アルコイリス インカグリーンナッツ・インカインチオイル

サチャインチオイルはインカインチオイルのことです。南米の熱帯にもともと自生し、種から油を搾ります。α-リノレン酸が約50%、リノール酸が35%含まれており、ビタミンEを多く含み、ポリフェノールとあわせてオメガ3の油の中では酸化に強いのが特徴です。

ペルー

以前、オメガ3の油の加熱についてを書いた時に、インカインチオイルに興味を持ちました。ビタミンEが多く含まれていて、加熱に強いというのが特徴です。

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おすすめのサチャインチオイル

NPO法人アルコイリスのインカインチオイルがよいと思います。後ろで紹介する論文2本では、アルコイリスから提供を受けたインカインチオイルを使って実験しているので、品質が信頼できます。

アルコイリス インカグリーンナッツ・インカインチオイル 460gは、アマゾンが直接販売しているので、品薄になっても急に価格が上がることはないでしょう。¥ 3,416 です。念のため今の価格を書いておきます。

サチャインチとは

サチャインチは様々な呼び方があり、南米の熱帯にもともと自生している植物で、乾燥させた種から油を搾ります。

サチャインチは、インカインチ、インカナッツ、サチャピーナッツ、マウンテンピーナッツ、インカナットやインカ・ピーナッツなどとも呼ばれています。

ウイキペディアのPlukenetia volubilisにはこのように書かれています。Plukenetia volubilisとは、サチャインチの学名です。

熱帯の南アメリカの多く(スリナム、ベネズエラ、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ブラジル北西部)、およびカリブ海のウィンドワード諸島の一部に自生しています。

商業的な栽培は東南アジア、特にタイで行われています。(中略)

ペルーのアマゾン熱帯雨林では、何世紀にもわたって先住民族によって栽培されてきました。

そして、継続的な水が供給できることと水はけがよければ、高さ1,700メートル(5,500フィート)までの暖かい気候で成長します。

果実と種の画像と栽培の動画

こちらで、緑色の果実と、乾燥させた果実と種の画像が見られます。油を搾るのは種です。

Inca nut (Plukenetia volubilis) is a forest plant from the South American Amazon where it has been used as a wild food source for over 3000 years. It is gaining...

さらに、YouTubeに栽培を説明する4分ほどの動画がありました。こちらの方が分かりやすいかもしれません。

Manejo agronómico del cultivo de sacha inchi(サシャインチ作物の農学的管理)コロンビアのテレビのようです。

この、サチャインチの種を搾った油は、どんな脂肪酸組成なのでしょう?

サチャインチオイルの脂肪酸組成

オメガ3のα-リノレン酸が48.8%と一番多いですが、オメガ6のリノール酸が35.2%と二番目に多く、オメガ3の油の中ではリノール酸が多いのが特徴です。

サチャインチ油がラットの脂質代謝に及ぼす影響という論文に脂肪酸組成が出ていました。下に表を載せておきます。

α-リノレン酸とリノール酸で全脂肪酸の85%くらいになるため、その他の脂肪酸は少なく、特に飽和脂肪酸が全体の6.8%程度しかありません。

サチャインチオイルの脂肪酸組成(%)
パルミチン酸(C16:0) 3.9
パルミトオレイン酸(C16:1) 0.1
ステアリン酸(C18:0) 2.9
オレイン酸(C18:1) 9.2
リノール酸(C18:2) 35.2
α-リノレン酸(C18:3) 48.8
※サチャインチ油がラットの脂質代謝に及ぼす影響

α-リノレン酸やリノール酸などは多価不飽和脂肪酸です。酸化されやすく、融点も低く低温でも固まりにくい性質があります。

多価不飽和脂肪酸が多く含まれる種は、寒い地方で穫れるものだと思っていたのですが、南米の熱帯雨林で穫れるのがめずらしいなと思います。

しかし、気温が高く日光も強い、つまり酸化されやすい場所で生きて行くにはそれに対抗する手段を持たなければいけません。それが、サチャインチオイルの特徴になります。

ビタミンEが多くポリフェノールも含まれている

熱帯で育つサチャインチにはビタミンEが多く含まれていて、抗酸化成分であるポリフェノールも含まれています。

ビタミンE

標高の異なる産地のグリーンナッツ(プルケネティア種種実)圧搾油の理化学的特性について には、ビタミンEとして、γ-トコフェロールと、δ-トコフェロールの含有量が書かれていました。

α-トコフェロールとβ-トコフェロールはほとんど含まれていませんが、γ-トコフェロールは、多いものでは150mg/100g含まれており、また、δ-トコフェロールは、多いものでは50mg/100g含まれていました。

ちなみに、ヒトの体に対してビタミンEとして有効なのは、α-トコフェロールだけです。このことについては、なぜビタミンEはα-トコフェロールだけが有効なのかという記事で詳しく説明しました。

γ-トコフェロールとδ-トコフェロールは、サチャインチオイルの酸化を防ぐために役に立ちます。

比較するために、大豆油とえごま油のビタミンE成分の数字を載せておきます。たしかに、サチャインチオイルに含まれるビタミンEは多いです。総量で大豆油のだいたい2倍あります。

ちなみに、大豆油とえごま油は酸化されやすい油です。

大豆油 えごま油
α-トコフェロール 10.4mg 2.4mg
β-トコフェロール 2mg 0.6mg
γ-トコフェロール 80.9mg 58.6mg
δ-トコフェロール 20.8mg 4.6mg
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

ポリフェノール

この論文には、ポリフェノールの具体的名称は書かれていませんでした。含有量は、多いもので4μg/100gでした。

これが具体的にどのくらい有効なのか知りたいですね。

抗酸化成分はどの程度有効か

この論文の主旨は、標高の高いところよりも標高の低いところで育ったサチャインチから搾った油の方が、トコフェロールもポリフェノールも含有量が多く、抗酸化力が強いことです。

加熱すること紫外線照射で変化を調べる

抗酸化力の強さを調べるために、サチャインチオイルを加熱すること、また、紫外線を照射する酸化させる刺激があたえられ、その変化が調べられています。

変化は、過酸化物価(かさんかぶつか、PV)とカルボニル価(カルボニルか、CV)の数値を測定します。

油は酸化すると、過酸化物を生じ、それがさらに酸化して分解すると、アルデヒドやケトンというカルボニルになります。それらの数値を測っています。

加熱は、フライパンと電気コンロを使用して、それぞれ80,100,120,140,160,180℃ で 10分間加熱したとあります。しかし、10分ですからね。天ぷらを揚げることを考えると、大した時間ではありません。

また、紫外線は、それぞれ 5,10,15,20,25時間照射したとあります。しかし、紫外線の強さが分からないですね。

こう書かれていました。

紫外線照射5~10時間は 2000Luxの蛍光灯を 1週間照射した時の PVと CVと同程度の値を示し,10~15時間照射は 2週間 2000Luxの蛍光灯を照射した時と同程度の PVと CVを示した。

Lux(ルクス)なんて久しぶりに見ました。

調べてみると、産総研の日本の明るさ標準を作ろうに明るさの目安が書かれていました。lxも(ルクス)です。

2000lxはナイターの内外野の明るさですから、かなり明るい感じですが、それでも屋外・曇天の1/15ですから、たいしたことがないと感じます。

照度例:単位(lx)
屋外・快晴 100,000
屋外・曇天 30,000
手術台 20,000
野球場 内外野 2,000
町の街灯下 100
居間の全体 200
寝室の全体 30
満月の夜 0.2
星明かりのみの夜 0.02
闇夜 0.00

ビタミンEやポリフェノールが多いほど有効ではあるが・・・

しかし、実験の結果を記録したグラフを見ると、設定温度が高くなるほど、また、紫外線照射の時間が長くなるほど、過酸化物価もカルボニル価も高くなります。

それに伴い、α-リノレン酸が変化するのでα-リノレン酸の量が減ります。

もちろん、ビタミンEやポリフェノールの含有量が多いほど、変化のスピードは落ちます。この実験の場合でいうと標高の高いところで栽培されたものより低地で栽培されたサチャインチから搾られたオイルの方がビタミンEやポリフェノールの含有量が多く、変化のスピードは緩いです。

しかし、どちらもグラフを見ると確実に変化しています。

グラフはここに転載できませんので、上の青太文字でリンクを貼った論文を読んでみてください。

ゴマ油とは比べものにならない

以前、ごま油は酸化しにくく、ごま油で揚げたものも酸化しにくいという記事を書きましたが、ゴマ油の抗酸化性は油の中で最強です。

ごま油はゴマリグナンのおかげで酸化しにくいですが、特に、焙煎ごま油は酸化しにくいです。ご自宅で揚げ物をする時は、体のためにも焙煎ごま油を混ぜるのがよいです。30%混ぜるとよいようです。

サチャインチオイルは、オメガ3の油の中では酸化しにくい性質がありますが、あくまでも「オメガ3の油の中では」と考えておいた方がよいと思いました。

冷蔵庫に保存してなるべく早めに使うようにした方が、品質が保たれると思います。

まとめ

サチャインチオイルは、ビタミンEが多く加熱調理に使えるのが特徴といわれていますが、ゴマ油の強力さを知ってしまうと、それほど強いわけではないことが分かります。

オメガ3の油として冷蔵庫に保存し、早めに使い切るのがよいと思います。

サチャインチは、南米の熱帯地域に自生している植物なのに、酸化に弱く融点が低いα-リノレン酸が多いのが不思議です。

寒冷地の方が、融点が低い、つまり低温になっても固まりにくいことが必要になります。以前、ひまわり油で国産、遺伝子組み換えなしで高オレイン酸タイプがあったという記事で、栽培条件で、ひまわり油のリノール酸とオレイン酸の比率が変わることを書きました。

この記事では、国産で遺伝子組み換えしていない、オリーブ油よりも高オレイン酸(ハイオレック)のひまわり油について書きます。リノール酸は4%しか...

平均気温が低いとリノール酸が多くなるのです。オレイン酸とリノール酸を比較すると、リノール酸の方が二重結合が1つ多く融点が低いのです。ひまわりが環境へ適応しようとするのです。

そう考えると、サチャインチは、なぜ、高温で紫外線の強い熱帯に生きているのに、酸化されやすいα-リノレン酸とリノール酸を種にたくさんかかえているんだろうと思います。

オメガ3の油について、オメガ3の油は5種類あるにまとめてあります。

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