コレステロールを下げるには、食事を見直し運動をすることです。きっちり体重を落とせるとLDLが下がりHDLが上がるようです。特にEPAを多く含む青魚をよく食べるようにすると、効果的です。
基本は食事を見直し運動する
総コレステロールを下げることについて、「薬に頼らずコレステロールを下げよう教室」の取り組みについてでは、このように書かれていました。
この記事は、滋賀県栗東町が滋賀医科大学のコレステロール低下プログラムに基づいて行われている健康教室の報告記事です。
体重を減らすことと、魚をよく食べるようにする、大豆製品を食べることがコレステロールを低下させるのに効果があります。
その平均値は,教室開始時248mg/dl,教室終了時236mg/dlで,12mg/dlの低下が見られた。
個々のケースを見てみると,食事内容の変化(肉類を減らす,お菓子を減らす,主食を減らす等)と運動(テレビ体操,歩行)の実施により,体重の減少が見られそれに伴いT-Chの低下が見られた者や,肉を減らし魚を増やす,大豆製品を増やす,野菜を増やすことにより,T-Chの低下した者などがあった。
お菓子を減らすのは、砂糖を減らす意味もあります。砂糖(ショ糖)は分解されるとブドウ糖と果糖になります。果糖が問題で、コレステロールを増やす原因になります。
このことは、果糖がよくない理由を調べてみたという記事に書きました。
魚を増やすことは、下で別な実験を紹介します。また、T-Chは、総コレステロールの意味です。
大豆は血しょうコレステロールを下げ、LDL/HDL比を低下させる
ヒト血漿コレステロール濃度に及ぼす大豆タンパク質の効果によるとこのように書かれていました。
高Chol血症者は大豆タンパク質食の摂取により血漿Chol濃度の減少がみられる。正常なChol濃度者では,大豆(植物性)タンパク質を主要なタンパク質源とした食事でも血漿総Chol濃度はそれ以下に減少しないが,LDL-Cholの減少とHDL-Cholの増加により,LDL/HDL比が低下する。
運動してやせると効果がはっきり出るみたいだ
果たしてコレステロールは運動して下がるものなのか?調べていくと、横浜市スポーツ医科学センターのサイトに記事がありました。
肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識
【理論4】減量の成功例(生活習慣病の改善と体力の向上)というタイトルの記事です。
MRI画像で内臓脂肪の変化も見ることができます。もともとの状態について、このように書かれていました。
他の医療機関で行った血液検査で血清脂質(LDL コレステロール、中性脂肪)が基準値よりも高く、“脂質異常症”と診断されて薬物治療を受けていました。
減量教室の開始直前に当センターで行った検査でも、LDL コレステロール値と中性脂肪値が基準値より高く、脂質異常症と診断されました。
この方の1年間の体重変化等の表が掲載されていましたので、体重、中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールの数値について表から切り出します。数字の変化を見ると、もともとストイックな方なんだろうと思います。
検査項目 | 教室実施前 | 6ヵ月後 | 12ヵ月後 | 差 |
体重 | 66.2kg | 51.0kg | 47.0kg | -19.2kg |
中性脂肪 | 288mg/dl | 45mg/dl | 53mg/dl | -235mg/dl |
LDLコレステロール | 161mg/dl | 81mg/dl | 99mg/dl | -62mg/dl |
HDLコレステロール | 53mg/dl | 69mg/dl | 79mg/dl | +26mg/dl |
この方は女性でした。エアロビクス(時間不明)と筋トレとランニング(計3時間)を週4回行っていました。
食事については、主食(ご飯・パン・麺)と主菜(肉・魚・大豆製品・卵)を必要最小限にして副菜(野菜・海草・きのこ・こんにゃく)をひたすら食べて満腹感を得ていました、と書かれていました。
横浜市スポーツ医科学センター減量教室では、食事療法と運動療法を併用することで、“筋肉や骨などの除脂肪量をできる限り維持しながら、体脂肪だけを落とすこと”を基本方針にしているそうです。
また、この方は、初め脂質異常症を治療する薬を飲んでいたことは書いておきます。当然、途中で薬は飲まなくなったと思いますが、初期の変化は、薬の力も借りたのかもしれません。
さらに、魚を食べることを徹底した実験も見つかりました。これも極端ですが、効果がはっきりしています。
魚のEPAが効果がある
さんま料理のヒト血清コレステロール及び脂肪酸分画への影響にはなかなか面白いことが書かれていました。
被験者は1人なので、一般化はできないと思います。しかし、素性のよくわからないサプリメントを飲むのではなく、さんまを食べるだけなので、そんなに影響があるものなのかと妙に納得できます。
ただし、朝、昼、晩、毎回さんまを食べるのである程度の忍耐力が必要でしょう。
11日間の朝,昼,夕の3食に毎回1尾(さんま可食量110g)を用いて,Table 1に示した料理(20種類)をつくり,毎食そのいずれかの1品を供与した。
1日のEPA摂取量は,ガスクロデータ7及び(株)ケイケンソフトクリエイトの”栄養診断用ソフト”をもとに算出したところ,2.8~3.2gであった。
そのメニューはこの通り、全てサンマが入っています。
サンマとニンニク焼きとごはん |
サンマとじゃがいも焼きとごはん |
サンマの蒲焼きとごはん |
揚げたサンマにたまねぎソースをかけたものとごはん |
サンマの混ぜごはん |
サンマとマッシュルームを焼いたものとごはん |
サンマのコロッケとごはん |
サンマのコンブ巻きとごはん |
サンマのショウガ煮とごはん |
醤油をかけたサンマの酢漬けとごはん |
サンマの塩焼きとごはん |
サンマのトマト煮とごはん |
サンマのオーロラソース焼きとごはん |
サンマの梅焼きとごはん |
サンマのゴマソースかけとごはん |
サンマのハンバーグステーキとごはん |
サンマの中華風揚げ |
サンマのミートボールいりフルーツカレーとごはん |
サンマの酢豚風とごはん |
サンマチャーハン |
1日の脂質摂取量は80g
1日80gの脂質を摂り、そのうちコレステロールは292mgでした。かなり多いです。
食事中の脂質含有量は9月下旬の旬のさんま(さんま110g当たりの脂質含有量は19.8gであった)を使用したので,1日の平均脂質摂取量は80.7gで,日本人の平均値(40g/1日/1人)より高く,また脂質エネルギー比は32%で,日本人の平均値の26%より高かった。
アメリカでは,USDA/DHHSの”食生活ガイドライン”によると,食物からの1日の摂取コレステロール量は300mg以下に減らすよう指示されている。
このことから考えると,本実験での1日の平均摂取コレステロール量(292mg)は300mg以下であり,1日に卵3個(コレステロールとして1,128mg)を与えても血清コレステロールに影響はなかったという報告を参考にすれば,本実験でのコレステロール摂取量は問題ないと思われる。
その結果どうなったのか?血清コレステロール値が著しく減少し、EPAとDHAは増加しました。
血清コレステロールが減少
血清コレステロールは、総コレステロールのことです。この方はかなり高いですね。
実験直前の血清コレステロール値は血清100ml当たり368mgであったが,実験5日目のそれは267mgと101mgも減少し,更に実験11日目のそれは250mgで,実験5日目に比べると17mgとわずかな減少であった。
血清中のEPA量は,実験直前では血清100ml当たり2.00mgで非常に少なかったが,実験5日目で34.50mgと32.50mgも増加し,実験11日目のそれは27.30mgで5日目より7.20mgの減少であった。
なお,血清中のEPA量の34.50mgは,沖縄の住民の血清中のEPA量の最高値に近かった。
血清中のDHA量についても,実験直前では血清100ml当たり7.07mgであったが,実験5日目で41.60mgと33.53mgも増加し,実験11日目では31.90mgで5日目よりわずかに減少した。
もともと総コレステロール値が高いので、下がる幅が余計大きく見えるのかもしれません。ただ、下がるのは間違いないようです。
NOTE
こういう話題になると、ネットで信頼できそうな記事を探すのが大変で時間がかかりました。
私は、サプリメントに頼らないことと、運動と食事の管理でなんとかすることをまず考えます。
脂肪なら、脂肪酸がβ酸化で炭素が2個ずつ切れて、アセチルCoAになります。アセチルCoAはTCA回路(クエン酸回路)に入って燃料になります。つまり、脂肪は燃えやすいのです。
しかし、コレステロールは環構造なので、かなり長い経路をたどりアセチルCoAになります。このことは、コレステロールは分解されるとアセチルCoAになるに書きました。
コレステロールは、運動するくらいではなかなか解消されないのではないかと思ったのですが、どうやら体重をきちんと落とすと減っていくようです。ただし6ヵ月、12ヵ月と長い時間がかかると思った方がよいみたいです。これが、中性脂肪なら1ヵ月あれば落ちます。
また、極端な実験でしたが、サンマを食べ続けると総コレステロールが明らかに落ちます。もし、この記事を読んでEPAのサプリに頼ろうと思う方がいらっしゃったら、病院に行って先生にEPA製剤を処方してもらうことをおすすめします。その方が当たり前ですが品質がよいです。
EPAやDHAサプリの原料になる魚油についても読んでみてください。
コレステロールについての他の記事は、コレステロールについて知っておきたいことをご覧下さい。