米油とトランス脂肪酸

米油はトランス脂肪酸が多い?という書き込みを見て、調べてみました。米油のトランス脂肪酸の含有率は約1%。植物油の精製されたものなら、普通の数字です。水素添加し、常温で固まるショートニングやマーガリン、ファストスプレッドに比べれば問題になりません。

玄米

トランス脂肪酸については、トランス脂肪酸とはどのようなものか?という記事を書いたことがあります。

トランス脂肪酸は、炭素の二重結合をもつ、不飽和脂肪酸にだけ関係があります。つまり、植物油には関係が大アリです。

自然界では、二重結合部分は「シス型」といって、脂肪酸の全体の形が丸まっていくように結合するのがほとんどですが、「トランス型」は、全体が直線的に見えるように結合します。

米油のトランス脂肪酸は約1%

米油について調べていた時に、米油はトランス脂肪酸が多い?というネットの書き込みを読んだのでこちらも調べてみました。

ボーソー油脂株式会社のよくあるご質問についてにきちんとていねいに回答されていました。

http://www.boso.co.jp/komenochikara/?p=2982

A4.弊社主要商品であります「こめ油」のトランス脂肪酸含有率につきましてお答えいたします。
(製造ロットによっても多少差異が出ますことをご了承ください)

「こめ油」のトランス脂肪酸含有率は
【約1.0%】でございます。(後略)

「1%」が多いのか少ないのかわからないので、まず、厚労省がどのような見解を出しているのか読んでみました。

トランス脂肪酸の摂取量は総エネルギー摂取量の1%未満に抑える

トランス脂肪酸に関するQ&Aという記事がありました。

トランス脂肪酸に関するQ&A

トランス脂肪酸の目安量はどのくらいですか?という回答がありました。

WHO (世界保健機関)は、心血管系疾患リスクを低減し、健康を増進するための勧告(目標)基準として、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう提示しています。

このため、トランス脂肪酸の摂取量の水準が公衆衛生上懸念される国では規制している国もありますが、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均値で、総エネルギー摂取量の0.3%であることが分かっており、平成24年3月に食品安全委員会が取りまとめた食品健康影響評価において、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられています。

また、トランス脂肪酸の摂取が多い方から上位5%の人についても、0.70%(男性)、0.75%(女性)で、WHOの勧告(目標)基準を下回っています。

なお、総エネルギーの1%のトランス脂肪酸の量は、年齢、性別などにより異なりますが、1日当たり約2グラムに相当します。

総エネルギー摂取量の1%未満ということは、1日、2000のkcalの食事をするとして、トランス脂肪酸摂取量は、20kcal未満に抑えなさいということです。

実際に計算してみよう

食用油は、1gが9kcalあります。

油はグリセリンと3本の脂肪酸からできているので、油よりもトランス脂肪酸の方がカロリーは低くなりますが、ここは単純計算で行きましょう。

20kcalのトランス脂肪酸(だけ)を含む油は、20/9=2.2gです。

一方、現在、日本人成人の1日の脂肪摂取量は、50~60gくらいといわれています。多い方を取り60gとして、それを全て米油で摂ると考えると、含まれるトランス脂肪酸の量は、その1%ですから、60×0.01=0.6gです。

十分許容範囲です。しかも、1日の脂肪が全て米油ということは、通常あり得ないことです。

ところで、米油に1%含まれているトランス脂肪酸ですが、この比率(1%)は、高いのか低いのか知りたいところです。

1%という数字は精製している油なら普通みたいだ

一般の食品にはどのくらいトランス脂肪酸が含まれているのか。2012年(平成24年)に出された食品に含まれるトランス脂肪酸という文書に表が載せられていました。

食品100gあたりのトランス脂肪酸量について、平均値、最大値、最小値が書かれています。

植物系油脂は、最大値が2.780gで、最小値が0g。平均値が1.395gですから、米油はほぼ平均値だと考えればよいです。

トランス脂肪酸は、油を精製するときの脱臭工程で高温処理するときにできてきます。精製しない油には含まれていません。また、精製した油でも高温処理しなければ、トランス脂肪酸はできにくくなります。

ショートニングがダントツ

表を見ると、ショートニングがダントツに多く、マーガリンファストスプレッドがそれに次いでいます。ショートニングを使ってサクサク感を出す、パイやクッキー、ビスケットも多いです。

ショートニングもマーガリン、ファストスプレッドも、本来、液体の植物油に水素添加して飽和脂肪酸を増やすことで固めるので、トランス脂肪酸が増えるのは当然だと思います。

国内に流通している食品のトランス脂肪酸含有量
小分類 食品名 試料数 トランス脂肪酸(g/100 g)
平均値 最大値 最小値
バター バター 13 1.951 2.210 1.710
マーガリン 1 マーガリン、ファットスプレッド 34 7.004 13.489 0.356
マーガリン、ファットスプレッド(市販品) 15 5.509 12.285 0.941
マーガリン、ファットスプレッド(業務用) 19 8.184 13.489 0.356
マーガリン 20 8.057 13.489 0.356
ファットスプレッド 14 5.499 9.979 0.988
植物系油脂 食用調合油、ナタネ油等 22 1.395 2.780 0.000
動物性油脂 ラード、牛脂 4 1.365 2.700 0.640
ラード 3 0.920 1.090 0.640
その他油脂類 ショートニング 10 13.574 31.210 1.150
ビスケット類 ビスケット類 2 29 1.795 7.282 0.036
ビスケット 7 0.680 2.498 0.036
クッキー 8 1.916 3.802 0.209
クラッカー 6 0.444 0.813 0.049
カンパン 2 3 0.369 0.637 0.182
パイ 5 4.752 7.282 0.369
半生ケーキ 3 1.849 2.985 0.174
その他の菓子類 その他の菓子類 56 0.490 12.652 0.000
ポテト系スナック菓子 16 0.308 1.472 0.026
コーン系スナック菓子 8 1.715 12.652 0.084
米菓子 8 0.251 0.619 0.003
小麦系スナック菓子 9 0.510 1.261 0.099
チョコレート 15 0.148 0.713 0.000
ケーキ・ペストリー類 ケーキ・ペストリー類 12 0.707 2.169 0.258
シュークリーム 4 0.543 0.931 0.258
スポンジケーキ 4 0.905 2.169 0.385
イーストドーナツ 4 0.673 1.589 0.267
マヨネーズ マヨネーズ 9 1.237 1.652 0.486
パン類 食パン 5 0.163 0.270 0.046
菓子パン類 菓子パン 4 0.204 0.336 0.150
即席中華めん 即席中華めん 10 0.128 0.377 0.024
油揚げ類 油揚げ、がんもどき 7 0.134 0.224 0.068
牛肉 牛肉 70 0.521 1.445 0.012
肉類(内臓) 牛肉(内臓) 10 0.439 1.450 0.005
牛乳 牛乳等 5 26 0.091 0.194 0.024
発酵乳・乳酸菌飲料 プレーンヨーグルト、乳酸菌飲料 8 0.043 0.105 0.000
その他の乳製品 その他の乳製品 3 30 0.482 12.470 0.005
練乳 4 0.148 0.228 0.005
クリーム 10 3.017 12.470 0.011
アイスクリーム類 14 0.242 0.598 0.008
脱脂粉乳 2 0.024 0.026 0.022
1 マーガリンにはマーガリンの他ファットスプレッドを含む。また食品名区分では
市販品と業務用、マーガリンとファットスプレッドに分けて平均値等を示した。
2 ビスケット類の平均値は、国民健康・栄養調査報告では小分類の食パンに分類される
カンパン類を除いたビスケットから半生ケーキについての値である。
3 平均値には、この食品群において極めて含有量が高い、クリーム(乳脂、植物油)の
2検体は加えていない。なお、加えた場合は 1.140 g/100 g である。

NOTE

米油は、米ぬかから油を搾ると考えると、脱臭工程なしではむずかしいと思います。米ぬかに結構においがあるからです。それでトランス脂肪酸が多い?なんて書かれていたのかなと思いましたが、トランス脂肪酸が1%というのは、精製した植物油では普通の数字です。

ラードや牛脂にも案外トランス脂肪酸があります。これは、きっとエサ由来で、大豆粕その他穀物を食べさせているからだと思います。

個人的に上の表を見て、パイにトランス脂肪酸が多いのが気になりました。私はアップルパイがとても好きです。

また、多いだろうなと思っていたドーナツが意外と少ないのがちょっとした発見でした。

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