油の種類では、えごま油、亜麻仁油といったオメガ3の油、ごま油、オリーブ油、なたね油、ひまし油、こめ油、ココナッツオイル、パーム油を紹介しています。
オメガ3の油
えごま油、亜麻仁油をはじめ、チアシードオイルのほか、加熱に強いサチャインチオイル(インカインチオイル)、保存性に優れたカメリナ油の5種類あります。一番気になる油だと思います。詳しくは、オメガ3の油は5種類あるをお読み下さい。
ごま油
油といえば、ほぼ、サラダ油ばかりだった(?)昭和の時代から、ごま油は高級な油として使われてきました。焙煎ごま油とごまサラダ油(太白ごま油)があります。
ごまと精製していないごま油の栄養成分の比較
ごまは栄養豊富な食べ物なので、ごまを搾って精製していない油には、どのくらい栄養成分が入って行くのかなと思ったら、栄養成分としては、ほぼ、ただの脂質(油)でした。ただし、ごま特有のセサミン、セサミノール、セサモリンなど抗酸化作用がある物質は栄養成分として出てこないので別です。
ごま油の作り方を調べた
ごま油は、焙煎したごまから油を搾ります。色があり独特の風味があります。こちらは、精製していない油です。白ごま油は、焙煎しないごまから油を搾って精製したものです。白ごま油うがいにはこちらを使います。
ごま油は酸化しにくく、ごま油で揚げたものも酸化しにくい
ごま油はゴマリグナンのおかげで酸化しにくいことが知られていますが、特に、焙煎ごま油は酸化しにくいです。ご自宅で揚げ物をする時は、体のためにも焙煎ごま油を混ぜるのがよいです。揚げ油の30%を焙煎ごま油にすると、加熱前より加熱後の方が酸化が抑えられるようです。
ごま油に含まれるビタミンEは大豆油やえごま油より少ない
ごま油だけがなぜ酸化されにくいのだろう。そう思ったことはありませんか?最初はビタミンEが多いからだと思っていましたが、実際に調べるとかなり少ないです。とても酸化されやすい油だと知られている大豆油とえごま油と比較しても、ビタミンEの含有量は少ないことがわかりました。ビタミンEはほとんど関係ありません。
ごま油が酸化しにくい理由とは
ごま油の酸化されにくい性質は、もともとごまに含まれているリグナンの一つ、セサモリンによります。太白ゴマ油の場合は、セサミノールに変化し、焙煎ゴマ油の場合は、セサモールに変化します。ただ、セサモールは、時間の経過とともに減少するので、セサモールだけではないと考えられています。焙煎ゴマ油の方が酸化されにくいからです。
江戸時代のごま油
江戸時代、元禄年間に出版された本草書、本朝食鑑を読むと、胡麻油が高価なもので、食用油や明かり用の燈油や雨具や塗髪に使われていました。その中でも、煙が少なく、燈油に一番利用されていました。
セサミンの効果とは
ごま油によく知られたセサミンが含まれています。セサミンはビタミンEが肝臓細胞の解毒酵素で代謝されてしまうのを阻害し、ビタミンEの体内濃度を上げます。また、セサミン自体には抗酸化作用はありませんが、解毒酵素で代謝されると強い抗酸化力を発揮します。
セサミンはリノール酸がアラキドン酸に変化するのを阻害する
セサミンについての話で一番面白いのはこれです。ごま油に含まれているセサミンは、リノール酸がアラキドン酸に変化するまでの反応のうち、一番最後、ジホモ-γ-リノレン酸がアラキドン酸に変化するのを阻害します。ごま油はリノール酸が多い油ですが、リノール酸の多さを少し割り引いて考えられると思います。これを発見したのは、セサミンを販売しているサントリーです。
オリーブ油
オリーブオイルについて、13本記事を書きました。
特に興味があったのは、オリーブオイルは一体、いつから使われているのかということと、本物のエキストラバージンオイルは少ないということです。
オリーブオイルについて書いた記事のまとめを最初に読んでいただくとよいと思います。
なたね油
なたね油には、体によくないエルカ酸(エルシン酸)を含むことと、搾りかすにグルコシノレートという植物毒を含む問題がありました。
これを改良したのがカナダのカノーラ(キャノーラ)油ですが、品種改良とはいうものの、現在では栽培面積の90%以上が遺伝子組み換えによるものです。
日本では外来種と在来種の交配によってこれらの成分がゼロもしくは低くなるような品種がいくつかつくられています。
ナタネの品種について無エルカ酸(エルシン酸)と低エルカ酸のもの
なたねは、もともと体によくないエルカ酸(エルシン酸)とグルコシノレートを含んでいましたが、国産の場合、品種改良により、これら成分を含まないダブルロー品種ができています。しかし、なたねの自給率は0.05%であり、外国産のなたねを搾った油は、同じく改良されていますが、遺伝子組換え不分別であると思っておいた方がよいようです。
なたね油はカノーラ(キャノーラ)油へ
なたねの在来種には油にエルカ酸(エルシン酸)を含むことと、搾りかすにグルコシノレートという植物毒を含む問題がありました。カナダで品種改良によって解決されてできた油が、カノーラ油です。また、日本のなたねも、品種改良で無エルシン酸低グルコシノレートの品種ができています。
ひまし油
伝統的に下剤や機械の潤滑油として使われてきたひまし油は、実に変わった脂肪酸組成です。
ヒマシ油は実に変わった油だ
ヒマシ油は食用でないので今まで記事にしませんでした。ところが、美容と健康のための 植物オイル・ハンドブックを読むと、カスター油という名前で書かれていて、脂肪酸組成がとても変わっているのです。
こめ油
こめ油は米ぬかから搾ります。日本で唯一原料に困らない油です。
米油の脂肪酸組成と成分の特徴
米油は、米ぬかから溶剤抽出法で搾油され精製された油です。脂肪酸組成は、オレイン酸、リノール酸が多く、α-リノレン酸はごくわずかしか含まれません。その他成分にはビタミンEが含まれ、トコトリエノール、γ-オリザノール、植物ステロールが含まれています。
米油とトランス脂肪酸
米油はトランス脂肪酸が多い?という書き込みを見て、調べてみました。米油のトランス脂肪酸の含有率は約1%。植物油の精製されたものなら、普通の数字です。水素添加し、常温で固まるショートニングやマーガリン、ファットスプレッドに比べれば問題になりません。
ココナッツオイル
ココナッツオイルはずいぶん流行りましたが、飽和脂肪酸が多く、炭素数12のラウリン酸が主成分で、次に多いのは炭素数14のミリスチン酸です。コレステロール値を気にする人にはおすすめではありません。
ココナッツオイルはオメガ3の油ではない
ココナッツオイル、オーガニックなものは人気があるようですが、オメガ3の油ではありません。ココナッツオイルの脂肪酸組成は90%以上が飽和脂肪酸で、オメガ3の脂肪酸は0(ゼロ)です。炭素数12の飽和脂肪酸、ラウリン酸が一番多い成分です。
ココナッツオイルはヤシ油について調べれば分かるよ
ココナッツオイルは、ヤシ油のことです。炭素数12の飽和脂肪酸ラウリン酸が主成分です。次に多いのは炭素数14の飽和脂肪酸ミリスチン酸です。酸化しにくく保存性はよいと思いますが、コレステロール値を気にしている人は、少し注意が必要かもしれません。
パーム油
パーム油はココナッツオイルと似たようなものだと思いましたが、パルミチン酸とオレイン酸が多い油です。90%が食品に使われます。
パーム油は世界一生産されている油であった
パーム油は世界一生産量の多い油です。洗剤の原料になるのかと思ったら、90%が食用で使われています。脂肪酸組成は、約40%がパルミチン酸(C16:0)、35%をオレイン酸(C18:1)が占めます。パルミチン酸を始め飽和脂肪酸が多いのが特徴です。