飽和脂肪酸は9番目の炭素から不飽和化される

オメガ9のオレイン酸は、炭素数18の飽和脂肪酸であるステアリン酸が不飽和化されることによってつくられます。オレイン酸は体内でつくられることはよく知られていますが、どのようにつくられるのかご存知ですか?

オリーブオイル

オリーブオイルの主成分はオレイン酸です。オレイン酸はからだの中で合成できるといわれていますが、その仕組みを調べてみました。

イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版にはこのように書かれていました。

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飽和脂肪酸の△9位に二重結合が入る

哺乳類の生体組織は飽和脂肪酸の△9位に1個の二重結合を導入できるので,パルミトレイン酸やオレイン酸は必ずしも食物からとる必要はない.

9位とは、オメガ9とは反対です。

オメガ端とは反対の、カルボキシ基から炭素を数えて9番目が△9位です。そこに炭素の二重結合があります。

パルミトレイン酸もオレイン酸も一価不飽和脂肪酸です。両方とも、△9位に炭素の二重結合があります。

パルミトレイン酸は、炭素数が16の脂肪酸です。炭素数16の飽和脂肪酸は、パルミチン酸でした。

パルミトレイン酸

パルミトレイン酸

オレイン酸は、炭素数が18の脂肪酸です。炭素数18の飽和脂肪酸はステアリン酸です。

オレイン酸

オレイン酸

さらにこのように説明が続きます。

飽和脂肪酸に入る最初の二重結合はほとんど常に△9

肝臓を含むいくつかの組織は,飽和脂肪酸から必須でないモノ不飽和脂肪酸を合成する臓器であると考えられている.

飽和脂肪酸に導入される最初の二重結合の位置はほとんど常に△9位である.

小胞体の酵素系(△9デサチュラーゼ)は,パルミトイル-CoAからパルミトレイル-CoAへ,あるいは,ステアロイル-CoAからオレイル-CoAへの変換を触媒する.

この反応には,酵素とNADH(あるいはNADPH)の両方が必要である.この反応に関与する酵素はシトクロム b5 を含むモノオキシゲナーゼ系の酵素に類似した性質をもっているようである.

なかなか興味深いことが書かれています。

  • 飽和脂肪酸が不飽和化される場合、最初に変換されるのは、△9位である。
  • 飽和脂肪酸を不飽和化する場所は、細胞小器官の小胞体である。
  • 変換されるときは、補酵素A(HS-CoA)が結合した状態である。

デサチュラーゼは酵素の名前ですが、もともとの desaturate は非飽和にするという意味です。

ステアロイル-CoAからオレイル-CoAへの変換を図にしてみます。補酵素A(HS-CoA)は、脂肪酸を運搬する運び屋なので、自身は変化されません。

シトクロム b5は、図には、Cyt b5と書きました。

Δ9 デサチュラーゼ

この反応は、炭素数18の飽和脂肪酸ステアリン酸が同じく、炭素数18の一価不飽和脂肪酸、オレイン酸に変換される反応です。

ステアリン酸を確認のために載せておきます。ちょっと左右が逆になりましたが。

ステアリン酸

このようにステアリン酸は、オレイン酸に変換されることが分かりました。

パルチミン酸からステアリン酸ができる

ステアリン酸はとてもありふれた脂肪酸ですが、体内でも合成されます。

ウイキペディアのオレイン酸には、体内ではパルチミン酸まで合成され、その後脂肪酸伸長酵素(エロンガーゼ)によってステアリン酸ができるところまで説明されています。

植物、微生物、ヒトを含めた動物の体内では、脂肪酸シンターゼによってアセチルCoAとマロニルCoAから直鎖の飽和脂肪酸が作られる。

順次アセチルCoAが追加合成されるので原則脂肪酸は偶数の炭素数となる。体内で余剰の糖質、タンパク質等が存在するとアセチルCoAを経て、飽和脂肪酸の合成が進む。脂肪酸の合成は炭素数16のパルミチン酸で一旦終了する。

16:0のパルミチン酸は、長鎖脂肪酸伸長酵素により、18:0のステアリン酸に伸張される。ステアリン酸は、体内でステアロイルCoA 9-デサチュラーゼ(Δ9-脂肪酸デサチュラーゼ)によりステアリン酸のΔ9位に二重結合が生成されてω-9脂肪酸の一価不飽和脂肪酸である18:1のオレイン酸が生成される。

融点70℃のステアリン酸が融点16℃のオレイン酸に変換されることで体内の脂肪酸の融点が下がり、体温環境下で脂肪酸を液体に保ち、流動性を増加させる。

つまり、オレイン酸は、からだの中で合成することができる。もちろん、炭素数が16のパルミトレイン酸も、パルミチン酸から合成できます。

まとめ

飽和脂肪酸の炭素を二重結合化するとき、ほぼ常に△9位からされることは知っておいてよいと思います。

脂肪酸は、ブドウ糖を代謝してTCA回路に入る前のアセチルCoAから生合成されます。飽和脂肪酸はそれをもとに作られますが、炭素数16のパルミチン酸までで脂肪酸合成は終了します。

その後は長鎖脂肪酸伸長酵素によって、炭素数がやはり2個ずつ伸ばされていきます。

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