コレステロールを下げるには不飽和脂肪酸の油を使い大豆を食べること

総コレステロールを下げるには、調理に使う油を、不飽和脂肪酸の油に替えること。そして大豆を食べるようにすることが手っ取り早くできる方法です。コーヒーを飲み過ぎるとコレステロールを上げる原因になるそうです。

大豆

多価不飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸の油を摂る

イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版には「食餌は血清コレステロールを減少させる重要な役割を果たす」というタイトルで、以下のように書かれていました。

イラストレイテッド ハーパー・生化学について
2017年の春にイラストレイテッド ハーパー・生化学原書29版を買ってそれ以来使っています。きっかけは、アセチルCoAからコレステロールが合成される図を見たからです。 最新版は2016年刊行の30版です。出版社に敬意を表して先に最新版を表示...

ちなみに、血清コレステロールは、健康診断でもらうシートに書かれている総コレステロールのことです。

遺伝的要因は個人の血清コレステロール濃度を決定するうえで最も重要な役割を果たすが,食餌や環境要因もまた一部役割を果たしており,これらで最も効用があるのは,飽和脂肪酸の代わりに多価不飽和(ポリエン)脂肪酸 polyunsaturated fatty acid とモノ不飽和脂肪酸 monounsaturated fatty acid を含む食餌をあたえることである.

トウモロコシ油やヒマワリ種子油のような植物油は高い比率の多価不飽和脂肪酸を含んでいるのに対し,オリーブ油は高濃度のモノ不飽和脂肪酸を含んでいる.

一方,バター脂,牛脂,そしてココヤシ油は高い比率の飽和脂肪酸を含んでいる.スクロースとフルクトースは他の糖質よりも血液脂質,とくにトリアシルグリセロールを上昇させる効果がはるかに大きい.

さて、内容について理解して行きましょう。

まず、この本は2013年発行です。3年ごとに改訂されていて最新版ではありませんが、そこそこ新しい内容が書かれています。

油を使うならオメガ3かオリーブ油を

トウモロコシ油やヒマワリ種子油はオメガ6のリノール酸がたくさん含まれている油です。アメリカでこの本が書かれた時、リノール酸は問題なしだったのかもしれません。

日本ではリノール酸のとりすぎはよくないと広く知られているので、多価不飽和脂肪酸の油を摂るならオメガ3のα-リノレン酸がたくさん含まれている油を使うのがよいでしょう。

以前、オメガ3の油は5種類あるという記事を書いて、5種類のタイプを紹介しました。

オメガ3の油は5種類ある
オメガ3の油は5種類あります。えごま油、亜麻仁油、チアシードオイルのほか、加熱に強いサチャインチオイル(インカインチオイル)、保存性に優れたカメリナ油の5種類ありオススメできます。オメガ3の油とは、α-リノレン酸がリノール酸より多い料理に使う植物油のことです。

 

そして、モノ不飽和脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)のオリーブ油を使うのもよいみたいですね。そうそう、忘れるところでした。魚を食べるのもよいです。

油はサプリメントではないので気をつけて

ところで、いまはオメガ3の油をカプセルに詰めて売っている時代ですが、油はサプリメントではありません。1gあたり9kcalあり、「最強」の高カロリー食品です。

知人でオメガ3の油を何にでもかけて、あっという間に5キロ太った人がいました。

油を豊富にとるのは糖質制限をしているベジタリアンの方ならよいと思いますが、普通の食生活をしている方は、あくまでも料理に使う油をオメガ3の油やオリーブ油に替えるとお考えください。

オリーブ油

スクロースはショ糖、フルクトースは果糖

スクロースはショ糖。砂糖のことです。フルクトースは果糖。以前、果糖について果糖がよくない理由を調べてみたという記事を書きました。

果糖がよくない理由を調べてみた
砂糖(ショ糖)を食べるとコレステロールが上がりやすくなること。それは、果糖が原因になっていること。さらに、果糖がからだの中でブドウ糖とは別に代謝されることと、大量の果糖は体に負担になることを調べました。

ショ糖は二糖類で、消化されてブドウ糖と果糖になりますが、果糖は、代謝にブレーキがかからないのが特徴です。砂糖の摂りすぎは、コレステロールを上げる原因になります。

文中、「トリアシルグリセロールを上昇させる」とは、血中の中性脂肪(TG)が増えるという意味です。

不飽和脂肪酸は細胞のLDL受容体を増やす

なぜ、多価不飽和脂肪酸やモノ不飽和脂肪酸を摂ると血清コレステロールが下がるのだろうと思いますが、その先に説明がありました。

多価不飽和脂肪酸がなぜ血清コレステロールのレベルを下げる効果があるのか,その理由はまだ明らかになっていない.

しかし、関与している機序の1つが飽和脂肪酸に比較して多価不飽和脂肪酸とモノ不飽和脂肪酸によるLDL受容体のアップレギュレーション(上向き調整)であることは確かであり,アテローム発生の主要リポタンパク質であるLDLの異化速度を増大させている.

さらに飽和脂肪酸は,比較的多くのコレステロールを含むより小さなVLDLの粒子を形成する.

そしてそれらは,大きな粒子に比べずっと遅い速度で肝外組織に利用されるため,これらはアテローム発生源と見なされ得る傾向にある.

LDL受容体のアップレギュレーション(上向き調整)とは、LDL受容体の数を増やすことです。(出典

多価不飽和脂肪酸がLDL受容体の数を増やすというのは、コレステロールを受け取る細胞の表面にLDL受容体が増えるということです。(出典

そのため、血液中を流れるLDLからコレステロールが抜かれて細胞内に移行するので、血清コレステロールが下がることになります。

大豆がコレステロールを低下させる

大豆たんぱく質の機能性を探るには、血中レステロール低下作用について書かれていました。

血中コレステロール低下作用

大豆たんぱく質を摂取することにより,血清コレステロール濃度の減少することが認められてい ます。

大豆たんぱく質に由来するペプチドがコレステロールや胆汁酸に結合するので,これらが消化管腔から吸収できなくなることに第一義的な役割があるようです。

作用機構を説明すると以下のようになります。

摂取した大豆たんぱく質に由来するペプチドが食物中のコレステロール(食事コレステロール)に結合するので,コレステロールの吸収が抑制されます。

したがって肝臓では,コレステロール合成が促進されるようになります。腸管腔に放出された胆汁酸の多くは腸管循環により肝臓に戻され,再び腸管腔に放出されています。

よって,摂取した大豆たんぱく質由来のペプチドはこの胆汁酸にも結合するので胆汁酸の再吸収が抑制され,肝臓でコレステロールが速やかに胆汁酸に異化されるようになります。

そのため肝臓のコレステロール濃度が低下するので,肝臓が血中コレステロールを取り込むことになり,結果として血中のコレステロール濃度が下がるというわけです。

大豆ペプチドには、コレステロールとコレステロールからつくられた胆汁酸に結合する性質があります。そのためコレステロールの体内への吸収が阻害されます。

そのため肝臓が血中のコレステロールを利用するようになり、それで血中のコレステロール濃度が下がる仕組みです。

特に、この文献に出ていた表を見ると、大豆の中のグリニシンというタンパク質がこのペプチドのもとになっています。

大豆がよいならどのくらい食べればよいのか、納豆や豆腐などどれがよいのか知りたいところですが、今のところよい資料が見つかりません。

分かれば記事を書き足します。

NOTE

血清コレステロールは、いわゆる総コレステロールのことです。血清コレステロールを下げるには、普段、調理に使う油を不飽和脂肪酸の多い油に替えるとよいようです。

今はオメガ6のリノール酸とり過ぎの時代なので、オメガ3のα-リノレン酸が多い油とオリーブ油を併用するとよいでしょう。

ただし、油はサプリメントではありませんので油を余分に摂るのはよくないと思います。

さらに、大豆には、グリニシンというタンパク質がもとになったペプチドがコレステロールと結合する性質があり、血清コレステロールを下げる作用があります。

また、イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版にはこんなことが書かれてました。

血漿FFAのレベルが上昇して,VLDLのトリアシルグリセロールとコレステロールを循環液中にいっそう多く放出させる要因としては,情動的ストレスやコーヒーの飲み過ぎがある.

私も仕事の合間にコーヒーを飲むことが多く、これはちょっとドキッとしました。

コレステロールについての他の記事は、コレステロールについて知っておきたいことをご覧下さい。

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