油と脂と脂肪ってどうちがうか分かりますか?

油は常温で液体で、由来が基本的に植物です。一方、脂は由来が動物です。しかし、まとめれば「油脂」と表すことができ、化学で使うなら脂肪ということばを使います。脂肪の構造は化学では決まっています。

脂肪

「油」っていろんな書き方呼び方がある

「あぶら」って聞くと、まず、「油」という漢字が頭に浮かびます。「脂」は?やはり、あぶらと読みます。

油と脂はどうちがうのでしょう?「油脂」ということばもあります。油と脂と油脂の違いはどんなことでしょう?油と似ていることばに「脂肪」があります。

「あぶら」「油」「脂」「油脂」「脂肪」ぜんぶまとめて説明しましょう。

油脂とはあぶらの総称です

漢字の書き取りで、「あぶら」と出題されたら、「油」でも「脂」でも正解です。

油(あぶら)と脂(あぶら)の区別はこれから説明しますが、油(あぶら)と脂(あぶら)を合わせた呼び方、総称が、油脂(ゆし)です。油脂といえば、油(あぶら)のことも脂(あぶら)のことも指しています。

油は常温で液体のもの

油は常温で液体のものをいいます。

サラダ油、オリーブオイル、ごま油、菜種油・・・は油ですね。植物を原料としたものはみな油です。

魚の油は魚油です。魚の油は常温では固まらない融点が低い油です。

油は植物性

しかし、常温で液体ではない油もあります。

パーム油(アブラヤシ)やココアやチョコレートの原料になるカカオバターは常温では固体ですが、油と呼びます。もちろん、これらは植物性の油です。

植物性のものはすべて油、魚の油も油。その他に常温で液体のものを油と呼びます。

脂は動物性のもの

ラード、バターは脂です。脂(あぶら)には、動物を表す肉月(にくづき)がついていますから、もともとは、ラード(豚脂)やバターなど動物性の脂のことを指していたのでしょう。動物性である。これが一番の特徴です。

植物性の油で、脂と書くものはありません。

魚の油は、魚油(ぎょゆ)と書いて油を使いますが、「あぶらがのったサンマを食べる」は「油がのったサンマを食べる」ではなく、「脂がのったサンマを食べる」と書きますね。この場合は、油とは書きません。微妙に使い分けています。

顔に浮いてくるアブラも固体ではないですが、脂です。脂汗なんてことばもありますね。

脂は動物性であると覚えておいてください。

脂肪とは油脂と同じことを意味しています

脂肪と聞くと、太った人を思い浮かべたり、肉の脂身のことを思い浮かべたりすると思います。そのせいか、動物性の脂をイメージしますが、実は、脂肪は、油脂と同じ意味のことばです。つまり、油と脂のことを指しています。

もう少し、深く説明しましょう。

油脂は、油と脂の総称でした。油と脂を2文字並べてあるので分かりやすいですね。「油と脂のことをまとめて油脂といいます」と説明されると分かりやすいですね。

一方、脂肪は、一般的に使われることばですが、どちらかというと化学で使われることばで、物質名を表しています。つまり、物質として決まった構造があるのです。油も、脂も同じような構造をもち、それらをまとめて脂肪と呼んでいるのです。

脂肪は油脂であり、油であり、脂でもあります。

化学で決められた脂肪の構造

脂肪は、高校生の化学の教科書にでてきます。脂肪は化学でも使われることばです。つまり、化学式で表すことができます。

下図を見ていただければお分かりの通り、脂肪(下図では油脂)は一般式ですが化学式で表されます。脂肪酸にいくつも種類があるので一般式になります。

化学では、油と脂の区別はありません。

詳しくは油の構造を知ろうをお読みください。化学での脂肪(油脂)の定義は、グリセリンと3本の脂肪酸のエステルのことをいいます。

単純に脂肪の構造を書くとこのようになります。トリグリセリド(TG)ともいわれます。健康診断の血液検査で、必ず測定されます。中性脂肪のことです。

脂肪酸

油と脂の違いは、常温で固体かどうかですが、化学で考えると単に融点の違いになります。由来が植物でも動物でも区別がありません。同じ脂肪です。融点の違いは、脂肪を構成する3本の脂肪酸の性質によります。

脂肪は脂質の一つ

ところで、余談ですが、脂肪と似たことばに脂質があります。同じものかなと思いますが、実は違います。違いは分かりますか?

以前、私も以前、脂質=脂肪と間違って認識していたのですが、脂質の方が脂肪より大きなことばで、脂質の一つが脂肪です。

脂質は脂肪と同じものではないに詳しく書きました。

脂質は脂肪と同じものではない
脂質=脂肪ではありません。脂質は細胞や組織にある「水に溶けない」ものであり、脂質の一つが脂肪です。脂肪は油のこと。脂肪は脂質に含まれます。コレステロールも脂質です。脂質は他にいくつもあります。

NOTE

油と脂、油脂は、みんな同じものです。

油脂は化学では脂肪と呼ばれます。化学では物質は化学式で表されますから、混ざり物のない純粋な油が脂肪と呼ばれます。

油と脂は見た目から別なものだと思えるのですが、化学式で表されるように、グリセリンと3本の脂肪酸からできているという意味で、同じ物質です。脂肪酸はそれぞれ違うものが結合します。

そして、結合している脂肪酸によって油の性質が変わります。

その他のことは、油について最初に知っておきたいことをお読み下さい。

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