揚げ物をするときはコーン油6ごま油4にすると油が酸化しにくい

コーン油だけで揚げ物をすると、その後日ごとに油は酸化していきますが、コーン油6:ごま油4に配合した油で揚げ物をすると、ごま油だけよりも酸化に強くなります。しかし、コーン油9:ごま油1の配合にすると、コーン油だけより酸化されやすい油になってしまいます。

てんぷら

油が酸化するとよくないことは知られていますが、油の種類によって酸化されやすさは変わります。もっとも酸化されにくい油は、ごま油です。ダントツです。

ごま油の酸化されにくい性質については、ごま油は酸化しにくく、ごま油で揚げたものも酸化しにくいという記事にまとめてあります。

ごま油を他の油に少し混ぜると揚げ物をしても酸化しにくくなると思います。それで文献を探していると、ごま油だけで揚げ物をするよりもっと酸化されにくい油になる条件があることがわかりました。

以下、ごま油は、焙煎搾りごま油のことです。

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コーン油6:ごま油4の割合で混ぜる

コーン油の酸化に及ぼすゴマ油の酸化抑制効果と混合した各種食用油脂の加熱における酸化状態を読みました。

まずは、結論からです。

コーン油6ごま油4に配合した油が、ごま油だけよりも酸化されにくくなります。ごま油こそ酸化に対抗する最強の油だと思っていたので、この論文はとても興味深く読みました。

コーン油4とごま油を6の比率で混ぜた油を、180℃で10分間加熱した後遮光して保存し、4日後、18日後にPOVを測定した。(中略)

その結果は図1に示したようにa、b、c、d、e、f、gの油脂において保存4日後のPOVは13~30の範囲を示した。

けれども18日後には8~18という低い値を示し、中でもごま油を40%加えたe;(6:4)の配合油脂は、ごま油f;(5:5)より酸化が抑制されるという結果を示し、その効果は高かった。

180℃で10分間加熱しています。これは天ぷらなど揚げ物をする条件です。POVは過酸化物価のことです。どのくらい酸化したかわかります。

このような図が図1として載せられていました。真似して描いたので数字を正確にグラフ化したものではありません。縦軸はPOV、横軸は保存日数です。

corn oil and sesami oil

コーン油とごま油を配合する試料aからgまでの条件は次のように設定されていました。

  • a:コーン油
  • b:コーン油―ごま油(9:1)
  • c:コーン油―ごま油(8:2)
  • d:コーン油―ごま油(7:3)
  • e:コーン油―ごま油(6:4)
  • f:コーン油―ごま油(5:5)
  • g:ごま油

このグラフを見ると、ごま油だけ(g)よりも、コーン油を混ぜた方が過酸化物価が低くなることがわかります。

コーン油について、コーン油の特徴という記事にまとめてあります。

コーン油はコーンの胚芽を搾った油です。γ-トコフェロールが多く酸化安定性があります。脂肪酸組成は50%以上がリノール酸で、α-リノレン酸はほ...

ところで、コーン油とごま油の混合比が5:5までの条件になっていて、ごま油の方が多い場合はどんな結果が出るだろうと思わないでもありません。

こちらは、ゴマとゴマ油の食用油脂におよぼす酸化抑制効果 : 第2報 食用油脂の加熱酸化に及ぼすごま油の添加配合比の影響ですでに実験されていました。

コーン油とごま油の配合油脂を180℃で10分間加熱した時のPOVの変化です。

図が載せられており、同じように自分で書きました。

corn oil and sesami oil02

コーン油とごま油の配合比です。

  • A’:コーン油
  • B’:コーン油―ごま油(9:1)
  • C’:コーン油―ごま油(5:5)
  • D’:コーン油―ごま油(1:9)
  • E’:ごま油

ごま油をちょっとだけ入れると逆効果みたいだ

ここで気がつくのは、まず、コーン油9:ごま油1の配合油が最もPOVが大きくなることです。コーン油だけよりも酸化してしまうこと。

そして、もう一つ。

「コーン油だけ」は酸化されやすい

コーン油だけだととても酸化されやすいこと。このグラフと上のグラフを見比べると、コーン油だけの試料(aとA’)のグラフの傾きがまったく違います。

上のグラフを見ると、aは18日後に20(meq/kg)程度ですが、A’は15日後に60(meq/kg)を超えています。論文中の他のグラフを見ると、明らかにコーン油だけのデータはA’と同じ形になっています。

aについて、特に説明は書かれていなかったのですが、ひょっとすると「コーン油」のみというのは間違いだったのかもしれません・・・。

コーン油について「コーン油の酸化に及ぼすゴマ油の酸化抑制効果と混合した各種食用油脂の加熱における酸化状態」には、別な油との配合実験で180℃10分加熱後、このように書かれています。

Ⅰ-F’(コーン油100%)は保存7日後にPOV55.4を示し、14日後には7日後の1.4倍の78.1を示し酸化の進行は早かった。

この実験からわかることは、C’のコーン油5:ごま油5の配合がもっとも酸化に強く、E’のごま油のみよりも、D’のコーン油1:ごま油9の配合の方が酸化が進むことから、ごま油の配合が5より大きい場合の数値はだいたい予想できます。

そこで、C’のコーン油5:ごま油5の配合からごま油の割合を減らした条件を実験した結果、コーン油6:ごま油4の配合がもっとも酸化に強いことがわかりました。

揚げ物をした油をオイルポットで保存した条件に近い

揚げ物をする時は、まとまった量の油が必要です。揚げ物をした後、オイルポットで保存する方がいらっしゃると思います。実験では4日後、18日後のPOVを測定しています。

保存した油がどのくらい酸化されるのか気にする方には参考になると思います。保存容器はシャーレーで、ふたをして空気の出入りを断ち、遮光して室温で保存していました。

オイルポットより空気にふれにくいかもしれませんが、保存条件は似ています。

POVについて

POVは、過酸化物価のことです。数値が大きくなればなるほど酸化されたことになります。油が酸化するとヒドロペルオキシド(-OOH)ができるようになりますが、それを測定した値です。

少し前に、過酸化物価(Peroxide Value: POV)とはという記事を書いて計算方法や、出てくる数値の意味について書いてあります。そちらをお読みください。

過酸化物価(POV)は、油が酸化するとできるヒドロペルオキシド(-OOH)を測定した値です。具体的には、ヒドロペルオキシド(-OOH)をヨウ...

POV数値の基準は30

POVの数値はどのくらいまでの油なら安心して使えるのか?

厚労省が出している文書、酸価・過酸化物価に関する規定等を読むと、即席めん類(めんを油脂で処理したものに限る)では、たとえば、このように書かれていました。

  • めんに含まれる油脂の酸価が3を超え、又は過酸化物価が 30を超えるものであってはならない。
  • 菓子は、その製品中に含まれる油脂の酸価が3を超え、かつ、過酸化物価が 30 を超えるものであってはならない。
  • 菓子は、その製品中に含まれる油脂の酸価が5を超え、又は過酸化物価が 50 を超えるものであってはならない。

その他、洋生菓子に使用する油脂の過酸化物価は30以下であること、できた製品に含まれる油脂の過酸化物価が30以下であることなど書かれており、過酸化物価30が使用できる一つの上限であることがわかりました。

まとめ

ごま油は抗酸化力の強い油です。揚げ物をする時はごま油を使えば間違いありません。酸化されやすい他の油に少し混ぜれば抗酸化力が増すのかと思っていましたが、それほど単純ではなかった。

コーン油はγ-トコフェロールを含んでいるのでやや酸化されにくい油ですが、180℃で10分加熱、つまり天ぷらを揚げた後は、日ごとに酸化されていきます。

それなら、ごま油を少し足しておけばよいだろうと、1割足して天ぷらを揚げると、コーン油だけよりもっと酸化されやすくなります。

ところが、コーン油6:ごま油4の比率の油にして天ぷらを揚げると、その後、もっとも酸化されにくい油になります。

実に面白い話です。

ただし、これはごま油とコーン油の組み合わせの場合に限っての話です。

また、コーン油もごま油もリノール酸が多いオメガ6の油です。アラキドン酸からできるプロスタグランジンE2(PGE2)は、ヒスタミンを放出するマスト細胞を刺激して炎症を促進する作用があります。

油の抗酸化作用が強くても炎症の原因になるかもしれないと思っていた方がよいと思います。

プロスタグランジンE2(PGE2)は、ヒスタミンを放出するマスト細胞を刺激する話は、プロスタグランジンE2が炎症を促進する仕組みとそれを抑制する仕組みという記事で詳しく書きました。

プロスタグランジンE2(PGE2)は、ヒスタミンを放出するマスト細胞のEP3受容体を介して炎症を促進する作用があります。しかし、EPAからで...
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