ごま油は他の油に混ぜると他の油の酸化を防ぐ効果がある

いままで、ごま油についてあまり書いたことがありませんでした。以前、普通の油に比べたら高いですが、オリーブオイルよりは少し安い太白ごま油を使っていたことがあります。焙煎していないので色もにおいもついていないごま油です。しかし、リノール酸についていろいろと本を読むようになると使わなくなってしまいました。

また、何年も前のことですが、食パンにバター代わりに黒ごまペーストを塗って食べていたこともありました。

ゴマとゴマ油の食用油脂におよぼす酸化抑制効果を読ませていただくと、ごま油の酸化されにくさはなかなかすごいのだなと初めて知りました。きっと私のように思う方は他にもいらっしゃるだろうと思います。

この記事では、ごま油がどのくらい酸化されにくいかを書きます。

ごまの性質

ごまについては、マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-に記事がありました。

ゴマは、中央アフリカのサバンナ地帯が原産で、現在はインド、中国、メキシコ、そしてスーダンが主要生産国となっている。

ゴマの種子は小さく、1gは250~300個である。黄金色から褐色、紫色、黒色までさまざまな色があり、重さの約50%が油である。

香ばしさをだすため、軽く焙煎することが多い(120~150℃、5分間)。その芳香成分には焙煎したコーヒーと同じ芳香族硫黄化合物(フルフリルチオール)が含まれる。

中東ではゴマを使った「タヒニ」というペーストがあり、日本ではおにぎりに使ったり、葛粉で固めてゴマ豆腐にしたりする。中国では甘いペースト、ヨーロッパや合衆国では焼き菓子の飾りに使われる。

ゴマ油にはフェノール性抗酸化物質(リグナン)が豊富なうえ、ビタミンEや、焙煎で生じる褐変反応の生成物が含まれるため、非常に酸化されにくい。

ごま油の脂肪酸組成

ごま油の脂肪酸組成は、下表のようになります。

ごま油100g中の脂肪酸組成(g)(出典
脂肪酸総量 93.83
飽和脂肪酸 15.04
一価不飽和脂肪酸 37.59
n-6系多価不飽和脂肪酸 40.88
n-3系多価不飽和脂肪酸 0.31

ほぼ50%弱がn-6系、オメガ6のリノール酸です。また、α-リノレン酸がほとんどないのも特徴です。

ごまの抗酸化成分

ごまには、ゴマリグナンという抗酸化成分が入っています。九鬼産業ごま博士のあれこれ講座に詳しく説明されていました。

セサミン

セサミンは人の体の中で、動脈硬化の原因となるコレステロールの値を下げたり、肝臓の働きを助けることで、悪酔いや二日酔いを防止する成分です。サプリメントにもなっているので有名です。

セサモリン

セサモリンには、体の中で抗酸化作用があることが、分かってきました。セサモリンは焙煎されると、セサモールになり、さらに強力になります。

セサミノール

セサミノールは焙煎していない白く透明なごま油に多く含まれています。抗酸化力が強く、ごま油が他の植物油に比べて長く使うことが出来るのは、この抗酸化物質が油の劣化を防いでいるからです。

これら成分のおかげで、ごま油にはこのような酸化されにくい性質があります。

ごま油は180℃、5分間の加熱に対する酸化も、それの保存中における劣化も起きにくく、酸化安定性の非常に高い油脂であった。

また、開封したサラダオイル・てんぷら油・コーン油等に10%のごま油を添加することで保存中の酸化(劣化)はほとんど抑制された。

この論文では、酸化安定性に優れているごま油を、サラダオイル・てんぷら油・コーン油に添加して加熱・保存した場合の酸化安定性について調べられています。他の油にごま油を添加すると酸化しづらくなることが期待できるとは、ごま油には強力な抗酸化作用があるのですね。

ごま油を他の油に混ぜる

実験は、サラダオイル、てんぷら油、コーン油それぞれを15g ずつ取り、ごま油を重量に対し設定された割合で添加して、ホットプレートで180℃ 、5 分間および10 分間加熱した油のPOV を経日的に測定されました。

私のような専門外の人間にとって、加熱したあとの油を何日もかけてPOV(過酸化物価)を測定するというのが少し不思議に思いました。加熱すると一気に過酸化されてしまうだろうと今まで思っていたからです。

ところで、POV(過酸化物価)とは、過酸化の値を示しているのだと思います。資料を探して読んでいくとよく出て来ます。何を測定しているのでしょう?

過酸化物価(Peroxide Value: POV)とは

油脂の酸化の初期には、まずヒドロペルオキシド(過酸化物)が生成します。POV は、ヒドロペルオキシドをヨウ化カリウムと反応させたときに遊離されるヨウ素分子の量を試料1kg 当たりのミリ当量数(mEq)で表したものと定義されています。

仕組みは下図を見てください。ヨウ素は酸化されるのです。もちろん数字が小さい方が、過酸化物は少ないということです。

当量は、昔習った記憶がありますが、すっかり忘れています。

当量は電荷とモルを統合した単位であり,1当量は1モルの電荷を表し,物質中の荷電粒子のモル数にその物質の価数を乗じて算出する。

したがって,電荷が+1または1のイオン(例,Na+,K+,Cl)の 1モルは1当量であり(1 × 1 =1),電荷が+2または2のイオン(例,Ca2+)については1/2モルが1当量(1/2 × 2 =1)であり,他の原子価についても同様である。

ミリグラム当量(mEq)は1当量の1/1000である。(出典

過酸化物価の測定原理

過酸化物価の測定原理

ごま油の酸化抑制効果

サラダオイル・てんぷら油・コーン油に対して、重量比で10% のごま油を添加して約2 か月放置しても、これら油の自動酸化はほぼ完全に抑制されていたそうです。これは加熱しないでただ添加した場合です。

サラダオイルにごま油を添加し、180℃ で5 分間および10分間加熱して保存する場合、ごま油の添加量が増加するほど酸化は抑制され、加熱時間が長いほど酸化は促進されました。サラダ油の酸化を抑えるには50%程度のごま油を添加すると効果がでます。

加熱時間は短くすることが油の劣化を抑えることになりますが、実験と違って天ぷらなど揚げ物の料理をする場合できるだけ加熱時間を短くというのはあまり現実的ではないかもしれませんね。材料によります。

しかし、ここで重要なのは、揚げ油にごま油を1 割程度加えると風味を増し、油の劣化を防ぐといわれてきたことが効果的ではなかったということです。

サラダオイルを使用する場合、料理への風味づけと油の劣化を防ぐためには50%程度のごま油を添加する必要があります。

てんぷら油にごま油を添加した場合は、サラダオイルほど過酸化が抑制されなかった。それはてんぷら油には酸化されやすいリノール酸、リノレン酸がサラダオイルより多く含まれているので、ごま油の抗酸化作用が現れにくかったようです。

ごま油とコーン油の混合が酸化に強い

一番面白いのが、コーン油です。コーン油に重量比50 %のごま油を添加するとサラダオイル、てんぷら油より、また、ごま油だけの時より酸化されにくい配合油になりました。この油は、5分間より10分間加熱することにより酸化抑制物質がつくられ、酸化抑制効果が現われたと考えられました。

ごま油とコーン油を50%/50%で混合した油は抗酸化力がごま油単独よりも強く、できた揚げ物も酸化されにくいそうです。揚げ物が好きな方は覚えておいてください。

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