オリーブオイルは冷蔵庫で固まるが、えごま油はサラサラなのを見て思ったこと

冷蔵庫に入れておいたオリーブオイルが白く固まるのはよくあることです。庫内温度より融点が高いオレイン酸、パルチミン酸、ステアリン酸が固まります。また、エキストラバージンオイルは搾ったままの油なので不純物が入っているかもしれません。一方、えごま油は、主成分のα-リノレン酸の融点が-11℃なので固まらないのです。

オリーブ油

冷蔵庫で白く固まっていたオリーブオイルを見て品質が悪いのかと思ってしまった

ある日のこと。冷蔵庫からオリーブオイルを出したら白く固まっていました。ところが、一緒に入れていたえごま油はサラサラしていて変わりません。

もし、これを読んでいただいている方が、私と同じように冷蔵庫を開けて2本の油を見て、オリーブオイルが固まっているのを見たらどう思われますか?

愚かにも、私はオリーブオイルは品質がよくないのだろうと思ってしまいました。そのオリーブオイルが安物だったことがそう思う一番大きな理由でしたが、見た目の印象でそう思ってしまいました。「きっと余分なものが入っているんだろう」と。

ここには勘違いが3つあります。この記事では、それを説明しましょう。

オリーブオイルが冷蔵庫で白く固まるのは当たり前

オリーブオイルの主成分のオレイン酸と、その次に多いパルチミン酸とステアリン酸で脂肪酸全体の85%を占めます。これら脂肪酸の融点が、冷蔵庫の庫内温度よりずっと高いのです。

オリーブオイルの性質を決めるのは、脂肪酸です。下の表を見てください。オリーブオイルの主成分はオレイン酸です。100グラム中73グラムもあります。

表中、炭素(C)の次の数字は、炭素数、(:)の次の数字は炭素の二重結合数です。オレイン酸は、炭素数18で炭素の二重結合が1個あります。

オリーブオイル100gあたり脂肪酸組成(g)出典
パルミチン酸(C16:0) 9.8(g)
ステアリン酸(C18:0) 2.9(g)
オレイン酸(C18:1) 73(g)
リノール酸(C18:2) 6.6(g)
α-リノレン酸(C18:3) 0.6(g)

パルミチン酸とステアリン酸は飽和脂肪酸です。

オリーブオイルに含まれる脂肪酸の融点

オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の融点は、冷蔵庫の庫内温度(約4℃)よりずっと高いです。

それぞれの融点は次の通りです。融点は、固体が液体に変わる温度です。

  • オレイン酸:16.3℃
  • パルミチン酸:62.9℃
  • ステアリン酸:69.6℃

主成分はオレイン酸ですから、オレイン酸の性質が一番強いです。オレイン酸でも融点が16℃以上あるので、冷蔵庫で保存しておくと固まってしまいますね。

脂肪酸だけを考えても、オリーブオイルが固まってしまうことがわかると思います。さらに、別な理由もあります。

エキストラヴァージンオリーブオイルは搾ったまま

オリーブオイルの最高品質はエキストラヴァージンですが、これはオリーブを搾ったまま加工していない油なので果実由来の不純物が入る可能性大です。

国際オリーブ協会(IOC)による規格

もう一つ、オリーブオイルには国際オリーブ協会(IOC)による規格があります。

ヴァージンオリーブオイル オリーブの実だけを原料とし、化学的な方法や高熱での処理を行わず、他の性質の油を一切含んでいないもの。
精製オリーブオイル ランパンテなどのヴァージンオリーブオイルを精製(脱酸・脱臭・脱色などの処理をすること)したもので、
酸度が0.3%以下のもの。
オリーブオイル 精製オリーブオイルにヴァージンオリーブオイル(但しランパンテは除く)をブレンドし、酸度を1%以下にしたもの。
ピュアオリーブオイル。
オリーブ・ポマス・オイル ヴァージンオイルを搾った後の残りカスに残留している油分を、有機溶剤を使って抽出したオイル。
成分も異なり、 IOC規定では「オリーブオイル」と表示してはいけないもの。工業用であり、食用油ではない。
ただしこれを精製し、酸度を0.3%以下にした場合、その国の基準をクリアしていれば、
食用として(もちろん「オリーブオイル」とは名乗れない)販売可能。

品質は、もちろん、ヴァージンオリーブオイルが一番上です。搾ったままの加工していない油です。ヴァージンオリーブオイルは、さらに4種類に分けられます。

エクストラ・ヴァージンオリーブオイル 風味・香りともに完ぺきで、酸度が0.8%以下のもの。
ヴァージンオリーブオイル 風味・香りともに完ぺきで、酸度が2%以下のもの。
オーディナリー・ヴァージンオリーブオイル 風味・香りともに良好で、酸度が3.3%以下のもの。
日本の基準には合わないのでそのまま輸入されることはない。
ランパンテ・ヴァージンオリーブオイル 風味に問題があり、酸度が3.3%を超えるもの。
ランプ用に使われていたことからこの名がつけられた。
このままでは食用にできないため、精製オリーブオイルや工業用油の原料となる。

酸度とは、オイルの中に遊離脂肪酸がどれだけ含まれているかの数字(%)です。油は、グリセリンと3本の脂肪酸でできていることは何度も書いてきましたが、脂肪酸だけがグリセリンと結合しないで油の中に入っている場合があります。これを遊離脂肪酸といいます。

遊離脂肪酸にはカルボキシル基(COOH)がついているので、酸性になります。オレイン酸でも、パルミチン酸でも、リノール酸でも脂肪酸なら同じです。それが、油を酸化させる原因になります。もちろん、酸度の数字は小さい方がよいです。

オリーブオイルの品質は、搾ったままの加工していないヴァージンオリーブオイルが高く、その中でも、風味香りがよく、遊離脂肪酸が少ないエクストラ・ヴァージンオリーブオイルが一番よいのです。

搾っただけのオリーブオイルは固まりやすい?

オリーブオイルの性質は、主成分であるオレイン酸に似てきます。さらに、精製していない搾っただけのオイルが最上品になるのですから、オリーブの実の中にある油以外の成分も一緒にエクストラ・ヴァージンオリーブオイルには入って来ます。

もちろん、水分は水と油で混ざらないので取り除かれますが、それ以外の油に溶ける成分はそのまま入って来ます。オリーブオイルには油以外の余分なものが入っているのが当たり前なのです。その中には、融点の高い、固まりやすい成分もあるでしょう。つまり、搾っただけのオリーブオイルは固まりやすいと考えられます。

精製油をつくる時、ウインタリングという工程があります。これは温度を下げてロウ分など油に溶け込んでいたものを固まらせて取り除くために行います。

搾っただけのエクストラヴァージンオリーブオイルには余分なものが入っているかもしれないという意味がおわかりいただけたでしょうか?

えごま油は融点が低い

一方えごま油の脂肪酸組成は表の通りです。

えごま油100gあたり脂肪酸組成(g)出典
パルミチン酸(C16:0) 5.6
ステアリン酸(C18:0) 1.9
オレイン酸(C18:1) 16
リノール酸(C18:2) 12
α-リノレン酸(C18:3) 58

α-リノレン酸が60%近くを占めています。融点は、-11 °C。次に多い、オレイン酸は融点16.3℃。リノール酸の融点は、−5 °Cです。

このため、えごま油は融点が低く、冷蔵庫に入れても固まることはありません。α-リノレン酸が豊富な、えごまは東北地方で主に栽培されいますが、亜麻仁油の原料となる亜麻は、北海道でないと栽培できないそうです。気温が低くなっても油が固まらないことが、生きているえごまや亜麻には大切なところです。

また、同じくオメガ3の脂肪酸であるEPAやDHAは青魚にたくさん含まれています。冷たい水温でもし脂肪が固まってしまったら、魚は生きていけないですね。

NOTE

オリーブオイルが冷蔵庫の中で白く固まるのは、オリーブオイルの成分である脂肪酸の85%以上が融点が高いもので、冷蔵庫の庫内温度よりずっと高いことが原因です。

また、エキストラバージンオイルは、オリーブを搾ったままの加工しない油なので、油とは関係がない成分が含まれている可能性があります。

何も問題はありません。

また、えごま油は主成分がα-リノレン酸で、融点が-11℃と低いです。冷蔵庫の中で固まらないのは当たり前です。

冷蔵庫の中で固まる/固まらないで品質の差があると考えるのは大きな勘違いです。まったく意味がありません。

オリーブオイルもずっと使われてきた体によい油です。それは、歴史の長さが証明しています。

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