クリル(krill)オイルの原料、オキアミにはEPAとDHAがたくさん含まれているのかと思って調べましたが、オキアミ100gあたりEPAは300mg程度、DHAは200mg程度しかなく、あまり魅力的ではありません。
クリルオイルは、オキアミが原料
最近、 クリル(krill)オイルというものを知りました。EPAとDHAとアスタキサンチンが摂れるのがセールスポイントみたいです。たとえば、アマゾンで調べると、[海外直送品] ナウフーズ Neptune Krill Oil 60 Softgels 1000 mgというのがすぐに出て来ました。人気があるみたいです。
ところで、クリルとはオキアミ(上の画像)のことなのです。へえーっ、青魚からじゃなくて魚の餌になるオキアミからEPAとDHAをとるのかと少し感心しました。
しかし、それなら、オキアミを食べればよいのではないかと思いました。早速、食品分析表で脂肪酸について調べてみました。
オキアミの栄養成分分析
オキアミの生とゆでたものについて成分を調べることができました。
EPAもDHAも意外と微量
オキアミ100gあたり、生でもゆでたものでも、EPA(イコサペンタエン酸)は300mg程度、DHA(ドコサヘキサエン酸)は200mg程度しかありません。
以前、EPAが多い食品は?という記事と、DHAが多い食品は?という記事を書きましたが、青魚は100gあたり数g含まれています。
ずいぶん差がありますが、これは昔理科で習った食物連鎖というやつで、魚はオキアミをたくさん食べて自分の体に脂肪を蓄積していくのです。
食品成分 | おきあみ/生 | おきあみ/ゆで |
エネルギー | 94kcal | 86kcal |
水分 | 78.5g | 79.8g |
たんぱく質 | 15g | 13.8g |
脂質 | 3.2g | 3g |
炭水化物 | 0.2g | Tr |
灰分 | 3.1g | 3.4g |
脂肪酸総量 | 2.08g | 1.99g |
飽和脂肪酸 | 0.7g | 0.69g |
一価不飽和脂肪酸 | 0.66g | 0.5g |
多価不飽和脂肪酸 | 0.7g | 0.8g |
n-3系多価不飽和脂肪酸 | 0.65g | 0.7g |
n-6系多価不飽和脂肪酸 | 0.05g | 0.06g |
18:2n-6リノール酸 | 38mg | 40mg |
18:3n-3α-リノレン酸 | 16mg | 40mg |
20:5n-3イコサペンタエン酸 | 350mg | 320mg |
22:6n-3ドコサヘキサエン酸 | 200mg | 200mg |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂) |
魅力がないと思ったらおいしそうなこと
オキアミはあまり魅力がないなと思ったのですが、いわての食材イサダ(ツノナシオキアミ)に出ている写真を見ると考えが変わります。生で食べてみたい。岩手では「イサダ」と呼ぶそうです。
生のオキアミは流通していないみたい
さらに、岩手生物工学研究センター生物資源研究部のサイトにあったイサダを読むと、こんなことが書かれていました。
イサダは三陸地域での呼び名で、和名をツノナシオキアミといいます。名前のとおり、オキアミの一種です。シロナガスクジラの主食として有名な、南極オキアミに比べると小さなオキアミで、体長は1〜2cmです。
水揚げされたイサダのほとんどは、養殖魚の餌やつり餌として用いられます。釣り具屋やホームセンターで、釣りの撒き餌として、イサダのブロックが1kg数百円で販売されています。
水揚げ直後のイサダは鮮やかな桜色をしていますが、数時間経つと黒く変色してしまいます。
また、イサダの黒変を防ぐためには-30℃以下で保存する必要があります。この保存の難しさが、イサダの食品利用を妨げる大きな原因の一つでした。
鮮やかな桜色は、アスタキサンチン(色素)によるものです。色が変わらないようにするためには-30℃以下で冷凍する必要があるなら、生で買ってくることはできないですね。
冷凍オキアミは、確かに釣りの餌として数キロ単位で販売されていました。それを買って食べているチャレンジャーもいらっしゃるみたいです。しかし、残念ながら食品として販売されている冷凍ものは発見できませんでした。
NOTE
ここ2、3年のサバ缶人気で品薄になったせいでしょう、はっきり、缶詰の値段が上がりました。サバ缶、確か少し前は100円くらいだったと思いますが、200円、300円のものも珍しくなくなりました。それでは鮭缶と変わらない。
そもそも、私は普段買っていたツナ缶の値段が上がって、しかも品質が落ちたことを感じたので、サバ缶を買うようになりました。
EPAやDHAをとるためにどうしたらいいのかなと思ったら、クリル(krill)オイルのことを思い出しました。
クリル(krill)オイルはオキアミからとった油です。それならオキアミ自体を食べたらよいのではないかと思いました。
しかし、日本食品標準成分表2015年版(七訂)で調べてみると、オキアミの「生」でも「ゆで」でも、100gあたり、EPAは300mg程度、DHAは200mgしかなくあまり魅力的ではありません。
しかし、オキアミはなかなかおいしそうです。ただ、アシが早く、数時間しか持たないようです。岩手など水揚げされる漁港近くなら食べられるところがあるかもしれません。