マーガリンとオメガ3脂肪酸

マーガリンは植物油が原料なので、オメガ3のα-リノレン酸は100gあたり1g程度あります。リノール酸がきっと一番多いのだろうと思いましたが、オレイン酸が一番多い脂肪酸でした。脂肪酸組成の違う油を組み合わせたり、ハイオレイックタイプの油を使ったりして、工夫して作られていることがわかりました。

マーガリン

マーガリンは80%が脂質

マーガリンは100gあたり80g以上が脂質です。ファットスプレッドは脂質が70g程度とやや少ないですが、これは規格があるからです。後述します。

オメガ3脂肪酸は1g程度

マーガリン100gに含まれるオメガ3の脂肪酸は、0.6~1.17g。だいたい1gぐらいだと思っておけば間違いないでしょう。植物油を原料にしているので、オメガ3の脂肪酸は、α-リノレン酸です。

オレイン酸が一番多く、リノール酸はその次

調べる前は、植物油を使っているからリノール酸が一番多いだろうと思っていたのですが、意外にも一番多いのはオレイン酸でした。植物油が原料なのでリノール酸が少ないわけではないですが、各メーカーとも原料の選択に気をつかっているのがわかりました。

栄養成分は日本食品標準成分表2015年版(七訂)から調べました。

食品100gあたりの栄養成分
食品成分 ソフトタ
イプマー
ガリン/家
庭用
ファット
スプレッ
ソフトタ
イプマー
ガリン/業
務用
エネルギー 769kcal 637kcal 778kcal
水分 14.7g 30.2g 14.8g
たんぱく質 0.4g 0.2g 0.3g
脂質 83.1g 69.1g 84.3g
炭水化物 0.5g 0g 0.1g
灰分 1.3g 1.2g 0.5g
食塩相当量 1.3g 1.1g 1.3g
脂肪酸総量 75.33g 61.14g 76.64g
飽和脂肪酸 23.04g 20.4g 39g
一価不飽和脂肪酸 39.32g 20.72g 28.86g
多価不飽和脂肪酸 12.98g 20.02g 8.78g
n-3系多価不飽和脂肪酸 1.17g 1.71g 0.64g
n-6系多価不飽和脂肪酸 11.81g 18.31g 8.13g
16:0パルミチン酸 11000mg 8100mg 27000mg
18:0ステアリン酸 4800mg 4400mg 4600mg
18:1n9オレイン酸 38000mg 20000mg 28000mg
18:2n-6リノール酸 12000mg 18000mg 8100mg
18:3n-3αーリノレン酸 1200mg 1700mg 640mg
20:4n-6アラキドン酸 0 0 0
20:5n-3イコサペンタエン酸 0 0 0
22:6n-3ドコサヘキサエン酸 0 0 0
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)

マーガリンとファットスプレッドの違い

マーガリンとファットスプレッドは日本農林規格の違いがあります。上の表でファットスプレッドの脂質が少なかったのは、日本農林規格で80%未満と決められているからです。

ご指定のページは見つかりませんでした。:農林水産省

マーガリンとファットスプレッドの説明だけ抜き書きします。

用語 定義
マーガリン 食用油脂(乳脂肪を含まないもの又は乳
脂肪を主原料としないものに限る。以下
同じ。)に水等を加えて乳化した後、急
冷練り合わせをし、又は急冷練り合わせ
をしないでつくられた可塑性のもの又は
流動状のものであって、油脂含有率(食
用油脂の製品に占める重量の割合をい
う。以下同じ。)が80%以上のものをい
う。
ファットスプレッド 次に掲げるものであつて、油脂含有率が
80%未満のものをいう。

  1. 食用油脂に水等を加えて乳化した
    後、急冷練り合わせをし、又は急冷
    練り合わせをしないでつくられた可
    塑性のもの又は流動状のもの。
  2. 食用油脂に水等を加えて乳化した
    後、果実及び果実の加工品、チョコ
    レート、ナッツ類のペースト等の風
    味原料を加えて急冷練り合わせをし
    てつくられた可塑性のものであっ
    て、風味原料の原材料に占める重量
    の割合が油脂含有率を下回るもの。
    ただし、チョコレートを加えたもの
    にあっては、カカオ分が2.5%未満
    であって、かつ、ココアバターが
    2%未満のものに限る。

それぞれの原料

雪印メグミルクと小岩井乳業と明治のマーガリンについて、原料の油を調べました。明治だけマーガリンそれぞれの商品について油の種類が公開されていませんでした。

商品それぞれで原料となる植物油が変更されていて、工夫されていることがわかります。また、リノール酸が思ったよりも少ないのは、今のリノール酸とり過ぎ時代に対応しているのだと思いました。

雪印メグミルクのサイトには、このように説明が書かれていました。

原料となる食用油脂はコーン油、大豆油、紅花油などの植物油脂が主体となっています。植物油脂は種類もいろいろ。それぞれの特性により使い分けたり、いくつかの種類を混ぜ合わせたりして作られています。

(出典:マーガリンとは|マーガリン研究室|雪印メグミルク株式会社

コーン油、大豆油はリノール酸が多い油です。

コーン油の特徴
コーン油はコーンの胚芽を搾った油です。γ-トコフェロールが多く酸化安定性があります。脂肪酸組成は50%以上がリノール酸で、α-リノレン酸はほとんど含まれていません。オメガ6の油です。コーン油は胚芽から搾る食用油脂に詳しく書かれていま...

その他に、綿実油とパーム油も使われているようです。綿実油はリノール酸が多い油です。パーム油は、オレイン酸とパルミチン酸が多い油です。

パーム油は世界一生産されている油であった
パーム油は世界一生産量の多い油です。洗剤の原料になるのかと思ったら、90%が食用で使われています。脂肪酸組成は、約40%がパルミチン酸(C16:0)、35%をオレイン酸(C18:1)が占めます。パルミチン酸を始め飽和脂肪酸が多いのが特徴です...

小岩井乳業は、国産こめ油、べに花油(ハイオレイック)、なたね油(キャノーラ油)を使っています。(出典:小岩井乳業株式会社|小岩井のある食卓|マーガリン

こめ油は、オレイン酸とリノール酸が多い油です。べに花油(ハイオレイック)はオレイン酸がとても多い油です。

米油の脂肪酸組成と成分の特徴
米油は、米ぬかから溶剤抽出法で搾油され精製された油です。脂肪酸組成は、オレイン酸、リノール酸が多く、α-リノレン酸はごくわずかしか含まれません。その他成分にはビタミンEが含まれ、トコトリエノール、γ-オリザノール、植物ステロールが含まれてい...

NOTE

今回、マーガリンを製造している各メーカーサイトを見て、以前問題になっていたトランス脂肪酸についてほぼ解決済みであることを知りました。水素添加した脂肪酸を使わない製法に変わっていました。

代表として雪印メグミルクのサイトにある記事のリンクを貼っておきます。

知ってる?いまどきマーガリン|トランス脂肪酸低減への取り組み|雪印メグミルク
雪印メグミルクのマーガリン類はトランス脂肪酸の低減に取り組み、いまどきの品質へと進化しています。マーガリン類について健康への影響が気になる方へ知って頂きたい、いまどきの品質についてはこちらから。

きっと私が子供の頃のマーガリンは、大豆油が主原料だったのではないかと思います。当時は必須脂肪酸はリノール酸だけでした。α-リノレン酸が必須脂肪酸とされたのは、1980年代になってからです。

今は、リノール酸とり過ぎが問題になる時代で、しかもトランス脂肪酸が問題視されていたので、それぞれに対応しているんだなと思いました。

マーガリンについて他にも記事を書いています。歴史についてです。

マーガリンっていつからあるか調べてみたら150年くらい前からあった
マーガリンは、1869年にフランスで発明されました。初めは動物脂肪を使っていましたが、1910年頃からは不飽和脂肪酸に水素添加する技術が使われるようになりました。マーガリンっていつからあるのだろう?最近、食べてはいけない食品のベ...

また、その他の加工食品に含まれるオメガ3については、加工品に含まれるオメガ3をご参照下さい。

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