豆とオメガ3の脂肪酸

豆類の中で、大豆だけは脂質が多いです。オメガ3の脂肪酸はそこそこありますが、オメガ6のリノール酸の方がずっと多いです。それ以外の豆は、オメガ3の脂肪酸を含めた脂質が少なく、炭水化物が一番多いことが特徴です。

豆

豆類にどのくらいオメガ3の脂肪酸があるか

豆(マメ)類にオメガ3脂肪酸はどのくらいあるかなと思いました。大豆に比較的多いのはよく知られていますが、大豆は、オメガ3の脂肪酸よりもずっとオメガ6のリノール酸の方が多いです。他の豆はどうなんでしょう?

早速、日本食品標準成分表2015年版(七訂)から調べました。

大豆がダントツでそれ以外は「ない」に等しい

豆類の中で調べていくと大豆の加工品ばかり出て来ます。それではつまらないので、ベスト100位まで調べました。大豆はダントツで、乾燥させただけの大豆でも100gあたり1.5g以上あります。

それ以外に出て来た豆は、そらまめ、えんどう、いんげんまめ、べにばないんげん、ささげ、ひよこまめ、らいまめ、つるあずき、りょくとう、あずき、レンズまめの、たった10種類しかありません。

しかも、油で揚げた豆でなく、39位に乾燥豆で最初に出てくるいんげんまめは、100gあたり0.59gしかなく、他の豆はもっと少ないです。

11種類の豆は、それぞれ最初にでてきたところで黄色いマーカーを引いておきました。

n-3系 多価不飽和脂肪酸 : 豆類
順位 食品名 成分量
100gあたり
g
1 だいず/凍り豆腐/乾 2.49
2 だいず/油揚げ/生 2.26
3 だいず/湯葉/干し/乾 2.18
4 だいず/油揚げ/油抜き焼き 2.08
5 だいず/きな粉/全粒大豆/黄大豆 2.02
6 だいず/きな粉/全粒大豆/青大豆 2
7 だいず/全粒/中国産/黄大豆/乾 1.96
7 だいず/きな粉/脱皮大豆/黄大豆 1.96
9 だいず/きな粉/脱皮大豆/青大豆 1.88
10 だいず/いり大豆/青大豆 1.81
11 だいず/いり大豆/黒大豆 1.7
12 だいず/全粒/米国産/黄大豆/乾 1.66
13 だいず/いり大豆/黄大豆 1.65
14 だいず/全粒/国産/黒大豆乾 1.59
15 だいず/油揚げ/油抜き生 1.56
16 だいず/全粒/国産/黄大豆/乾 1.54
17 だいず/全粒/国産/青大豆/乾 1.51
18 そらまめ/フライビーンズ 1.46
19 だいず/ろくじょう豆腐 1.36
20 だいず/がんもどき 1.24
21 だいず/全粒/ブラジル産/黄大豆/乾 1.2
22 だいず/おから/乾燥 1.07
23 だいず/油揚げ/油抜きゆで 0.94
24 だいず/湯葉/生 0.91
25 だいず/全粒/国産/黒大豆ゆで 0.83
26 だいず/生揚げ 0.79
27 だいず/蒸し大豆/黄大豆 0.77
27 だいず/全粒/国産/黄大豆/ゆで 0.77
29 えんどう/グリーンピース(揚げ豆) 0.76
30 だいず/油揚げ/甘煮 0.75
31 だいず/ぶどう豆 0.74
32 だいず/テンペ 0.72
33 だいず/五斗納豆 0.7
33 だいず/湯葉/干し湯戻し 0.7
35 だいず/糸引き納豆 0.67
35 だいず/挽きわり納豆 0.67
37 だいず/全粒/国産/青大豆ゆで 0.66
38 だいず/寺納豆 0.6
39 いんげんまめ/全粒乾 0.59
40 だいず/豆腐よう 0.55
41 だいず/水煮缶詰/黄大豆 0.52
42 だいず/凍り豆腐/水煮 0.51
43 だいず/沖縄豆腐 0.45
44 だいず/豆腐竹輪/焼き 0.38
45 だいず/焼き豆腐 0.36
46 べにばないんげん/全粒乾 0.35
46 だいず/豆腐竹輪/蒸し 0.35
48 だいず/木綿豆腐 0.31
48 だいず/木綿豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム) 0.31
48 だいず/木綿豆腐(凝固剤:硫酸カルシウム) 0.31
51 だいず/おから/生 0.28
52 いんげんまめ/全粒ゆで 0.27
52 ささげ/全粒乾 0.27
54 ひよこまめ/全粒フライ味付け 0.25
54 いんげんまめ/うずら豆 0.25
56 だいず/絹ごし豆腐 0.22
56 だいず/絹ごし豆腐(凝固剤:塩化マグネシウム) 0.22
56 だいず/絹ごし豆腐(凝固剤:硫酸カルシウム) 0.22
59 だいず/ソフト豆腐 0.21
59 いんげんまめ/こしあん 0.21
59 だいず/大豆たんぱく/繊維状大豆たんぱく 0.21
62 らいまめ/全粒乾 0.2
62 だいず/豆乳/調製豆乳 0.2
62 だいず/充てん豆腐 0.2
65 つるあずき/全粒乾 0.18
65 だいず/ゆし豆腐 0.18
67 だいず/金山寺みそ 0.17
67 りょくとう/全粒乾 0.17
69 だいず/ひしおみそ 0.16
70 あずき/全粒乾 0.15
71 だいず/大豆たんぱく/粒状大豆たんぱく 0.14
72 だいず/豆乳/豆乳 0.13
73 いんげんまめ/豆きんとん 0.12
73 べにばないんげん/全粒ゆで 0.12
73 ささげ/全粒ゆで 0.12
76 つるあずき/全粒ゆで 0.11
76 だいず/豆乳/豆乳飲料麦芽コーヒー 0.11
78 らいまめ/全粒、ゆで 0.1
78 えんどう/塩豆 0.1
80 えんどう/全粒/青えんどう/乾 0.09
80 だいず/大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分無調整タイプ 0.09
80 レンズまめ/全粒乾 0.09
83 ひよこまめ/全粒乾 0.08
84 あずき/あん/さらしあん 0.07
84 りょくとう/全粒ゆで 0.07
86 あずき/全粒ゆで 0.06
87 あずき/あん/こしあん 0.05
87 レンズまめ/全粒ゆで 0.05
87 あずき/あん/つぶしあん 0.05
90 ひよこまめ/全粒ゆで 0.04
90 あずき/ゆで小豆缶詰 0.04
90 そらまめ/全粒乾 0.04
90 えんどう/全粒/青えんどう/ゆで 0.04
90 だいず/大豆たんぱく/濃縮大豆たんぱく 0.04
95 そらまめ/ふき豆 0.03
96 そらまめ/おたふく豆 0.02
96 えんどう/うぐいす豆 0.02
98 そらまめ/しょうゆ豆 0.01

大豆以外の豆は、オメガ3の脂肪酸はとても少ないです。ひょっとして脂質自体もすくないのかもしれないと思いました。

それで、今度は11種類の豆(乾燥したもの)それぞれの栄養成分を調べました。こうすると性質がわかります。こちらも日本食品標準成分表2015年版(七訂)から調べました。

大豆以外の豆類は脂質が少ない

大豆だけ100gあたり脂質が19.7gと突出して多く、その次はひよこ豆が5.2gですが、他の豆はせいぜい2g程度です。

大豆だけが特別に多いのです。

そして、いんげんまめだけは例外でしたが、共通しているのは、オメガ6の方がオメガ3よりも多いところです。

大豆以外は炭水化物が多い

大豆はたんぱく質と脂肪が多いのが特徴です。他の豆は、たんぱく質はそこそこありますが、炭水化物が一番多いことが特徴です。

大豆だけが、ほかと違っています。

食品100gあたりの栄養成分
たんぱく質 脂質 炭水化物 飽和
脂肪酸
一価
不飽和
脂肪酸
n-3系
多価
不飽和
脂肪酸
n-6系
多価
不飽和
脂肪酸
だいず/全粒/国産/黄大豆/乾 33.8g 19.7g 29.5g 2.59g 4.8g 1.54g 8.84g
そらまめ/全粒乾 26g 2g 55.9g 0.24g 0.33g 0.04g 0.61g
えんどう/全粒/青えんどう/乾 21.7g 2.3g 60.4g 0.27g 0.44g 0.09g 0.6g
いんげんまめ/全粒乾 22.1g 2.5g 56.4g 0.28g 0.21g 0.59g 0.32g
べにばないんげん/全粒乾 17.2g 1.7g 61.2g 0.21g 0.11g 0.35g 0.5g
ささげ/全粒乾 23.9g 2g 55g 0.43g 0.12g 0.27g 0.46g
ひよこまめ/全粒乾 20g 5.2g 61.5g 0.56g 1.48g 0.08g 1.96g
らいまめ/全粒乾 21.9g 1.8g 60.8g 0.42g 0.1g 0.2g 0.55g
つるあずき/全粒乾 20.8g 1.6g 61.8g 0.32g 0.1g 0.18g 0.37g
りょくとう/全粒乾 25.1g 1.5g 59.1g 0.34g 0.04g 0.17g 0.44g
あずき/全粒乾 20.8g 2g 59.6g 0.24g 0.06g 0.15g 0.35g
レンズまめ/全粒乾 23.2g 1.5g 60.7g 0.17g 0.3g 0.09g 0.39g

ところで、日本食品標準成分表2015年版(七訂)を見ると、豆類と種実類が分けられています。らっかせいやくるみは種実類に分類されます。どのような違いがあるのでしょう?

豆類と種実類の違い

豆類はマメ科から「らっかせい」を除いたもの。種実類はいわゆるナッツのことです。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)には食品群別留意点がありました。これを読むとわかりました。

4)豆類

豆類の全般に通じる主な事項は、次のとおりである。

① 豆類は、マメ科マメ亜科植物の完熟種子のうち、食用とするもの及びそれを原料とした製品を収載している。なお、「らっかせい」は、脂質含量が高いため、種実類に分類した。また、未熟の莢(さや)やもやしを利用する「さやいんげん」(いんげんまめ)、「さやえんどう」、「ふじまめ」、「アルファルファもやし」等は、野菜類に分類した。

ちなみにマメ科について書くと長くなるので、ウイキペディアのマメ科へのリンクを貼っておきます。

次に種実類を見ました。

5)種実類
種実類の全般に通じる主な事項は、次のとおりである。

① この食品群に属する食品は、「らっかせい」を除いて、穀類あるいは豆類以外の種子及びその製品で、植物学的には必ずしも近縁ではない。主にナッツ、種あるいは実として市販されている。「らっかせい」は、豆類であるが、脂質含量が高いため、この食品群に分類した。

こちらはナッツなど脂質が多いものと思っておけばよいです。

NOTE

大豆は搾油できるほど脂質が多いですが、リノール酸が多いのが特徴です。他の豆も同じようなものなのだろうと思ったら、脂質がすごく少ないので、ずいぶん違うものだと少し驚きました。

豆類は、脂質が少なく炭水化物が多い。小豆のあんこを思い出すとちょうどよいかもしれません。

その他の植物性食品については、農産物の中にどのくらいオメガ3脂肪酸が含まれているかをご覧下さい。

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