カツオは、三陸沖からの戻りガツオに脂質が多く、100g中6g程度あります。オメガ3の脂肪酸は2g弱あります。カツオに似ているけれど別な魚、ソウダガツオにはオメガ3の脂肪酸は1g程度あります。しかし、かつお節を作るには、これでは脂が多すぎるそうです。
カツオの脂質は100gあたり6g
カツオとソウダガツオは別な魚でした。日本食品標準成分表2015年版(七訂)では、カツオを「春獲り」「秋獲り」とわざわざ区別しています。
秋獲りの方が脂が多く、100gあたり6gあります。
ソウダガツオは、脂質が100gあたり約3gあります。
カツオのオメガ3脂肪酸は2g弱
カツオの脂肪に含まれるオメガ3の脂肪酸は、1.57g。2g弱というところでしょうか。α-リノレン酸<EPA<DHAの順に多くなります。
カツオの刺身を食べれば1日分は十分にまかなえます。
また、ソウダガツオのオメガ3の脂肪酸は、約1gあります。
かつお/春 獲り生 |
かつお/秋 獲り生 |
そうだが つお/生 |
かつお類/ 加工品/な まり節 |
かつお類/ 加工品/か つお節 |
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エネルギー | 114kcal | 165kcal | 136kcal | 173kcal | 356kcal |
水分 | 72.2g | 67.3g | 69.9g | 58.8g | 15.2g |
たんぱく質 | 25.8g | 25g | 25.7g | 38g | 77.1g |
脂質 | 0.5g | 6.2g | 2.8g | 1.1g | 2.9g |
炭水化物 | 0.1g | 0.2g | 0.3g | 0.5g | 0.8g |
灰分 | 1.4g | 1.3g | 1.3g | 1.6g | 4g |
食塩相当量 | 0.1g | 0.1g | 0.2g | 0.2g | 0.3g |
脂肪酸総量 | 0.4g | 4.67g | 2.08g | 0.66g | 1.78g |
飽和脂肪酸 | 0.12g | 1.5g | 0.74g | 0.27g | 0.62g |
一価不飽和脂肪酸 | 0.06g | 1.33g | 0.48g | 0.16g | 0.33g |
多価不飽和脂肪酸 | 0.19g | 1.84g | 0.84g | 0.22g | 0.81g |
n-3系多価不飽和脂肪酸 | 0.17g | 1.57g | 0.74g | 0.17g | 0.7g |
n-6系多価不飽和脂肪酸 | 0.02g | 0.24g | 0.1g | 0.06g | 0.1g |
16:0パルミチン酸 | 78mg | 930mg | 440mg | 170mg | 350mg |
18:0ステアリン酸 | 22mg | 230mg | 130mg | 66mg | 170mg |
18:1計 | 40mg | 770mg | 260mg | 120mg | 210mg |
18:2n-6リノール酸 | 5mg | 85mg | 28mg | 8mg | 22mg |
18:3n-3α-リノレン酸 | 3mg | 41mg | 16mg | 2mg | 6mg |
20:4n-6アラキドン酸 | 7mg | 84mg | 39mg | 24mg | 40mg |
20:5n-3イコサペンタエン酸 | 39mg | 400mg | 180mg | 22mg | 99mg |
22:6n-3ドコサヘキサエン酸 | 120mg | 970mg | 470mg | 130mg | 560mg |
カツオとソウダガツオは別な魚
カツオとソウダガツオは似ているけれど、別な魚でした。
カツオ
カツオは、スズキ目>サバ科>カツオ属>カツオと分類されます。ホンガツオ、マガツオと呼ばれます。
カツオの成魚の画像は、いつも読ませていただいているぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑にあります。
なぜ、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に「春獲り」「秋獲り」と分けて書かれているのかわかりました。ウイキペディアのカツオに書かれていました。
春のカツオはまだ脂がないのですが、三陸沖まで北上して戻る頃にはたっぷりエサを食べて冷たい海のために脂肪をつけて来るのです。
三陸沖から戻るときに脂が乗る
日本では太平洋側に多く、日本海側では稀である。(中略)
日本の太平洋沿岸に生息するカツオは、夏に黒潮と親潮とがぶつかる三陸海岸沖辺りまで北上し、秋に親潮の勢力が強くなると南下する。夏の到来を告げるその年初めてのカツオの水揚げを「初鰹(はつがつお)」と呼び、珍重される。
脂が乗っていないためさっぱりとしており、この味を好む人もいるが、3月初旬の頃のものは型が揃わず、比較的安価である。脂が乗りだすと高値になっていく。
初鰹は港によって時期がずれるが、食品業界では漁獲高の大きい高知県の初鰹の時期(4月~6月ごろ)をもって毎年の「初鰹」としており、消費者にも浸透している。
南下するカツオは「戻り鰹」と呼ばれ、低い海水温の影響で脂が乗っており、北上時とは異なる食味となる。戻り鰹の時期も港によってずれがあるが、一般的には秋の味として受け入れられている。
ソウダガツオ
ソウダガツオは、スズキ目サバ亜目サバ科サバ亜科マグロ族ソウダガツオ属です。マルソウダとヒラソウダの2種があります。それをまとめてソウダガツオといいます。
それぞれの画像は、ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑に記事と一緒にありました。このサイトは本当に面白いです。
かつお節は脂が少ないものを選んで作る
参考まで、かつお節についても調べました。なまり節はまだ水分がかなりあり、柔らかいのですが、カンカンと音がするほど乾燥させたかつお節は、水分がかなり減っています。
表にあるかつお節の水分量15.2gというのは、国産の乾燥大豆が水分量13g程度なので、乾燥の程度がわかります。
ところで、かつお節より水分量が多く、つまり乾燥させていないなまり節の脂質は、1.1g。あれっ?あんまり脂がないなと思いました。なぜなんだろう?
脂が多いと劣化が早い
脂は酸化します。それが問題になります。
なぜかつお節に脂質が少ないのか?それに答えてくれる記事がありました。鰹の脂肪分と鰹節の関係という記事です。
一般的に鰹節を製造する時の原料には脂肪分が少ない鰹が使用されます。現在、日本で作られるほとんどの鰹節は赤道に近い南方の海域で獲られた鰹を原料として使用しております。
日本近海で獲れるものは比較的脂が少ないとされる「初鰹」でも鰹節にできるものはほんの一時期だけで、脂が多すぎて使えないものがほとんどです。
それではなぜ脂が多い鰹が鰹節に向かないのでしょう。
それは以下のような弊害があるからです。
1.節として仕上がるまでに時間がかかり製造コストが高くなる。
2.脂が多い節は削りぶしにしたときにボリューム感がなく、しんなりしている。また、脂が酸化することにより変色も早く、風味の劣化も早い。
3.脂が多い節でダシをとった場合、ダシが濁る。また風味の劣化が早い。
確かに脂が多い節は味が濃く作りたての削りたてはとても美味しいのですが、脂が酸化する速度が早いため商品価値としては低く評価されます。
さすが、専門家は書くことが違います。われわれ消費者としては、脂が多いと酸化が早くなる。ダシが濁ることは覚えておきたいことです。
脂が少なすぎてもよくない
ただし、脂が少なすぎても味気なくなるので、かつお節の脂肪分が5~6%くらいのものが最上級品になるそうです。このあたり、「脂の魅力」があるのですね。
宗田節(そうだぶし)
以前、蕎麦学校で蕎麦打ちを習ったことがあるのですが、だしに宗田節も使ったことを思い出しました。高知県土佐清水市の新谷商店さんのサイトに詳しく説明がありました。
宗田節の種類を読むと、宗田節の最高級品は、形が大きく脂が少ないもの。かつお節と同じです。アマゾンに新谷商店さんの宗田節がありましたので、リンクを貼っておきます。
NOTE
大豆は100gあたり20g程度油を含み、たんぱく質は30g以上あります。一方、戻りカツオは100gあたり、6g程度の脂しかありません。しかし、煮豆を食べるより、戻りカツオの刺身の方が、「脂が乗っている」感じを味わえるのはなぜでしょう?
干物のことを調べた時、脂が多いと乾きにくいと書かれていました。かつお節も脂がじゃまになります。しかし、少なすぎてもよくない。このあたり、人の味覚の不思議さを感じて(個人的に)しびれます。
脂の魅力について2本記事を書いています。
脂肪が好きなのは本能なのだろうか?
脂肪は脳に作用する
よかったら読んでみてください。
その他の水産物とオメガ3については、水産物の中のオメガ3をお読み下さい。