血管を強くするおいしいレシピつき 図解でわかる動脈硬化・コレステロール (徹底対策シリーズ) を読みました。
大きな図がいくつもでていて、とても分かりやすい構成です。少し前に、動脈硬化になる仕組みという記事を書き、真島康雄先生が解説する仕組みを、記事を書くためというよりも、自分が学ぶために書いておきました。
真島先生の説明は、私にはかなり興味深いものでしたが、他の本ではどのように解説しているかも知る必要があります。それで、図が多くて解説もかなり丁寧なこの本を見つけてきました。
この記事では、この本で解説してある動脈硬化が起きる仕組みについて書きます。
本の中で動脈硬化はこうして進む!というタイトルのついたページに実に見やすい画と一緒に解説されていました。
動脈硬化の進み方
図はコピーできないので、自分で描きました。カイロミクロン、VLDL、LDLやHDLなどリポタンパクについてなど基本的に必要なことは、別なページにきちんと解説されています。
3段階にわけて書かれていました。
第1段階
血液中にLDLコレステロールが増えすぎると、内膜からLDL-コレステロールが入り込む。内膜と内弾性板が接するところにコレステロールがたまって「脂肪班」をつくり、それが大きくなるとアテロームができる
アテロームとはドイツ語で「腫れもの」という意味です。粥腫(じゅくしゅ)ともいわれ、脂肪でできたどろどろのおかゆ(粥)のような物質が中にたまっています。LDLコレステロールの高い人にできやすいと書かれていました。
第2段階
アテロームの中のコレステロールが、酸化されて「オキシステロール」に変わる。オキしステロールは毒性の高い物質で、周辺組織に炎症を起こす。
炎症が起こると、中膜から血管平滑筋細胞が移動し、増殖するため内膜が厚くなり(肥厚)、血管の内腔が狭くなる。
また、炎症部分には白血球細胞などが集まり、その影響で組織が酸素欠乏になり、これを補うために外から新生血管が延びてくる。
肥厚した内膜はもろくてくずれやすく、新生血管も破綻(ほころびること)しやすい。
オキシステロールは、コレステロール酸化物です。慣れないとLDLが酸化したもの、酸化LDLかと思うのですが、この場合は、コレステロールが酸化したものだと考えてください。
酸化コレステロールについては、食品についてですが、食べ物の酸化コレステロールという記事を書いています。構造式はそこで見ていただけます。
もちろん、酸化LDLも動脈硬化の原因になっていました。
体が酸化しやすい生活習慣(喫煙、ストレス過多など)を続けることや、糖尿病で血糖コントロールの不良状態が続くことは、動脈硬化が進む原因になると書かれていました。
第3段階
外から延びてきた新生血管は弱いため、出血しやすい。心身に何らかのストレスが加わると、血管平滑筋細胞が拘縮(固く縮まること)し、新生血管が締めつけられて内膜に壊死(組織が死ぬこと)が起こる。
すると、アテロームを覆う皮膜が薄くなり、ついには破れてしまう(プラーク破綻)。破れたところに血小板が集まって「血栓」という血の塊ができる。
この血栓が心臓の冠動脈の中にでき、急激に大きくなると、冠動脈の血流が途絶えて心筋梗塞が起こる。
NOTE
この本はとても親切な本だと思います。ただ、第1段階で、「内膜からLDL-コレステロールが入り込む」と書かれていますが、なぜ、LDL-コレステロールが入り込むのだろうと思います。
他の本でもたいていこの説明がないのです。私はそんなに血管はスカスカなんだろうかと思ってしまうのです。私のような者がそう思うのだから、きっと同じように思う人はいらっしゃるのではないでしょうか?
そして、LDL-コレステロールとコレステロールが別のものなら、なぜ、たまっていくのがコレステロールだけなのだろうと思います。
また、第2段階で、なぜたまっているコレステロールが酸化するのかも分かりません。
流れている血液には豊富に酸素が含まれているのですが、では血管内でLDL-コレステロールは酸化することはないのだろうかとも思うのです。
疑問に思うことが多いと、「?」を浮かべながら読み進めていくので、なかなか理解が進みません。
編集者の方は同じように思わないのかなと思いました。
読者は医学生のように知識を身につけなければならないわけではないですが、必要なことを揃えて説明していただければ、なるほど!と理解できるようになります。
子供の頃読んでいた物語と一緒です。物語には話の成り立ちに必要なことが全て書かれていました。