リノール酸の酸化とノネナールができるまで

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リノール酸がアルデヒドになる変化の過程が分かってきました。

お米についての論文精白米の貯蔵 中の品質変化に出て来ました。1978年ものなのでかなり前のものです。

この論文では、古くなったお米のにおい、古米臭について調べられています。古いお米を炊くと、ぷーんと特有のにおいがします。

お米(精白米)100g中0.9g程度ですが、わずかに脂肪があり、その中にリノール酸もα-リノレン酸も含まれています。そこで、リノール酸が自動酸化され、さらにアルデヒドができます。そのアルデヒドが古米臭として感じられるのだそうです。においというのはごくごく微量で反応します。

炊き上がりのにおいをかいで、古米臭が分からない人は多分いないと思います。

この記事では、リノール酸からできるアルデヒドの種類を紹介して、ノネナールができるまでをお見せしたいと思います。

アルデヒドができる過程

論文中に、アルデヒドができる図がありました。Rは炭化水素基で数字の1、2は区別のための数字で意味はありません。最初のO-OHがついているのが脂質ヒドロペルオキシドです。

アルデヒド

アルデヒドの生成

ちなみに、これから書く反応は、理論上考えられる変化です。

11位の炭素から水素が引き抜かれる場合

リノール酸を酸化する場合、二重結合にはさまれた水素はとても反応性が高いで説明したように、炭素の二重結合にはさまれた、11番目の炭素についている水素は反応性がきわめて高く、この部分が酸化される場合が圧倒的に多いのです。

炭素の順番の数え方

オメガ3(n-3)、オメガ6(n-6)という表記に慣れていると、下図の数字の振り方は逆ではないかと思います。

しかし、カルボキシル基から数えるIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正・応用化学連合)の方式もあります。この場合、カルボキシル基の炭素がNo.1(C-1)で、その次の炭素はNo.2(C-2)・・・と数えていきます。

11番目の水素が引き抜かれると、ラジカルの位置が、11位のまま、9位、13位になる場合があります。それぞれについて、ラジカルの位置にOOHがつき、脂質ペルオキシドができます。

ラジカルが9位に移動した時は、二重結合は、10-11位に移動します。
ラジカルが13位に移動した時は、二重結合は、11-12位に移動します。

二次反応は、-OOHがついた炭素の手前から切れ、-OOHがついた炭素が、アルデヒド-CHOになります。

できたアルデヒドは、2,4-C10-dienal、2-C8-enal、n-C6-alです。

二重結合のcis-、trans-について注意してください

リノール酸に2つある二重結合は、cis(シス)型ですが、リノール酸が途中で切れてアルデヒドになる場合、二重結合が果たしてそのままでよいのか疑問に思っています。しかし、今のところ正確な話が調べられていないので、切れる前と、変化しないように書いています。

もし、分かれば訂正しておきますが、誤りがあるかもしれません。念のため。

炭素数の読み方は、アルカン (データ)を都度参照してください。

2,4-C10-dienal

2,4-C10-dienalは、2位と4位に二重結合があり、炭素数10のアルデヒドという意味です。

dienalは、ジエナールと読みます。ジは2。alはアルデヒドの意味。enは、本来、eneのことです。エン(-ene)は、有機化合物のIUPAC命名法の規則に基づいた時、-C=C-基が最も優先される場合に、化合物名の語尾に付けられる接尾辞のことです。

次に母音で始まる接尾辞が続く時には、末尾の”-e”は欠落し、例えば、-C=C-結合とアルデヒド基の両方を持つ場合の語尾は、”-enal”となります。

C10も含めて読むと、2,4-デカジエナールです。

2-C8-enal

2-C8-enalは、2位に二重結合があり、炭素数8のアルデヒドです。
enalはエナールと読みます。enは、二重結合が1つあることを示しています。
C8も含めて読むと、2-オクテナールです。

n-C6-al

n-C6-alは、二重結合のない炭素数6のアルデヒドです。
n-は、ノルマルで、直鎖の意味です。alはアルデヒド。二重結合がないので、eneがつきません。
C6も含めて読むと、ノルマル-ヘキサナールです。

lino0201

14位の炭素から水素が引き抜かれる場合

14位の炭素は、二重結合の隣にあり、この炭素についている水素も反応性が高いです。ただし、11位の水素に比べて反応性は1/100くらいに落ちます。

14位の水素が引き抜かれると、14位にそのままラジカルがある場合と、ラジカルが12位に移動し、二重結合が13-14位に移動する場合の2通りあります。

n-C5-al、2-C7-enalができます。

n-C5-al

n-C5-alは、直鎖で炭素数5のアルデヒドです。
C5も含めて読むと、ノルマル-ペンタナールです。

2-C7-enal

2-C7-enalは、2位に二重結合があり、炭素数7のアルデヒドです。
C7も含めて読むと、2-へプテナールです。

リノール酸の酸化

8位の炭素から水素が引き抜かれる場合

8位の炭素も、二重結合の隣にあり、この炭素についている水素も反応性が高いです。ただし、14位の場合と同様に、11位の水素に比べて反応性は1/100くらいに落ちます。

8位の水素が引き抜かれると、8位にそのままラジカルがある場合と、ラジカルが10位に移動し、二重結合が8-9位に移動します。

2,5-C11-dienalと3-C9-enalができます。

2,5-C11-dienal

2,5-C11-dienalは、2位と5位に二重結合があり、炭素数11のアルデヒドです。
C11も含めて読むと、2,5-ウンデカジエナールです。

3-C9-enal

3-C9-enalは、3位に二重結合がある炭素数9のアルデヒドです。
C9も含めて読むと、3-ノネナールです。

やっとノネナールが出てきました。

リノール酸の酸化

リノール酸を酸化させる実験で出てくるアルデヒド

理論上、リノール酸から生成されるアルデヒドは、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11と7種類あります。しかし、実験では、C2、C3、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11が出現します。

二重結合を含まないアルデヒドには、C2、C3、C5、C6があり、主要産物は、C6でした。
二重結合が1個、2位にあるアルデヒドには、C3、C5、C6、C7、C8C9、C10があり、主要産物は、C7C9でした。
二重結合が2個、2位と4位にあるアルデヒドには、C9、C10、C11があり、主要産物は、C10、C11でした。
二重結合が1個、3位にあるアルデヒドには、C9があります。これは上図と一致しています。
二重結合が2個、2位と5位にあるアルデヒドには、C11があります。これも上図と一致しています。

その他の産物として1-octen-3-olがありました。 マツタケから単離、構造決定され、またマツタケの香りに大きく寄与している成分であることからマツタケオール、マツタケアルコールの慣用名を持つアルコールです。

マツタケアルコール

マツタケアルコール

理論的に考えられたアルデヒドと実験で得られたアルデヒドには違いがあります。理論上は、C9のアルデヒドであるノネナールはそれほど出現しないと思われますが、実際には、2-ノネナールは主要産物に数えられています。

理論上の反応式を書いていた時は、ノネナールは、3-ノネナールしか出てこないので、出現率が低いのに問題になるとは、よほど日常的なリノール酸摂取量が多いのかなと思いました。

しかし、実験から得られた結果を見るとそういうわけではなく、ノネナールはリノール酸から作られやすいのだと思います。

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