コレステロールの多い食品

コレステロールは肉に多いと思いましたが、鶏ブタ牛とも確かに内臓には多いものの、筋肉にはそれほど多くありません。卵黄にはコレステロールがダントツに多く、魚でも卵全般に多く含まれています。

卵

コレステロールはどんな食品に多いのか。焼肉を食べているとコレステロールが増えるといわれるので、肉について、鶏、ぶた、牛肉をかなり詳しく調べました。さらに、食品全体からコレステロールが多いものを調べました。

コレステロールは肉に多いと思っていた

私はコレステロールが肉の脂身にあるものだと長らく思っていました。

しかし、細胞膜の単位はリン脂質だけど、コレステロールはその隣に存在するという記事を書いた時に、コレステロールが細胞膜にあることが分かりました。

細胞膜の単位はリン脂質だけど、コレステロールはその隣に存在する
コレステロールのことを調べていたら、ヒトのような真核細胞生物では、細胞膜にリン脂質と並んでコレステロールが存在していることが分かりました。 普段、コレステロールは嫌われ者ですが、とても大切なものだと分かります。 細胞膜を構成するリン脂質 細...

ためしに肉について詳しく調べてみましょう。

個人的理由ですが、焼き鳥屋さんに行くことが多いので、鶏肉から調べます。

鶏肉

すべて若鶏について調べました。

脂質から脂肪とコレステロールを分ける

脂質に脂肪とコレステロールが含まれます。

それで、さらに細かく調べて、脂肪の量はトリアシルグリセロール当量として、コレステロールと分けて重量が分かりましたので、脂質とは別にそれぞれ書きました。

どうでしょう?脂質の大半は脂肪で、コレステロールは脂質全体の1%に満たない重量です。ただし、肝臓(レバー)には多いです。

若どり100gあたりの栄養成分(日本食品標準成分表2015年版)
食品成分 水分 たんぱく質 脂質 炭水化物 トリアシル
グリセロール
当量
コレステ
ロール
g g g g g mg
手羽/皮つき生 68.1 17.8 14.3 0 13.7 110
むね/皮つき生 72.6 21.3 5.9 0.1 5.5 73
むね/皮なし生 74.6 23.3 1.9 0.1 1.6 72
もも/皮つき生 68.5 16.6 14.2 0 13.5 89
もも/皮なし生 76.1 19 5 0 4.3 87
ささ身/生 75 23 0.8 0 0.5 67
心臓/生 69 14.5 15.5 Tr 13.2 160
肝臓/生 75.7 18.9 3.1 0.6 1.9 370
筋胃/生 79 18.3 1.8 Tr 1.2 200
皮/むね生 41.5 9.4 48.1 0 46.7 110
皮/もも生 41.6 6.6 51.6 0 50.3 120
軟骨/生 85 12.5 0.4 0.4 0.3 29
手羽先皮つき生 67.1 17.4 16.2 0 15.7 120
手羽元皮つき生 68.9 18.2 12.8 0 12.1 100

TrはTraceの略で、「痕跡」という意味です。

ぶた肉

ぶたは、大型種肉について調べました。こちらもやはり脂肪に対してコレステロールの重量は、ほとんど1%にもなりません。

ただし、内臓の肝臓(レバー)、腎臓、子宮には多いです。

参考まで、ゼラチンとラードも調べました。ゼラチンはほぼコレステロールがゼロ。ラードは、脂肪97gに対してコレステロールが0.1gですから、肉よりも少ないです。

脂肪部分にコレステロールがあるわけではないということです。

ぶた大型種肉100gあたりの栄養成分(日本食品標準成分表2015年版)
食品成分 水分 たんぱく質 脂質 炭水化物 トリアシルグリセロール当量 コレステロール
g g g g g mg
かた/脂身つき生 65.7 18.5 14.6 0.2 14 65
かた/皮下脂肪なし生 69.8 19.7 9.3 0.2 8.8 64
かた/赤肉生 74 20.9 3.8 0.2 3.3 64
かた/脂身生 22 5.3 72.4 0 71.3 68
かたロース/脂身つき生 62.6 17.1 19.2 0.1 18.4 69
かたロース/皮下脂肪なし生 65.1 17.8 16 0.1 15.2 69
かたロース/赤肉生 71.3 19.7 7.8 0.1 7.1 68
かたロース/脂身生 23.6 5.4 70.7 0 69.1 73
ロース/脂身つき生 60.4 19.3 19.2 0.2 18.5 61
ロース/皮下脂肪なし生 65.7 21.1 11.9 0.3 11.3 61
ロース/赤肉生 70.3 22.7 5.6 0.3 5.1 61
ロース/脂身生 18.3 5.1 76.3 0 74.9 62
ばら/脂身つき生 49.4 14.4 35.4 0.1 34.9 70
もも/脂身つき生 68.1 20.5 10.2 0.2 9.5 67
もも/皮下脂肪なし生 71.2 21.5 6 0.2 5.4 66
もも/赤肉生 73 22.1 3.6 0.2 3.1 66
もも/脂身生 25.5 6.5 67.6 0 65 79
そともも/脂身つき生 63.5 18.8 16.5 0.2 15.9 69
そともも/皮下脂肪なし生 67.9 20.2 10.7 0.2 10.1 69
そともも/赤肉生 71.8 21.4 5.5 0.2 5 68
そともも/脂身生 24.9 6.6 68.1 0 67.2 76
ヒレ/赤肉生 73.4 22.2 3.7 0.3 3.3 59
舌/生 66.7 15.9 16.3 0.1 15.2 110
心臓/生 75.7 16.2 7 0.1 5 110
肝臓/生 72 20.4 3.4 2.5 1.9 250
じん臓/生 79 14.1 5.8 Tr 3.3 370
子宮/生 83.8 14.6 0.9 0 0.5 170
ゼラチン 11.3 87.6 0.3 0 2
ラード 0 0 100 0 97 100

牛肉

牛肉は内臓以外、和牛肉です。鶏、ぶたと同じように肝臓、腎臓など内臓にはコレステロールが多いですが、それ以外は脂肪に対して、1%に満たない重量比です。

和牛肉100gあたりの栄養成分(日本食品標準成分表2015年版)
食品成分 水分 たんぱく質 脂質 炭水化物 灰分 トリアシルグリセロール当量 コレステロール
g g g g g g mg
かた/脂身つき生 58.8 17.7 22.3 0.3 0.9 20.6 72
かた/皮下脂肪なし生 60.7 18.3 19.8 0.3 0.9 18.3 71
かた/赤肉生 66.3 20.2 12.2 0.3 1 11.2 66
かた/脂身生 17.8 4 78 0 0.2 72.8 110
かたロース/脂身つき生 47.9 13.8 37.4 0.2 0.7 (35.0) 89
かたロース/皮下脂肪なし生 48.6 14 36.5 0.2 0.7 (34.1) 88
かたロース/赤肉生 56.4 16.5 26.1 0.2 0.8 24.4 84
リブロース/脂身つき生 34.5 9.7 56.5 0.1 0.4 53.4 86
リブロース/皮下脂肪なし生 36.1 10.3 54.4 0.1 0.5 51.5 85
リブロース/赤肉生 47.2 14 40 0.2 0.6 38.5 76
リブロース/脂身生 17.7 4.2 78 0 0.2 72.9 100
サーロイン/脂身つき生 40 11.7 47.5 0.3 0.5 (44.4) 86
サーロイン/皮下脂肪なし生 43.7 12.9 42.5 0.3 0.6 (39.8) 83
サーロイン/赤肉生 55.9 17.1 25.8 0.4 0.8 24.1 72
ばら/脂身つき生 38.4 11 50 0.1 0.5 45.6 98
もも/脂身つき生 61.2 19.2 18.7 0.5 1 16.8 75
もも/皮下脂肪なし生 63.4 20.2 15.5 0.6 1 13.9 73
もも/赤肉生 67 21.3 10.7 0.6 1 9.7 70
もも/脂身生 20.3 4.4 75.4 0 0.3 69.2 110
そともも/脂身つき生 60.8 17.8 20 0.5 0.9 (18.2) 68
そともも/皮下脂肪なし生 63.3 18.7 16.6 0.5 0.9 (15.1) 66
そともも/赤肉生 69 20.7 8.7 0.6 1 7.8 59
ランプ/脂身つき生 53.8 15.1 29.9 0.4 0.8 (27.5) 81
ランプ/皮下脂肪なし生 56.3 16 26.4 0.4 0.9 (24.3) 78
ランプ/赤肉生 65.7 19.2 13.6 0.5 1 12.5 69
ヒレ/赤肉生 64.6 19.1 15 0.3 1 13.8 66
舌/生 54 13.3 31.8 0.2 0.7 29.7 97
心臓/生 74.8 16.5 7.6 0.1 1 6.2 110
肝臓/生 71.5 19.6 3.7 3.7 1.5 2.1 240
じん臓/生 75.7 16.7 6.4 0.2 1 5 310
第三胃/生 86.6 11.7 1.3 0 0.4 0.9 120
小腸/生 63.3 9.9 26.1 0 0.7 24.7 210
大腸/生 77.2 9.3 13 0 0.5 12.2 150
直腸/生 80.7 11.6 7 0 0.7 6.4 160
尾/生 40.7 11.6 47.1 Tr 0.6 43.7 76

どうやら肉にはコレステロールがあまりないようだ

鶏、ぶた、うしの肉を調べてみて、レバーを始め内臓にはコレステロールが多いものの、普段食べる肉にはそれほど多くのコレステロールは含まれていないようです。

また、赤身と脂身ありを比べてもほとんど差がありません。ぶたのラードを調べて分かりましたが、脂肪にコレステロールはあまり含まれていないようです。

肝臓に多いのは、細胞の数が多いからだと思います。

では、実際にコレステロールが多い食品にはどのようなものがあるのでしょう?

コレステロールの多い食品はこちら

食品全体からコレステロールの多い食品を調べました。同じ食品で乾物と生を比較すれば、水分がないので乾物の方が100gあたりのコレステロールの量が増えるのは当たり前です。

また、何らかの加工をしたものも同じ理由で、生のものよりコレステロールは増えます。

しかし、肉と比べると桁違いに多いですね。

コレステロール :含有量(日本食品標準成分表2015年版)
食品名 成分量100gあたりmg
卵黄/生 1400
かずのこ/乾 1000
するめ 980
からすみ 860
かたくちいわし/田作り 720
たたみいわし 710
さくらえび/煮干し 700
あひる卵/ピータン 680
フォアグラ/ゆで 650
あんこう/きも生 560
うこっけい/全卵生 550
かたくちいわし/煮干し 550
いかなご/煮干し 510
しろさけ/すじこ 510
干しえび 510
キャビア/塩蔵品 500
うずら卵/水煮缶詰 490
やつめうなぎ/干しやつめ 480
しろさけ/イクラ 480
ぶた/スモークレバー 480
うずら卵/全卵生 470
わかさぎ/つくだ煮 450
うなぎ/きも生 430
鶏卵/全卵/生 420
しらす干し/半乾燥品 390
あわび/干し 390
にわとり/肝臓生 370
ぶた/じん臓生 370
かずのこ/生 370
かじか/つくだ煮 360
まだら/しらこ生 360
すけとうだら/たらこ生 350
けんさきいか/生 350
やりいか/生 320
するめいか/水煮 310
うし/じん臓生 310
しろさけ/めふん 300
とびうお/焼き干し 300
まさば/さば節 300
うに/生うに 290
からふとししゃも/生干し生 290
とびうお/煮干し 280
あかいか/生 280
いかなご/つくだ煮 280
はぜ/つくだ煮 270
こい/養殖内臓生 260
あゆ/うるか 260
ふかひれ 250
ぶた/肝臓生 250
ぶた/胃ゆで 250
かじか/水煮 250
するめいか/生 250
くるまえび/養殖ゆで 240
ぶた/小腸ゆで 240
エスカルゴ/水煮缶詰 240
うし/肝臓生 240
ほたるいか/生 240
ししゃも/生干し生 230
発酵バター 230
すずめ/肉骨皮つき生 230
さくらえび/ゆで 230
菓子類/シュークリーム 230
うなぎ/かば焼 230
いか/塩辛 230
うなぎ/養殖生 230
にしん/身欠きにしん 230

卵がダントツに多い

卵、しらこに多いと気がつきます。

  • かずのこ:ニシンの魚卵
  • からすみ:ボラなどの卵巣
  • うに:生殖腺(精巣・卵巣)
  • キャビア:チョウザメの卵

その他、イカに多いとはっきりいえますね。うなぎにも多いです。えびといわし、はぜなどが目立ちますが、これは小さい個体を数多く使うので、細胞数が多くなるからでしょう。

また、内臓にコレステロールが多いのは魚でも家畜でも共通しています。

意外にもシュークリームにコレステロールが多く、発酵バターと同じです。なぜなんだろうと考えましたが、これは卵を使っているからでしょう。

NOTE

肉には脂肪が多いですがコレステロールも多いと思っていました。しかし、それはレバーなど内臓にはあてはまりますが、それ以外は、あてはまらないようです。初めて知りました。

ずいぶん前に肉だけを食べて生活するとどうなるか?を書いた時、肉だけを食べ続けても(ただし調理方法は煮るかゆでるだけで、焼いて食べていないです)健康状態に影響はなく、砂糖の方がコレステロール値を上げることを知りました。

肉だけを食べて生活するとどうなるか?
肉だけを1年間食べ続ける。1日あたり230グラムの脂肪と120グラムのタンパク質と炭水化物はわずか5~10グラムの食事内容です。脂肪だけで2070kcalあります。こんな食事内容でも1年後実験前と同様な良好な健康状態を保っていました。ただし...

今回調べてみて、なるほどなあと思うことができました。

今は、食べもののコレステロールは気にすることはないといわれていますが、現実にLDL(悪玉コレステロール)の数値が高くて困っている方は、コレステロールの多い食品を気にされていると思います。

参考にしていただければ幸いです。

コレステロールについての他の記事は、コレステロールについて知っておきたいことをご覧下さい。

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