「長友佑都のファットアダプト食事法」を読んだ

長友選手は、山田悟先生の「ロカボ」ベースのファットアダプト食事法をして、筋肉の質が変わり、故障が減る。病気から早期復帰できる。精神的に落ち着ける。肌の状態が良くなる。ダイエット効果がある。危険な酸化ストレスが避けられる効果を感じています。

パスタ

長友佑都のファットアダプト食事法 カラダを劇的に変える、28日間プログラムを読みました。

どんな食事をして、そのことでどんな効果が得られるのか知りたかったのです。

長友選手はどんな食事をしているのか

長友選手の食事は、糖質を1食40~60gとし、白砂糖や添加物をなるべく使わない。オリーブオイルとエゴマ油アマニ油を摂り、たんぱく質を十二分に摂ること。さらにオーガニックな野菜をたくさん摂り、炭水化物を最後に摂ることが特徴です。

たびたび記事で書いてきた北里大学の山田悟先生がサポートしているので、ファットアダプト食事法は、ロカボをベースにしていると考えてよいです。ある程度糖質制限をして、血糖値を大きく上下させずに脂肪をエネルギー源にする食事方法です。

血糖値を実際に2週間測定して糖質量を決める

炭水化物の量を決めるために、持続ブドウ糖測定(CGM)のセンサーを体につけて2週間血糖値を測定し続けたと書かれていました。

持続ブドウ糖測定(CGM)とはなんだろうと検索すると、いしい内科・糖尿病クリニックのサイトに持続皮下グルコース測定(CGM)のススメという記事があり、それを読むと機器についても内容がわかります。

持続皮下グルコース測定(CGM)のススメ|いしい内科・糖尿病クリニック|岩手県盛岡市
何を食べたら血糖はいくつまであがるのか。運動したらどこまで下がるのか。それを知ることで血糖コントロールは変わります。| いしい内科・糖尿病クリニック|提携駐車場有。

その結果、僕は1食あたりの糖質量が40~60gの範囲内なら、血糖値が140mg/dl未満に抑えられて食後高血糖も血糖値スパイクも起こらず、脂質を効率的に使うファット・アダプテーションにスイッチできるとわかった。

ごはんは、お茶碗1杯で約150gです。ごはん100gあたり糖質は36g程度あるので、長友選手は、ごはん茶碗1杯は食べてよいようです。

ちなみに、ロカボの基準では、糖質を1食20~40g×3回+間食10gで1日70~130gが基準になります。

ファットアダプト食事法の効果

長友選手は、ファットアダプト食事法をするようになって、短期間に効果を感じたそうです。大きく6つあげられていました。

筋肉の質が変わり、故障が減る

トレーナーから筋肉の質が変わったと指摘されたそうです。筋繊維もそれぞれ細胞です。細胞の外側にある細胞膜は、リン脂質が構成単位になっています。リン脂質には必ず脂肪酸が2本あり、よい油を摂っていると、細胞膜の脂質も良質なものに置き換えられます。

彼らが口を揃えて「筋肉の質が変わったね」と言ってきた。(中略)

「これまでは筋肉に張りとボリュームがある感じだったのが、弾力があって柔軟性もあるしなやかな筋肉にかわってきたね」と嬉しいコメントをしてくれるトレーナーもいた。(中略)

ドクターに尋ねてみた。(中略)

筋肉の場合、筋繊維という細長い細胞が無数に束になっている。この細胞一つひとつを包んでいるのが、細胞膜。キャラメルを包んでいる銀紙とは違い、細胞膜は単なる包み紙ではない。細胞内にエネルギーを取り込んだり、細胞内外の情報の伝達を助けたりする役割を担っている。この細胞膜を作っているのは、脂質。

ファットアダプトで良質なアブラを意識して摂るようになると、細胞膜の脂質も良質なものに置き換えられる。

細胞膜の話は知っていましたが、このようにマッサージをしてくれるトレーナーから指摘されるほど変化するというのが興味深いです。

病気から早期復帰できる

胸を強打し、肺気胸になり手術をして薬の副作用でかなりつらかったみたいですが、1か月後にゲームに出場できた話を紹介されていました。

入院中は病院食ではなく、シェフの作ってくれた脂質とたんぱく質に富んだスープを毎日食べていたそうです。

2018年10月24日、UEFAチャンピオンズリーグのホーム戦でドイツのシャルケと戦った際、後半35分にボールが胸を強打した。(中略)

試合後に肺気胸と診断されて27日にトルコで胸の手術を受けた。肺気胸とは、何らかの原因で肺に小さな穴が開いて空気が漏れ出す病気である。(中略)

内心年内の回復は難しいだろうと覚悟していたのだが、それからは自分でもびっくりするようなスピードで順調に回復が進む。退院後、1週間ごとに検査のために病院に通った。そのたびに検査の数値も病状もみるみる良くなる。(中略)

結果的に、手術から1か月後の11月28日、UEFAチャンピオンズリーグのロシア・FCロコモティフ・モスクワとの対戦で実戦復帰を果たした。

病気やケガをしたときは、何となく食べられないものですが、昔から食べられない時は食べない方がよいと言われていました。日本人には断食とか絶食の習慣があったからです。本当に食べられない時は食べない方がよいのでしょうが、回復期の栄養補給はかなり大切だとわかります。

精神的に落ち着ける

精神的に落ち着けるというタイトルより、頭がぼんやりしなくなる、食後眠くならないことの方が魅力があります。

ぼんやりしたり眠くなると、「あれっ?なんでこんなに疲れているんだろう」と思ってしまうものですが、血糖値が関係しているとは普段あまり考えないものです。

血糖値を安定させるファットアダプトに切り替えて、僕の脳には安定的にエネルギーが供給されるようになった。頭がぼんやりすることはなくなったし、集中力もつねに高いレベルで維持できるようになった。以前はランチ後に必ず眠くなり、昼寝をしないと持たなかった。血糖値が下がりすぎていたのだろう。いまは昼寝もなくなり、練習や試合中だけではなく、日常生活でも朝から晩まで頭がつねに冴えている。

夜寝るときは別ですが、起きている間は、シャキッとしていたいものです。血糖値を大きく上下させないことが大切だなと思います。

肌の状態が良くなる

肌は、乾燥している、脂っぽい、皮膚が強い弱いなど個人差があるので、これは長友選手の個人的なことかもしれません。

もう一つの悩みは皮膚に吹き出物が多かったこと。中高生にはニキビに悩まされるタイプは少なくない。思春期にホルモンバランスが大きく変化するためだ。僕も「これは年齢的なものだ」と納得していたのだが、思春期を過ぎて大人になり、プロになってからも背中などに現れる肌のブツブツに悩まされ続けた。(中略)

ところが、ファットアダプトに切り替えてから故障がなくなったし、長年の肌トラブルもウソのようになくなった。背中にいつも大きなニキビがあったのに、それもまったく出なくなった。

ダイエット効果がある

ある程度の糖質制限をしていると、たんぱく質と脂質をしっかり摂ることになりますが、そのおかげで消化管から満腹ホルモンが出ます。また、インスリンがたくさん分泌されることがないので、脂肪の分解がストップされません。

過食が防げる

食べすぎ防止の鍵を握っているのは、消化管ホルモン。胃や小腸といった消化管は、その名の通り、食べたものを消化したり、吸収したりするだけではなく、体内でホルモンとして働く物質を分泌している。(中略)

たんぱく質や脂質をしっかり摂ると、消化管から「もう満腹になったから、食べるのを止めていいぞ」というシグナルを出すホルモンが分泌される。

血糖値の乱高下が抑えられる

インスリンが分泌されると、体脂肪の分解がストップする。甘いものを食べると太るの大きな原因の一つです。

インスリンの役割は、高くなりすぎた血糖値を下げること。そのためインスリンは血糖を筋肉などに取り込ませる。(中略)

同時にインスリンは脂肪細胞に働きかけて体脂肪の分解にブレーキをかける。体脂肪の合成を促して、分解をストップさせるその作用から、インスリンには「肥満ホルモン」という不名誉なあだ名が付けられている。

そして、こちらの方が重要だと思いますが、お腹がすいたわけではないですが疲れた時に甘いものを食べると、急に空腹を覚えるときがあります。それは血糖値の下がり過ぎが原因です。これを繰り返していると確実に太ると思います。

白いご飯やうどんや大福餅のように、糖質が多すぎてたんぱく質や脂質が少ないものを過食すると、血糖値が急上昇した後、分泌されたインスリンの作用で血糖値が急降下する。血糖値が急に上がると必要量を超えるインスリンが出て、血糖値が下がりすぎるのだ。血糖値が下がりすぎると、お腹はまだ満腹なのに、脳はエネルギーが足りないと判断して空腹感を促してしまう。

危険な酸化ストレスが避けられる

活性酸素はどんな人でも体の中で発生しています。しかし、毎日のように激しい運動をしているプロサッカー選手だからこその安心材料なのかなと思いました。

僕たちは酸素を取り込んでエネルギーを生み出している。この酸素のうち2~3%は、活性酸素に変化する。(中略)

この酸化ストレスを避けてくれるのが、ファットアダプト。そこでも有効なのはやはり血糖値の安定である。血糖値が乱高下する血糖値スパイクで酸化ストレスが増えるのは、医学界ではよく知られている常識らしい。ファットアダプトでは血糖値スパイクは最小限に抑えられるから、酸化ストレスの害が避けられる。

長友選手が食事を変えたきっかけ

長友選手は、30歳を前に、カラダが思ったように動かなくなり、ケガが増えて、その回復に時間がかかるようになっていました。そこで、食事について考え、最初は、ジョコビッチの生まれ変わる食事を読んで糖質制限をためしました。

ロカボではなく、もっと徹底した糖質制限です。もちろんその意味は、体の中にたくさん貯められている脂質をエネルギーにできたらもっと走れるようになるのではないからと考えたからです。

しかし、実際は、1時間もすると頭がボーッとしてくる。筋肉にも力が入らなくなり、頭もカラダも動かない状態になってしまいました。特に、頭がぼんやりして濃い霧が立ちこめてそこで脳が眠りこけているような感じだったと書かれています。

その後、長友選手の食事内容をSNSで見た加藤超也シェフが2016年に加わり、2017年にロカボの北里大学山田悟先生が加わりました。こうしてファットアダプト食事法のベースができ上がりました。

NOTE

プロサッカー選手が、ロカボをベースにした食事をするとどんな効果があるのか。それを知りたかったのでとても面白く読みました。激しい運動する人が得られる効果は、一般人も自覚できるかどうかは別として得られると思います。

上の話の中で、自分でも思い当たる低血糖の話があります。

暑い夏の日に、水だけ飲みながら90キロ自転車で走ってきて、残り10キロ地点のコンビニで休憩しました。100円出して水を買うのがもったいないので、めずらしくよく冷えた甘い果物のジュースを買って飲みました。汗をかいてのども渇いていたのでおいしいと思いました。

ところが、休憩後走り始めると、あれっ?何か体が変だ。急に空腹感に襲われ、それも我慢できないほどの空腹感でした。なんとか水を飲み飲みヘロヘロになって帰って来ましたが、それ以来、長い距離を走る時は水だけ飲むようにしています。血糖値が急に上がって、反動でぐっと下がったんだなと思いました。

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