オメガ3脂肪酸の1日の摂取量は?

オメガ3の脂肪酸は、体内では合成できないため、必ず摂る必要のある必須脂肪酸です。特有の働きがあり、欠乏すると皮膚炎や成長障害が起こります。1日にどのくらい摂ればよいのか調べました。

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オメガ3脂肪酸には冠動脈疾患予防作用がある

日本人の食事摂取基準(2015年版)には次のように書かれていました。

n-3 系脂肪酸とは、オメガ3脂肪酸のことです。

 n-3 系脂肪酸の生理作用は n-6 系脂肪酸の生理作用と競合して生じるものだけではなく、n-3 系脂肪酸の持つ独自の生理作用も考えられるので、両者の比ではなく、n-3 系脂肪酸自体の摂取基準を設定した。

疫学研究からもこの考えは支持されている。女性を対象とした Nurses’Health 研究では、α-リノレン酸の冠動脈疾患予防作用はリノール酸摂取量によって影響されていない。

男性を対象とした Health Professional 研究でも、α-リノレン酸、又は EPA 及び DHA の冠動脈疾患予防作用は n-6 系脂肪酸摂取量によって影響されないことが示されている。

また、魚によっては水銀、ダイオキシンなどの環境汚染物質が含まれていることや世界的な魚資源の不足により、将来、α-リノレン酸の摂取が重要になる可能性がある。

このため、α-リノレン酸と魚由来の n-3 系脂肪酸それぞれについて検討を行った。目安量に関しては、欠乏症を予防する観点で設定されており、α-リノレン酸と魚油とを区別することは困難である。

このため、α-リノレン酸と魚油の両方が含まれる n-3 系脂肪酸の摂取量で基準を設定した。

なお、疫学データでは EPA と DHA の摂取量を用いた研究が多いので、魚油由来の n-3 系脂肪酸の摂取についてはEPA と DHA の摂取量を併せて検討した。

これを読むと、オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸とのバランスをとるために使う必要があるばかりでなく、オメガ3脂肪酸独自の作用があるようです。冠動脈疾患とは心筋梗塞や狭心症など心臓の血管系の病気のことです。

冠動脈疾患の概要という記事がとても分かりやすく書かれています。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスをとる必要があるのは、それぞれ炭素数18のオメガ3α-リノレン酸と、オメガ6リノール酸が同じ酵素の作用を受けて、二重結合を増やしたり炭素数を増やして行くからです。

α-リノレン酸からEPA、DHAに変換するまで5つの反応があるという記事と、リノール酸はアラキドン酸に変換されるを読んでいただければお分かりになると思います。

さらにオメガ3脂肪酸には欠乏症があります。

オメガ3脂肪酸が欠乏するとどうなる?

病気のため自由にものを食べられない患者さんの中でオメガ3の脂肪酸の摂取量が非常に少ない場合、皮膚炎や成長障害が生じていました。

日本人の食事摂取基準(2015年版)からです。

小腸切除や脳障害等のため経口摂取のできない患者の中で、n-6 系脂肪酸の摂取量はある程度維持されていたが、n-3 系脂肪酸摂取量が非常に少なく、鱗状皮膚炎、出血性皮膚炎、結節性皮膚炎、又は成長障害を生じていた患者に、n-3 系脂肪酸(α- リノレン酸+魚油)を与えた結果が報告されている。

血中のn-3 系脂肪酸比率の増加に伴い、皮膚症状は、0.2~0.3% E の n-3 系脂肪酸投与により改善され 、体重の増加は、1.3% E の n-3 系脂肪酸投与により認められている 。

しかし、多くの研究ではα-リノレン酸と魚油の両方が投与されているため、症状改善効果がどの脂肪酸によるものか明らかでない。

α- リノレン酸、EPA、DHA 以外の n-3 系脂肪酸も必要である可能性があるので、n-3 系脂肪酸で目安量を示した。

上の文中に、「0.2~0.3% E 」という見慣れない単位が出ています。これは脂肪エネルギー比率の意味です。1日の食事から得られる全エネルギーに対して、オメガ3脂肪酸の摂取量が、0.2~0.3%という意味です。

1日にどのくらい摂ればよいか

オメガ3の脂肪酸は必須脂肪酸で、必ず摂らなければいけません。日本人の食事摂取基準(2015年版)では、目安量が決められていました。

オメガ3脂肪酸が欠乏すると皮膚炎や成長障害が起こることが分かっていますが、オメガ3の脂肪酸のうちどの脂肪酸が作用するのか分からないために目安量となっているようです。

目安量とは

目安量はこのような定義です。

十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合は、「目安量」(adequate intake:AI)を設定した。

一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。(出典

では、栄養の話でよく出てくる推定平均必要量と推奨量にはどのような意味があるのでしょう。

  • 推定平均必要量・・・摂取不足の回避を目的として、半数の人が必要量を満たす量である。
  • 推奨量・・・推定平均必要量を補助し、ほとんどの人が充足している量である。

1日にどのくらい摂っていた方がよいのか見てみましょう。

成人男性は、2.0~2.4g/日、成人女性は、1.6~2.0g/日摂っていれば不足しないということです。

このグラム数は、油そのものではありません。食用油はオメガ3脂肪酸そのものではないからです。

n-3 系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)
性 別 男 性 女 性
年齢等 目安量 目安量
0~5(月)  0.9 0.9
6~11(月)  0.8 0.8
1~2(歳)  0.7 0.8
3~5(歳)  1.3 1.1
6~7(歳)  1.4 1.3
8~9(歳)  1.7 1.4
10~11(歳)  1.7 1.5
12~14(歳)  2.1 1.8
15~17(歳)  2.3 1.7
18~29(歳)  2.0 1.6
30~49(歳)  2.1 1.6
50~69(歳)  2.4 2.0
70 以上(歳)  2.2 1.9
妊 婦 1.8
授乳婦 1.8

実際のオメガ3の油はどのくらい摂ればよいか

オメガ3の脂肪酸を摂るといっても油は全てがオメガ3の脂肪酸ではありません。DHAやEPAは魚に含まれていますが、魚油は売っていませんので、切り身で考えます。

食用油の場合

普段、調理に使うオメガ3脂肪酸の多い油は、植物油です。オメガ3の油は5種類あるを見ていただくと、油の種類とオメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸の比率を見ていただけます。

オメガ3の油とは、α-リノレン酸がリノール酸より多い料理に使う植物油のことです。 簡単にお店で買えるものは、えごま油、亜麻仁油、チアシ...

だいたい、油の重量の50%がα-リノレン酸です。

また、油は水に比べて比重が小さいので、同じグラム数なら油の方が体積が大きくなります。油の比重は、食用植物油脂の日本農林規格で知ることができます。

だいたい、比重は、0.9です。

いま、2.0gのオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を摂るために、えごま油をどのくらい摂ればよいか、これらをもとに計算してみましょう。

重量なら2倍

もし、キッチンはかりをお持ちなら、2.0gの2倍、4.0gのえごま油を摂ればよいです。えごま油4.0gの50%がα-リノレン酸です。

体積なら10/9倍

体積の場合は比重(0.9)を考慮して計算する必要があります。

4.0gのえごま油は、比重が0.9ですから体積は10/9倍する必要があります。

4.0×10/9=4.44・・・約4.4mlスプーンに入れて摂ればよいことになります。

魚の場合

魚の場合は身を食べるので細かく計算はできません。以前、魚をたべるとどのくらいDHAとEPAがとれるかなという記事を書いて、100gあたりに含まれるDHAとEPAの量を調べました。

EPAとDHAはオメガ3の脂肪酸です。EPAにはいわゆる血液サラサラ効果があり、抗凝固薬、血小板凝集抑制薬として使われています。冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、いくつかのがんに効果があります。魚に豊富に含まれています。それぞれ含有量を調べました。

簡単に書くと、マグロの刺身を100g食べると、オメガ3の脂肪酸は十分に摂れます。

 生100グラム EPA(mg) DHA(mg)
 クロマグロ  320  3200
 ミナミマグロ  320  2700

まとめ

オメガ3の脂肪酸には冠動脈疾患を予防する働きがあるようです。これはオメガ6の脂肪酸とのバランスとは関係がなく、オメガ3脂肪酸特有のものです。

欠乏すると皮膚炎や成長障害が起こります。

1日の目安量は、成人男性は、2.0~2.4g/日、成人女性は、1.6~2.0g/日です。

青魚には実際多く含まれていて、普通に魚を食べていると不足することはありません。

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