油の摂り過ぎが気になる人は、えごまの乾燥させた実を買ってきて、炒ってから擦る、「すりごま」を使う方法があります。
すりごまは固形物なので、液体に比べると、食べる時に絶対量が少なくて済みます。
乾燥させたえごまの実は種です。生き物なので生命があり、長く日持ちしますよ。
病気を寄せつけない腸寿食を読んでいたら面白いことが書かれていました。この本は、カイチュウ博士藤田紘一郎先生と料理研究家魚柄仁之助さんの共著で、知識となる部分を先生が語り、それに合わせた料理を魚柄仁之助さんが提案するという内容です。私は魚柄さんの本が好きで、今までの本はほぼすべて読んでいます。
その中に無理のないオメガ3系脂肪酸の摂り方という記事があり、「α-リノレン酸油はエゴマをすって」とサブタイトルがついていました。読んでいくとさすが魚柄さんだなという記事でした。つまみ食いになりますが、ちょっとご紹介しましょう。
n-3 系(オメガ3)脂肪酸の1日の目安量は2g
n-3 系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)は、目安量が定められていて12歳以上の男性で、2.0~2.4g/日です。12歳以上の女性では、1.8~2.0g/日です。
目安量について、厚労省の日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要では次のように説明されています。
十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合は、「目安量」(adequate intake:AI)を設定した。一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
消極的な書き方ですが、不足することはないというのが大事なところです。だいたい1日2gとっていれば不足することはないということです。
エゴマの実を擦ってすりゴマとして使う
魚柄さんが提案しているのは、エゴマ油を使うのでなく、エゴマの実を煎ってすり鉢ですってエゴマのすりゴマとして食べることです。
すり鉢ですったエゴマを小さなビンに入れておいて、ゆで野菜にたっぷり振りかけて毎日使っていれば、よいらしいです。魚柄さんは、すりエゴマを使うと、液体の油よりもカロリーが低いのに、味やコクがあることが分かるよと書かれていますが、確かに普通のゴマの場合も、煎ってすったものは香りや味がよいことを思い出しました。
さらにこんな練りゴマも。
すりたてのエゴマに同量の味噌とごく少量のみりんを加えて練りゴマにしてみましょ。まさに万能の味噌、病みつきになること間違いなしっ!
ちなみに、この方法は、煎りエゴマでなく乾燥させたエゴマの実を買うのが大切なことですよ。後で説明しますから。
エゴマの実を通販で買う
今は何でもネットを使って通販で買えます。ただ、以前と比べてどうかなと思うのは、価格が割高な場合があります。
それで、私は、例えばアメ横や食品問屋があるところまでの交通費と比較してどこで買うか決めています。最近は、もう一つ、近くにある乾物屋さんに通って聞いています。まとめ買いをすると品物によっては安くしてくれることがあります。
アマゾンで調べてみると、国産、飛騨の乾燥えごまがありました。「生実」と書いてあるのは、乾燥に決まっています。炒ってあるのと区別しているのです。
後は、お店に実際に行って聞いてみたり、是非、安いところを探してください。
エゴマの実の脂肪酸組成
エゴマの実(乾燥)の成分分析と脂肪酸組成を調べてみました。
エネルギー | 544 kcal |
水分 | 5.6 g |
たんぱく質 | 17.7 g |
脂質 | 43.4 g |
炭水化物 | 29.4 g |
灰分 | 3.9 g |
脂肪酸総量 | 38.79 g |
パルミチン酸(C:16:0) | 2.3 g |
ステアリン酸(C:18:0) | 0.94 g |
オレイン酸(C:18:1) | 6.4 g |
リノール酸(C:18:2) | 5.1 g |
α-リノレン酸(C:18:3) | 24.0 g |
成分分析表を見ると、エゴマの実をすりゴマにしてサラダにかけたり温野菜にかけてもカロリーが大きくなることもなく、リノール酸の量が増えることはないですね。
エゴマの実100gにα-リノレン酸が24gはいっています。1日の目安量である2gとるには、100/12=8.333ですから、8g程度すりゴマを食べればよいことになります。リノール酸は8gのすりゴマに、0.4g程度しか入っていません。カロリーは43kcalくらいです。
乾燥させたエゴマの実は保存性がよい
乾燥させたエゴマの実は、エゴマの種です。種は発芽して育ちます。生き物です。
しかし、煎ったエゴマはもう発芽しません。ただし、煎った直後は抗酸化性は保たれているようです。生きている魚は(当たり前ですが)腐らないですが、死んだ魚はすぐに腐り始めます。
玄米は発芽しますが、白米が発芽しないのと同じです。玄米は発芽しますからね。皿に脱脂綿を敷いて、水を含ませて玄米を置いておくと、やがて発芽して芽が伸びて緑色になり、かなり伸びます。
エゴマの実を買うときは、煎っていない乾燥させただけのエゴマを買って下さい。
酸化しにくく、2年は保存できます。種のもつ力はすごいです。
エゴマを焙煎する方法
ところで、エゴマの実を煎るのはどんな風にやったらよいのでしょう?エゴマの成分と加工利用時の成分変動を読ませていただいたら、オーブンレンジを使用し、180℃では5分間の加熱で良好な結果が得られ、200℃では5分間で焙煎過多となり、こげ臭を感じたとありました。
実際には、フライパンでやる方が多いと思います。弱火で焦げない程度にパチパチいいはじめたら火を止めて味をみれば失敗しないと思います。
また、エゴマを加熱すると、酸化してしまうのではないかと思いますが、焙煎する程度のことは大丈夫みたいです。
次に、種子の焙煎前後でのビタミン、ポリフェノール、 脂質含量の変化を比較した結果、どれも焙煎前の値が保 持されており、これらの成分は焙煎の影響を受けないこ とが明らかとなった。
煎ったエゴマをするにはすり鉢とすりこぎでもよいですが、たとえば、京セラ セラミックミル (ゴマ専用)のようなごますり器があると便利です。こういうのは意外とドンキホーテのようなお店に行くと安く売っています。
まとめ
油の摂り過ぎが気になる人には、すりごまを使うという手があります。ごまは風味がよく、食べると油のこくが加わるので、満足感があります。
えごまの実も炒って擦れば香りがよい「すりごま」になります。しかも、固形物なので、液体に比べると、食べる時に絶対量が少なくて済みます。
そして、えごまの実が、炒ってない、乾燥させただけなら、それは種ですから、生命があり、長く日持ちします。
その他の植物性食品については、農産物の中にどのくらいオメガ3脂肪酸が含まれているかをご覧下さい。