油の構造が分かると血液検査の中性脂肪がわかるよ

若い頃やせている人でも30歳を過ぎるとだんだん太ってきますね。特に、男性は結婚すると途端に太る人が多いです。おいしいものを毎日食べさせてもらえるからでしょう。

しかし、肥満してくると、毎年の健康診断で血液検査の中性脂肪の数値が気になってくるものです。健康診断の後にもらうシートには「TG」と書かれています。TGとはトリグリセリドのことです。

血液検査

ところで、中性脂肪はどんなものかご存知ですか?「中性」とついているから脂肪とは少しちがうものなのかと思います。ところが、実は、中性脂肪はいわゆる脂肪と同じものなのです。

もしあなたが太ってきて中性脂肪を気にしているなら、この記事を最後までお読みいただければ、揚げ物や油っこい料理を食べるのを控えようと思うようになります。

脂肪は分解されてもすぐに脂肪にもどる

脂肪は消化されてどうなるか覚えていますか?私の年代だと、小学校、中学校、高校では生物を選択したので同じように習いました。

「脂肪は、消化酵素リパーゼによって脂肪酸とグリセリンに分解される」

ただし、そこから先、分解された後どうなるのか知らなかったのです。そして脂肪酸とは何か50過ぎまで知りませんでした。グリセリンはアルコールの仲間で化粧品に使われるらしいことは知っていました。全く学校の勉強は断片的で、自分がその気にならないときちんと知ることができないのです。

ところで、こんなことを知ってしまったらどうでしょう?

私が中学生の時に使っていた理科の教科書は啓林館のものでした。懐かしい啓林館のサイト、現在の株式会社新興出版社啓林館のサイトには、こんなことが書かれていました。

文部科学省からの検定意見により,平成24年度用教科書では,「脂肪は脂肪酸とモノグリセリドに分解される」となりました。

モノグリセリド(別名:モノアシルグリセロール)は,グリセリン1分子に脂肪酸1分子がくっついた状態のものになります。つまり,モノグリセリドとグリセリンの違いは,脂肪酸1分子の有無です。

今までの教科書では,モノグリセリドは,モノアシルグリセロールリパーゼによって,グリセリンと脂肪酸までさらに分解が進むという考えでしたが,近年の研究により,そこまで反応が進むことはないことがわかってきています。

小腸粘膜では,グリセリンまで分解されるより先に,脂肪が再合成されてしまうようです。出典 赤文字は筆者による)

脂肪はまた脂肪に戻ってしまうのです。

炭水化物は消化されてブドウ糖になり、燃やされてエネルギーになる。
たんぱく質は、消化されてアミノ酸になり、体をつくる。

炭水化物やたんぱく質については何となく覚えていましたが、脂肪は消化されてもすぐに脂肪に戻ってしまうのです。

夕食に天ぷらを食べて、明日走って落とせばいいやと思っていても、天ぷらの油は、その後完全に分解されずに体の中でまた脂肪になっていくのでした・・・。

脂肪の構造はグリセリンと脂肪酸のエステル

ウイキペディアで脂肪について調べると、こんな風に書いてあります。油脂(ゆし)とは脂肪酸とグリセリンとのエステルで普通はトリグリセリドの形態を取るもの。(出典

ちなみに、油脂は、油と脂肪の総称です。詳しくは、油と脂と脂肪と脂質ってどうちがうか分かりますか?をお読みください。

グリセリン

グリセリンは、3価のアルコールです。
お酒の主成分のアルコールは、エタノールです。
グリセリンは、(-OH)基を3つ持つ3価のアルコールです。
アルコールは必ず(-OH)基を持っています。ちなみにエタノールは1つだけです。
グリセリンの構造式はこのようになります。

glycerine

脂肪酸

脂肪酸とは、炭化水素の端にカルボキシル基(−COOH)がついたものをいいます。下図を見ていただくとお分かりの通り、とても単純な構造です。

炭化水素の鎖の長さと炭素(C)同士の二重結合があるのかどうかが違いです。短いものならお酢の主成分である酢酸も脂肪酸です。長くなると、α-リノレン酸、リノール酸、サプリメントでよく見るEPAやDHAもみんな脂肪酸です。

炭素数2-4個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)
5-12個のものを中鎖脂肪酸
12個以上の炭素数のものを長鎖脂肪酸(高級脂肪酸)と呼びます。

中鎖脂肪酸って、テレビのコマーシャルで時々耳にしますね。

脂肪酸といっても、文字だけ見ているとわかりにくいですが、構造式を見るとわかりやすいです。
ためしに、脂肪酸の中の1つパルミチン酸を書いてみましょう。

パルミチン酸

パルミチン酸

ちなみにパルミチン酸は、炭素(C)が16個並んだ長鎖脂肪酸です。
数えてみてください。そして、左端にカルボキシル基(-COOH)がついています。もっと省略した形があり、こちらの方が一般的です。上の図も下の図も同じパルミチン酸です。

短鎖、中鎖、長鎖と脂肪酸に種類があるのは、上図のように炭素(C)がずらっと横に並んでいるのが鎖のようなもので、短、中、長はその長さのことを表しているのです。

16個の炭素には結合するための腕が4本あるのですが、2本は隣にある炭素(C)とつながり、もう2本の腕にはそれぞれ水素(H)がついています。これが、炭化水素の意味です。

パルミチン酸

パルミチン酸

エステル

エステルというのは、脂肪酸のカルボキシル基(−COOH)のH(水素)とグリセリンの(-OH)基が反応して、水(H2O)ができて外れます。この反応のことをいいます。

下記の図では、脂肪酸のカルボキシル基(−COOH)以外をRとして省略した書き方をしています。Rは同一の脂肪酸である必要はありません。

さあ、反応図を見てみましょう。

これが基本なのですが、こうやって見ると、分かりにくいですね。

エステルの実際

では、具体的に油脂の反応を載せましょう。他の記事でも使っていますがココアの油脂、ココアバターの反応です。グリセリンにそれぞれ炭素数と二重結合の数が違う脂肪酸が3本結合します。

ココアバターの組成

ココアバターの組成

破線で囲んだ-OHと-Hは結合して水H2Oになり離れます。図中の線の太さの違いや微妙な形の崩れは許してください。うまく作図できなかっただけです。

ココアバターの組成

ココアバターの組成

グリセリンの3つの(-OH)基に対して、3つとも高級脂肪酸がエステル反応して水を出しながら結合しました。

グリセリンと脂肪酸がエステル反応したものを、グリセリドといいます。グリセリドには種類があります。

グリセリンの3つの(-OH)基に対して、脂肪酸が1つ反応したものは、モノ・グリセリド。
グリセリンの3つの(-OH)基に対して、脂肪酸が2つ反応したものは、・グリセリド。
グリセリンの3つの(-OH)基に対して、脂肪酸が3つ反応したものは、トリ・グリセリド。

脂肪酸は酸性

カルボキシル基(−COOH)は、酸性です。お酢が酸性なのは小学校の家庭科でも習うと思います。お酢の主成分酢酸の示性式は、CH3COOHです。

お酢(酢酸)の酸性は、カルボキシル基(−COOH)によるものです。脂肪酸のカルボキシル基(−COOH)のHは、グリセリンの(-OH)基と反応して、水となったので中性になりました。

それで中性脂肪と呼ばれています。
健康診断のシートに書かれている中性脂肪はトリグリセリド、すなわちTGのことでした。

脂肪はなかなか落ちない

今日はたくさん天ぷらを食べたけど、明日、運動するからいいや。その考えは甘い。天ぷらについている油は、体の中に入るときにまた、脂肪に再合成されます。

そして、運動する日の今日、ごはんを食べているなら、炭水化物がブドウ糖に分解されて、優先的にエネルギーとして使われます。

昨日食べた天ぷらの油は、また脂肪となって血液中を流れていくのです。それが、血液検査で測定されるとTG(トリグリセリド)の数値として記録されます。

脂肪はからだにつきやすい。やはり、太らないようにするためには油の量を考えなければならないようです。

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