動脈硬化になる仕組み

この記事は、2009年に出版された脳梗塞・心筋梗塞は予知できるを読んで、動脈硬化になる仕組みをまとめました。

その後、2018年に同じ著者が脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因動脈硬化は自分で治せるという本を書かれて、動脈硬化になる仕組みの説明が新しくなっています。

それは、「脳梗塞・心筋梗塞・高血圧は油が原因動脈硬化は自分で治せる」を読んだという記事にまとめてあります。

血液

この記事は、動脈硬化は食べた酸化脂質が原因で進むそうですの続きです。

以前、真島康雄先生の本を読んでとても興味を持ちました。

脳梗塞・心筋梗塞は予知できる(幻冬舎 2009)という本です。

アマゾンでは30弱のレビューしかついていませんが、油に興味を持って私のブログに来ていただいた方すべてにおすすめしたい本です。

実は、この本を読むまで、私は油のことについてだけ書こうと思っていました。しかし、本を読んだ後はもう一つの脂質であるコレステロールについて知りたいと強く思いました。それでコレステロールについても少しずつ本を読むようになりました。

真島先生のサイトは記事が多く、また一つ一つの記事が長いのですが、こちらも読むことをおすすめします。

脳梗塞・心筋梗塞の予防法|真島消化器クリニック

時折、記事が更新されています。

真島先生は、血管のエコーを見ながらどうやったら動脈硬化となるプラーク(粥腫)を減少させることができるのか考えられています。

まず、プラークは食事の改善で減らせることがわかりました。しかし、プラークは炭水化物や脂肪のように燃料にはならず、運動して燃やして減らすことができないのです。

異物としてマクロファージに食べてもらうしか減らす方法がありません。

一度たまったプラークを減らすために、先生が患者さんを診ながら食事指導して得られた経験則は、たとえば次のようなことです。

  • プラークは運動しても減らない。
  • プラークは油を減らさないと減らない。
  • 加熱した油を摂るとプラークが増える。
  • 植物油を余分にとるとプラークが増える。
  • 肉の脂身を焼くなど加熱して食べるとプラークが増える。
  • 脂の乗った魚を食べ続けるとプラークが増える。
  • 酒を飲んでいるとプラークが増える。
  • 甘いものを食べているとプラークが増える。

私のように、コレステロールが血管にたまってプラークになると思っている方がたくさんいるのではないかと思っています。疑問に思いませんか?酒も甘いものもコレステロールとは関係ありません。

※甘いもの、砂糖はコレステロールと関係がありました。砂糖の半分は果糖です。果糖はコレステロールを上げる原因になります。詳しくは、果糖がよくない理由を調べてみたをお読みください。

加熱した油とコレステロールが関係あるというのも分からないです。魚の油は体によいはずだし、分からないことだらけです。

何故なんだろうと思い、理解したいと思いました。

この記事では、真島先生が説明されている動脈硬化の仕組みをご紹介します。というよりも、私が真島先生の話を理解するために書いておきたいと思いました。

血管に作用する話2題をまず先に

これから動脈硬化がどのように起きるのか説明してきますが、その前に先に知っておいていただきたい話が2つあります。

この2つの話を知ってから後の説明を読んでいただくと動脈硬化が理解しやすくなります。

アルコールが血管を傷める

酒飲みにはショッキングな話なのですが、先生のサイトにある脳梗塞・心筋梗塞にならない食べ方&プラークを低下させるための要件では、こんなことが書かれています。

血管内を濃度が高いアルコールが流れると、血管内の内側の内膜が、いわゆる「皮膚の火傷」状態になり、ボコボコに傷んで、縮んだり・はげ落ちたりした内皮細胞が修復するのに1ヶ月位かかりますので、その間に、わずかの酸化・劣化脂質・酸化していない脂質でもどんどん血管の壁の中へ、マクロファージと関係なく、単に流体物理学的な作用で入り込んでいきます。(中略)

なぜ? 血液内のアルコール濃度がある限度以上ならアウトなのでしょうか・・・?

理由説明:5%のアルコール濃度液0.5ccを皮内注射したらどうなると思います? 一瞬で皮膚が5mm程陥没して凹みます・・しかも激しい疼痛!と同時です。皮膚の細胞の細胞膜が溶けて細胞が一瞬に縮んだのです(自分自身の腕で実験:痛みを感じない皮膚にする目的)。

ただし、血管の中の内皮細胞に神経はなく、アルコールで内皮細胞が縮んで、内皮細胞の細胞間隙が広がり、良質の脂質も血管壁に潜り込みやすい状態になっても、痛みがないので本人は気付かないのです。

確かに、傷口をアルコール消毒すると、しみて痛いです。考えてみれば細胞はみな同じ。痛覚があるかないかの違いだけです。痛さは感じないけれど細胞は傷んでしまう。

ビールは5%ですが、本格焼酎は25%、日本酒は15~20%、ワインは12%くらいです。焼酎はお湯で割って飲む方が多いですが、それでもせいぜい半分で、12~13%程度ないと飲んだ気がしないですね。

ということは、たいていの酒は血管の細胞を傷めるということなのです。酒飲みの私はショックでした。しかも、細胞の修復に1ヶ月もかかるので、たまに友人と大酒飲んでも大丈夫というわけではないのです・・・。

血糖値が上がると細胞が縮む

次は浸透圧の話です。浸透圧について知っていましたが、まさかこんな話になるとは思ってもみませんでした。

スライスしたキュウリを”塩もみ”すると柔らかくなる?・・ことは 料理人には常識です。

つまり、新鮮なキュウリの細胞には水分がパンパンに詰まっています・・高い浸透圧の塩分にキュウリの細胞が触れると・・・細胞膜の小さな穴を通って・・細胞内の水が塩の方へ移動するのです・・そうすると・・細胞内の水分量が減り・・キュウリの細胞が柔らかくなり・・キュウリ自体が柔らかくなります・

そうです・・高浸透圧の液体に触れると・・細胞は水分が減少して・・小さくなります。

これを最初読んだ時、そうか、塩もみとはキュウリの表面を塩でもんで浸透圧で中の水を引っ張りだしているんだと思っただけです。

しかし、細胞の性質はみな同じ。キュウリと人の細胞では、植物細胞と動物細胞の違いがありますが、浸透圧が作用するのは同じです。

キュウリで起きていることは人の細胞でも起きている。血管の細胞でも起きます。

甘いものを食べるとどうなるか?血液中の血糖(ブドウ糖)の濃度が高くなると、血管の細胞から水分が引っ張られます。こんなこと考えたこともなかったです。

血管内皮細胞ですが・・血糖が上がると→浸透圧が上昇し→内皮細胞の水分が減少し→内皮細胞が小さくなり→細胞と細胞の間の隙間(細胞間隙)が広くなる。

すると、口から入って血液中へ移動した脂質粒子が血管の壁内にとても入り込みやすくなるのです(事実からの私の仮説)。

血管内皮細胞は、すぐ下で説明します。血管の一番内側にあって血液とふれているのが内皮細胞です。甘いものをたくさん食べて血糖が上がると、内皮細胞から水を引っ張るので、内皮細胞が縮んでしまいます。

そうすると細胞と細胞の間に隙間が大きくできてしまうのです。これが問題です。

さて、では動脈硬化が起きる仕組みを説明しましょう。

動脈効果が起きる仕組み

動脈硬化は、悪玉コレステロールといわれるLDLではなく、サイズが小さくなり密度が大きくなったsmall dense LDLや酸化したsmall dense LDLが原因だと知られるようになりました。

これらは、マクロファージに貪食(どんしょく)され、マクロファージの死骸がたまってプラークになるというのが大まかな筋書きです。

まず、血管の構造をご覧下さい。内膜、中膜、外膜の三層構造になっています。

血管

血管

プラークが形成される初期

プラークが形成される初期の画です。図に出てくることばを説明します。以下の図は真島先生のサイトにある図をお借りするわけにはいかないので、真似して自分で描きました。

LDLはいわゆる悪玉コレステロールです。LDLはコレステロールそのものではなく、リポタンパクといって、水と親和性があるリン脂質と遊離コレステロールとアポタンパクが中性脂肪(TG:トリグリセリド)とコレステロールエステルを包んでいる構造をしています。

酸化・劣化コレステロールとは、酸化LDLやsmall dense LDL、あるいは酸化small dense LDLを指しています。サイズは小さいですが密度が大きいのが特徴です。

血液の流れは、矢印の方向です。川の流れと同じです。小さくて密度の大きなものは、砂と一緒で沈んでいきます。

small dense LDL粒子の直径は255Å未満ですから、血管内皮細胞の直径の約1000分の1なのです。ですから、劣化・酸化コレステロールは内皮細胞の細胞間の隙間に簡単に入り込むのです。

Å(オングストローム)は、1Å=10−10mです。1/100億mですから、1/1億cmであり、1/1000万mmです。0.1nm(ナノメートル)とも書きます。とても小さい。

この大きさが、血管内皮細胞の直径の約1000分の1というのですから、もし、血管内皮細胞同士がぎっしり詰まっていなかったら、簡単に内膜の中に入ってしまいます。

図では血管内皮細胞の1/1000の大きさにはとても描けないので、かなり大きく描いています。

酸化・劣化コレステロールは、密度が大きいので、流れの下の方に沈んで流れてきます。血管内皮細胞間の隙間から、通り抜けて血管内膜内に入ってきます。

図にある酸化・劣化コレステロールとは、酸化LDLとsmall dense LDLのことです。small dense LDLも容易に酸化される性質があります。コレステロール単体のことではないので念のため。

LDLと酸化・劣化コレステロールは区別するために、大きさに違いがあるように書いていますが、Small dense LDLによると、LDLは、粒子径22~29nmの粒子とされています。

つまり、LDLの大きさは220~290Åなので、一番小さい直径に対して一番大きな直径はわずか1.3倍。どちらにしても血管内皮細胞の直径に対してはとても小さいです。

動脈硬化1

盛んにプラークが形成されている状態

この画は、LDLの量は同じで、劣化・酸化コレステロールが底の部分を沢山流れている状態です。劣化・酸化コレステロールがたくさん流れるのは理由があります。

酸化LDLやsmall dense LDL、もしくは酸化small dense LDLは、すでにもとのLDLとは変化していてLDL受容体との相性が悪くなっています。そのため、組織や肝臓に受け入れらにくくなり、そのまま長く血管内を流れているのです。

そして、血管内皮細胞の隙間から内膜や中膜に入って来てしまいます。

このあたりの仕組みはなぜ中性脂肪が高いと善玉コレステロールHDLの数値が低くなるのか?に書きました。

流れに沿って曲がったところから溜まるようになり、ふくらんでプラークができていきます。

動脈硬化2

もしお酒で血管が傷んでいたり血糖値が上がっていると

最初に血管に作用する話2題を書きました。

血管内皮細胞は、大酒を飲んだか、甘いものを食べた後で、傷んでしまったか縮んでいて、血管内皮細胞間に余計隙間があいていたら、こんな状態になります。

酸化・劣化コレステロールはどんどん入って来て、さらに通常のLDLまで入って来ます。スカスカの状態です。

アルコール度数の強い酒を飲んだり、大酒を飲んだり、甘いものが大好きな人のプラークが悪化するのはこれが理由です。

内皮細胞が傷んだり縮んだ場合

動脈硬化は改善できる

プラークがたまると、異物と認識したマクロファージが盛んに貪食します。しかし、食べきれないと、マクロファージは破裂して死んでしまい。たまっていきます。

食習慣を改善すると、劣化・酸化コレステロールが減少し、マクロファージが貪食してくれる量がコレステロールの沈着量を上回るとプラークが減り始め、時間が経過すれば高さが低くなっていきます。

動脈硬化3

プラークが改善されている

血管を流れる劣化・酸化コレステロールがずっと少ない量でいると、マクロファージの貪食によってプラークは低下します。

真島先生によると次のように説明されていました。

LDLの量は同じで、劣化・酸化コレステロールが極端に少なく流れているはずです。中性脂肪が70以下のイメージです。

動脈硬化4

NOTE

肉には脂肪の他にコレステロールが含まれています。真島先生のサイトによると、加熱して酸化されたコレステロールもよくないそうです。こちらは、LDLやHDLなどのリポタンパクでなく、コレステロールそのものの話です。このことについては興味があるので改めて記事を書きます。

また、植物油は生でも取り過ぎるとプラークがたまるそうです。オリーブ油でもえごま油でも。もちろん、加熱するともっとよくないそうです。加熱するとなぜプラークがたまるようになるのかは、今のところ私には分かりません。なにか分かれば記事を更新します。

さらに、甘いもの。甘い油を使ったものはとてもよくないとか。疲れていると、たまにあんドーナツのようなしつこいものを食べたくなるのですが、これはとてもよくないそうです。油で揚げてある上に砂糖がかかっていますから、ダブルパンチですね。

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