サラダ油ってなんだろう

サラダ油は、1924(大正13)年から販売されている油です。最初は大豆油を精製したものでしたが、現在は、大豆油となたね油の精製油を混合したものです。サラダ油は、生野菜にかけてもクセがないようにつくられました。ハイカラな油だったのです。

サラダ

最近、サラダ油は体によくないという記事や本を見かけます。正直なところ、少し極端な記事のような印象を受けました。なぜかというと、私が子供の頃から(多分)バブル時代まで、油といえばほぼ100%サラダ油のことを指していたからです。

しかし、改めてサラダ油とは何か?と自問自答してみましたが、答えられません。

そこで、この記事ではサラダ油とはどんな油なのかまず調べてみたいと思います。

サラダ油は大豆油?

ずっと長くサラダ油を使ってきました。原料に大豆が使われているということは覚えています。油といえば、あとは、せいぜい、ごま油くらい。その後、紅花油やコーン油なんて出て来ましたが、その程度の種類しか覚えていないくらい少なかったです。

その後、私が学生だった1980年代前半のことを思い出しても、やはりサラダ油かごま油を買った記憶しかありません。

今のようにオリーブオイルが当たり前に使われ、グレープシードオイルとか、ココナッツオイルとか亜麻仁油、えごま油なんて名前すら知らなかったです。

油の選択肢が広がったのは、1990年少し前のバブル時代からではないかと思います。今では考えられないような急激な円高になり、輸入食料品がとても安くなりました。そのおかげで、オリーブオイルを使うのが当たり前になりました。通貨が強くなるとはこういうことなのかと思ったものです。

スーパーに行って確かめてきました。現在のサラダ油は、大豆油となたね油の混合油でした。

サラダ油はハイカラな油だった

サラダ油は、日清製油株式会社(現:日清オイリオ)が1924(大正13)年に日本で初めて発売されました。(出典)商品名は日清サラダ油。これは昔からの定番ですね。

当時、西洋では、生野菜に塩や酢を加えた食用油をかけて食べていました。今でも古い洋食屋さんに行くと、つけあわせの生野菜には、そんなドレッシングがかかっています。

市販されているドレッシングとは違って、余分な味つけをされていない、少し塩と酢のきいたさっぱりした味がします。サラダ油という名称は、生野菜にそのまま(加熱せず)使用できる食用油という意味だったようです。日清オイリオのサイトには、

生で召し上がっていただくので、より精製の度合いを高めた良質の食用油のことを特に「サラダ油」と名づけました。

とあります。サラダ油というのは、きっとその当時はハイカラでモダンなものだったのだろうなと思います。精製する意味も、このように説明されるとよく分かります。

生野菜に塩、コショウ、油、酢でドレッシングをつくってかけるとき、もし、焙煎された(色と香りがついている)ごま油しかなかったら、風味が強すぎて、ごま油をかけて食べているような味になります。精製するのは、色や香り、そして原料特有の風味を抜いて、野菜の味が分かるようにしているのでしょう。

日本植物油協会のサイトによれば、サラダ油の定義は、

融点の高い成分(天然由来のロウ分等)を含まず、耐冷性(低温度でも固まらない)を有し、風味がよく、色調の淡い植物油である。

JAS(日本農林規格)では、0℃の温度で5.5時間清澄であることとされている。

生食だけでなくマヨネーズ、ドレッシングなどの材料に用いられる。油脂中に高融点成分が多い植物油は、脱ロウ工程を経てサラダ油が製造される。
出典

とされています。使いやすい油だなと思います。しかし、サラダ油のカロリーは他の油と変わりません。1グラム9kcal。これは全ての食用油に共通しています。

サラダ油に使える原料は9種類

現在、サラダ油には、日本農林規格(JAS)によって定められている規格があります。原料は9種類指定されています。

サラダ油に使えるのは、紅花、ぶどう、大豆、ひまわり、トウモロコシ、綿実、ごま、菜種、米です。日本油脂検査協会のサイトに表が出ていました。(平成27年出典

サラダ油は、上記の9種類それぞれについて定義されていて、またそれらの混合物である調合サラダ油というのがありました。表にはサラダ油と精製油を分けてありますが、比較してみると、色に関しては精製油は、「特有」と書かれていますので、制限されていないようです。サラダ油は、色が数字で制限されていますから、サラダ油の方が規格が少し厳しいです。

また、表の中に、けん化価、よう素価、不けん化物という分かりにくい項目があります。これは化学的なことなので別の記事に詳しく書きます。

けん化価

簡単に説明すると、けん化価は、純粋な油がどのくらい入っているのか、脂肪酸にアルカリを反応させて調べています。けん化価とは何かに詳しい説明を書きました。

よう素価

よう素価は、脂肪酸の炭素(C)の二重結合がどのくらいあるのかを知るために調べています。二重結合がある脂肪酸は、不飽和脂肪酸のことですから、不飽和脂肪酸がどのくらいあるのかを調べています。ヨウ素価とは何かで詳しく書きました。

不けん化物というのは、アルカリによってけん化を受けない物質がどのくらいあるのかを調べています。これは全重量に対してのパーセンテージで表示します。全体に不純物が何%入っているのか調べているということです。

測定されている項目から考えても分かります。
サラダ油とは、精製された油で、低温でも濁らず、サラサラとしていて、色、風味がほとんどついていない、料理に使われる素材の味をじゃましない、そして保存性のよい油です。

NOTE

1924(大正13)年、日本で初めて発売されたサラダ油が、100年後に嫌われるようになるとは誰も予想できなかったでしょう。サラダ油は、においやクセがなくサラリとして保存性もよいモダンな油だったのです。

油の話を始めると、サラダ油はだめだけど、オリーブオイルならよいとか、亜麻仁油やえごま油がよいとか、精製油はだめで、オーガニックの一番搾りならよいとかいろんな話があります。

しかし、一番大切なのは、「とり過ぎないこと」だと思います。

亜麻仁油やえごま油は大人気ですが、味噌汁にいれるとかジュースに混ぜるとか、30年前なら、油のこんな使い方は絶対にしなかったと思います。

さらに、これらの油がカプセルに入れられてサプリメントのようになっているのを見ると、間違っているのではないかと思います。

油の加工について他の記事は、油の加工についてをご覧下さい。

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