うなぎとオメガ3の脂肪酸

うなぎはほとんど養殖ものです。生100g中、脂質は20gくらいでオメガ3の脂肪酸は2g 以上 4g 未満というところ。うな重を食べれば1日に必要なオメガ3の脂肪酸は、お釣りが来るでしょう。

うなぎ

うなぎを食べればオメガ3が1日分

うなぎはもともと高いですが、稚魚が獲れなくなり、もっと高いものになりました。うなぎには、どれくらいオメガ3の脂肪酸が含まれているか、日本食品標準成分表2015年版(七訂)を使って調べました。

脂質はだいたい 20g あります。その中でオメガ3脂肪酸は、2g 以上 4g 未満というところでしょうか。これは100gあたりですから、うな重を食べれば1日に必要なオメガ3の脂肪酸としてはお釣りが来ます。

一番にオレイン酸が多く、パルミチン酸、DHAと続きます。リノール酸が少ないです。

食品100gあたりの栄養成分
うなぎ/
養殖生
うなぎ/
きも生
うなぎ
白焼き
うなぎ/
かば焼
やつめ
うなぎ/
やつめ
うなぎ/
干しやつめ
エネルギー 255kcal 118kcal 331kcal 293kcal 273kcal 508kcal
水分 62.1g 77.2g 52.1g 50.5g 61.5g 14.3g
たんぱく質 17.1g 13g 20.7g 23g 15.8g 50.3g
脂質 19.3g 5.3g 25.8g 21g 21.8g 31.2g
炭水化物 0.3g 3.5g 0.1g 3.1g 0.2g 0.5g
灰分 1.2g 1g 1.3g 2.4g 0.7g 3.7g
食塩相当量 0.2g 0.4g 0.3g 1.3g 0.1g 0.3g
脂肪酸総量 15.45g 3.93g 21.64g 18.6g 17.98g 23.45g
飽和脂肪酸 4.12g 1.2g 6.59g 5.32g 3.76g 6.57g
一価不飽和脂肪酸 8.44g 1.8g 11.95g 9.85g 9.57g 9.15g
多価不飽和脂肪酸 2.89g 0.93g 3.1g 3.39g 4.65g 7.5g
n-3系多価不飽和脂肪酸 2.42g 0.79g 2.27g 2.87g 3.8g 6.66g
n-6系多価不飽和脂肪酸 0.39g 0.13g 0.75g 0.53g 0.74g 0.84g
16:0パルミチン酸 2800mg 790mg 4700mg 3600mg 2600mg 4000mg
18:0ステアリン酸 710mg 290mg 810mg 790mg 380mg 500mg
18:1計 5900mg 1400mg 8900mg 6500mg 6700mg 5300mg
18:2n-6リノール酸 220mg 50mg 530mg 440mg 300mg 570mg
18:3n-3αーリノレン酸 59mg 10mg 90mg 84mg 170mg 240mg
20:4n-6アラキドン酸 71mg 53mg 95mg 62mg 320mg 240mg
20:5n-3イコサペンタエン酸 580mg 150mg 510mg 750mg 1500mg 2200mg
22:6n-3ドコサヘキサエン酸 1100mg 470mg 1100mg 1300mg 1500mg 2800mg

うなぎとやつめうなぎは別の生物

時々、目黒不動尊に行くのですが、参道に有名な八つ目や西村目黒店があります。

Nishimura
当店でお出ししている「うなぎ」は、千住の川魚問屋「松本」から 充分に吟味した国産の最高級品を直接仕入れております。秘伝のたれと紀州備長炭で焼き上げた蒲焼きは、 昔ながらの店造りとともに東京の味名所として皆様に愛されております。

店名に八つ目が入っているのですが、普通のうなぎ屋さんです。ただ、11月~3月ごろ、やつめうなぎが入荷したときだけ、店内で販売されますとか。やつめうなぎからつくったホルゲンという健康食品も売ってます。

アマゾンで販売されているのは、強化版なのか医薬品になってました。

ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑によると、やつめうなぎはこのように説明されています。

カワヤツメ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑
「カワヤツメ」の生息域や生態などの基本情報から地方名・食べ方・料理法法・料理例・加工品などを写真付きで解説。「市場魚貝類図鑑」は水産物関連著書多数のぼうずコンニャク主宰。掲載種は2500種以上。

一般的な「ウナギ」と縁もゆかりもない生き物で、分類学的に魚類ではないとされることのある無顎類である。実際に鱗もなくウナギのように粘液も出さない。

川で生まれて、川に産卵のために上る。この川に上るヤツメウナギを取り食べている。古く東北・北海道などでは普通に見られ食べられていたが、近年激減、珍しくて高価なものとなっている。

グーグルで画像検索してみると吸盤があり、なかなか見た目が気持ちが悪いです。他の魚に吸いついて体液を吸うのだとか。

その分、栄養豊富なのかもしれません。ビタミンAが多く目によいそうです。

養殖うなぎのえさ

養殖うなぎには、餌の中に魚粉と油脂が入っています。これがうなぎに含まれる脂質と脂肪酸組成に反映されます。

うなぎの天然物は、ほとんど手に入らない時代になりました。養殖うなぎの脂肪酸はエサ由来です。

どんなエサを与えられているのでしょう。調べてみると、1番に高知市の川口水産のサイトが出て来て、説明が書かれていました。

魚粉と油を与える

http://www.kawasui-blog.jp/youman/

現在、うなぎの養殖で使用している餌は、乾燥した魚粉に様々なビタミンやミネラル等を添加したものを水で練り、つきたてのお餅のような塊にしてうなぎに与えるわけですが、その時、フィードオイルという飼料油を添加します。

この魚粉は、鯵(あじ)や鰯(いわし)やすけそう鱈(たら)だそうです。ここに出てくるフィードオイルとはどのようなものでしょう?

栄研商事株式会社のサイトに養魚用フィードオイルのページがありました。

養魚用フィードオイル – 栄研商事株式会社

養魚用飼料における油脂の役割は、エネルギー源、必須脂肪酸(ω3酸)の給源として重要であり、その他では脂溶性ビタミン類、リン脂質、色素などの給源、運搬体として大切な働きを担っています。

うなぎにとってオメガ3(上ではω3酸と書かれています)の脂肪酸は、ヒトと同じように必須脂肪酸です。自分でつくることはできず、エサから摂るしかありません。他の魚も同じです。

このことは、魚にEPAやDHAが多いがこれらは魚にとっても必須脂肪酸だったに詳しく書きました。

魚にEPAやDHAが多いがこれらは魚にとっても必須脂肪酸だった
魚に特別EPAやDHAが多いのは、自分で合成しているのかと思っていましたが、ラビリンチュラ類という微生物がつくりそれをエサにしているからだとわかりました。必須脂肪酸は魚にとっても必須脂肪酸でした。そればかりか、脊椎動物にとって必須脂肪酸なのです。体にたまる脂肪は食べたものに影響されています。

ビタミンや色素の中には、水に溶けず油に溶ける脂溶性のものがあります。ビタミンAやD、Eは脂溶性です。

細胞膜を構成するリン脂質は、脂肪酸が2本必要です。脂肪酸が3本ついた油脂(脂肪のことです)を与えると、リン脂質の材料になります。

うなぎの脂質の多さもその脂肪酸組成も与えられたエサ由来です。

NOTE

養殖された魚は、完全にエサを管理されます。オメガ3の脂肪酸がどのくらい入っているかなと調べるときは、どんなエサを食べさせているのかもあわせて調べるとよいですよ。

その他の水産物とオメガ3については、水産物の中のオメガ3をお読み下さい。

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