが結構あ...

揚げ油でできるアクロレインはα-リノレン酸由来だって

長時間揚げ物を調理していると「油酔い」する人がいます。これはアクロレインが原因物質なのですが、オメガ3の脂肪酸であるα-リノレン酸が分解してできます。天ぷら油には大豆油が使われていて、大豆にはリノール酸ほどではありませんが、α-リノレン酸も豊富に含まれています。

揚げ油でできるアクロレインはα-リノレン酸由来だって
α-リノレン酸が含まれる油を加熱すると、150℃程度の温度から、二重結合を1個持った炭素数3のアルデヒド、アクロレインができるようになり空気中に放出されます。体には有害で、天ぷらを揚げ続けると気持ち悪くなる「油酔い」の原因物質です。 α...

オメガ3脂肪酸は酸化ストレスを軽減する

EPAやDHAはα-リノレン酸より二重結合が多く、とても酸化されやすい性質を持っています。刺身を外に出しておくとすぐに腐ってしまいます。では、そんな酸化されやすいものを食べて、体の中で悪い影響はないのだろうか?と思いました。体内は、酸素の量が減るので酸化しにくくなり、さらにそれら脂肪酸は自身が先に酸化されることで、細胞の酸化を防いでくれることがわかりました。

オメガ3脂肪酸は酸化ストレスを軽減する
オメガ3の油(魚油)は、大気下では、とても酸化されやすい性質があります。しかし、体の中では、酸素の量が減るので酸化しにくくなり、さらに、体の中で強い酸化ストレスがかかると、オメガ3の油は、自身は過酸化されるものの、細胞の酸化を防ぐ働きがある...

α-リノレン酸から青葉のにおいができる

草原や森へ行くと緑のにおいがします。多分、嫌いな方はいないのではないかと思います。このにおいのもとは、α-リノレン酸でした。オメガ3のα-リノレン酸は微量ですが、草木の葉っぱに含まれています。これが酸化されて、炭素数6のアルデヒドになると緑のにおいになるのです。アルデヒドってあんまりよいイメージがないのですが、よいにおいにもなります。

α-リノレン酸から青葉のにおいができる
α-リノレン酸の分解経路を見ていたら2回の反応で炭素数6のアルデヒドができることがわかりました。炭素数が短いとたいていにおいがあります。短い脂肪酸はクサイのですが、炭素数6のアルデヒドは、青葉のにおいがします。また、日本酒の吟醸香も短い脂肪...
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