私のようにもともと文系で、油や体の仕組みについて勉強している人におすすめできる有機化学の本です。
まえがきにはこのように書かれています。
本書は,薬学部学生向けの「わかりやすい有機化学の教科書」を目指して編集された.現在,多くの薬系大学において有機化学の教科書には,欧米の教科書の翻訳本が用いられている.
それらは非常に優れた内容ではあるが,純粋に「有機化学を学ぶこと」を目的とした理学部的な観点から書かれており,とくにこれからの薬学教育にふさわしいか疑問である.
その点を考慮し,本書は「医薬品を理解するための有機化学」という観点から編集した.編集作業では,大学に入学したばかりの学生の目線に立ち,有機化学に親しみを感じてもらえるよう,できるかぎりわかりやすい表現を心がけた.
この本は、ネットを歩き回って評判を読んで決めました。残念ながら最寄りの図書館にはありませんでした。中身を見ないで買いましたが正解です。
図書館に行くと(たいてい古いですが)大学で使う有機化学の教科書が何種類も置いてあります。しかし、どれも読みにくい。なぜなんでしょう?たいてい翻訳本だからか、文体が固くてなかなか内容が把握できないのです。
しかし、この本は、「大学に入学したばかりの学生の目線に立ち」、「できるだけわかりやすい表現を心がけた」と書かれているように、実に読みやすいです。
そして、大きくはないけれど、記事の合間に構造式や図表が入り、それが理解を助けてくれます。
「ベーシック薬学教科書シリーズ」となっているので、薬学部生は、実際はもっと深い内容を学んで行くようになるのでしょうが、これ以上むずかしい内容は、私には必要がありません。
また、たとえば、工学部の化学で学ぶ有機化学だと、(化学)繊維とか素材とかもっといろんなことが出てくると思いますが、この本は、あくまでもベーシックなので、ややこしいものは出て来ません。
ところで、私のように趣味で化学を学ぼうという人間には、必ずしも最新版の教科書が必要なわけではありません。
一つ前の版の古本でも十二分に役立ちます。そして驚くほど安く買えます。
油について調べていくと、どうしても化学が避けられなくなり、ウィキペディアに頼るようになります。しかし、ウィキペディアの記事は、濃かったり薄かったりまちまちなので、足りないことも結構あります。
そんなことを感じ始めた人なら、この本はピッタリでしょう。大きい本屋さんにはあります。