コレステロールの生合成はアセチルCoAからスタートする

油とコレステロールは脂質ではありますが、別なものだと思っていました。しかし、コレステロールは、アセチルCoAから生合成されるのです。関係がないどころか、関係が大アリです。コレステロールがアセチルCoAからどのような反応をへて合成されるか書いていきます。

アセチルCoAからコレステロールができるということは、ブドウ糖も脂肪酸もコレステロールをつくるための材料になるということです。普通に食事をしていれば、コレステロールが不足するなんてことは考えられないですね。

コレステロールは、アセチルCoAが原料になって生合成されます。

アセチルCoAからメバロン酸まで

アセチルCoA2分子からアセトアセチルCoAができます。

AcetoAcetyl-CoA

2分子のアセチルCoAからアセトアセチルCoA

アセトアセチルCoAにアセチルCoAがもう1分子縮合して3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAができます。

HMG-CoA

アセトアセチルCoAから3-ヒドロキシ-3メチルグルタリル-CoA

3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoAからチオエステル基が還元されてメバロン酸となります。

チオエステルとはカルボン酸とチオールが脱水縮合した構造 (R−CO−S−R’) を持つ化合物である。チオエステルの特性基 (R−CO−S−R’) をチオエステル結合と呼ぶ。

チオールは水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物でR−SH(R は有機基)と表されます。

メバロン酸

3-ヒドロキシ-3メチルグルタリル-CoAからメバロン酸

メバロン酸は活性イソプレノイド単位を生成

メバロン酸は、

メバロン酸5-リン酸

メバロン酸からメバロン酸5-リン酸

メバロン酸5-リン酸にもう一つリン酸が結合して、メバロン酸5-ピロリン酸となります。ピロリン酸とは二リン酸のことです。この構造式から、リン酸は、Ⓟで書くことにします。書くためにスペースが必要になるので、省略させてください。

メバロン酸5-ピロリン酸

メバロン酸5-リン酸からメバロン酸5-ピロリン酸

次は、メバロン酸5-ピロリン酸からメバロン酸3-ホスホ-5-ピロリン酸という中間物質を経て、ピロホスホメバロン酸デカルボキシラーゼという酵素でカルボキシル基が外れて、二酸化炭素となり、またリン酸が1個外れます。

そして、イソペンテニルピロリン酸となる反応です。イソペンテニルピロリン酸はIPPともいわれます。

イソペンテニルピロリン酸

メバロン酸5-ピロリン酸からイソペンテニルピロリン酸

イソペンテニルピロリン酸について。iso-(イソ)は直鎖でないことを示すときに用います。構造式を見れば、CH3が横に張り出しています。

ペンテニルは、メタン(C:1)、エタン(C:2)、プロパン(C:3)、ブタン(C:4)、ペンタン(C:5)に由来するものです。

メタン、エタン、プロパン、ブタン・・・など、メタン系炭化水素のことをアルカン(alkane)といいます。そこから水素原子を1個抜いた残りの原子団の総称をアルキル基(alkyl group)といいます。アルキルになると読み方が変わります。

英語の綴りを見ていただければ分かる通り、アン -aneをイル-ylに変えます。また、isopentenylとenがついているのは、二重結合が一つあることを示しています。

つまり、イソペンテニルピロリン酸は、直鎖でない二重結合を1つもつペンタン(を変形したもの)から水素が1個取れたアルキル基がついた二リン酸だという意味です。

イソペンテニルピロリン酸は、活性イソプレノイド単位ともいわれます。

6つのイソプレノイド単位はスクワレンを形成する

この段階は、3分子のイソペンテニルピロリン酸の縮合にかかわり、下図にあるように炭素数15のファネシルピロリン酸がつくられる。

この反応は、イソペンテニルピロリン酸の異性化によって起こる。

異性化とは、ある分子が原子の組成は全くそのままに、原子の配列が変化して別の分子に変換することです。 これらの関連する分子のことは異性体と呼びます。

下図を見ると、イソペンテニルピロリン酸と3,3-ジメチルアリルピロリン酸は二重結合の位置が変わっていますが原子の組成が変わらないことが分かります。

3,3-ジメチルアリルピロリン酸を生じ、これがもう1分子のイソペンテニルピロリン酸と縮合して、炭素数10のゲラニルピロリン酸を生ずる。

さらに、これにもう1分子のイソペンテニルピロリン酸との縮合が起こって、炭素数15のファネシルピロリン酸ができてきます。

 

ファネシルピロリン酸

イソペンテニルピロリン酸からファネシルピロリン酸

2分子のファネシルピロリン酸がピロリン酸の末端で縮合するが、このときNADPHによる還元を受けてピロリン酸基が外され、その結果、炭素数30のスクワレンができる。PPiとはピロリン酸の記号のことです。

スクワレン

フェネシルピロリン酸からスクワレン

スクワレンはラノステロールへ変換する

スクワレンは、ステロイド核によく似た構造をもっています。スクワレンの下にステロイド核の画を載せます。ステロイド核は、炭素と水素を省略しています。

ステロイド核には、A-D環という閉じた環がありますが、スクワレンも環をつくると、とても似た形になります。スクワレンには、ところどころ二重結合がありますが、コレステロールにはないのが大きな違いです。

スクワレン

スクワレン

ステロイド核には炭素番号がついています。

ステロイド核

ステロイド核

閉環が起こる前に、スクワレンはスクワレンエポキシダーゼによってスクワレン2,3-オキシドに変わります。酸素(O)が1個下の末端から2番目の炭素、3番目の炭素と結合しています。その部分は、赤色の線にしました。

さらに、この後、閉環が起きるときは、炭素番号14(C14)についているメチル基CH3が炭素番号13(C13)へ、また、炭素番号8(C8)についたメチル基CH3は炭素番号14(C14)へ転移されます。

見やすいように赤い破線の矢印をつけておきました。

スクワレン2,3-オキシド

スクワレン2,3-オキシド

酸化スクワレンラノステロールシクラーゼによって、上に書いたように閉環が起きます。また、図中一番下の末端から2番目と3番目についていた酸素(O)は、2番目の炭素から外れ、ヒドロキシ基として3番目の炭素とだけ結合します。

さらに、下から2番目の炭素は、下から数えて7番目の二重結合になっている炭素と結合します。二重結合はなくなります。

炭素番号8(C8)と炭素番号14(C14)が結合するため、炭素番号13(C13)と炭素番号14(C14)の二重結合はなくなります。

また、炭素番号13(C13)は右上の炭素と結合するため、その部分の二重結合もなくなります。

残る二重結合は、炭素番号8(C8)と炭素番号24(C24)の2ヶ所だけになります。

ラノステロール

ラノステロール

ラノステロールはコレステロールへ変換する

次は、ラノステロールが酸素(O2)と反応して、炭素番号14(C14)についていた破線部分のメチル基CH3が外れて、ギ酸(H-COOH)になります。

ラノステロールは、14-デスメチルラノステロールに変化します。

デスメチルとは、desmethylと書き、脱メチル化、脱メチル体という意味です。炭素番号14(C14)についていたメチル基がなくなったラノステロールという意味です。分かりやすい。

14-デスメチルラノステロール

14-デスメチルラノステロール

次に、炭素番号4(C4)についている2つのメチル基CH3が酸化されて二酸化炭素(CO2)となり、取り除かれ、チモステロールとなります。

チモステロール

チモステロール

その次に、チモステロールがイソメラーゼによって△7,24コレスタジエノールになります。

イソメラーゼとは、異性化酵素のことです。上で異性化については書きました。△7,24コレスタジエノールは、チモステロールの炭素番号8(C8)にあった二重結合が、炭素番号7(C7)に移動しただけです。

△7,24コレスタジエノール

△7,24コレスタジエノール

7,24コレスタジエノールは、デスモステロールになります。NADPHと酸素(O2)によってどんな反応が起きるのか分からなかったです。

変化は、炭素番号7(C7)の二重結合が、炭素番号5(C5)の二重結合に移動します。デスモステロールは別名、24-デヒドロコレステロールといいますが、この名称は分かりやすい。

炭素番号24(C24)がデヒドロ(水素をとられた)されたコレステロールです。上で紹介したステロイドには二重結合がありませんでしたが、コレステロールは、炭素番号5(C5)に二重結合があります。

デスモステロール

デスモステロール

そして、最後にコレステロールができます。△24レダクターゼというのは、炭素番号24(C24)を還元する酵素です。水素(H)をもらって二重結合がなくなります。

それで、コレステロールのできあがりです。

コレステロール

コレステロール

 

動脈硬化は食べた酸化脂質が原因で進むそうです

動脈硬化は、血液検査でLDLや中性脂肪の値が正常でもかなり進んでいることがあるそうです。しかも、それは食べ物に大きく影響されます。特に、肉や揚げ物をたくさん食べたり、大酒を飲んでいたり、いつも甘い物を食べていると早く進みます。しかし、食生活を改め、マクロファージを活発にするものを食べると、血管内のプラークを減らすことが可能だそうです。

私は、体によい油ならサラダにかけて食べていれば、健康に役に立つ。または、多少加熱してもオリーブオイルなら大丈夫だと思っていましたが、どうも、そうでもないみたいです。

ぜひこの本を読んでみてください

つい先日、いつものようにネットで調べ物をしていたら、真島康雄先生のサイトを発見して、動脈硬化の話を知り、早速、脳梗塞・心筋梗塞は予知できるを読みました。

これは、私にとても関係がある話だなと思って読みました。

さらに、こちらも2回読みました。かなり量が多いので読むのも大変ですが、読み始めると夢中になります。

[blogcard url=”http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/index.html”]

真島先生の話は、理論ではなく、食事指導とエコー(超音波)診断から得られた話なので、とても説得力があります。

一番参考になったのは、動脈硬化は改善できる話です。食生活の改善で、血管内のプラークを減らすことができるそうです。

ただし、油については考えを改めないといけないかもしれません。特に、植物油をサプリメント代わりに飲んだりしている人は、場合によっては考え方を変えなければいけないかもしれません。

動脈硬化は右鎖骨下動脈のプラークから分かった

真島先生は、もともと肝臓専門の医師で、エコー(超音波)診断を得意とされていました。

肝臓で診ていた患者さんが、心筋梗塞になり、たまたま思いついて最初の患者さんの頸動脈にプラークがたまっているだろうと見たところ、頸動脈には何もなく、それよりも下、右鎖骨下動脈にプラークがたくさんたまっていることを発見しました。

右鎖骨下動脈にプラークがたまる話は、それまで聞いたことがなかったので、他の検査もしてみました。LDL(悪玉コレステロール)は正常値、中性脂肪も正常で、肥満でもありませんでした。そこで、右鎖骨下動脈のプラークが心筋梗塞と関係があるのではないかと着想を得たのでした。

その後、今度は別な患者さんが脳梗塞になってしまったと聞かされ、その時にも頸動脈と右鎖骨下動脈のエコー検査をすると、やはり右鎖骨下動脈のプラークがたくさんたまっていました。

頸動脈に比べて、右鎖骨下動脈は血管が頸動脈よりも太く、カーブもしていて、さらに分岐もあるので、川の流れでいうとゴミがたまりやすいところだったのです。

現在は、頸動脈の分岐部分2ヶ所、頸動脈の直線部分2ヶ所、右鎖骨下動脈、腹部大動脈、大腿動脈2ヶ所の合計8ヶ所のエコー(超音波)を撮り、プラークを測定されています。

なぜプラークがたまるのか

脳梗塞・心筋梗塞は予知できるというタイトルの記事でも脳梗塞・心筋梗塞の完全予防法でも、いろいろな患者さんのタイプが紹介されています。

健康診断でいつも血液検査をやりますが、血糖値、総コレステロール、中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロールの値が正常で低くても、8ヶ所のエコー(超音波)をとると、プラークがたまっている人がいるそうです。

それはこんなタイプの人です。

・肉が大好き。
・揚げ物、油炒めなどコッテリした料理が好き。
・野菜をあまり食べない。
・大酒飲み。
・甘い物が好きで毎日お菓子を食べる。

エコー(超音波)をとる8ヶ所は、プラークが特にたまりやすい場所です。つまり、健康診断で血液検査の値が正常でも、すでにプラークがたまって動脈硬化が起こっていることが分かります。

もし、その場所でプラークがさらに大きくなり、血流に対して抵抗するので血管内皮が傷つくと血栓ができます。そして、その血栓が溶解しないで流れてしまうと、脳梗塞や心筋梗塞になってしまいます。

血液検査とプラークの関係も調べられています。

・LDL(悪玉コレステロール)が140以上の人はプラークが高くなる傾向がある。
・TG(中性脂肪)が200以上だとプラークが高くなる。
・HDLが40以下の低い人はプラークが高くなる。

たとえば熱を加えたコレステロールがよくない

動脈硬化の主原因は劣化・酸化した脂質です! 人類の進化と実例に学ぶでは、こんな実験を紹介されています。文中コレステロールは、LDLやHDLとは違い、純粋なコレステロールです。LDLやHDLはリボタンパクとよばれる、中性脂肪やコレステロールを運搬するための複合体です。

1998年にカリフォルニア大学から出された論文ですが、26羽のウサギを非加熱のピュアなコレステロールを餌として与えた群(対照群)、ピュアなコレステロールを100度8時間だけ加熱した後に餌として与えた群(劣化コレステロール群)に分けて12週間後に、大動脈の動脈硬化病変を調べたもので、劣化コレステロールが動脈硬化にどの程度関与しているかを調べたものです。

ウサギの体重に関しては記載がないようですが、カロリーは同じなので劣化コレステロール群でも対照群でも体重は同じと思います。

結果は、
1)劣化コレステロールの摂取は対照群に対して面積比で2倍も動脈硬化(大動脈のプラーク)に関与することを示した。
2)ピュアなコレステロールでも大動脈におけるプラーク面積比で50%も血管に脂が沈着する。
3)LDL値は劣化コレステロール群でも、対照群でもほぼ同値でした。

この論文は、Oxidized cholesterol in the diet accelerates the development of aortic atherosclerosis in cholesterol-fed rabbits.で要約が読め、フルテキストのリンクもついていました。

加熱されたコレステロールは、プラークになりやすく、加熱していないコレステロールも加熱したものの50%は血管に沈着する。その時に、LDLの値は変わらないのです。ちなみに食品でコレステロールが多いのは、卵黄です。

また、植物油についてもクリニックに来院されている患者さんの経過から、このような記事を書かれています。

ココナッツオイル・エゴマオイル・亜麻仁油(アマニ油)などの常用は血管プラークを悪化させる危険あり。
[blogcard url=”http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/column2/48.html”]

たとえば、テレビの影響でエゴマ油・ココナッツオイルを料理に使い始めたら頸動脈プラークが悪化した例など紹介されています。

運動してもプラークはなくならない

先生のサイトを読ませていただいて、ショックだったのは、運動してもプラークはなくならないということです。プラークも脂質だから燃えるのかと思っていたですが、酸化して使えないゴミみたいなものはなかなか排除できないそうです。掃除してくれるのは、異物だと認識して食べて分解するマクロファージなのだとか。

プラークが改善する人は、中性脂肪:TGが80以下の状態が持続する人達です、とも書かれていました。

運動ではなく、昔からある断食療法は一時的に食べない生活になるのでどうなんでしょう。

動脈硬化を改善するには

私は、健康診断で頸動脈のエコー(超音波)をとってもらったことがありましたが、その結果を覚えていないので、特に所見はなかったのだと思います。

しかし、自分にあてはまることが多いので、食事を変えようと思いました。ちなみに、プラークの高さが高い方は、先生から、別に薬も処方されるので、詳しくお知りになりたい方は、先生の本やサイトをよくお読みください。

脳梗塞・心筋梗塞にならない食べ方&プラークを低下させるための要件
[blogcard url=”http://majimaclinic22.webmedipr.jp/kanzenyobou/column1/29.html”]

だいたい、こんなことが書かれていました。

・フライはやめる。
・油は加熱して使わない。
・動物性蛋白は白身魚、鶏肉(皮なし)、豚肉(赤身:特にヒレ肉)、卵白などからとること。脂身は食べない。
・果物は糖度が低く、脂質が少ない、やや小さめのものを選ぶ。
・お菓子は洋菓子より和菓子。油脂を使っていないもの。
・生卵またはゆで卵は毎日1個まで。
・牛乳は飲まない方がよい。
・ヨーグルトは牛乳でなく豆乳でつくったもの。
・アルコールは、ビール換算で350cc/日までを目安とする。
・パンでなくごはん。脂質が入っていないフランスパンは別。
・カレーは油を使わず自作する。
・塩分はプラークと関係ない。
・魚は、青魚・白身・赤身に関係なく脂肪分の少ない魚を。脂肪が多いとプラークが増える。
・サラダのドレッシングは必ず、ノンオイル。
・海藻はマクロファージを活性化させる働きがあるフコイダンが含まれているので、なるべく食べる。

ブドウ糖を分解する解糖系から脂肪合成に必要なグリセリンを得る

糖から脂肪をつくる話です。魚の脂肪はオメガ3の脂肪酸EPAやDHAをたくさん含んでいますが、それは藻由来の脂肪酸だといわれています。藻は、光合成をしますが、光合成で作られるのはブドウ糖です。ブドウ糖はエネルギーをつくる燃料として使われますが、余れば脂肪として蓄えられます。脂肪は性能のよい燃料です。

つまり、藻がつくって蓄えた脂肪が、魚に受け継がれます。

藻が脂肪をつくるには、ブドウ糖が脂肪になるまでには、解糖系という経路をたどって、ピルビン酸まで分解され、さらにアセチルCoAになります。そして、アセチルCoAから脂肪酸が作られていきます。

解糖系は、炭素数6のブドウ糖から炭素数3のピルビン酸まで分解する過程だといえばその通りなのですが、順番に見ていくと得るところがあります。

脂肪は脂肪酸とグリセリンのエステルでした。グリセリンも炭素(C)、水素(H)、酸素(O)からできています。炭素を同化する手段は光合成しかありませんから、グリセリンも解糖系の反応の中からそのもとになる材料が得られます。

この記事では、解糖系について書きます。

解糖系の反応

解糖系は、細胞質ゾルで行われます。また、反応を進めるために酸素を必要としません。解糖系でもエネルギーであるATPをブドウ糖1分子につき2分子産生します。このため、無気呼吸とも呼ばれます。

ブドウ糖からスタートして、ピルビン酸までは10個の反応があります。ピルビン酸からはピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体によってアセチルCoAになります。

アセチルCoAから先は、脂肪酸の生合成反応があります。

まず、解糖系の一連の反応をご覧下さい。

解糖系の反応を知る目的は、脂肪酸ではなく、脂肪をつくるために必要なグリセリンをどうやって得るかということです。脂肪酸の生合成はアセチルCoAからですから、解糖系の反応はそれほど重要ではありません。

α-D-グルコースからα-D-グルコース6-リン酸

α-D-グルコースの6位にリン酸がつきます。このリン酸はATPのリン酸を1つグルコースの6位に結合させることになり、ATPはADPになります。最初にATPを使います。この時の酵素は、グルコキナーゼです。図の一番右は、リン酸を省略しないで書いたものです。

α-D-グルコース6リン酸

α-D-グルコース6リン酸

α-D-グルコース6-リン酸からD-フルクトース6-リン酸

次に酵素ホスホヘキソースイソメラーゼによって、リン酸はそのままでグルコースからD-フルクトースへと糖の部分が変化します。図の一番右は、リン酸を省略しないで書いたものです。

D-フルクトース6-リン酸

D-フルクトース6-リン酸

D-フルクトース6-リン酸からD-フルクトース1,6-2リン酸

酵素ホスホフルクトキナーゼによって、さらに1位にもリン酸が結合します。この時もATPからリン酸を受け取ります。ATPはADPになります。これでATPを2分子消費しました。図の一番右は、リン酸を省略しないで書いたものです。

D-フルクトース1,6-2リン酸

D-フルクトース1,6-2リン酸

D-フルクトース1,6-2リン酸からジヒドロキシアセトンリン酸/グリセルアルデヒド3-リン酸

酵素アルドラーゼの働きによって、D-フルクトース1,6-2リン酸は2つに分かれます。3位の炭素と4位の炭素の間の結合が切れます。この時、4位の炭素についていたOHのHだけが3位側に移動します。

DHAP02

グリセルアルデヒド3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸

こうして2つの物質ができます。

グリセルアルデヒド3-リン酸の3は、官能基であるアルデヒド(-CHO)から数えて3番目の炭素にリン酸が結合していることを示しています。もう一つは、ジヒドロキシアセトンリン酸です。

これら2つの物質は酵素の作用によって相互に変換することができます。

グリセルアルデヒド3-リン酸は、リン酸を取り込んで1,3 ビスホスホグリセリン酸に変化します。ビスは2を意味し、ホスホ(phospho)はリン酸を意味します。

ジヒドロキシアセトンリン酸は、グリセルアルデヒド3-リン酸が反応して無くなると、自分がグリセルアルデヒド3-リン酸になり、同じくリン酸を取り込んで1,3 ビスホスホグリセリン酸に変化します。

つまり、D-フルクトース1,6-2リン酸からグリセルアルデヒド3-リン酸が2分子できたことになります。

グリセルアルデヒド3-リン酸から2×1,3 ビスホスホグリセリン酸

そして、1,3 ビスホスホグリセリン酸も2分子できます。Piはリン酸のこと。H3PO4

1,3-ビスホスホグリセリン酸

1,3-ビスホスホグリセリン酸

2×1,3 ビスホスホグリセリン酸から2×3-ホスホグリセリン酸

2分子できた1,3 ビスホスホグリセリン酸は、リン酸を1つ切り離して、2分子の3-ホスホグリセリン酸になります。この時切り離されたリン酸は、ADPに取り込まれてATPになります。もちろん、2分子のATPができます。

3-ホスホグリセリン酸

3-ホスホグリセリン酸

2×3-ホスホグリセリン酸から2×2-ホスホグリセリン酸

2分子の3-ホスホグリセリン酸は、酵素によってリン酸の位置を上から2番目の炭素に移動させ、2分子の2-ホスホグリセリン酸となります。

2-ホスホグリセリン酸

2-ホスホグリセリン酸

2×2-ホスホグリセリン酸から2× ホスホエノールピルビン酸

次に、2分子の2-ホスホグリセリン酸はエノール化されて、2分子のホスホエノールピルビン酸になります。エノールとは、二重結合の炭素にOHがついたもの。オール(-ol)はアルコールを意味します。メタノール、エタノールなど。エネ(Ene)は不飽和炭化水素、つまり二重結合を表します。

ドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid)を分解して考えると、ドコサ (docosa)は「22」。ヘキサ (hexa)は「6」。エン酸(enoic acid)は不飽和のカルボン酸です。炭素数22で6個の不飽和炭素をもつカルボン酸という意味になります。

ホスホエノールピルビン酸は、ピルビン酸がエノール化されてエノールピルビン酸になったものにリン酸が結合した形をしていると考えるとよいです。

ホスホエノールピルビン酸

ホスホエノールピルビン酸

2× ホスホエノールピルビン酸から2× ピルビン酸

2分子のホスホエノールピルビン酸は、酵素の働きでリン酸を切り離して2分子のピルビン酸になります。この時切り離されたリン酸は、ADPに取り込まれて2分子のATPができます。ピルビン酸は、次にクエン酸回路に入ります。

ピルビン酸

ピルビン酸

グリセリンはジヒドロキシアセトンリン酸から

脂肪酸の生合成は、アセチルCoAから始まりますが、脂肪を合成するにはグリセリンが必要でした。そのグリセリンは、解糖系の4番目の反応でできるジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)がもとになります。

ジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)は、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼによってグリセロール3-リン酸になります。もう、ほとんどグリセリンですね。

グリセロール3-リン酸

グリセロール3-リン酸

グリセロール3-リン酸は、脂肪が完全に分解され、脂肪酸とグリセリンになった時、グリセリンがまた脂肪に戻るときの最初の反応でできる物質です。

グリセロール3-リン酸から、脂肪(トリグリセリド)に向かって反応が進んでいきます。

油の分子式や分子量は求められない

先日のこと、私が油のことばかり調べているので、友人から、オリーブオイルの分子式って何だっけ?と聞かれました。私ぐらいの年代になると、若い頃に勉強したことは、鮮明に覚えているところと、まったく覚えていないところがあります。

友人は、なかなか勉強ができた人なのですが、このていたらくです。いや、私も改めてこのように調べ続けていなければ同じようなことを考えたと思います。特に、調べ始めた頃、まだ知識があやふやな頃ならきっと同じような疑問をもったのではないかと思います。

この記事では、それを説明しておきましょう。

油は混合物である

油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよでも書きましたが、油は、グリセリンと3本の脂肪酸がエステル結合したものです。

図で説明しましょう。グリセリンと3本の脂肪酸が反応するところです。これは脂肪の一例です。脂肪酸にはいろいろな種類があります。植物油なら植物油に入っている脂肪酸7つの構造式を読んでいただければ、構成する脂肪酸について知っていただけると思います。いろいろな組み合わせがあります。

図中、真ん中に一価不飽和脂肪酸のオレイン酸がありますが、不飽和脂肪酸はグリセリンの2位(真ん中)に結合するのは、決まりみたいです。

パルミチン酸(C16:0)は炭素数16で二重結合数0の飽和脂肪酸です。オレイン酸(C18:1)は炭素数18で二重結合が1個ある不飽和脂肪酸です。ステアリン酸(C18:0)は炭素数18で二重結合数0の飽和脂肪酸です。

図中、赤く囲っている部分、グリセリンの-OHと脂肪酸の-Hが結合して水(H2O)となって外れます。

グリセリンと脂肪酸の反応

グリセリンと脂肪酸の反応

これができた脂肪の図です。

脂肪

脂肪

もし、オリーブオイルが100%この構造式で表すことができる脂肪でできているなら、この構造式がオリーブオイルですといえます。そして、CとHとOの数を数えれば分子式が書け、C=12、H=1、O=16で計算していけば、分子量も求められます。

しかし、それができないのは、オリーブオイルの脂肪は、この組み合わせだけではないからです。

オリーブオイルの脂肪酸組成

オリーブオイルの脂肪酸組成は、下表のようになります。オリーブオイルの油を構成する脂肪酸は、5種類あるということですね。

オリーブオイル100gあたり脂肪酸組成(g)出典
パルミチン酸(C16:0)P 9.8(g)
ステアリン酸(C18:0)S 2.9(g)
オレイン酸(C18:1)O 73(g)
リノール酸(C18:2)L 6.6(g)
α-リノレン酸(C18:3)T 0.6(g)

ここから先は数学の問題です。5種類の脂肪酸を3個並べるのですが、上の図のような組み合わせがあるとします。

1位:パルミチン酸
2位:オレイン酸
3位:ステアリン酸

しかし、これを上下ひっくり返すと。

1位:ステアリン酸
2位:オレイン酸
3位:パルミチン酸

結局同じものになります。すると、5種類の脂肪酸を3個並べる場合、円順列を求めれば並べ方の総数が分かりますね。4×3×2=24(通り)の並べ方が考えられます。

ところが、自然物は実際にはそんなことにならないのです。

オリーブオイルのトリグリセリド組成

油に関する本を読むと、たいてい脂肪酸組成は出ていますが、脂肪の構成まで書いてあることは少ないです。食用油脂―その利用と油脂食品には一例が出ていました。

もう一度、上の表を見てください。パルミチン酸はP、ステアリン酸はS、オレイン酸はO、リノール酸はL、α-リノレン酸はTと頭文字を振ってあります。

LLOは、1位リノール酸、2位リノール酸、3位オレイン酸もしくは、1位オレイン酸、2位リノール酸、3位リノール酸のことです。

オリーブオイルの脂肪酸は5種類あり、そこから3個並べる並べ方は、計算上は24通りありましたが、実際のところ(これも一例ですが)は、表にある通り9種類でした。

オリーブオイルのトリグリセリド組成%
LLO 2.4
TOO,LLP 2.6
LOO 13.3
LOP,PLP 8.0
OOO 39.9
SOO 5.1
SOP 1.0

また、トリグリセリド組成の数字を足しても82.9%にしかなりません。これは、トリグリセリドの他に、グリセリンに脂肪酸が2本ついたジグリセリド、グリセリンに脂肪酸が1本ついたモノグリセリドもあることと、グリセリンと結合しない遊離脂肪酸もあるからです。

このように、オリーブオイルは、いくつもの物質が混合して出来上がっています。そのために、分子式でも、構造式でも書き表すことができず、分子量も計算できません。

まとめ

オリーブオイルに限らず大豆油でもゴマ油でも亜麻仁油でも、油脂は、同じ理由で分子式も構造式も書けません。もちろん、分子量も計算できません。

ただし、油を構成する脂肪酸は分子式も構造式もあります。それぞれの特徴も分かっています。油脂の性質を知るために脂肪酸組成を知るのは、高い比率を占める脂肪酸の特徴が反映されるからです。

脂肪を燃焼させるならオメガ3をとってオメガ6を制限して運動すること

毎日オメガ3の油を飲んでいるとダイエットできるなんて都合のよいことはありませんが、オメガ3の脂肪酸は燃えやすいらしいです。以前、EPA・DHA、α-リノレン酸は優先的にエネルギーに変わるという記事を書きました。

しかし、実際のところはどうなのか知りたいと思っていました。使う油を全部オメガ3の油にすると実際に運動したときによく燃えてくれるのでしょうか?

この記事ではそのことについて書きます。

エネルギー源として脂肪を燃焼しながら運動したい

今回は、4週間の n-3系多価不飽和脂肪酸摂取が運動時の脂質代謝に及ぼす影響という論文を読ませていただきました。

運動するときは、優先的に糖がエネルギーとして使われます。しかし、肝臓や筋肉にためた糖であるグリコーゲンはフルマラソンを走る切るまでは持たないそうです。そこで、この論文では、運動時に脂質代謝能力が高まれば、長時間持久力を維持することができるのではないかと考え、4週間n-3系多価不飽和脂肪酸を摂取すると、脂質代謝能力が上がるという仮説を立てて実験しました。

この論文は、競技者のために書かれたようですが、運動してダイエットする人たちに役に立つのは、運動中に脂質代謝能力が上がるかどうかということです。もし、脂質代謝能力が上がるなら、お腹についた脂肪が燃焼してくれるようになります。

以前、脂肪は寝ていても運動していても使われているを書いた時に、運動中は運動強度が上がるにつれ、脂肪が使われにくくなることを知りました。一般的傾向として、運動中は脂肪は燃焼しにくいのです。

実験の概要

行われた実験をざっくり説明します。13人の男子大学生に対して最初に最大酸素摂取量を測定し、有酸素運動能力を調べます。これは私も学生の時にやったことがありますが、とても苦しいです。

そして、有酸素運動能力の高い方から交互に、n-3(オメガ3)系脂肪酸を摂取する群6人と、オリーブオイルを摂取する対照群7人の2つにグループ分けをしました。

n-3系脂肪酸として魚油6 g/日(EPA:1,700 mg、 DHA:2,250 mg、60 kcal)がカプセルで与えられ、対照群では、オリーブオイル6 g/日(55 kcal)を、カプセルで与えられました。これを4週間続けます。

魚油とオリーブオイルを飲み始める前と後に、運動します。つまり使用前使用後の違いを比較するためにデータを取るのです。

運動は2種類ありました。まず、エルゴメーター(自転車漕ぎの機械)を使って各人の最大酸素摂取量に対して、65%に相当する強度での60分間のペダリング運動を行いました。これは有酸素運動能力に差がある各人へ、相対的に同じ強度の運動をしてもらったということです。2分間の休憩後、次に5キロのタイムトライアルも行われました。こちらは全力疾走になります。

このとき、運動開始から15、30、45、60分の合計4回の時点で血液を採取しました。また、実験時はマスクを装着しているのでVO2(酸素摂取量)、VCO2(二酸化炭素産生量)、VE(換気量)、RER(呼吸交換比)が測定されました。

RER(呼吸交換比)とは

酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の体積比のことです。

例えば、ブドウ糖を燃焼させるときは、次のような化学反応式になります。

C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O+エネルギー

ブドウ糖1モルを燃焼させるのに、酸素分子(O2)6モル、できてくる二酸化炭素(CO2)は6モルなので、6/6=1になります。

では、3本の脂肪酸がすべてパルミチン酸だとして、中性脂肪(TG)を燃焼させるときは、次のような化学反応式になります。

2C51H98O6+145O2→102CO2+ 98H2O+エネルギー

3本の脂肪酸がすべてパルミチン酸の中性脂肪を1モル燃焼させるには、酸素分子(O2)145モル、できてくる二酸化炭素(CO2)は102モルなので、102/145=0.703になります。

このように一般に脂肪を燃焼させると、呼吸交換比はブドウ糖の場合より小さくなります。

実験の結果

実験の結果、 4週間n-3系(オメガ3)脂肪酸を摂取していると、60分間のペダリング運動時の血清で測定された遊離脂肪酸とグリセリン濃度の増加を亢進させることがわかりました。また、RER(呼吸交換比)を低下させることもわかりました。

これらは、長時間運動する時に、脂肪分解と脂肪利用が増えていることを示唆しています。

また、n-3系脂肪酸を与えた群では、4週経過後に安静時のRER(呼吸交換比)が低下する傾向がみられました。もともと安静時には脂肪が燃焼されるのですが、使用前、つまりn-3系脂肪酸を毎日飲むようになる前に比べて、より多く脂肪が使われるようになったことを意味します。

また、本文で引用されている実験例では、こんなことが書かれています。

健常な男女17名を対象に、EPAおよびDHAの摂取に加えてn-6系脂肪酸の摂取を控え,n-3/n-6比を上昇させる栄養介入を10週間実施した研究では,血中アディポネクチン濃度の増加が認められた.アディポネクチンは血中濃度が肥満度と負の相関を示すアディポサイトカインであり,脂質代謝と密接に関わっている.本研究では,アディポネクチンの測定は行っていないが,n-3 PUFA群でみられた安静時および運動時の脂質代謝の亢進には,アディポネクチン濃度の上昇が関与しているかもしれない.

アディポネクチン

アディポネクチンは、脂肪の燃焼や糖の取り込みを促進するホルモン様の物質。小型の脂肪細胞から多く分泌され、脂肪細胞が大きくなると分泌が低下するとされる。肥満や糖尿病との関連が注目されている。(出典

文中、アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質を総称していいます。

つまり、n-6(オメガ6)系脂肪酸の摂取を控えてn-3/n-6比を上昇さ せるようにn-3系脂肪酸をとるようにすると、アディポネクチンの濃度が上がり、脂肪を燃焼させる働きが強くなるということでしょうか。

この実験でもn-6系脂肪酸の摂取を控えるよう に指示をしたので、その結果、実験前と後でn-3/n-6比は約5倍になったそうです。

まとめ

この論文を読むと、まず、オリーブオイルが対照群になっているので、オリーブオイルはよりよく脂肪を燃焼させるためには役に立たないことが分かりました。

そして、オメガ3とはいっても実験に使われたのはEPAとDHAを含んだ魚油でした。植物油のオメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸ですが、この実験と同様の結果が得られるかどうかは分かりません。ただ、α-リノレン酸は変換率は高くはないですが、体の中でEPAとDHAに変わっていくので効果は期待できます。

さらに効果を期待するには、オメガ3のα-リノレン酸が主成分の油をとり、オメガ6、リノール酸を意識してとらないようにすることです。リノール酸を減らすのはなかなかむずかしいです。納豆を100g食べると、5g程度入っています。オメガ6リノール酸がたくさん入っている食品はこれだをご覧下さい。

また、リノール酸が豊富な大豆油は安くていろいろなものに使われています。

市販のマヨネーズやドレッシングを使わない。クリームなど脂肪分の多いお菓子を食べない。お店で揚げ物を食べない。揚げ物を買ってこない・・・。などなど決意が必要です。

そして、なにより運動することが必要です。