糖脂質とはどのようなものなんでしょう?糖が関係しているのはわかりますが、構造を知りたいと思いました。糖脂質には、グリセロ糖脂質とセラミドを基本骨格とするスフィンゴ糖脂質があります。構造はむずかしくありません。
糖脂質は脂肪酸と糖が結合している
有機化学 (ベーシック薬学教科書シリーズ 5 化学同人 2008)には、このように書かれていました。
糖脂質はグリセロールまたはセラミドを基本骨格とし,脂肪酸と糖が結合しているが,リン酸を含まない,グリセロール骨格をもつものをグリセロ糖脂質(glyceroglycolipid),セラミドを基本骨格とするものをスフィンゴ糖脂質(sphingoglycolipid)とよぶ.
とくに,スフィンゴ糖脂質は動物組織の重要な脂質として多くの物質が知られている.
スフィンゴ糖脂質で最も簡単なものは,セラミドの1位ヒドロキシ基に糖が一つ結合したものである.その糖がβ-D-ガラクトースの場合はガラクトシルセラミド(galactosylceramide)といい,β-D-グルコースの場合はグルコシルセラミドという.
ガラクトシルセラミドは脳のニューロンの細胞膜に多く存在し,グルコシルセラミドはその他の組織の膜に多い.
たくさん知らないことばが出て来たのでゆっくりやりましょう。
セラミドってなんだ?
「セラミド」が出てきたので、スフィンゴ糖脂質まで先に説明しましょう。
上で出てきたセラミド。化粧品のCMで聞いたことがあるような気がします。花王のサイトにありました。
角層細胞どうしのすき間を満たし、細胞どうしや水分をつなぎとめているのが、肌の必須成分「セラミド」です。「セラミド」は、肌の奥から生まれてきます。
保湿に関係しているようです。
有機化学 (ベーシック薬学教科書シリーズ 5)を少し戻ると、もう少し説明がありました。
スフィンゴシンのアミノ基が長鎖脂肪酸でアシル化されたもの
スフィンゴ脂質はスフィンゴシン(sphingosine)を基本骨格としたもので,生体膜の主要な成分の一つである.スフィンゴシンのアミノ基が長鎖脂肪酸でアシル化されたものはセラミド(ceramide)とよばれ,脳や神経の膜の構成成分として重要である.
スフィンゴシンが最初にあり、スフィンゴシンのアミノ基に長鎖脂肪酸からOH基を取り除いて結合させた(アシル化)ものがセラミドになります。
下の図は、スフィンゴシンとセラミドの一般式、その下に一例として、炭素数18の飽和脂肪酸であるステアリン酸が結合した構造式を書きました。
スフィンゴシンは、脂肪酸に似ていますが、アミノ基(NH2)とヒドロキシ基(OH)を持っているのが特徴です。
スフィンゴ糖脂質
「スフィンゴ糖脂質で最も簡単なものは,セラミドの1位ヒドロキシ基に糖が一つ結合したものである」とありました。
下図にあるとおり、セラミドの1位の炭素についているヒドロキシ基(-OH)に糖が結合します。
β-D-ガラクトース、β-D-グルコースなど、糖の名前の前についている「β」や「D」の意味については、ブドウ糖の構造式の種類とDとL、αとβの区別についてをお読みください。
グリセロ糖脂質
グリセロール(グリセリン)を基本骨格とし、リン酸を含まず、脂肪酸と糖が結合しているものがグリセロ糖脂質です。
グリセロール(グリセリン)に3本脂肪酸が結合しているものは、普通の油(脂肪、トリグリセリド)なので、こちらは馴染みがあり、わかりやすいです。
グリセロ糖脂質の一例として、糖(ガラクトース)が1個ついたモノガラクトシルジアシルグリセロールの構造式を書きました。
脂肪(トリグリセリド)の3位に結合していた脂肪酸がガラクトースに変わったと理解すればよいと思います。
まとめ
脂肪は脂質ですが、脂質は脂肪だけではありません。コレステロールも脂質です。そして、今回の糖脂質も脂質です。
いままで糖脂質は、ほとんど名前を聞いたことがなかったのですが、調べてみると、形はわかりやすいです。
大きなことば、脂質を理解するには、脂質は脂肪を含む少し広いことばをお読みください。