牛肉とオメガ3

牛肉の脂質にオメガ3の脂肪酸がどのくらい含まれているのか。霜降りが多いリブロースについて調べましたが、100gあたり脂質が78gある脂身で、α-リノレン酸は約0.1gしかありません。他の部位、赤身や脂身が混ざった部分はもっと少ないです。ほとんどありません。

牛肉の部位について

普段、何となく肉を買っていますが、ロース、バラ、ヒレなど、どの部位のことを指しているのかよくわかりません。

東京都中央卸売市場のサイトに牛・豚の基礎知識 – 部位別の名称がありました。

東京都中央卸売市場
I 牛・豚の基礎知識 牛・豚の種類 牛・豚の出荷 部位別の名称 枝肉の格付 畜産副産物 (1)牛肉 牛肉の主な部位は、9つに分けられます。肉質が柔らかい部位と硬い部位に分けられますが主な料理の使用方法として、柔らかい肉はステーキなどの焼き肉

リブロースについて調べる

日本食品標準成分表2015年版(七訂)を使い、和牛肉のリブロースについて調べました。最初、サーロインについて調べるつもりだったのですが、脂身だけの項目がなかったので、リブロースにしました。

リブロースは霜降りになりやすい部位とのことですが、実際、脂身以外でも脂質が多いです。赤身でも40gあります。サシが入っているのでしょう。

それぞれオメガ3の脂肪酸について調べました。色を塗ってあります。

リブロース/
脂身つき生
リブロース/
皮下脂肪なし生
リブロース/
赤肉生
リブロース/
脂身生
エネルギー 573kcal 556kcal 436kcal 752kcal
水分 34.5g 36.1g 47.2g 17.7g
たんぱく質 9.7g 10.3g 14g 4.2g
脂質 56.5g 54.4g 40g 78g
炭水化物 0.1g 0.1g 0.2g 0
灰分 0.4g 0.5g 0.6g 0.2g
脂肪酸総量 51g 49.22g 36.76g 69.65g
飽和脂肪酸 19.81g 19.18g 14.75g 26.44g
一価不飽和脂肪酸 29.8g 28.71g 21.04g 41.28g
多価不飽和脂肪酸 1.39g 1.33g 0.97g 1.93g
n-3系多価不飽和脂肪酸 0.07g 0.06g 0.04g 0.1g
n-6系多価不飽和脂肪酸 1.32g 1.27g 0.93g 1.83g
16:0パルミチン酸 12000mg 12000mg 9400mg 16000mg
18:0ステアリン酸 5600mg 5400mg 4000mg 7600mg
16:1パルミトレイン酸 2200mg 2100mg 1500mg 3000mg
18:1n9オレイン酸 25000mg 24000mg 18000mg 35000mg
18:2n-6リノール酸 1200mg 1200mg 850mg 1700mg
18:3n-3αーリノレン酸 68mg 65mg 44mg 99mg
20:4n-6アラキドン酸 31mg 30mg 28mg 34mg

脂身の脂質78g中オメガ3のα-リノレン酸は0.1g

リブロースの中で一番脂質が多いのは、脂身で78gあります。そのうちオメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸で、99mg。約0.1gです。

もし、脂質が少ない部位なら、ほぼ「ない」といってしまってよいですね。

オレイン酸が一番多く、飽和脂肪酸のパルミチン酸とステアリン酸、オメガ7のパルミトレイン酸に続いてオメガ6のリノール酸も含まれています。

牛肉の脂質はエサ由来

飼育されている牛は、与えられたエサを食べています。エサの中の脂質はエネルギーにもなりますが、牛の脂身にたまっていきます。

畜産ZOO鑑(ちくさんずーかん)のエサの種類によると粗飼料と濃厚飼料を与えると書かれています。

エサの種類

牛は草食動物です。

粗飼料とは、草そのものや草からつくられたエサのことで、生草、サイレージ、乾草に区分できます。(中略)

サイレージは、刈り取り後に適度に乾燥させた生草やあぜ草、野草、牧草などや、カッターやハーベスタなどで黄熟期(黄色く実って収穫に一番よい時期のこと)に切断したトウモロコシをサイロ(サイレージ用の入れ物)に詰めたものです。(中略)

濃厚飼料とは、繊維質中心の粗飼料に比べて、デンプンやタンパク質含量が高いエサです。一般的には、トウモロコシ、ぬか類、大豆や大豆粕(かす)、綿実などを混ぜ合わせた混合飼料をつくります。

穀物の飼料にはリノール酸が多い

昔、地理でアメリカのコーンベルトについて習ったことをいまだに覚えているのは、子供の頃、穫りたてのトウモロコシをゆでて食べるのが好きだったからです。

アメリカではコーンは牛を飼育するのに欠かせないものです。

トウモロコシや大豆など穀物には一般にリノール酸が多く含まれています。α-リノレン酸も含まれていないわけではありませんが、その割合はリノール酸の方がずっと高い。

穀物をたくさん食べれば、含まれている脂質はエネルギーとしても使われますが、肉の脂身にたまっていきます。

トウモロコシや大豆は生産量が多く、栄養価が高く、安価であるので一般に飼料として使われます。

NOTE

余談ですが、2000年頃、狂牛病が流行しました。牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛の脳や脊髄などを原料としたえさが、他の牛に与えられたことが原因で広がったのです。(出典:牛海綿状脳症(BSE)について)共食いさせているのかと恐ろしく思ったことを思い出します。

当時、福岡先生のこの本を買いました。この2、3年後、生物と無生物のあいだが大ヒットしたんですね。

その他の畜産物とオメガ3については、畜産物の中のオメガ3をご参照下さい。

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