プロスタグランジン物語

プロスタグランジン物語は1983年発行の本です。プロスタグランジンを発見し、働きを研究してきた人達が1982年にノーベル医学生理学賞を受賞したことをきっかけに発行された本です。

プロスタグランジンについて最近の本はないみたい

プロスタグランジンについて調べようと思って本を探しました。私はいつもまず、アマゾンで探します。一般向けの概説の新しい本があればすぐに見つかります。

しかし、ここ数年の新しい本は、専門雑誌が数冊だけ。概説が書かれているような一般書は、1980年代の本ばかりです。もちろん、すべて古本です。油に関心が高い時代ですが、炭素数20の脂肪酸からできるプロスタグランジンは、研究する先生方にとって、現在、あまり人気がない分野なのかもしれません・・・。

そこで、図書館で探してみると、「プロスタグランジン物語」は開架されていない保存庫にありました。1983年発行の本なので、開架されていないのは当然かもしれません。

読みたいと思った方は、まず、図書館で探してみるのがよいと思います。

ひょっとして、古本を買われる方のために、もともとの定価を書いておきます。1500円です。1983年当時は、まだ消費税がない時代でした。

プロスタグランジン研究者が1982年ノーベル賞受賞直後に発行された本

この本のプロローグは次のように始まります。

1982年ノーベル医学生理学賞は,現在医学の基礎および臨床領域で最も注目されている生理活性物質,プロスタグランジンとその類縁体を見いだし,構造を決定し,生合成代謝過程を明らかにすることによって,生体内に起こるほとんどの生理的・病理的変化を調節できるかもしれない夢を与えた学者達に与えられた.

スウェーデンのカロリンスカ研究所の所長であった66歳(いずれも当時)のSune Bergström 教授,その弟子で現在カロリンスカ研究所化学教室を引き継いだ48歳のBengt Samuelsson教授, そしてロンドン大学基礎薬理学教室の元教授で,現在ウェルカム財団研究所所長55歳のJohn Vane博士がその3人である.

プロスタグランジンを発見し、働きを研究してきた人達がノーベル医学生理学賞を受賞したことをきっかけに発行された本だとわかります。

そして、この本が、一般向けでもあることが「自序」に書かれています。

目くるめくPG研究の進歩は,多くの分野の人々の興味をそそることになったが,難解で,かつ膨大な研究論文の中からPGの概要を汲み取ることは,専門家にとっても容易なことではない.

たまたま請われて雑誌”スコープ”(日本アップジョン社刊)にPGの問題点を一項目ずつ,毎号一頁ほど平易に解説したものが,わかりやすいということで好評裡に受け入れられた.いつのまにか連載も3年余の長きにわたり,そこでおもいきって1冊にまとめることにした.

すぐれた研究者によって,すでに立派な専門書が編まれているが,専門家ではないが興味をもつ臨床医や初学者,社会人,学生向けの肩のこらないものがないようなので,補筆しながら整理したのが本書である.

目次を紹介します

ご参考まで、ご興味のある方のために、目次を書き写しておきましょう。本文ページ数は191ページあります。発行は1983年12月1日です。

プロローグ・・・‥・・・・・・・・・・・・・・・‥・・・・・・・・・・‥・・・・・・・・・・‥・・・・1

Ⅰ.プロスタグランジン―そのルーツ・・・・・・・‥・・・・‥・・・・・・・・・・・・9

1.プロスタグランジン概観 9 / 2.プロスタグランジンのルーツを探る 12 / 3.プロスタグランジンファミリー 15

Ⅱ.プロスタグランジン―その細胞内でのでき方・・・‥・‥・・・・・・・・・18

1.生体内での分布 18 / 2.アラキドン酸カスケード 20 / 3.生合成とそのゆくえ 23 / 4.生合成の調節機構 43 /5. 生合成を阻害するもの 54 /6.ロイコトリエンとは―SRS-A 62

Ⅲ.プロスタグランジン―どのように測るか・・・‥・‥・・・・‥・・・・・・・・67

Ⅳ.プロスタグランジン―そのはたらき・・・‥・‥・・・・・‥・・・・・・・・・・・71

1.細胞膜を介しての作用 71 / 2.PGエンドペルオキシドの生理作用 80 / 3.トロンボキサンの生理作用 81 / 4.プロスタサイクリン(PGI2)の生理作用 82 / 5.PGD2の生理作用 87

Ⅴ.プロスタグランジン―生理機能を探る・・・・‥・・・‥・・・・・・・・・・・‥92

1.炎症 92 / 2.発熱 100 / 3.血液の凝固 104 / 4.循環障害 107 / 5.腎臓 113 / 6.肺臓 124 / 7. 胃潰瘍 127 / 8.眼 129 / 9.皮膚 132 /10.癌 134 / 11.性周期 142 / 12.妊娠と分娩 159 / 13.プロスタグランジン拮抗物質 177

Ⅵ.プロスタグランジン―その臨床への応用・・‥・・・・・・・‥・・・・・・・‥181

エピローグ・・・‥・・・・・・・・‥・・・・・・・‥・・・・・・‥・・・・・・・・・・・・・・・・・‥188

NOTE

リノール酸のとり過ぎがよくない理由は、リノール酸がアラキドン酸になり、炎症やアレルギー反応を促進するプロスタグランジンになるからだと説明されます。

調べてみると、案外、一般向けに概説してくれる本はなく、1980年代に発行された本が見つかります。

もう探索が終わった分野なのかわかりませんが、油に関心が高い時代なので、一般向けの概説書が改めて出るといいなと思います。

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