魚、魚卵、貝、海藻、すり身の加工品、魚の缶詰などについてどのくらいオメガ3の脂肪酸が含まれているか調べた記事です。ほとんど、EPAとDHAの話です。
魚にはEPAやDHAが多いといわれますが、全てではありません。少ない魚もあります。
- カツオとオメガ3脂肪酸
- ホッケとオメガ3脂肪酸
- サバとオメガ3脂肪酸
- はまちとオメガ3脂肪酸
- イクラとオメガ3脂肪酸
- タラ(鱈)のオメガ3脂肪酸
- いわしのオメガ3脂肪酸
- あじ(鰺)のオメガ3脂肪酸
- イカとオメガ3脂肪酸
- 煮干しとオメガ3脂肪酸
- 明太子のオメガ3脂肪酸
- ホタテのオメガ3脂肪酸
- ししゃものオメガ3脂肪酸
- ちくわ、かまぼこ、はんぺんのオメガ3脂肪酸
- うなぎとオメガ3の脂肪酸
- 海苔の脂肪酸はオメガ3のEPAが一番多い
- 大トロのオメガ3の脂肪酸は6~7%
- EPAが多い食品は?
- サンマの缶詰はEPAもDHAもたんぱく質も豊富だ
- DHAが多い食品は?
- ツナ缶のオメガ3脂肪酸
- DHAを減らさないようにサバの味噌煮をつくる
- 魚を食べる以外にDHAをとる方法は魚肉ソーセージ
- オキアミを食べたらEPAとDHAはとれるだろうか?
- スピルリナの脂肪酸組成はDHA主体に変えられる
カツオとオメガ3脂肪酸
カツオは、三陸沖からの戻りガツオに脂質が多く、100g中6g程度あります。オメガ3の脂肪酸は2g弱あります。一方、夏の到来を告げるその年初めてのカツオの水揚げを「初鰹(はつがつお)」と呼び、珍重されますが、脂は少ない。
ちなみにカツオ節は、脂が少ないものを選んで作るそうです。
ホッケとオメガ3脂肪酸
ホッケは北海道でよく食べられている魚です。たいてい干物を食べますが、干物にするのは水分が抜けて味が濃くなるからです。干物にすると100gあたり脂が10gと脂を楽しめるようになります。
もともとのホッケは、案外淡白な魚なのかもしれませんね。干物を1枚食べれば、1日分のオメガ3脂肪酸はお釣りが来ます。
サバとオメガ3脂肪酸
オメガ3のEPAとDHAが多く(以前は)安いこともあってサバ缶人気になりました。
サバは、「マサバ」「タイセイヨウサバ」「ゴマサバ」があり、タイセイヨウサバが突出して脂質が多いです。生で脂質が30g程度あります。オメガ3の脂肪酸も100gあたり6gと多いです。
サバ缶になるサバは、「マサバ」と「ゴマサバ」です。こちらもオメガ3の脂肪酸は3g程度あり、とても多いです。
はまちとオメガ3脂肪酸
はまちは脂が乗っていて、安い寿司折りには必ず入っている魚です。そのため、ほぼ養殖されている魚だと考えてよさそうです。はまちは100gあたり脂質が17gくらいあり、そのうち、オメガ3の脂肪酸は、約2gあります。
養殖魚の脂肪酸は与えられたエサが反映されています。はまちがもっと大きくなるとブリになります。
イクラとオメガ3脂肪酸
イクラはこってりと脂が多いですね。イクラ100gには脂質が15g程度あり、その中の約5gがオメガ3の脂肪酸です。たんぱく質もとても多くぜいたくな食べ物です。
タラ(鱈)のオメガ3脂肪酸
たらは脂質がとても少ない魚です。そのため、オメガ3の脂肪酸もほとんどありません。脂質が少ないとカロリーが低くなるので、別な見方をすると高タンパク低カロリーな食品です。「すけとうだら」は練り物の貴重な原料です。
いわしのオメガ3脂肪酸
いわしには「うるめいわし」「かたくちいわし」「まいわし」があり、それぞれ脂質の量が違います。オメガ3の脂肪酸は、100gあたり1~2gあります。
メザシになるのは、うるめいわしとまいわしです。一番小さいかたくちいわしに脂質が一番多いです。
いわしの缶詰の場合は、身から水分が少し出るので、オメガ3の脂肪酸は、100gあたり2~4gあります。
あじ(鰺)のオメガ3脂肪酸
あじのオメガ3脂肪酸は、100gあたり1~2gです。あじには、「まあじ」「にしまあじ」「むろあじ」があります。「にしまあじ」とは大西洋に生息するマアジのことです。スーパーなどで見かける安い開き干しのほとんどがこれです。
イカとオメガ3脂肪酸
イカは脂が少ないでしょう。その通りです。刺身を食べれば感じます。
イカはもともと脂質が少なく、オメガ3の脂肪酸も少ないです。刺身を100g食べても、1g未満、せいぜい0.5g程度しかありません。イカのエサを調べると、魚と同じようなものを食べていますが、運動量が多くて脂肪がたまらないのでしょうか?
煮干しとオメガ3脂肪酸
煮干しは脂が少ないよなあ。原料はいわしの中でも脂が多いかたくちいわしですが、塩水で煮熟して干すので、脂が抜けます。脂があると乾燥しにくいのです。おまけに酸化していたむ。煮熟するのは内臓や筋肉が有する消化酵素の活性を停止させ、かつ微生物を減らし、 タンパク質を凝固させます。
100gあたり0.7g程度しかオメガ3脂肪酸がありません。
明太子のオメガ3脂肪酸
明太子はスケトウダラの卵巣です。たらこですね。タラは脂質が少ない魚で、スケトウダラは脂質があまりなくすり身の原料になるのです。
たらこも大したことはないかなと思ったら、100gあたりオメガ3の脂肪酸は、EPAとDHAをあわせて1g程度あります。
やはり卵は栄養があります。
ホタテのオメガ3脂肪酸
ホタテのバター焼きを食べてはわかりませんが、ホタテの刺身を食べるとほとんど脂がないことがわかります。生100gには脂質が1gもありません。高タンパク低カロリー食品です。もちろん、オメガ3の脂肪酸はほとんどありません。
ししゃものオメガ3脂肪酸
居酒屋でししゃもを頼むとバサバサしたものが出てくるので頼みません。あれは、代用ししゃもとして入って来たからふとししゃもです。栄養成分は似ていますが、北海道のししゃもと食べ比べたら話になりません。北海道のししゃもは(高いですが)おいしいです。
生干ししたししゃもは10g程度脂質があります。オメガ3の脂肪酸は約2g含まれています。
ちくわ、かまぼこ、はんぺんのオメガ3脂肪酸
ひょっとして、練り物を食べてオメガ3を手軽に摂れるといいなと思いました。練り物は、白身魚をミンチにして水を絞り調味料を加えたすり身が原料です。白身魚は、たんぱく質が多く脂質がかなり少なく低カロリーです。オメガ3の脂肪酸は少ないです。
保存性がまあまあよいタンパク源として食べるのはよいと思います。
うなぎとオメガ3の脂肪酸
うなぎは脂が多いです。ただ、天然物を食べることはまれで、ほとんど養殖ものだと思います。養殖魚の脂肪酸は与えられたエサを反映します。生100g中、脂質は20gくらいでオメガ3の脂肪酸は2g 以上 4g 未満というところ。
海苔の脂肪酸はオメガ3のEPAが一番多い
海苔(のり)にオメガ3の脂肪酸は含まれているのか調べたら、多いとはいえない脂質の中で、一番多いのはオメガ3の脂肪酸で、その中でもEPAが一番多いことがわかりました。これは浅草海苔の場合です。あおのりは、α-リノレン酸が多いです。
魚のEPAやDHAは自分で合成したのではなく藻由来です。
大トロのオメガ3の脂肪酸は6~7%
大トロがとれるまぐろは、基本、くろまぐろとみなみまぐろです。どんなまぐろでも大トロがとれるわけではありません。たとえば、シーチキンの原料になるびんながは、脂質がとても少ないです。
大トロは切り身の重さの30%近くが脂質です。オメガ3の脂肪酸はその1/5程度、切り身の6~7%程度です。
EPAが多い食品は?
EPAが多い食品はほとんど魚だと思って間違いありません。オメガ3の脂肪酸をサプリメントのようなものから摂らないといけないと考える人もいるようですが、定期的に魚を食べていれば不足することなどないと思います。
サンマの缶詰はEPAもDHAもたんぱく質も豊富だ
サンマの缶詰が安く買えたら、たんぱく質もEPAもDHAも十分な量が食べられます。おまけにおいしい。缶詰の中身100gあたりEPAは1000mg程度、DHAは1700mg程度含まれています。
DHAが多い食品は?
魚の脂にはEPAよりもDHAが多く含まれています。オメガ3の脂肪酸は成人男女で1日2g程度必要ですが、いわし、さんま、さばを食べるとその心配をする必要がなくなります。
ツナ缶のオメガ3脂肪酸
ツナ缶にはどのくらいオメガ3の脂肪酸があるのかと思ったら、1g未満でした。あれっと思ったら、油を足して油漬けにしています。その油は安い大豆油や綿実油などの植物油なので、リノール酸がとても多いです。
ツナ缶の原料は「まぐろ」か「かつお」ですが、まぐろは脂質の少ない種類を使用するか、赤身を使っています。もともと、「シーチキン」ですから。高タンパク低カロリーのあっさりとした食べ物にしたかったのでしょう。
DHAを減らさないようにサバの味噌煮をつくる
サバの味噌煮を作るとき、サバを長時間煮込むほど、できあがった味噌煮に残っているDHAの量が少ないことが分かりました。サバの内部の温度が100℃になるように加熱されると、だいたい30分でDHAの量は半減してしまいます。
調理時間を短くするには、調味料と酒を加えた水に先にサバを入れてから煮るのです。煮汁が冷たいうちにサバを入れた方が味がしみ込みやすく、酒のアルコールは味の成分のしみ込みを助けてくれます。
魚を食べる以外にDHAをとる方法は魚肉ソーセージ
魚嫌いの小さいお子さんのため、魚以外にDHAの多い食品を探しましたが、卵や肉に満遍なく入っているものの、成分量としては大したことがありません。特定保健用食品や機能性表示食品の魚肉ソーセージがありました。
オキアミを食べたらEPAとDHAはとれるだろうか?
クリル(krill)オイルというオメガ3の油があり、原料はオキアミだというのです。クジラが食べるエサだとは知っていました。オキアミにはEPAとDHAがたくさん含まれているのかと思って調べましたが、オキアミ100gあたりEPAは300mg程度、DHAは200mg程度しかなく、あまり魅力的ではありません。
スピルリナの脂肪酸組成はDHA主体に変えられる
スピルリナはタンパク源として魅力的だなと思っています。
スピルリナ粉末に含まれる脂質は2~9%です。あまり多くありません。しかも、脂肪酸組成は飽和脂肪酸のパルミチン酸が多く、次いで、γ-リノレン酸、リノール酸とあまり魅力的ではありません。
しかし、たとえば培養液に0.1%DHAを加えると、含まれる脂質が26%に増え、脂肪酸組成の70%がDHAになります。スピルリナの脂肪酸組成は変えることができます。
他の食品について含まれるオメガ3脂肪酸については、食品の中に含まれるオメガ3をご参照下さい。