DHAの効果について

DHAは、乳児期の脳の発達のために必要です。また、アトピー性皮膚炎にも効果がありました。さらに生活習慣病に対してDHAはEPAと同等の効果があり、脂質異常症(高脂血症)と閉塞性動脈硬化症に効果があります。アルツハイマー型認知症の原因物質の蓄積を抑制します。

omega3

DHAの効果について調べていたのですが、1995年頃の資料や論文はたくさん出てくるものの、私の調べ方に問題があるのか、最近のはあまり出てきません。

ひょっとすると、すでに、あらかた整理がついているから(?)なのかもしれないと思ったりもしました。

そんな中で、東京水産振興会から出ていた魚食とDHA・EPAは、内容が新しく、とても理解しやすい親切な文章でした。

この論文では、DHAの期待される効果が、ライフステージによって分けて考えられています。これはとてもわかりやすい。

  • 乳児期の脳の発達のために
  • 学童期から思春期にかけてのアレルギー疾患の予防改善
  • 成人期から中年期にかけての生活習慣病の予防効果
  • 中年期から高齢期にかけての認知症の予防効果

乳児期の脳の発達のために

妊娠中から魚を食べるようにした方がよいという話です。

DHAは乳児にとって重要な栄養素である可能性が高い。実際、Lucasらは、母乳または粉ミルクで育てた未熟児が八歳になった時の知能指数を調査したところ、母乳で育てた未熟児の知能指数が粉ミルクでのそれに比べ一〇ポイント高いことを報告している。

また、Hibbelnらは妊婦のシーフード摂取量と子供の知能指数の関係を調査し、妊娠期にDHAを含むシーフードの摂取量が多いほど知能指数が劣る子供の生まれる割合が減少すると報告している。

いまは粉ミルクにも魚油から精製したDHAが添加されているそうです。

さらに、別な先生の論文ですが、ドコサヘキサエン酸の生理活性を読むと、その期間についてもう少し詳しく書かれていました。

妊娠中と出産後にDHAが急に増加する時期がある

出産前の3ヵ月と出産後の3ヵ月間が特にDHAの量が変化するようです。

DHAはヒトの妊娠中の26~40週間に,中央神経系統の神経細胞に蓄積されるが,その半量は出産直前に貯蓄され,後の半量は出産後に蓄積されるといわれている。

妊娠最後の3か月間に大脳及び小脳中のDHA含有量は3~5倍に増加し,同じ様な増加が生後12週間の間に再び起こる。

こういうことは覚えておいて損はないです。

学童期から思春期にかけてのアレルギー疾患の予防改善

この時期はすぐにお腹がすきます。「おやつ」を食べる時期です。

私の年代でもスナック菓子がありました。油で揚げたものが満足感があり、とてもおいしく感じます。食事でも同じです。煮物より揚げ物が食べたいと思いました。

しかし、使う油は植物油がほとんどです。それらはオメガ6のリノール酸が主成分です。

リノール酸の摂取過多がプロスタグランジン(2型PG)やロイコトリエン(4型LT)の大量生成を招き。過度に働く可能性がある。

実際、学童期から思春期にかけてアレルギー性皮膚炎の代表であるアトピー性皮膚炎患者が多く発症する一因としてジャンクフードや食事の偏りが指摘されている。

リノール酸からアラキドン酸に変換し、炎症に関係するプロスタグランジンやロイコトリエンに変わることはよく聞く話です。しかし、この記事では、次に紹介しますが、東北大学でのDHA服用試験について書かれています。

ご興味のある方は、是非、魚食とDHA・EPAをお読みください。

DHA含有魚油のアトピー性皮膚炎に対する影響

ここでは簡単に概要と結果だけ書いておきます。

我々は東北大学医学部皮膚科との共同研究で、外来患者二六人を対象に一四週間DHA含有魚油のゼラチンカプセル剤の服用試験を実施した。(中略)年齢構成は学童期から思春期が一六人、罹病期間も一〇年以上が半数を占め、重症度は中等度・重症が中心であった。

また、ステロイド剤の併用も一六名であった。DHA含有魚油カプセルの服用数は担当医師の指導で体重等を考慮し定められ、二週間ごとに臨床所見を評価した。(中略)

試験開始時と終了時のスコアの改善が著明であった臨床症状は掻痒、ついで皮疹および潮紅であった。すなわち、臨床症状の改善は二週目にまず皮疹に認められ、ついで四週目には掻痒、六週目には潮紅へと、DHA含有魚油服用期間と臨床症状の改善には一定の傾向が認められた。(中略)

血中のアラキドン酸含量が減少し、DHA含量が増加したことがアトピー性皮膚炎の増悪を抑制し、改善に繋がっているものと推察された。(中略)

治験終了後有用度を判定した結果、有用以上は五三・八%、やや有用以上は八四・六%とDHA含有魚油はアトピー性皮膚炎に対して有用な機能性成分であることが示された。

効果がとてもあった人は、普段の食生活でハンバーガーをよく食べたり、魚介類を食べる機会が少ない特徴があったそうです。

成人期から中年期にかけての生活習慣病の予防効果

ある年齢以上になると、気をつけていないと中性脂肪やコレステロール値が上がっていきます。

ところで、EPAの効果はグリーンランドのエスキモーの食生活からよく知られるようになりました。血液サラサラといわれます。ところが、DHA自体の血液への効果はあまり知られていません。しかし、この論文ではきちんと書かれていました。

DHAはEPAとほぼ同じ効果をもつ

DHAは、脂質異常症(高脂血症)と閉塞性動脈硬化症に効果があることがわかりました。

DHAとEPAのそれぞれの効力を比較できるよう、高純度に精製したEPAエチルエステルとDHAエチルエステルを使った動物実験で確かめられました。

脂質異常症(高脂血症)に対するEPAとDHAの効能比較では、作用強度は高脂血症薬には及ばないものの、DHAとEPAはほぼ同等の作用を示しました。

また、血清中性脂肪値(TG)については、両方とも効果が見られましたが、DHAの方が若干強い傾向が認められたと書かれています。

閉塞性動脈硬化症に対するEPAとDHAの効能はほぼ同等であり、DHAにも閉塞性動脈硬化症を予防する効果効能が確認されました。

この結果を踏まえて、ヒトでも実験が行われました。

DHAの高脂血症(脂質異常症)に対する効果

DHA550mg/日を28日間飲み続けると、総コレステロールとLDLコレステロールが下がり、中性脂肪が下がり、血圧も下がる傾向があるようです。

血清総コレステロールが健常人の上限値の240mg/dl付近を超える被験者、並びに血清中性脂肪値が健常人の上限値の170mg/dl付近を超える被験者に対し、DHA二七%含有魚油を一日二g (DHAとして五五〇mg)二八日間服用する試験を実施した。(中略)

総コレステロールの被験者平均値は服用開始二八日後に開始時に比べ有意に減少し、健常人の上限値の240mg/dlを下回った。この作用は悪玉コレステロールのLDL-コレステロール値でも確認された。

善玉コレステロールのHDL-コレステロール値に著明な変化は認められなかった。また血清中性脂肪においてはコレステロール同様、DHA含有魚油服用二八日後には被験者平均値が健常人の上限値の170mg/dlを下回った。

この効果は血圧においても同様で、収縮期、拡張期とも約一〇%低下させる作用が認められた。

中年期から高齢期にかけての認知症の予防効果

私自身が50代後半であるためか、周囲にいる知り合いが高齢化しています。ただ、印象として昔に比べて認知症になる人が増えているように感じています・・・。

これまでにアルツハイマー型認知症の原因物質のアミロイドβ42の蓄積をDHAが抑制すること、またDHAがアミロイドβタンパクの凝集を阻害することなど、DHAのアルツハイマー型認知症に対する機能が解明されつつある。(中略)

また、最近Zhangらが認知症全体とアルツハイマー型認知症について世界で実施された四つのコホート研究をまとめた結果(メタ・アナリシス)が報告された。

それによると、一週間に魚を食べる頻度が多いほど認知症全体もアルツハイマー型認知症も発症リスクが一・〇〇以下に低下していた。

高齢者は、若い人よりずっと魚を食べているように感じています。それでも、認知症になる方が多く感じるのは、単純にお年寄りの人数が増えているからなのか、それとも別の問題があるのでしょうか?

NOTE

この記事ではDHAの1日あたりの摂取量も書いていたので、サプリメントのことを考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私はサプリメントを飲むことにほとんど価値を感じないので、魚を食べることをまず考えます。毎日の食事が一番大切だと思います。

とはいうものの、漁獲高が減って昔より魚が高くなりました。2000年になる少し前だったか、旬の最盛期になるとサンマが3尾100円なんて時代もありました。今では考えられないです。

魚油にDHAやEPAが豊富なのは、魚が食べるエサ由来です。藻が生産しています。

以前、ラビリンチュラ類のDHAとEPAが青魚の脂肪に移るという記事で少しだけ調べたことがあります。自分で家庭菜園のように藻を培養して食べる時代が来ると少し面白いなと思いました。

その他のオメガ3の効果については、オメガ3の効果についてをお読み下さい。

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