α-リノレン酸からEPA、DHAに変換するまで5つの反応がある

少し前にアラキドン酸はリノール酸をとっていれば不足しないでリノール酸からアラキドン酸まで変換されていく順番を書きました。

今度はオメガ3の脂肪酸についてです。

この記事では、まず、オメガ3のα-リノレン酸(炭素数18)からEPA(炭素数20)、DHA(炭素数22)に変換するまでを書き、その後、オメガ6のリノール酸からドコサペンタエン酸までの変換と対比して、その意味を書きます。

ちなみに、これは、かなり重要な変換であり順番でした。リノール酸をとり過ぎになりやすい現在、バランスをとるためにα-リノレン酸をとるようにすすめられますが、その理由が分かりますよ。

α-リノレン酸(C:18)

オメガ3の変換は、α-リノレン酸からスタートです。α-リノレン酸は炭素数18で3つのcis二重結合を持つ脂肪酸です。最初の二重結合はω(オメガ)末端から数えて3番目の炭素に位置する。ω3 脂肪酸といわれる所以です。二重結合の場所が違う異性体にω6 脂肪酸のγ-リノレン酸がある。γ-リノレン酸は、ω(オメガ)末端から数えて6番目、9番目、12番目に二重結合があります。

αリノレン酸

αリノレン酸

ステアリドン酸(C:18)

ステアリドン酸は、化学式はC18H28O2。

Δ-6-デサチュラーゼという酵素によってα-リノレン酸から生合成されます。
Δ-6-デサチュラーゼは、ω末端とは正反対、カルボキシル基(COOH)から数えて6番目の炭素から水素を2個取り、二重結合を作ります。二重結合のことは不飽和結合ともいいます。

ステアリドン酸は炭素の二重結合を4つ持ちます。

ステアリドン酸

ステアリドン酸

エイコサテトラエン酸(C:20)

エイコサテトラエン酸は、炭素数20で二重結合4個の脂肪酸です。ステアリドン酸に炭素を2個つけるエロンガーゼ(elongase)による長鎖化によってつくられます。ω末端ではなく、カルボキシル基側に炭素が2個ついているのが分かります。二重結合の位置は変わっていません。

エイコサテトラエン酸の二重結合は、ω末端から、3、6、9、12番目の炭素にあります。二重結合の位置だけ変えて、6、9,12、15番目に二重結合があると、それはアラキドン酸です。エイコサテトラエン酸はアラキドン酸と異性体です。

エイコサテトラエン酸

エイコサテトラエン酸

エイコサペンタエン酸EPA(C:20)

エイコサペンタエン酸は、分子式 C20H30O2。EPAとよばれます。5つのシス型二重結合をもつ炭素数20の脂肪酸です。Δ5-デサチュラーゼによってカルボキシル基(COOH)から数えて5番目の炭素から水素を2個取り、二重結合を作ります。

EPAは、プロスタグランジン、トロンボキサン-3、ロイコトリエン-5(すべてエイコサノイド)の前駆体で、ω6系統と同様にロイコトリエンなどの生理活性物質に変換されます。しかし、ω6系統を材料にしたものに比較して生理活性が低い、あるいはないという特徴があります。

EPA

EPA

ドコサペンタエン酸(C:22)

ドコサペンタエン酸は、DPAと呼ばれる俗称を持つω-3脂肪酸です。化学式はC22H34O2。アザラシ油に多く含まれているそうです。

EPAに炭素を2個つけるエロンガーゼ(elongase)による長鎖化によってつくられます。ω末端でなくカルボキシル基(COOH)側に延びています。

ドコサペンタエン酸

ドコサペンタエン酸

ドコサヘキサエン酸(C:22)

ドコサヘキサエン酸は、略称DHA 。分子式 C22H32O2。炭素数22で、6つの二重結合をもつ脂肪酸です。

ドコサペンタエン酸 から、Δ4-デサチュラーゼによってカルボキシル基(COOH)から数えて4番目の炭素から水素が引き抜かれて二重結合ができます。

こうしてα-リノレン酸からドコサヘキサエン酸(DHA)まで順番に書いてきましたが、α-リノレン酸を原料としてEPAやDHAを生産する場合、α-リノレン酸からEPAやDHAに変換される割合は10-15%程度です。それほど高くはない。

DHA

DHA

α-リノレン酸とリノール酸からスタートした反応は、同じ酵素が関与する

実は、オメガ3の脂肪酸とオメガ6の脂肪酸をウイキペディアで調べていると常に出てくる図があります。パブリックドメインなので貼らせてもらいます。クリックすると大きくなります。

EFA to Eicosanoids

以前は、さっぱり分からなかったのですが、今なら分かります。

オメガ3の場合、α-リノレン酸からDHAまで5つの反応があります。オメガ6でもリノール酸からドコサペンタエン酸まで5つの反応があります。オメガ6の場合はリノール酸の二重結合が2個なので、最後のドコサペンタエン酸では二重結合が5個になります。もともと1個少ないのです。

5つの反応は、すべて同じです。

①Δ-6-デサチュラーゼは、ω末端とは正反対、カルボキシル基(COOH)から数えて6番目の炭素から水素を2個取り、二重結合を作ります。

②炭素を2個つけるエロンガーゼ(elongase)による長鎖化によってつくられます。ω末端ではなく、カルボキシル基側に炭素が2個ついているのが分かります。二重結合の位置は変わっていません。

③Δ5-デサチュラーゼによってカルボキシル基(COOH)から数えて5番目の炭素から水素を2個取り、二重結合を作ります。

④炭素を2個つけるエロンガーゼ(elongase)による長鎖化によってつくられます。ω末端でなくカルボキシル基(COOH)側に延びています。

⑤Δ4-デサチュラーゼによってカルボキシル基(COOH)から数えて4番目の炭素から水素が引き抜かれて二重結合ができます。

今の食生活は、リノール酸ばかりとっているといわれます。するとスタート地点でリノール酸が多いですから、図でいうと右側の反応ばかり進んでしまいます。α-リノレン酸がないのだから、働く酵素は、リノール酸のために使われます。しかし、もし、α-リノレン酸があれば、α-リノレン酸の反応にも使われることになり、拮抗することができるでしょう。

そういうことだったのです。

スポンサーリンク

フォローする

スポンサーリンク