おいしいツナ缶にはどのくらいオメガ3の脂肪酸があるのかと思ったら、1g未満でした。原料は「まぐろ」か「かつお」ですが、まぐろは脂質の少ない種類を使用するか、赤身を使っています。油漬けは大豆油や綿実油など植物油を使用しているので、リノール酸がとても多い食品になってしまいます。EPAやDHAは多くても合計0.5g程度しかありません。
まぐろとかつおが原料のツナ缶のEPAやDHAは合計0.5g程度しかない
まぐろとかつおが原料のツナ缶のオメガ3の脂肪酸は思っていたよりもずっと少ないです。水煮缶、油漬とも100gあたりEPAとDHAは多くても合計0.5g程度しかありません。ツナ缶を食べたらオメガ3の脂肪酸が摂れると思わない方がよいですね。
まぐろとかつおの缶詰なら、当然、EPAやDHAが多いのだろうと思ったのですが、あれあれ。表のデータは日本食品標準成分表2015年版(七訂)から調べました
まぐろが原料のツナ缶(水煮)に含まれるオメガ3の脂肪酸は100gあたり多くても0.5g程度
まず、まぐろから。表を見てください。参考にすべき数字は、水煮缶のフレークライトとフレークホワイトです。n-3系多価不飽和脂肪酸は、0.15gと0.62gしかありません。
参考のため、左端にさば水煮缶の数字を載せてあります。見比べるとだいぶ差があります。
さば類缶 詰水煮 |
まぐろ類 缶詰水煮 フレーク ライト |
まぐろ類 缶詰水煮 フレーク ホワイト |
まぐろ類 缶詰油漬 フレーク ライト |
まぐろ類 缶詰油漬 フレーク ホワイト |
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エネルギー | 190kcal | 71kcal | 97kcal | 267kcal | 288kcal |
水分 | 66g | 82g | 77.6g | 59.1g | 56g |
たんぱく質 | 20.9g | 16g | 18.3g | 17.7g | 18.8g |
脂質 | 10.7g | 0.7g | 2.5g | 21.7g | 23.6g |
炭水化物 | 0.2g | 0.2g | 0.4g | 0.1g | 0.1g |
灰分 | 2.2g | 1.1g | 1.2g | 1.4g | 1.5g |
食塩相当量 | 0.9g | 0.5g | 0.7g | 0.9g | 0.9g |
飽和脂肪酸 | 2.42g | 0.18g | 0.64g | 3.37g | 4.85g |
一価不飽和脂肪酸 | 3.47g | 0.11g | 0.71g | 4.86g | 4.24g |
多価不飽和脂肪酸 | 3.03g | 0.18g | 0.73g | 12.16g | 11.73g |
n-3系多価不飽和脂肪酸 | 2.73g | 0.15g | 0.62g | 1.4g | 0.55g |
n-6系多価不飽和脂肪酸 | 0.3g | 0.03g | 0.11g | 10.76g | 11.18g |
16:0パルミチン酸 | 1500mg | 110mg | 420mg | 2300mg | 4100mg |
18:0ステアリン酸 | 380mg | 38mg | 100mg | 870mg | 560mg |
18:1 | 1900mg | 85mg | 420mg | 4700mg | 4000mg |
18:2 n-6リノール酸 |
150mg | 5mg | 41mg | 11000mg | 11000mg |
18:3 n-3α-リノレン酸 |
72mg | 2mg | 12mg | 1300mg | 79mg |
20:4 n-6アラキドン酸 |
120mg | 13mg | 29mg | 11mg | 0mg |
20:5 n-3イコサペンタエン酸 |
930mg | 20mg | 110mg | 14mg | 77mg |
22:6 n-3ドコサヘキサエン酸 |
1300mg | 120mg | 440mg | 65mg | 370mg |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用 |
かつおが原料のツナ缶に含まれるオメガ3の脂肪酸も1g未満
一方、かつおの缶詰は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)には水煮缶がありませんでした。味付けフレークがそれに準ずるものとしてオメガ3の脂肪酸を調べましたが、まぐろと変わりなく1g未満でした。
かつおの刺身を思い浮かべると、脂が乗っていてもまぐろの大トロのようになりません。脂質はほどほどしかないと想像できます。
食品成分 | かつお類 缶詰 味付けフレーク |
かつお類 缶詰 油漬フレーク |
エネルギー | 141kcal | 293kcal |
水分 | 65.8g | 55.5g |
たんぱく質 | 18.4g | 18.8g |
脂質 | 2.7g | 24.2g |
炭水化物 | 10.7g | 0.1g |
灰分 | 2.4g | 1.4g |
食塩相当量 | 1.7g | 0.9g |
飽和脂肪酸 | 0.78g | 3.48g |
一価不飽和脂肪酸 | 0.58g | 5.45g |
多価不飽和脂肪酸 | 0.94g | 13.44g |
n-3系多価不飽和脂肪酸 | 0.83g | 1.99g |
n-6系多価不飽和脂肪酸 | 0.11g | 11.44g |
16:0パルミチン酸 | 460mg | 2400mg |
18:0ステアリン酸 | 130mg | 910mg |
18:1計 | 340mg | 5300mg |
18:2n-6リノール酸 | 40mg | 11000mg |
18:3n-3αーリノレン酸 | 22mg | 1600mg |
20:4n-6アラキドン酸 | 35mg | 14mg |
20:5n-3イコサペンタエン酸 | 180mg | 60mg |
22:6n-3ドコサヘキサエン酸 | 540mg | 290mg |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用 |
ツナ缶の油漬に使われる油は植物油でリノール酸がとても多い
ツナ缶油漬に使われている油は大豆油と綿実油です。
そのため、100gあたりに含まれる脂質の量も、n-3系多価不飽和脂肪酸も多いですが、オメガ6のリノール酸がすごく多いです。100gあたり11gがリノール酸です。
ツナ缶に使われるまぐろ
ツナ缶に使われるまぐろは脂身の少ないまぐろと、赤身です。
ライトとホワイトの違いは魚の種類の違い
いなば食品のサイトによると、ライトの原料は、きはだまぐろ、かつお、めばちまぐろです。ホワイトは、びんながまぐろで「高級ツナ缶詰の原料」と書かれていました。
きはだまぐろ、びんながまぐろは脂肪が少ない
以前、大トロのオメガ3の脂肪酸は6~7%という記事を書いた時に、まぐろ赤身と脂身の脂肪酸を表にしました。それを見ていただくと、脂身(トロ)には脂肪が多いですから、当たり前ですがオメガ3の脂肪酸は多いです。
しかし、赤身には脂肪が少なく、それがツナ缶の原料になればオメガ3の脂肪酸が少ないのは当然です。きはだまぐろ、びんながまぐろは、日本食品標準成分表2015年版(七訂)では赤身脂身の区別がないので、もともと脂肪が少ないまぐろです。

ツナ缶に使われるかつお
農大の小泉先生が書かれた缶詰に愛をこめてにはこのように書かれていました。
カツオの缶詰に使われているのは、刺身とか、たたきとか、カツオ節に使われるマガツオという種類ではなく、多く使われているのは、「ホシガツオ」という魚種です。南半球温帯に生息しているカツオで、身長一メートル、体重一〇キロもある、大型のカツオです。
また、「スマ」というカツオも使われます。普通のマガツオと大きさも形もよく似ていますが、違う種類です。この二種のカツオは、生食にはあまり向きませんが、煮ると白くなって味がぎゅっと濃縮され、ツナ缶にするのにとても適しているのです。
考えてみるとシーチキンだった
ツナ缶は、はごろもフーズではシーチキンという商品名でした。

チキン(鶏肉)は、他の肉に比べてあっさりしているのが特徴です。ツナ缶は、水煮よりも油漬の方が一般的だったのであっさりしている特徴がわかりにくいですね。
缶詰に愛をこめてにはこのように書かれていました。
肉はやわらかく、煮ると白くなります。ツナ缶の代名詞ともいえる「シーチキン」は、はごろもフーズの商標ですが、これは「海の鶏肉」ということで、原料となるビンナガの肉がやわらかく、味も淡泊で淡桃色を帯び、熱すると白くなることから、鶏肉にあやかって名付けられたと言われています。
水煮は、あまりにもあっさりし過ぎていたので、おいしさのために油を加えたのでしょう。実際、油が入っていた方がおいしいです。
オリーブ油漬のツナ缶
上の表で見ていただいたように、大豆油や綿実油が入ったツナ缶を食べていると、リノール酸を減らすことになりません。
ところで、ツナは、自作できることを今回初めて知りました。いろいろな方が記事を書かれていますが、写真が多く説明がとてもわかりやすい白ごはん.comの自家製ツナの作り方(マグロやカツオの刺身で)へのリンクを貼っておきます。
むずかしくなさそうだし、きっとおいしいだろうなと思います。
しかし、缶詰は、何年も保存できてすぐに使えるところがよいところ。オリーブオイルを使っていて高すぎない缶詰を探しました。単価が238円。これが普段使うには許せる上限かな。
NOTE
今、一番人気があるのはサバ缶ですが、サバ缶の前にずっと長く人気があったのはツナ缶でした。ツナ缶は、サラダにも、パスタにも、パンにも合って、おいしく食べられます。数年前に値上げしてからサバ缶にその地位を奪われました。
昔のサバ缶って、少々貧乏くさい感じがしたものです。しかし、オメガ3を少し意識して摂る時代には、とてもよいものです。
しかし、ツナ缶はおいしい。どちらが好きですかと聞かれたら、私は躊躇なくツナ缶に1票です。
その他の水産物とオメガ3については、水産物の中のオメガ3をお読み下さい。