オメガ3・6・9のバランスってあるの?

オメガ3・6・9のバランスと聞くと、そういうことが必要なのかと思ってしまいますが、自分で買ってくる油をオメガ3の油にすれば解決できます。必要なことは使う油に含まれるリノール酸を減らすことだけです。

カプセル

サプリメントの広告で、「オメガ3・6・9を最適なバランスで含み・・・」という広告文を見かけます。こういう書き方をされると、「設計」して後から「わざわざ」調合したように感じます。最適なバランスってあるのかと思ってしまいますね。

オメガ3の油を使えばよいだけ

オメガ3・6・9のバランスは、オメガ3の油を使えば解決できます。

オメガ3の油は、オメガ3の脂肪酸だけでできた油ではありません。代表的な脂肪酸である、オレイン酸(オメガ9)、リノール酸(オメガ6)、その他飽和脂肪酸のパルチミン酸やステアリン酸が入っています。

今の油のとり過ぎ時代はどうしてもオメガ6のリノール酸が多くなるので、自分で買ってくる油をオメガ3の油にすれば、リノール酸とり過ぎを少しでも緩和できます。

また、オメガ9のオレイン酸は、アセチルCoAから体内で作ることができる脂肪酸です。リノール酸をなるべくとらないようにするためにオリーブ油やハイオレイックタイプの油をとることに意味はありますが、それ以外に意味はありません。

オメガ3の油ってα-リノレン酸しか入っていないと思っていませんか?

ところで、私も記事を書くときによく使いますが、オメガ3の油ってどんな油でしょう?

まさか、オメガ3の脂肪酸α-リノレン酸しか入っていない油だなんて思っていませんよね。そんな食用油はありません。オメガ3の脂肪酸が一番多い油が、オメガ3の油です。

亜麻仁油とえごま油の脂肪酸組成

オメガ3の油としてよく知られた亜麻仁油とえごま油について脂肪酸の種類を見ましょう。栄養成分は日本食品標準成分表2015年版(七訂)から調べました。

オメガ3のα-リノレン酸が一番多く、その次が、オメガ9のオレイン酸、次いで、オメガ6のリノール酸、飽和脂肪酸のパルミチン酸、ステアリン酸と続きます。

食品100gあたりの栄養成分
あまに油 えごま油
エネルギー 921kcal 921kcal
水分 Tr Tr
たんぱく質 0 0
脂質 100g 100g
炭水化物 0 0
灰分 0 0
飽和脂肪酸 8.09g 7.64g
一価不飽和脂肪酸 15.91g 16.94g
多価不飽和脂肪酸 71.13g 70.6g
n-3系多価不飽和脂肪酸 56.63g 58.31g
n-6系多価不飽和脂肪酸 14.5g 12.29g
16:0パルミチン酸 4500mg 5600mg
18:0ステアリン酸 3200mg 1900mg
18:1n-9オレイン酸 15000mg 16000mg
18:2n-6リノール酸 14000mg 12000mg
18:3n-3αーリノレン酸 57000mg 58000mg
20:4n-6アラキドン酸 0 0
20:5n-3イコサペンタエン酸 0 0
22:6n-3ドコサヘキサエン酸 0 0
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)

問題はリノール酸のとり過ぎである

このブログの中でも何度も書いていますが、今は昔よりも油ものをたくさん食べるようになり、その時に使われる油が大豆油やナタネ油などの安価な植物油です。お店で食べたり買ってくるものはお菓子も含めてどうしてもそうなります。

そして、それらの油は、リノール酸が多い油です。

リノール酸をとり過ぎると、どうしていけないのか?ネットで調べるとたくさん出て来ます。

たとえば、リノール酸摂りすぎによる炎症性疾患としての癌ではこのように書かれています。

米国で先行し,わが国で急速に増えている米国型癌は,油脂栄養が主要な危険因子となっている.

摂取油脂のリノール酸(n-6)系とα-リノレン酸(n-3)系の比が高いとリン脂質はアラキドン酸(n-6)などで満たされ,それ由来の炎症メディエーターが起炎性(炎症惹起性)物質による炎症を持続させる方向にはたらく.

炎症細胞からの活性酸素種は遺伝子を傷害する一方,細胞増殖刺激となる.また炎症メディエーターはc-myc,fos など転写因子を活性化して増殖刺激となり,発癌促進的にはたらく.

炎症が継続するようになってしまいやすいのです。

オメガ9オレイン酸は体の中でステアリン酸からつくられる

オレイン酸はオリーブ油の脂肪酸としてよく知られていますが、必須脂肪酸ではありません。体の中で作ることができるからです。

自分でつくる場合は、炭素数2のアセチルCoAをつなげていって、炭素数16の飽和脂肪酸パルミチン酸を作るのが基本です。パルミチン酸を材料にして、さらに炭素をつなげたり、二重結合をつくって別の脂肪酸をつくります。

オレイン酸は、パルミチン酸にさらに炭素を2個足して炭素数18のステアリン酸になり、次に、カルボキシ基(-COOH)側から数えて9番目の炭素を二重結合にしてでき上がります。

オメガ3の脂肪酸とオメガ6の脂肪酸はなぜ体の中で作ることができないのか?に詳しく書きました。

オメガ3とオメガ6の脂肪酸はなぜ体の中で作ることができないのか?
動物は、脂肪酸をカルボキシ基(-COOH)から数えて9番目の炭素までは二重結合にすることはできますが、それよりも先の炭素を二重結合にすることはできません。そのため、それより先に二重結合があるオメガ6やオメガ3の脂肪酸は食べものから摂らなくてはならないのです。

NOTE

商品を販売するためには、それらしいことばを並べて目立たなければいけません。「オメガ3・6・9のバランスが理想的・・・」なんて書いてあったら、私はまやかしだと思います。

みんながスマホを持ちすぐに検索できる時代になったので、こういう商売の方法は通用しなくなっていくと思います。

オメガ3・6・9のバランスが必要だと考えるなら、近所のスーパーにいって、800円くらいで買えるえごま油を1本買ってくれば問題解決できます。ついでにサバ缶を買ってくれば完璧です。

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